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1章 求婚編
6、お家デート風
顔合わせから一週間後、小公爵様が我が家を訪れる日当日。
家の庭師や侍女たちは庭園の準備に勤しんでいた。伯爵夫人である母はその指揮を取り、華やかに会場設営がされていく。
庭に普段はない、レースがたくさんあしらわれたソファまで準備されている。
母なんか、自分が主役じゃないのにすごい着飾りようである。
そして私は、そんな母よりも派手に、華やかに着飾れていた。
「あの、マイ‥?もう3時間髪の手入れしてるよね‥?」
「はい、奥様のご命令ですので」
「あ、そうですか‥」
私の最強天パはツヤツヤに磨かれ、大きなうねりはあるものの、枝毛ひとつない、最高の肌触りをしている。
家で大切に可愛がられている猫のような毛並みである。
ドレスは、庭ということもあり、膨らみは大きくなく、丈も足首が見えるほどであるが、幼な過ぎず、華やかなサンタマリアアクアマリンカラー(水色)のドレスだ。
宝飾品ももちろん、サンタマリアアクアマリンである。きっと今後この名前を覚えていることはないだろう。難しすぎる。
朝っぱらから累計5時間をかけて準備をし、キラキラツヤツヤになった所で、小公爵様が到着したようだ。
エントランスに出迎えにいくと、今日も花束を持って、コバルトブルーで統一された衣装に身を包んでいる。
一週間ぶりに会う小公爵も、やはりイケメンである。本当にこんなイケメンが私のことが好きなのだろうか。にわかには信じられないことである。
「ごきげんよう。ようこそお越しくださいました、ホワイト小公爵様」
私が絵迎えると、背景に花が見えるほど眩しい笑顔を向けて花束を渡す。
「レディが出迎えてくれるとは何と幸せでしょう。お会いしたかったです」
私の手を取って甘々の言葉ばかりを連ねる。どうやら好意を隠す気はないらしい。
あまりのイケメンさに、周囲の侍女や、一緒に待機していた母までその顔にやられている。
このままではみんなの命が危ない為、すぐに庭園に案内する。
「素敵な庭園ですね。それに素敵なおもてなし、感謝します」
私がテーブルを囲む椅子に座る中、そう言う小公爵は、なぜか私の足元の地べたに膝立ちしていた。
「小公爵様、どうか椅子にお座りください」
「何を言いますか。ここから見える景色が一番素敵なのです」
その位置からは私の顔しか見えないだろうに、何が素敵な景色なのだろうか。やはりこの人は目が悪いのだろうか。
ずっと見つめられるのも精神が疲弊していくため、どうにかこうにか椅子に座ってもらうのに30分費やした。
「レディ、前回話を受けてくださった感謝の意をこめて、細やかですが贈り物を用意しました。気に入っていただけると嬉しいのですが。」
そう言って懐から豪華に装飾された箱を取り出す。
「そんな、気を使っていただかなくてよかったのに。でもありがとうございます」
「よかったら開けてみてください」
差し出された豪華な箱を開けると、それはそれは華やかでいて品のある、パライバトルマリンの宝石で作られたネックレスであった。
この宝石は、かなり希少で、滅多に採れない上物だと聞いたことがあるが、そんなものをささやかなプレゼントだなんて、公爵家の財力は底がしれない。
「こんな高価なものいただけません」
すごい代物に、思わずつき返してしまう。
「そんなに高価なものではありませんよ。貴女に似合うと思って選んだので、どうか受け取ってください。」
小公爵は子犬のような表情をしてネックレスを渡そうとしてくる。
イケメンの悲しそうな顔に逆らえる女子はいない。
「そこまでいうなら‥」
結局受け取ってしまった。
こんな高価なものをいただいてしまうと、お返しの贈り物が悩んでしまう所である。
そういえば、このネックレス、どことなく小公爵の瞳の色に似ているような気もする。
後ろで待機していたマイにネックレスを渡して、自室にしまっておくよう指示する。
「本当にありがとうございます、大切に使わせていただきますね。」
「いえいえ、ネックレスを見て、私を思い出してくれると嬉しいです」
まばゆい笑顔でそんな臭いセリフをよく平気で言えるものである。
つい恥ずかしくなって目線を逸らしてしまう。
「何か、私からも贈り物をさせてください」
そういうと、小公爵は少し考える素振りを見せて、「そうだ!」と何か思いついた様子。
「それなら、来月の王都である祭りに行きませんか?そこで何かお揃いのものが欲しいのですが」
ねだるように言う小公爵。そのような顔で言うのは反則ではなかろうか。
祭りの承諾をすると公爵は嬉しそうな笑みを浮かべていた公爵は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
贈り物のお礼にデートの約束を取り付けるなんて、さすがである。
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