『運命に抗え、運命に恋せよ ―王子の剣として、夜も忠誠を誓え』

春夜夢

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第16話『お前の中に流れていたのは、“王家よりも古い血”だ』

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戦火は、ついに古城の周辺にも及び始めた。

 レオンは単身、森を越えた丘に立ち、リュゼリアの先遣部隊を迎え撃っていた。
 背中にはユリウスの言葉。
 「生きて帰れ。お前がいないと、俺は生きている意味を見失う」

 その言葉だけを、盾にして――剣を振るっていた。

 だが戦場の中心で、突如として放たれた“光”が、レオンの身体を包む。

 その場にいた敵も味方も、目を奪われるほどに強く、澄んだ光。

 剣から放たれたのではない。
 レオン自身の血が、まるで意志を持つように輝いていた。

「これは……王家の術ではない……!」

 敵兵の中にいたリュゼリアの魔導将校が震えながら呟く。

「まさか、お前……“光翼の民”の末裔……?」

 王国の建国よりも遥か昔、空から降りたという“光翼の民”――
 それは、王家すら畏れ、恐れて記録から抹消された伝説の血脈。

 かつて王家の先祖が恐れた、最初の“神に近き民”。

 レオンはその末裔だった。

 「……俺が、そんな……存在だったなんて……」

 レオンは自分の掌を見つめる。
 剣はすでに手から滑り落ちていたが、彼の存在だけで、敵兵は膝をついていた。

「剣よりも、血よりも、ただ――お前が“お前”であることが、戦場を変えた」

 その声とともに、駆けつけたユリウスが背後から抱きしめる。

 「お前は、誰の血筋だろうと関係ない。
  俺の愛した、俺の妻であり――俺の誇りだ」

「ユリウス様……っ」

 そのまま、2人は剣を取ることなく、敵の将を降伏させた。

 戦いは、終わった。

 血を流すことなく。
 ただ、“存在の尊さ”で終結させた――レオンという名の、奇跡。

🔚 続く…
次回:
戦後、王国に新たな秩序が誕生。レオンは“神聖なる血”として崇められ、
王家に戻ることを強要されるが――「俺は、もう誰のものでもない。ユリウスのものだ」
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