『運命に抗え、運命に恋せよ ―王子の剣として、夜も忠誠を誓え』

春夜夢

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第12話『愛してしまった、ただそれだけが罪だった』

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夜風が静かに窓を揺らしていた。

 明日――王都から処分命令が届く。
 ユリウスには廃嫡の通告。
 そしてレオンには、“王家に対する冒涜”として極刑が命じられるという。

 誰の手も、もうこの結末を止めることはできない。

 レオンは、ユリウスの寝顔を見つめていた。

(この人を愛した。愛してしまった……ただ、それだけだったのに)

 出会った日から今日まで、すべてが鮮明に蘇る。
 泥だらけで剣を握っていたあの時、
 王子に初めて名前を呼ばれた時、
 そして何度も何度も、愛されて、刻まれて――

 レオンは小さく息を吐き、布団から身を起こした。

 そっと、そっと、寝台を降りる。
 このまま姿を消せば、ユリウスだけでも助かるかもしれない。
 そう信じたかった。

 だが、その腕が、背後から回された。

「どこへ行くつもりだ、レオン」

 低く、眠たげな声。
 けれど、絶対に逃がさないという確固たる意思を孕んでいた。

「……離れてください。お願いです。俺がいなくなれば、あなたは助かる」

「……助かって、どうする。お前のいない世界で、何を得ろというんだ」

 ユリウスはレオンを抱きしめ、その耳元に唇を落とした。

「……死ぬのなら、一緒だ。生きるのなら、それも一緒だ。俺は、そう言ったはずだ」

「でも……! 俺は、あなたの未来を壊してしまう……」

「お前がいなければ、未来などいらん」

 そのまま、ベッドへと押し倒される。
 涙を浮かべながら、それでもレオンは拒めなかった。

「ユリウス様……最後になるかもしれないのに、なんで……こんな……」

「最後だからだ。今夜だけは、何もかもを忘れて、お前を抱きたい」

 キスは優しく、けれど深く。
 愛していると、伝え合うように。

 すでに幾度となく重ねた身体なのに、まるで初めてのような切なさが、胸を締め付ける。

「好きだ……ユリウス様……俺、本当に、好きで……」

「ああ、レオン……お前のすべてが、俺の救いだった」

 そして、最後のひと突きで、ユリウスはすべてを流し込んだ。

 熱く、重く、愛の証を――レオンの奥へ。

 夜が明けるまで、ふたりはただ、抱き合い続けた。

🔚 続く…
次回:
王都からの使者が離宮へ到着。
ふたりは“処分”を前に、最後の選択を迫られる。
だが、ユリウスは剣を取り、宣言する――
「この手で、運命を壊す」
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