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3話。おじさん、後悔する。
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冒険の始まりだ、などといってもおじさんの旅に面白味は薄い。
勢いで動き回れるほど体力はなく、無計画で楽しめるほど精神も若くない。
そもそもが出奔なので楽しめるはずもない。
仕事場の研究所があったのはロット共和国のコービーという都市。
ロット共和国はイーヨ大陸でそこそこ栄える一応の先進国。
コービー市は共和国三大都市のひとつと言えるほど発展している。
共和国には都市間を繋ぐ列車が普及していてコービー市は列車の中継地でもあるため移動だけでいえばこれを使うのが楽。
けれど都市間列車は国営であるため利用すれば当然足がつく。
馬車であれば民営であるためある程度誤魔化せるかもしれないが記録は残るので探されたときに容易に見つかる。
生憎この世界には自動車や自動二輪車のような個人で自由に扱える移動用の道具はない。
ならば自分の足での冒険。
となったのだが、これがまた30過ぎのおじさんには中々にしんどい。
最近は机にかじりついてばっかりで運動不足も良いところ。
錬金術師の養成学校では一応魔術や武術の講義がありそれなりに学んだが今や昔。
日々の運動など通勤くらい。
健康に気遣って食事くらいは意識していたのだけれど体力はない。
そんなおじさんが身一つで簡単に国境など超えられるはずもない。
というかそもそも別の都市にまでたどり着けていない。
コービー市を出て追っ手を撒くために正規の道を外れて山林に入る事およそ3日。
既に体力は限界に来ていた。
場所はコービー市から西南西およそ10キロほどの山中。
一応標高1500メートルほどの山々が連なる連峰の中心近くなので直線距離よりは離れることが出来ている。
真面に訓練を受けた軍人であれば鼻歌交じりで党は出来そうな道のりではあるが、私のような出不精には中々に難しい距離。
国境までは随分と遠いけれど一応の距離は確保できたはず。
そう思いたい。
どう考えても大して距離を稼げていないけれど。
真面に逃走も出来ないのに何故出奔など思い立ったのか。
「嫌だねぇ、おじさんなのに心は子どものままというのは」
勢いで動いてしまったのだ。
無計画に行動してしまったのだ。
今ではしがないおじさんだけれど私も転生した当初はそれなりに夢も見た。
前世では異世界に転生転移するような創作物にそれなりに触れていた。
勇者や英雄には興味がなかったが冒険の成功や立身出世は興味があった。
あるいは一度目の生を糧に今世は楽に優位に過ごそうとも考えた。
しかし今世での時間が増え自分を知り、自分というモノを型にはめて世界に迎合していくうちに自分の人生はこんなものだろうと納得してしまっていた。
私の心は未だ幼い子どもだったらしい。
金を錬成してしまったことによる自己保身が最たる理由であることは事実。
けれどその状況を言い訳に心が躍ってしまった。
状況を鑑みてその場で出奔することが正しいことだと判断できてしまった。
そしてその状況において自分には不似合いな行動もすべきことだと己を納得させてしまえた。
つまりは前世の記憶を含めれば半世紀以上も生きて来たのにワクワクを止められなかったのだ。
反省はしないが、少し後悔はある。
現状の己を正しく理解せずに勢いで無計画に行動すればどうなるか。
結論は簡単。
筋肉痛により身体がバキバキになり動けなくなる。
「ホント、嫌だねぇおじさんというのは」
道具として一生を過ごす気はないので出奔したことに悔いはないが無茶して山林を歩き回ったことには後悔がある。
もう少しペース配分をすべきだった。
一応全く動けないほどではない。
けれど普通に起き上がり手足を動かすだけで痛い。
歩けるには歩けるが小走りなどは無理。
くしゃみなどもってのほか。
もちろん追っ手に見つかれば姿をくらますための逃走などできない。
というか普通に寝起きするだけでも大変。
となれば見つかっていない山中に潜む方が無難に思えた。
「ま、ひとりキャンプというのも乙で良いのだけれど」
ロット共和国、というよりこの世界は前世界よりは未発展。
開拓されず手つかずの土地は多く様々な生物が生き残っている。
それでもその身に魔を宿し社会を崩壊させるような獣は駆逐されている。
コービー市周辺にヒトの命を脅かすような危険生物は存在していない。
もちろん不用意に近づくことで怪我をするような動物の類は存在しているがその程度。
バキバキの筋肉痛なおじさんでも気をつければ山林でも生活できるほどには安全。
動物除けの香などは簡易的なものであれば錬金術でも作れるので安全を確保しやすい。
火起こしも魔法で何とか出来るし水の調達も難しくない。
しいて言えば食料だけれど幸い錬金術は野草とも関りが深いので一応何とかなる。
沢蟹やらでも飢えはしのげるので意外と何とかなる。
たぶん。
何とかなると思っていないとやってられない。
私はこの状況を楽しもうと思う。
勢いで動き回れるほど体力はなく、無計画で楽しめるほど精神も若くない。
そもそもが出奔なので楽しめるはずもない。
仕事場の研究所があったのはロット共和国のコービーという都市。
ロット共和国はイーヨ大陸でそこそこ栄える一応の先進国。
コービー市は共和国三大都市のひとつと言えるほど発展している。
共和国には都市間を繋ぐ列車が普及していてコービー市は列車の中継地でもあるため移動だけでいえばこれを使うのが楽。
けれど都市間列車は国営であるため利用すれば当然足がつく。
馬車であれば民営であるためある程度誤魔化せるかもしれないが記録は残るので探されたときに容易に見つかる。
生憎この世界には自動車や自動二輪車のような個人で自由に扱える移動用の道具はない。
ならば自分の足での冒険。
となったのだが、これがまた30過ぎのおじさんには中々にしんどい。
最近は机にかじりついてばっかりで運動不足も良いところ。
錬金術師の養成学校では一応魔術や武術の講義がありそれなりに学んだが今や昔。
日々の運動など通勤くらい。
健康に気遣って食事くらいは意識していたのだけれど体力はない。
そんなおじさんが身一つで簡単に国境など超えられるはずもない。
というかそもそも別の都市にまでたどり着けていない。
コービー市を出て追っ手を撒くために正規の道を外れて山林に入る事およそ3日。
既に体力は限界に来ていた。
場所はコービー市から西南西およそ10キロほどの山中。
一応標高1500メートルほどの山々が連なる連峰の中心近くなので直線距離よりは離れることが出来ている。
真面に訓練を受けた軍人であれば鼻歌交じりで党は出来そうな道のりではあるが、私のような出不精には中々に難しい距離。
国境までは随分と遠いけれど一応の距離は確保できたはず。
そう思いたい。
どう考えても大して距離を稼げていないけれど。
真面に逃走も出来ないのに何故出奔など思い立ったのか。
「嫌だねぇ、おじさんなのに心は子どものままというのは」
勢いで動いてしまったのだ。
無計画に行動してしまったのだ。
今ではしがないおじさんだけれど私も転生した当初はそれなりに夢も見た。
前世では異世界に転生転移するような創作物にそれなりに触れていた。
勇者や英雄には興味がなかったが冒険の成功や立身出世は興味があった。
あるいは一度目の生を糧に今世は楽に優位に過ごそうとも考えた。
しかし今世での時間が増え自分を知り、自分というモノを型にはめて世界に迎合していくうちに自分の人生はこんなものだろうと納得してしまっていた。
私の心は未だ幼い子どもだったらしい。
金を錬成してしまったことによる自己保身が最たる理由であることは事実。
けれどその状況を言い訳に心が躍ってしまった。
状況を鑑みてその場で出奔することが正しいことだと判断できてしまった。
そしてその状況において自分には不似合いな行動もすべきことだと己を納得させてしまえた。
つまりは前世の記憶を含めれば半世紀以上も生きて来たのにワクワクを止められなかったのだ。
反省はしないが、少し後悔はある。
現状の己を正しく理解せずに勢いで無計画に行動すればどうなるか。
結論は簡単。
筋肉痛により身体がバキバキになり動けなくなる。
「ホント、嫌だねぇおじさんというのは」
道具として一生を過ごす気はないので出奔したことに悔いはないが無茶して山林を歩き回ったことには後悔がある。
もう少しペース配分をすべきだった。
一応全く動けないほどではない。
けれど普通に起き上がり手足を動かすだけで痛い。
歩けるには歩けるが小走りなどは無理。
くしゃみなどもってのほか。
もちろん追っ手に見つかれば姿をくらますための逃走などできない。
というか普通に寝起きするだけでも大変。
となれば見つかっていない山中に潜む方が無難に思えた。
「ま、ひとりキャンプというのも乙で良いのだけれど」
ロット共和国、というよりこの世界は前世界よりは未発展。
開拓されず手つかずの土地は多く様々な生物が生き残っている。
それでもその身に魔を宿し社会を崩壊させるような獣は駆逐されている。
コービー市周辺にヒトの命を脅かすような危険生物は存在していない。
もちろん不用意に近づくことで怪我をするような動物の類は存在しているがその程度。
バキバキの筋肉痛なおじさんでも気をつければ山林でも生活できるほどには安全。
動物除けの香などは簡易的なものであれば錬金術でも作れるので安全を確保しやすい。
火起こしも魔法で何とか出来るし水の調達も難しくない。
しいて言えば食料だけれど幸い錬金術は野草とも関りが深いので一応何とかなる。
沢蟹やらでも飢えはしのげるので意外と何とかなる。
たぶん。
何とかなると思っていないとやってられない。
私はこの状況を楽しもうと思う。
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