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4話。おじさん、頑張る。
しおりを挟むコービー市を出ておよそ20日。
私の出奔はひとりキャンプ生活として落ち着いていた。
断じて逃走が面倒になったわけではない。
決してキャンプ生活が楽しくなって目的を忘れているわけではない。
慢性的な筋肉痛によりスムーズな行動が出来なくなってしまったのでとりあえずは体力回復に注力しようというだけのこと。
初動で距離を稼げなかったので出来るだけ潜伏期間を伸ばして動ける時が来たら一気に動こうという作戦だ。
おじさんの体力は簡単に戻らないのだよ。
おじさんのキャンプ生活は決して楽ではない。
錬金術のおかげで火と水に困ることはない。
けれど食料確保は努力が必要。
運動不足なおじさんが簡単に狩猟できるはずもない。
一応錬金術で罠や器具を作ることが出来るのだけれど私にはそれを活用する体力がない。
猪や熊などを狩れるはずもなく、ウサギやネズミの小動物だって難しい。
それに体力のないおじさんが動き回るのは無謀というもの。
ウサギやネズミであれば頑張って追い回せば捉えられるかもしれない。
けれどその時に熊などに襲われれば目も当てられない。
万全な状態で襲われても危ないのに体力を減らした中で獣に会おうとするのは自殺行為ともいえる。
一応野草や茸類は確保できているので飢えに苦しむことはなかった。
けれどそれだけでは満ち足りない。
おじさんとはいえ肉類も少しは食べたいのだ。
色々と探した結果、肉っぽいものとして落ち着いたのは蛇と蛙。
蛇は骨っぽく食べるのに大変ではあるが味は悪くない。
蛙は草木から抽出した油があるのでそこそこは美味しく頂ける。
両方とも多少の油があり食べ応えがあるので手に入れられた日は少し生活が豊かになる。
他にはときおり蟹や川魚が取れるので多少は満足できている。
決してキャンプが楽しいわけではない。
住居については木の上に小屋を作った。
動物除けの香を焚いたところで全てを避けられるわけではない。
風向きにもよるので安全な道具とは言えない。
おじさんは疲れて眠れば襲われても起きられない。
一応罠とかも作れるのだけれど全方位に作るくらいなら小屋を作った方が速い。
それに地面で寝起きすると虫の餌食になるので対策が必須だった。
山中の虫は下手な熊や猪より厄介。
簡単に衣服内に侵入して刺してくるので対処が難しい。
それも麻痺や場合によっては死に至るような毒を持つものもいるので大変。
毒だけではなく痒みやかぶれは日常に支障をきたす。
イライラは全てを投げ出したくなってしまうもの。
虫の対策にも香が作れないことはないけれど虫ごとに効くものが異なる。
しっかりとした対策をしようとすると複数必要になり作る手間や時間を考えると効率が悪い。
素材が集まるかも不明だし材料があったところで生活の大半が香を作るだけで終わってしまう。
そんなわけで快適な睡眠のために気の上に小屋を建てた。
木の上であれば集まる虫の数も搾れるので香の量を減らせる。
加えて余程の獣でなければ襲われることはない。
屋根も壁も完備しているので雨風もしのげる。
雨が降り行動できない日などは日がな一日のんびりとすることも出来る。
ツリーハウスの建築はそこそこ大変だった。
知識としては前世のおぼろげな記憶があるくらいでそもそも建築は専門外。
体力の無いおじさんには木の切り出しも簡単ではない。
一応錬金術を応用すれば木の切断や加工は出来るのだけれど持ち運びは自力なのでかなりの重労働。
それでも快適な生活のためには大事なので頑張った。
決してキャンプを楽しんでいる訳ではない。
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