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第77話 ――「ママ」って、言ってくれたね
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朝。
柔らかな陽射しの中、
ユウトはリビングのソファで、
絵本を読み聞かせながら、リュミエールの髪をなでていた。
「……そして、うさぎさんはママのところに帰ってきました――」
すると。
「……ん、ん……ま……ま……」
「……えっ?」
ユウトが、絵本を落としそうになる。
小さな唇が、また動いた。
「ま……ま、ま……」
その瞬間、奥からザディクが顔を出す。
「いま……それ、“ママ”って……!?」
「言った……言ったよね……!?」
ふたりは同時に、リュミエールを抱き上げ、
赤ちゃんの頬に何度も何度もキスを落とす。
「ありがとう……ありがとう……っ」
「世界でいちばん、嬉しい……っ」
その日一日、
ふたりは浮かれっぱなし。
ずっと“ママ”と呼ばれたときの映像を頭の中で繰り返していた。
ザディクは、ふとユウトに顔を向けて言う。
「君が、ちゃんと“ママ”として生きてきたからだよ。
この子は、それをちゃんと見て、感じて、
……“君を最初に呼びたかった”んだ」
夜。
ユウトは静かに微笑みながら、
ザディクの胸元にもたれていた。
「……わたし、“ママ”って呼ばれたとき、
なぜか胸がじんわりして……
今までの全部が報われた気がしたんだ」
「だから、今夜は……
“ママとしての君”に、俺からもありがとうを伝えたい」
服を脱がせる手は、
まるで花びらをめくるようにやさしくて。
肌にふれた指先が、
何も言わずに「尊敬」と「愛しさ」をなぞっていく。
「今日は、何もかもゆっくりでいい。
君が“母”として過ごしてくれた日々を、
俺のすべてで、祝いたいんだ」
「……うん……あなたの愛で包まれたら……
もっと“ママ”として、強くなれる気がする……っ」
挿れられた熱が、
ゆっくりと、母になった身体を奥からあたためる。
「こんなに優しくされたら……涙が、また……っ」
「君の涙は、誰よりも尊いんだよ。
その涙を支えてきた君の全部に、俺は誇りを感じてる」
「ママ」って呼ばれた日、
ふたりはあらためて、“家族であること”の幸せを、
心と身体に深く刻みつけた。
柔らかな陽射しの中、
ユウトはリビングのソファで、
絵本を読み聞かせながら、リュミエールの髪をなでていた。
「……そして、うさぎさんはママのところに帰ってきました――」
すると。
「……ん、ん……ま……ま……」
「……えっ?」
ユウトが、絵本を落としそうになる。
小さな唇が、また動いた。
「ま……ま、ま……」
その瞬間、奥からザディクが顔を出す。
「いま……それ、“ママ”って……!?」
「言った……言ったよね……!?」
ふたりは同時に、リュミエールを抱き上げ、
赤ちゃんの頬に何度も何度もキスを落とす。
「ありがとう……ありがとう……っ」
「世界でいちばん、嬉しい……っ」
その日一日、
ふたりは浮かれっぱなし。
ずっと“ママ”と呼ばれたときの映像を頭の中で繰り返していた。
ザディクは、ふとユウトに顔を向けて言う。
「君が、ちゃんと“ママ”として生きてきたからだよ。
この子は、それをちゃんと見て、感じて、
……“君を最初に呼びたかった”んだ」
夜。
ユウトは静かに微笑みながら、
ザディクの胸元にもたれていた。
「……わたし、“ママ”って呼ばれたとき、
なぜか胸がじんわりして……
今までの全部が報われた気がしたんだ」
「だから、今夜は……
“ママとしての君”に、俺からもありがとうを伝えたい」
服を脱がせる手は、
まるで花びらをめくるようにやさしくて。
肌にふれた指先が、
何も言わずに「尊敬」と「愛しさ」をなぞっていく。
「今日は、何もかもゆっくりでいい。
君が“母”として過ごしてくれた日々を、
俺のすべてで、祝いたいんだ」
「……うん……あなたの愛で包まれたら……
もっと“ママ”として、強くなれる気がする……っ」
挿れられた熱が、
ゆっくりと、母になった身体を奥からあたためる。
「こんなに優しくされたら……涙が、また……っ」
「君の涙は、誰よりも尊いんだよ。
その涙を支えてきた君の全部に、俺は誇りを感じてる」
「ママ」って呼ばれた日、
ふたりはあらためて、“家族であること”の幸せを、
心と身体に深く刻みつけた。
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