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家庭教師は魔女だった?!
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公爵家の別邸へ預けられることになった私です。
でもすぐにとはいかないので、一旦、実家へ帰り、三日後に引っ越すことになりました。
取り敢えず期限は一年間です。
前世の感覚だと、10歳児に一人暮らしってどうなの?と思うところです。
でもね…この世界、貴族なんて特に、子供は放置とか、良くある話なのです。
生まれてこの方、寝るときは一人、食事も一人と言うことも良くあり、下手すると領地に一人だけ置かれて、親には滅多に会わないとか、割と聞く話です。
なので!これは私にとって、チャンスなのです!
自由になるチャンス!
正直言って、浮かれていました、私。
当日、父さまに連れられて、公爵ご当主様の御母堂様が住まわれていた邸へ向かいました。
見上げるような高さの塀に囲まれたお邸へは、門を通り抜けて、建物までは200メートル位の距離でした。
貴族のお邸としては、こじんまりとしていました。
二階建てで屋根や窓枠、雨戸、扉は綺麗な緑みの青で、壁は真っ白、凄く私の好みでした。
一人では開けられ無さそうな両開きの扉は開いていて、見ると、公爵様とアルフレッド様、そして何故かアルフレッド様のお兄様のフレデリック様もいらっしゃいました。
更に侯爵様と、レイモンド様、アンドリュー様もいらしておりました。
アンジェリカ様は居ないようで良かった!
そしてその奥に、老夫婦と、キリッとした感じの30代半ば位の女性と、50過ぎ位の女性と、男性、更に何人かの使用人らしき方々が並んでいらっしゃいました。
先ずは公爵様から、フレデリック様と、そしてフレデリック様の乳母でもあり、家庭教師だったというバーバラ様を紹介されました。
フレデリック様は、遠目には見たことはありましたが、お近くで見るのも初めてですが、ご紹介されたのも初めてです。
バーバラ様は…紫のカーリーヘアを高い位置でまとめ、真っ黒なスーツ姿で、そしてモノクルを掛けた…ちょっと怖そうな方でした。
何というか…呪術とかやっていそう?
そうです!魔女っぽい!とか思いました。
…失礼だな、私…でも10歳児だからね…脳内は23歳ですが、10歳児って便利な免罪符ですね?!
更にこのお邸の管理をずっとなさってきた老夫婦、アンダーソン夫妻を紹介されました。
更に更に侍女頭のベラロサさんは公爵家の方。
そして侯爵様からは、執事長と私の護衛をしてくださる騎士さんたちを紹介されました。
執事長は、ステファンさん、騎士さんたちは、40歳くらいのリーダー的な方がアランさん、30歳くらいのダンさん、一番若い20代後半くらいのヴァンさんです。
他にも料理長や、門番さんたちや、大勢居ますけど、追々覚えてくださいと言われました。
フレデリック様は、バーバラ様に会うのが久しぶりとかで、折角だからと顔を出してくださったようです。
一階には応接間と居間、ダイニング、客間が2つと、奥には調理場や洗濯室等の作業場、幾つかの使用人さんたちの部屋や休憩室などがありました。
二階には私の部屋と、そして本来、ご家族が使う部屋が幾つかあり、その中の二つは、公爵家ご子息用、もう一つは侯爵家ご子息用となりました。
更に私の部屋の隣は、バーバラ様が使うことになりました。
他に奥にも使用人さんたちの部屋がありました。
ご子息の皆様の部屋は、そこへ住むわけではなく、来た時用ですかね。
今日はゆっくり…といっても、アルフレッド様やレイモンド様が来ているので、子供は庭で茶会となりました。
いや、子供って言えるようなのは、私とアンドリュー様だけで、あとは子供のお守りで申し訳ないです…。
茶会の最中、話の流れから、剣術の話になりました。
「剣術はどなたが一番お強いのですか?」
好奇心からその場にいた、フレデリック様、アルフレッド様、レイモンド様に聞いてみました。
「レイモンド殿の実力は分からないが、私は兄上には敵わない…。」
「フレデリック様は剣術はどうやって学ばれたのですか?」
「バーバラ先生から教えてもらったんだよ…。
何せ彼女は魔女だから、怖いよ~!
そういえば君、サル並みのフットワーク何だってね?
でもバーバラ先生を出し抜くのは大変だよ?!
どこへ逃げても、どこへ隠れても追ってくるからね!
君がどこまでやれるか、楽しみだよ」
「…?!ま…魔女ってどういう意味ですか?!」
話を聞くと、バーバラ様は、マスターソン家の遠縁の男爵家の方だったのですが、下級貴族だったこともあり、早くからご自分で稼いで独り立ちするという目標でいらっしゃった方だそうで、とても有能な方なのだそうです。
王宮で文官を務めていらっしゃったらしいのですが、子供の頃の夢は女騎士になる事だったとか。
そんな方なので、フレデリック様がレッスンをサボって逃げても!逃げても!隠れても!隠れても!必ず!探し出されて捕まってしまったのだそうです。
因みにバーバラ様が教えてくださるのは、貴族としてのマナー等です。
剣術ではありません。
しかし!剣術に優れていると知ってしまった私は、何とか剣術を教えてもらおうと企むのでした、この時から。
「マリーナは、どういった事を学びたいの?というか、どういった事が好きなの?
やっぱり、音楽とかダンスとか?」
レイモンド様から尋ねられました。
「音楽は好きですが、聞くのが好きなのです、演奏したいとかでは無いのです。
勉強したいのは、経済学とかと、統計学というか、解析ですね!それと洋服も大好きです!」
「え!?け…何?経済学?統計学?…君、どこでそんな言葉を覚えてきたの?」
あれ?10歳児ではそんな言葉は知らないんだっけ?
いけない!気を付けないと、10歳児らしからぬ発言をしてしまうわ!
「え…えっと…お義兄さま方が話していたのだと思いますわ!
それを聞いていて、楽しそうだなって思いまして…。」
「そう…面白そう…。」
「考えてもみてくださいませ!例えば統計ですが。
今、何故この商品がこんなに売れているのか、そして次に売れるのは何なのか、それを読むことが出来れば、楽しいと思いませんか???
統計を学べば、現状を理解して、先を読めるかもしれないのですよ。
読んだ先が当たっていたら、こんな面白い事は無いと思うのです!」
思わず前世での仕事を思い出しました。
企画部でしたので、デザイン画も書きましたけど、私の場合は担当していたブランドの商品について、担当営業さんが忙しい時に「丸々百貨店へ商品を何点か送らなくちゃいけないんだけど、ディスプレイ用で多分、売れないから、適当なの用意しておいてよ」と言われ、その地域での売れ筋やお客様の傾向を聞いたうえで、送り込んだ商品が売れると、面白かったなぁ。
あくまでもどんなものが売れているとか、色、アイテム、お客の年齢層とか、データがあればこそなのです。
「あ、ドレスはどんなのが好きなの?!今度、プレゼントするよ!」
「ありがとうございます!とても嬉しいです!
出来ましたら基本の道具から頂けたらとても嬉しいです!
こちらのお邸へ来るときに、愛用の物をこっそり持ってこようと思っていたのです。
でも…父さまにバレてしまいまして、持ち出せなかったのです。
ハサミは出来れば2種類でお願いします!
やっぱり生地の厚さによって使い分けたいんですよね。
それとものさしはカーブのもあると嬉しいです~って分かります?」
「え~と…それってドレスの話だよね?」
「ドレスを作る道具の話です…。」
「え…えぇぇえぇえええ!作るの?!自分で?!」
どうやらこの世界、自分でドレスを作ってはいけないらしい…いやまあそうだよね…貴族は自分で作らないよね…。
でも私…前世では作る側の人間だったんだもん…。
人と同じって嫌なんだもん…。
何か…今、皆さんから少し可愛そうな子を見るような目で見られた気が?
まあ良いかぁ!それで私と婚約なんて考えるのは止めてくれればありがたい!
いや、アルフレッド様は、約束通り、偽装婚約をしてくださらないと困るけど。
じゃないと大姉さまたちに、大姉さまたちにとって都合が良いだけの、変な家へ嫁に出されてしまうから。
バーバラ先生は、翌日から授業を開始しました。
基本は午前中です。
というのも、午後は日によっては王宮へ王子殿下の話し相手をしに行かなければいけないので。
授業はなかなか厳しいです。
頭に本を載せて歩くなんて、可愛い方です。
何故か頭に本を載せて、庭を歩かされることもあります。
そして!小石を踏んで、音を立ててもやり直し!
あれ?!私が学んでいるのって、忍びの技か何か?!
この世界に忍びって無かったよね?!
あるのか?あるのかもしれない!隠密とかは、いつの時代もどこの世界にも居そうですよね!
でも…貴族令嬢に必要なスキルなのかな…。
飲食時、食器やカトラリーの音を一体立ててはいけないのから始まり、貴族特有の言い回しなども理解はします。
が!何と!飲食時に毒を見分けるやりかたまで!!!
え?!毒を見分けるって何?!それ!
銀食器で反応を見る方法もあるのですが、元々の味や、毒の味を覚えるように言われまして。
毒の味って何よ?!それ?!毒の味を知るってどういうこと?!
もうね…バーバラ先生が、魔女に見えてきました。
黒いツバ広のとんがり防止を被せて、真っ黒なドレスを着せて、杖でも持たせたら、立派な魔女に見えると思います。
授業初日、出された紅茶を飲む時に、ダメだしされまくり!でした。
椅子には深く腰掛けない!
背筋は常に真っすぐに!
…これは出来るのです。
でも!いきなりゴクリと飲んだら言われました。
「…ご愁傷様…毒入り紅茶だったら、あなたは今頃のたうち回っているわね…。」
「え!?」
「あなた…今、どのくらい、警戒したかしら?!」
「え?!」
ここから始まりました…。
と言ってもその日は毒は入っていなかった。
代わりに塩が入っていましたけどね。
え!?塩なんて、いつ入れた?!
先生曰く、常に気を張っていなさいと。
カップを戻す際に“カチャ”とでも音を立てるのもアウト!
ミスすると、様々な罰が待っています。
ある日は腕立て100回、ある日はランニング3キロ…それ…貴族のお嬢様のやることですかぁ?!
時には先生が、魔女ではなくて、悪魔に見える事も…。
「先生、今日の紅茶、何か味がおかしくありませんか?
何だろう?ほのかな苦みがある?!」
「あ、今日のは下剤入りだから!ビンゴね!」
驚いて吹き出してしまい、減点…。
「下剤入りって何ですか!?下剤入りって!」
「すぐに気づいたから、舐めた程度にしか飲んでいないでしょ?!大丈夫よぉ~。」
「大丈夫じゃありませんって!!!」
結局この後、お腹がゴロゴロきまして。
なのに先生は、その時間にダンスのレッスンを入れてきまして。
些細な衝撃でもお腹に来るのに、トイレへ猛ダッシュも禁じられ、大変でした。
魔女というよりも、もはや完全に悪魔です…悪魔ですよね!?先生?!
先生曰く、何故にトイレへ猛ダッシュがダメなのか?
例えば夜会などで、敵に下剤を盛られた時に、耐えきれずにトイレへ猛ダッシュでも何でも、粗相をしたら、敗北です。
家の当主の顔に泥を塗るようなもの、二度と社交界へ顔を曝せなくなるでしょう。
そのための訓練なのだそうです。
必死で無の境地を学びました。
何も考えず、身体にも何も悟らせない、私は何ともない…そう自分自身に暗示をかけ続けるのです。
それによって、ある程度の時間稼ぎは出来ます。
あ、良い子は真似しないでね!
でもすぐにとはいかないので、一旦、実家へ帰り、三日後に引っ越すことになりました。
取り敢えず期限は一年間です。
前世の感覚だと、10歳児に一人暮らしってどうなの?と思うところです。
でもね…この世界、貴族なんて特に、子供は放置とか、良くある話なのです。
生まれてこの方、寝るときは一人、食事も一人と言うことも良くあり、下手すると領地に一人だけ置かれて、親には滅多に会わないとか、割と聞く話です。
なので!これは私にとって、チャンスなのです!
自由になるチャンス!
正直言って、浮かれていました、私。
当日、父さまに連れられて、公爵ご当主様の御母堂様が住まわれていた邸へ向かいました。
見上げるような高さの塀に囲まれたお邸へは、門を通り抜けて、建物までは200メートル位の距離でした。
貴族のお邸としては、こじんまりとしていました。
二階建てで屋根や窓枠、雨戸、扉は綺麗な緑みの青で、壁は真っ白、凄く私の好みでした。
一人では開けられ無さそうな両開きの扉は開いていて、見ると、公爵様とアルフレッド様、そして何故かアルフレッド様のお兄様のフレデリック様もいらっしゃいました。
更に侯爵様と、レイモンド様、アンドリュー様もいらしておりました。
アンジェリカ様は居ないようで良かった!
そしてその奥に、老夫婦と、キリッとした感じの30代半ば位の女性と、50過ぎ位の女性と、男性、更に何人かの使用人らしき方々が並んでいらっしゃいました。
先ずは公爵様から、フレデリック様と、そしてフレデリック様の乳母でもあり、家庭教師だったというバーバラ様を紹介されました。
フレデリック様は、遠目には見たことはありましたが、お近くで見るのも初めてですが、ご紹介されたのも初めてです。
バーバラ様は…紫のカーリーヘアを高い位置でまとめ、真っ黒なスーツ姿で、そしてモノクルを掛けた…ちょっと怖そうな方でした。
何というか…呪術とかやっていそう?
そうです!魔女っぽい!とか思いました。
…失礼だな、私…でも10歳児だからね…脳内は23歳ですが、10歳児って便利な免罪符ですね?!
更にこのお邸の管理をずっとなさってきた老夫婦、アンダーソン夫妻を紹介されました。
更に更に侍女頭のベラロサさんは公爵家の方。
そして侯爵様からは、執事長と私の護衛をしてくださる騎士さんたちを紹介されました。
執事長は、ステファンさん、騎士さんたちは、40歳くらいのリーダー的な方がアランさん、30歳くらいのダンさん、一番若い20代後半くらいのヴァンさんです。
他にも料理長や、門番さんたちや、大勢居ますけど、追々覚えてくださいと言われました。
フレデリック様は、バーバラ様に会うのが久しぶりとかで、折角だからと顔を出してくださったようです。
一階には応接間と居間、ダイニング、客間が2つと、奥には調理場や洗濯室等の作業場、幾つかの使用人さんたちの部屋や休憩室などがありました。
二階には私の部屋と、そして本来、ご家族が使う部屋が幾つかあり、その中の二つは、公爵家ご子息用、もう一つは侯爵家ご子息用となりました。
更に私の部屋の隣は、バーバラ様が使うことになりました。
他に奥にも使用人さんたちの部屋がありました。
ご子息の皆様の部屋は、そこへ住むわけではなく、来た時用ですかね。
今日はゆっくり…といっても、アルフレッド様やレイモンド様が来ているので、子供は庭で茶会となりました。
いや、子供って言えるようなのは、私とアンドリュー様だけで、あとは子供のお守りで申し訳ないです…。
茶会の最中、話の流れから、剣術の話になりました。
「剣術はどなたが一番お強いのですか?」
好奇心からその場にいた、フレデリック様、アルフレッド様、レイモンド様に聞いてみました。
「レイモンド殿の実力は分からないが、私は兄上には敵わない…。」
「フレデリック様は剣術はどうやって学ばれたのですか?」
「バーバラ先生から教えてもらったんだよ…。
何せ彼女は魔女だから、怖いよ~!
そういえば君、サル並みのフットワーク何だってね?
でもバーバラ先生を出し抜くのは大変だよ?!
どこへ逃げても、どこへ隠れても追ってくるからね!
君がどこまでやれるか、楽しみだよ」
「…?!ま…魔女ってどういう意味ですか?!」
話を聞くと、バーバラ様は、マスターソン家の遠縁の男爵家の方だったのですが、下級貴族だったこともあり、早くからご自分で稼いで独り立ちするという目標でいらっしゃった方だそうで、とても有能な方なのだそうです。
王宮で文官を務めていらっしゃったらしいのですが、子供の頃の夢は女騎士になる事だったとか。
そんな方なので、フレデリック様がレッスンをサボって逃げても!逃げても!隠れても!隠れても!必ず!探し出されて捕まってしまったのだそうです。
因みにバーバラ様が教えてくださるのは、貴族としてのマナー等です。
剣術ではありません。
しかし!剣術に優れていると知ってしまった私は、何とか剣術を教えてもらおうと企むのでした、この時から。
「マリーナは、どういった事を学びたいの?というか、どういった事が好きなの?
やっぱり、音楽とかダンスとか?」
レイモンド様から尋ねられました。
「音楽は好きですが、聞くのが好きなのです、演奏したいとかでは無いのです。
勉強したいのは、経済学とかと、統計学というか、解析ですね!それと洋服も大好きです!」
「え!?け…何?経済学?統計学?…君、どこでそんな言葉を覚えてきたの?」
あれ?10歳児ではそんな言葉は知らないんだっけ?
いけない!気を付けないと、10歳児らしからぬ発言をしてしまうわ!
「え…えっと…お義兄さま方が話していたのだと思いますわ!
それを聞いていて、楽しそうだなって思いまして…。」
「そう…面白そう…。」
「考えてもみてくださいませ!例えば統計ですが。
今、何故この商品がこんなに売れているのか、そして次に売れるのは何なのか、それを読むことが出来れば、楽しいと思いませんか???
統計を学べば、現状を理解して、先を読めるかもしれないのですよ。
読んだ先が当たっていたら、こんな面白い事は無いと思うのです!」
思わず前世での仕事を思い出しました。
企画部でしたので、デザイン画も書きましたけど、私の場合は担当していたブランドの商品について、担当営業さんが忙しい時に「丸々百貨店へ商品を何点か送らなくちゃいけないんだけど、ディスプレイ用で多分、売れないから、適当なの用意しておいてよ」と言われ、その地域での売れ筋やお客様の傾向を聞いたうえで、送り込んだ商品が売れると、面白かったなぁ。
あくまでもどんなものが売れているとか、色、アイテム、お客の年齢層とか、データがあればこそなのです。
「あ、ドレスはどんなのが好きなの?!今度、プレゼントするよ!」
「ありがとうございます!とても嬉しいです!
出来ましたら基本の道具から頂けたらとても嬉しいです!
こちらのお邸へ来るときに、愛用の物をこっそり持ってこようと思っていたのです。
でも…父さまにバレてしまいまして、持ち出せなかったのです。
ハサミは出来れば2種類でお願いします!
やっぱり生地の厚さによって使い分けたいんですよね。
それとものさしはカーブのもあると嬉しいです~って分かります?」
「え~と…それってドレスの話だよね?」
「ドレスを作る道具の話です…。」
「え…えぇぇえぇえええ!作るの?!自分で?!」
どうやらこの世界、自分でドレスを作ってはいけないらしい…いやまあそうだよね…貴族は自分で作らないよね…。
でも私…前世では作る側の人間だったんだもん…。
人と同じって嫌なんだもん…。
何か…今、皆さんから少し可愛そうな子を見るような目で見られた気が?
まあ良いかぁ!それで私と婚約なんて考えるのは止めてくれればありがたい!
いや、アルフレッド様は、約束通り、偽装婚約をしてくださらないと困るけど。
じゃないと大姉さまたちに、大姉さまたちにとって都合が良いだけの、変な家へ嫁に出されてしまうから。
バーバラ先生は、翌日から授業を開始しました。
基本は午前中です。
というのも、午後は日によっては王宮へ王子殿下の話し相手をしに行かなければいけないので。
授業はなかなか厳しいです。
頭に本を載せて歩くなんて、可愛い方です。
何故か頭に本を載せて、庭を歩かされることもあります。
そして!小石を踏んで、音を立ててもやり直し!
あれ?!私が学んでいるのって、忍びの技か何か?!
この世界に忍びって無かったよね?!
あるのか?あるのかもしれない!隠密とかは、いつの時代もどこの世界にも居そうですよね!
でも…貴族令嬢に必要なスキルなのかな…。
飲食時、食器やカトラリーの音を一体立ててはいけないのから始まり、貴族特有の言い回しなども理解はします。
が!何と!飲食時に毒を見分けるやりかたまで!!!
え?!毒を見分けるって何?!それ!
銀食器で反応を見る方法もあるのですが、元々の味や、毒の味を覚えるように言われまして。
毒の味って何よ?!それ?!毒の味を知るってどういうこと?!
もうね…バーバラ先生が、魔女に見えてきました。
黒いツバ広のとんがり防止を被せて、真っ黒なドレスを着せて、杖でも持たせたら、立派な魔女に見えると思います。
授業初日、出された紅茶を飲む時に、ダメだしされまくり!でした。
椅子には深く腰掛けない!
背筋は常に真っすぐに!
…これは出来るのです。
でも!いきなりゴクリと飲んだら言われました。
「…ご愁傷様…毒入り紅茶だったら、あなたは今頃のたうち回っているわね…。」
「え!?」
「あなた…今、どのくらい、警戒したかしら?!」
「え?!」
ここから始まりました…。
と言ってもその日は毒は入っていなかった。
代わりに塩が入っていましたけどね。
え!?塩なんて、いつ入れた?!
先生曰く、常に気を張っていなさいと。
カップを戻す際に“カチャ”とでも音を立てるのもアウト!
ミスすると、様々な罰が待っています。
ある日は腕立て100回、ある日はランニング3キロ…それ…貴族のお嬢様のやることですかぁ?!
時には先生が、魔女ではなくて、悪魔に見える事も…。
「先生、今日の紅茶、何か味がおかしくありませんか?
何だろう?ほのかな苦みがある?!」
「あ、今日のは下剤入りだから!ビンゴね!」
驚いて吹き出してしまい、減点…。
「下剤入りって何ですか!?下剤入りって!」
「すぐに気づいたから、舐めた程度にしか飲んでいないでしょ?!大丈夫よぉ~。」
「大丈夫じゃありませんって!!!」
結局この後、お腹がゴロゴロきまして。
なのに先生は、その時間にダンスのレッスンを入れてきまして。
些細な衝撃でもお腹に来るのに、トイレへ猛ダッシュも禁じられ、大変でした。
魔女というよりも、もはや完全に悪魔です…悪魔ですよね!?先生?!
先生曰く、何故にトイレへ猛ダッシュがダメなのか?
例えば夜会などで、敵に下剤を盛られた時に、耐えきれずにトイレへ猛ダッシュでも何でも、粗相をしたら、敗北です。
家の当主の顔に泥を塗るようなもの、二度と社交界へ顔を曝せなくなるでしょう。
そのための訓練なのだそうです。
必死で無の境地を学びました。
何も考えず、身体にも何も悟らせない、私は何ともない…そう自分自身に暗示をかけ続けるのです。
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