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序章の色
第9話 威圧の色
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「おっ、きたかショウ」
「ええ、きたんですけど、俺全然ここの地理はわかりませんよ」
「だ~いじょうぶ、ここは俺の庭だから」
そう言ってニカっと笑って歩みを進める、その後をついていくが思ったより歩くのが早い、そして歩くたびに後ろで束ねた赤髪がユラリユラリと揺れている。
何履いてるんだろうと思い足を見ると革製のブーツを履いていてとても高そうだ、それに比べ俺はボロのスニーカーときている、貧乏は辛い。
「ロードおじさ~ん、こんにちわぁ」
「おう、元気そうだなぁ、風邪は治ったのか?」
「うん!治ったお!」
道を通るたびにこの感じである、とにかく子供に人気らしいそれと同時に大人にも人気なようだ。
「おっ、ロード!今日はうちに寄ってくのかぁ!」
「あぁ、今日、帰りに寄ってくわぁ、ちっとはサービスしろよ!」
「アホ!ちゃんとつけ払ったらしてやるよ!」
つけためてんのかい!ちゃんと払ってやれよ!
その店は酒屋をやってるんだろうか前掛けをした威勢のいいおっちゃんが商売声で客引きをし始めた、おそらく居酒屋兼料理屋ということなのだろう、金に余裕ができたら是非とも寄りたい。
「人気者なんですね」
「まぁ・・・な、いい意味でも悪い意味でも」
うん、悪い意味でもというのは完全にあんたが悪い。
そういえばこの人の名前を聞いてないな。
「すみません、お名前をまだ伺ってないのですが」
「あぁ、そういえば言ってなかったな」
そう言って後ろを振り返ると手を差し出してきて。
「ここイニティウム支部のギルド長をしているロード=ガルシアだ、宜しく」
俺の手を取り握手をしてきた手はゴツゴツして暖かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さぁて、まず歩きながらで悪いがまず君の素性を話してもらおうか」
相変わらず俺の前を歩いていて、背中しか見えないが有無を言わせぬ雰囲気がある。
「え~っとですね・・・」
「あ~無理して話す必要はないよ、どーせ暇つぶしだし」
暇つぶしかよ!もう苦笑いしかできない、ギルド長ってこんな感じの人なのか・・・
「そうそう、昨日は彼女とどうだった?」
「・・・」
「・・・これは無理して話してもらおうか?」
「何にもしてません!」
すみません、この人こわいっす。
「そういえばカウンターで、料理がどうこう言っていたけどそれはなに?」
「あっ、え~っとですね、昨日料理を代わりに作ったんですけど、どうやら味をしめちゃって・・・」
「あぁ~わかるよ、彼女の料理はもはや兵器だからね」
あ~やっぱり、そういうキャラでしたかあの人は・・・
そんなこんなで話を進めているうちに周りの景色は変わり、見渡せば緑の平原みたいなところにいる。
「さぁてと、ここら辺かな」
そういうとガルシアはそばの岩に腰をかけ、懐から葉巻みたいなものを取り出し口に咥えた瞬間。
『火よ』
指先に小さな炎が灯りその炎で葉巻に火をつける、目の前で起きた手品のような出来事に俺が目を点にしているとそれに気づいたガルシアが気づいて微笑む。
「やっぱり初めてみる?」
「・・・はい」
「まぁ、誰にでもこんな簡単にできるわけじゃないんだけどね」
煙を吐き出し俺を見つめた瞬間、全身を駆け巡る寒気を感じ始めた、その目は全ての動きを制するような威圧を持った目、こんな威圧を感じたのは親父以来だろうか。
「それで、ショウはどこから来たんだ」
「・・・」
「ここには私とショウ以外誰もいない、無理にでも話してもらわないと君を冒険者としてそして・・・」
「・・・そして?」
「彼女のそばに置いておくわけにはいかない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~ん、チキュウねぇ」
「現実味はないですけど、本当です」
「まあ俺は信じるけどね」
「・・・なんでです?」
俺だったら信じないし、ましてや腰に剣をぶら下げてこんなことを言う奴なんて基本頭がおかしい、襲い掛かられると思っていても不思議ではないはz
「ああ、大丈夫その点については俺はすぐ対応できるし、君はそんなことをする人には見えないから」
また読まれた、この世界はどうなってやがるんだ?
「まあ、とにかく納得したところで実践指導だっけ?始めるとしますか!」
「はっ、はい!よろしくお願いしますガルシアさん」
「ロードでいいって」
そう言って白い歯を見せながらニカっと笑う。
「さてと、まず君のその剣を見せてもらうかな」
「はい」
腰から剣を引き抜きその白い刀身を見せる。
「ん~、これが君の言ってた剣かぁ」
「そうです」
ガルシアは葉巻をくわえたまま刀身をまじまじと見つめ、こっちを見て。
「試しにもたせてもらえる?」
「ええ、かまいませんよ」
そう言って刀身を差し出して彼の手に乗った瞬間である。
「グッ!」
「!?」
持った瞬間剣が地面に突き刺さり、ガルシアが倒れこむ。
その時に剣はまるで手から弾けるように離れ、カランと軽い音を立てて地面へと落ちる。
「だ、大丈夫ですか!」
「あぁ、大丈夫、大丈夫、それにしてもなんだこの剣は・・・っ」
「・・・と言うと?」
彼は俺の肩に手をかけ息を荒くしている、顔色は悪くとても苦しそうだ、少し落ち着いたところで、彼は剣を持ったときのことを話し始めた。
「まず持った瞬間、ものすごく重かった、それに俺の中の魔力をものすごい勢いで持ってかれた・・・ッ」
そんな剣だったとは・・・一体何なんだこれ・・・
「そういえば、魔力検査を行ってなかったよな?」
「ええ、はい」
「たぶん君はその剣を普通に持てるんだろ?」
「えっ、はい、そうです」
「もしかしたら君の魔力数値は恐ろしいくらい・・・」
「どうしたんですか?」
「・・・どうやら敵さんが来たようだ」
そう言って俺の背後を睨むガルシアの先を見るとそこからワラワラと何かが近づいてくるが、あれって・・・
「もしかしてあれって・・・」
「ほう、見たことがあるのかい?」
「いいえ、実物はないんですけど・・・」
テレビゲームって、この世界でなんて言えば通じるんだろうか、そこにはゲームから飛び出してきたような低身長でぽっこりでた腹、緑色の表皮を持ったまぎれもない。
「ゴブリンですかあれ?」
「そうだ、ゴブリンだ」
「ええ、きたんですけど、俺全然ここの地理はわかりませんよ」
「だ~いじょうぶ、ここは俺の庭だから」
そう言ってニカっと笑って歩みを進める、その後をついていくが思ったより歩くのが早い、そして歩くたびに後ろで束ねた赤髪がユラリユラリと揺れている。
何履いてるんだろうと思い足を見ると革製のブーツを履いていてとても高そうだ、それに比べ俺はボロのスニーカーときている、貧乏は辛い。
「ロードおじさ~ん、こんにちわぁ」
「おう、元気そうだなぁ、風邪は治ったのか?」
「うん!治ったお!」
道を通るたびにこの感じである、とにかく子供に人気らしいそれと同時に大人にも人気なようだ。
「おっ、ロード!今日はうちに寄ってくのかぁ!」
「あぁ、今日、帰りに寄ってくわぁ、ちっとはサービスしろよ!」
「アホ!ちゃんとつけ払ったらしてやるよ!」
つけためてんのかい!ちゃんと払ってやれよ!
その店は酒屋をやってるんだろうか前掛けをした威勢のいいおっちゃんが商売声で客引きをし始めた、おそらく居酒屋兼料理屋ということなのだろう、金に余裕ができたら是非とも寄りたい。
「人気者なんですね」
「まぁ・・・な、いい意味でも悪い意味でも」
うん、悪い意味でもというのは完全にあんたが悪い。
そういえばこの人の名前を聞いてないな。
「すみません、お名前をまだ伺ってないのですが」
「あぁ、そういえば言ってなかったな」
そう言って後ろを振り返ると手を差し出してきて。
「ここイニティウム支部のギルド長をしているロード=ガルシアだ、宜しく」
俺の手を取り握手をしてきた手はゴツゴツして暖かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さぁて、まず歩きながらで悪いがまず君の素性を話してもらおうか」
相変わらず俺の前を歩いていて、背中しか見えないが有無を言わせぬ雰囲気がある。
「え~っとですね・・・」
「あ~無理して話す必要はないよ、どーせ暇つぶしだし」
暇つぶしかよ!もう苦笑いしかできない、ギルド長ってこんな感じの人なのか・・・
「そうそう、昨日は彼女とどうだった?」
「・・・」
「・・・これは無理して話してもらおうか?」
「何にもしてません!」
すみません、この人こわいっす。
「そういえばカウンターで、料理がどうこう言っていたけどそれはなに?」
「あっ、え~っとですね、昨日料理を代わりに作ったんですけど、どうやら味をしめちゃって・・・」
「あぁ~わかるよ、彼女の料理はもはや兵器だからね」
あ~やっぱり、そういうキャラでしたかあの人は・・・
そんなこんなで話を進めているうちに周りの景色は変わり、見渡せば緑の平原みたいなところにいる。
「さぁてと、ここら辺かな」
そういうとガルシアはそばの岩に腰をかけ、懐から葉巻みたいなものを取り出し口に咥えた瞬間。
『火よ』
指先に小さな炎が灯りその炎で葉巻に火をつける、目の前で起きた手品のような出来事に俺が目を点にしているとそれに気づいたガルシアが気づいて微笑む。
「やっぱり初めてみる?」
「・・・はい」
「まぁ、誰にでもこんな簡単にできるわけじゃないんだけどね」
煙を吐き出し俺を見つめた瞬間、全身を駆け巡る寒気を感じ始めた、その目は全ての動きを制するような威圧を持った目、こんな威圧を感じたのは親父以来だろうか。
「それで、ショウはどこから来たんだ」
「・・・」
「ここには私とショウ以外誰もいない、無理にでも話してもらわないと君を冒険者としてそして・・・」
「・・・そして?」
「彼女のそばに置いておくわけにはいかない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~ん、チキュウねぇ」
「現実味はないですけど、本当です」
「まあ俺は信じるけどね」
「・・・なんでです?」
俺だったら信じないし、ましてや腰に剣をぶら下げてこんなことを言う奴なんて基本頭がおかしい、襲い掛かられると思っていても不思議ではないはz
「ああ、大丈夫その点については俺はすぐ対応できるし、君はそんなことをする人には見えないから」
また読まれた、この世界はどうなってやがるんだ?
「まあ、とにかく納得したところで実践指導だっけ?始めるとしますか!」
「はっ、はい!よろしくお願いしますガルシアさん」
「ロードでいいって」
そう言って白い歯を見せながらニカっと笑う。
「さてと、まず君のその剣を見せてもらうかな」
「はい」
腰から剣を引き抜きその白い刀身を見せる。
「ん~、これが君の言ってた剣かぁ」
「そうです」
ガルシアは葉巻をくわえたまま刀身をまじまじと見つめ、こっちを見て。
「試しにもたせてもらえる?」
「ええ、かまいませんよ」
そう言って刀身を差し出して彼の手に乗った瞬間である。
「グッ!」
「!?」
持った瞬間剣が地面に突き刺さり、ガルシアが倒れこむ。
その時に剣はまるで手から弾けるように離れ、カランと軽い音を立てて地面へと落ちる。
「だ、大丈夫ですか!」
「あぁ、大丈夫、大丈夫、それにしてもなんだこの剣は・・・っ」
「・・・と言うと?」
彼は俺の肩に手をかけ息を荒くしている、顔色は悪くとても苦しそうだ、少し落ち着いたところで、彼は剣を持ったときのことを話し始めた。
「まず持った瞬間、ものすごく重かった、それに俺の中の魔力をものすごい勢いで持ってかれた・・・ッ」
そんな剣だったとは・・・一体何なんだこれ・・・
「そういえば、魔力検査を行ってなかったよな?」
「ええ、はい」
「たぶん君はその剣を普通に持てるんだろ?」
「えっ、はい、そうです」
「もしかしたら君の魔力数値は恐ろしいくらい・・・」
「どうしたんですか?」
「・・・どうやら敵さんが来たようだ」
そう言って俺の背後を睨むガルシアの先を見るとそこからワラワラと何かが近づいてくるが、あれって・・・
「もしかしてあれって・・・」
「ほう、見たことがあるのかい?」
「いいえ、実物はないんですけど・・・」
テレビゲームって、この世界でなんて言えば通じるんだろうか、そこにはゲームから飛び出してきたような低身長でぽっこりでた腹、緑色の表皮を持ったまぎれもない。
「ゴブリンですかあれ?」
「そうだ、ゴブリンだ」
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