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第二章
第三王子の企み 中編
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すっかり飾り立てられた私は、第三王子の待つ殿下の執務室へ連れていかれました。
「すっかり見違えたよ!まるでお姫さまだね?」
「あの…殿下…お聞きしても宜しいでしょうか?」
「何かな?」
「今夜、どこへ行かれるのでしょうか?」
「言ってなかったかな?私の学生時代の友人が結婚する事になってね。
先週、婚約者と親族が王都へ到着したので、先ずは歓迎の夜会をすることになってね。
それで私もお忍びで参加する事になりましてね。
丁度良い機会だから、マリーナ嬢をパートナーにして、例の他家への牽制にしようと思ってね。
今回は高位貴族が殆どだから、君に危害を加えた首謀者も来る可能性があるのだよ。
だから丁度良いだろうと思ってね。
あ、ドナテッロ公爵家からも公爵夫妻と、フェデリコ殿が参加するはずだから、安心して良いよ。
場合によっては帰りは彼らと一緒に帰ったらいい。」
「そ…そうですか…分かりました…。」
夜会と言うと、あのバラの生け垣に顔から突っ込んだ事件が思い出されます。
嫌だなぁ…あの時の首謀者が来るかもしれないなんて…溜息しか出ないよ…。
そして私は、殿下にエスコートされ、夜会の会場となっているアンジェリコ公爵家の門をくぐりました。
高位貴族が殆どというからには、あまり規模の大きくない夜会かなと思ったのですが、甘かった!
夜会が始まって、少し経ってから到着したため、既に大勢の方々が到着されており、扉が開くたびにご到着の紹介をされるため、注目され、そして会場内は人!人!人!…。
殿下のパートナーとして参加した私は、思い切り注目を浴びてしまいました…。
その目が物語っているのはきっと、「あれ誰?」若しくは「あれってあの生垣に…。」のどちらかでしょう。
こんなの針のむしろだよ…って思うも、必死で笑顔を作る私。
殿下は涼しい顔で私の耳元で
「そんな硬くならないで!」
って言いますが、なるよ!なるでしょ!こんなの!何の嫌がらせだ!って内心、思っておりました…言えないけど。
殿下とともに、会場内を進むと、奥に近いところに義両親とフェデリコ義兄様がおりました。
なので先ずは殿下はそちらへ向かってくれました。
「リーナちゃん!すっかり見違えたわ!殿下からお話があった時に、ドレスとかこちらで用意するってお伝えしたのだけれど、殿下がこの前の王宮での出来事のお詫びに王家でご用意したいと仰るので、お任せしてしまったのよ。
流石ね!本当に素敵だわ!」
「あ、ありがとうございます…。」
お礼を言いながらも、私は既に少し涙目になりつつありました。
もうキャパ一杯なんです…。
どうせなら、フェデリコ義兄様のパートナーにでもして欲しかった…それで会場で殿下がお声掛けくださっても良かったのではないかと思うのですが。
「さて先ずは主催者に挨拶に行かなくてはならないので、また後程。
マリーナ嬢、行きましょう。」
殿下に促されて、売られていく子牛の気分で更に奥の、今回の主役ご一家がいる場所へ進みました。
先ずはアンジェリコ公爵夫妻にご挨拶…は、私は殿下の斜め後ろで笑顔で立っているのみ。
と思ったら、公爵に声を掛けられ、ご挨拶をする羽目に。
更に今夜の主役である、殿下のご学友にご挨拶…今度こそ斜め後ろでモブに徹しようと思ったのに。
「殿下、今夜は随分と可愛らしいパートナーをお連れですね?ご紹介頂いても?」
「おやおや!君はこれから美しい奥様を迎えるところでは?
よそ見はいけないよ?」
「何を仰る!最も敬愛する我が友が、今までになく可愛らしい花を見つけたのであれば、友の春を祝う準備をしなければならないかと思ってね!」
「それはそれは!しかし残念ながら、まだ口説いている真っ最中ですよ。」
…いやいやいや…嘘は止めてください、殿下…私を守るためでも度が過ぎれば大事になってしまうんですよ。
エスコートだけで十分ですから、お願いだからそれ以上は余計な事とか言わないでください!
と心の中で思うも、笑顔で無言で立ち尽くす私でした。
「ジャコモ、こちらはドナテッロ公爵家のマリーナ嬢だよ。」
「という事は、フェデリコの妹さん?初めまして。公爵が遠縁の子を養女にという話は聞いていたんだけど、君がそうなんだね?
こんな可愛い妹が出来て、あいつも喜んでいるね、きっと。
後で話を聞きにいかなくてはね!」
「お初にお目にかかります、ドナテッロ公爵家の養女になりました、マリーナと申します。」
完全にキャパオーバーになりつつあった私は、もう気の利いたことも言えず、名前を名乗るのみになってしまいました。
そしてジャコモ様は、婚約者様をご紹介くださいました。
「イヴォンヌ!ちょっと良いかな?」
直ぐ近くでお話をなさっているグループの中から、一人の女性の肩に手を掛け、呼びかけました。
その女性が振り返った瞬間、私は頭が真っ白になってしまいました。
ジャコモ様が、そのイヴォンヌと呼び掛けた女性を、殿下と私に紹介する声、イヴォンヌ様が何かを仰る声が聞こえるものの、私の意識は、そのイヴォンヌ様のご親族の皆様の中の一人に向いてしまい、ロクに耳に入らなくなってしまいました。
既にキャパオーバーだったところへの出来事に、完全に思考が停止してしまい、床がぐるぐる回っているかの様になり、そのまま私の意識は飛んでしまいました。
「すっかり見違えたよ!まるでお姫さまだね?」
「あの…殿下…お聞きしても宜しいでしょうか?」
「何かな?」
「今夜、どこへ行かれるのでしょうか?」
「言ってなかったかな?私の学生時代の友人が結婚する事になってね。
先週、婚約者と親族が王都へ到着したので、先ずは歓迎の夜会をすることになってね。
それで私もお忍びで参加する事になりましてね。
丁度良い機会だから、マリーナ嬢をパートナーにして、例の他家への牽制にしようと思ってね。
今回は高位貴族が殆どだから、君に危害を加えた首謀者も来る可能性があるのだよ。
だから丁度良いだろうと思ってね。
あ、ドナテッロ公爵家からも公爵夫妻と、フェデリコ殿が参加するはずだから、安心して良いよ。
場合によっては帰りは彼らと一緒に帰ったらいい。」
「そ…そうですか…分かりました…。」
夜会と言うと、あのバラの生け垣に顔から突っ込んだ事件が思い出されます。
嫌だなぁ…あの時の首謀者が来るかもしれないなんて…溜息しか出ないよ…。
そして私は、殿下にエスコートされ、夜会の会場となっているアンジェリコ公爵家の門をくぐりました。
高位貴族が殆どというからには、あまり規模の大きくない夜会かなと思ったのですが、甘かった!
夜会が始まって、少し経ってから到着したため、既に大勢の方々が到着されており、扉が開くたびにご到着の紹介をされるため、注目され、そして会場内は人!人!人!…。
殿下のパートナーとして参加した私は、思い切り注目を浴びてしまいました…。
その目が物語っているのはきっと、「あれ誰?」若しくは「あれってあの生垣に…。」のどちらかでしょう。
こんなの針のむしろだよ…って思うも、必死で笑顔を作る私。
殿下は涼しい顔で私の耳元で
「そんな硬くならないで!」
って言いますが、なるよ!なるでしょ!こんなの!何の嫌がらせだ!って内心、思っておりました…言えないけど。
殿下とともに、会場内を進むと、奥に近いところに義両親とフェデリコ義兄様がおりました。
なので先ずは殿下はそちらへ向かってくれました。
「リーナちゃん!すっかり見違えたわ!殿下からお話があった時に、ドレスとかこちらで用意するってお伝えしたのだけれど、殿下がこの前の王宮での出来事のお詫びに王家でご用意したいと仰るので、お任せしてしまったのよ。
流石ね!本当に素敵だわ!」
「あ、ありがとうございます…。」
お礼を言いながらも、私は既に少し涙目になりつつありました。
もうキャパ一杯なんです…。
どうせなら、フェデリコ義兄様のパートナーにでもして欲しかった…それで会場で殿下がお声掛けくださっても良かったのではないかと思うのですが。
「さて先ずは主催者に挨拶に行かなくてはならないので、また後程。
マリーナ嬢、行きましょう。」
殿下に促されて、売られていく子牛の気分で更に奥の、今回の主役ご一家がいる場所へ進みました。
先ずはアンジェリコ公爵夫妻にご挨拶…は、私は殿下の斜め後ろで笑顔で立っているのみ。
と思ったら、公爵に声を掛けられ、ご挨拶をする羽目に。
更に今夜の主役である、殿下のご学友にご挨拶…今度こそ斜め後ろでモブに徹しようと思ったのに。
「殿下、今夜は随分と可愛らしいパートナーをお連れですね?ご紹介頂いても?」
「おやおや!君はこれから美しい奥様を迎えるところでは?
よそ見はいけないよ?」
「何を仰る!最も敬愛する我が友が、今までになく可愛らしい花を見つけたのであれば、友の春を祝う準備をしなければならないかと思ってね!」
「それはそれは!しかし残念ながら、まだ口説いている真っ最中ですよ。」
…いやいやいや…嘘は止めてください、殿下…私を守るためでも度が過ぎれば大事になってしまうんですよ。
エスコートだけで十分ですから、お願いだからそれ以上は余計な事とか言わないでください!
と心の中で思うも、笑顔で無言で立ち尽くす私でした。
「ジャコモ、こちらはドナテッロ公爵家のマリーナ嬢だよ。」
「という事は、フェデリコの妹さん?初めまして。公爵が遠縁の子を養女にという話は聞いていたんだけど、君がそうなんだね?
こんな可愛い妹が出来て、あいつも喜んでいるね、きっと。
後で話を聞きにいかなくてはね!」
「お初にお目にかかります、ドナテッロ公爵家の養女になりました、マリーナと申します。」
完全にキャパオーバーになりつつあった私は、もう気の利いたことも言えず、名前を名乗るのみになってしまいました。
そしてジャコモ様は、婚約者様をご紹介くださいました。
「イヴォンヌ!ちょっと良いかな?」
直ぐ近くでお話をなさっているグループの中から、一人の女性の肩に手を掛け、呼びかけました。
その女性が振り返った瞬間、私は頭が真っ白になってしまいました。
ジャコモ様が、そのイヴォンヌと呼び掛けた女性を、殿下と私に紹介する声、イヴォンヌ様が何かを仰る声が聞こえるものの、私の意識は、そのイヴォンヌ様のご親族の皆様の中の一人に向いてしまい、ロクに耳に入らなくなってしまいました。
既にキャパオーバーだったところへの出来事に、完全に思考が停止してしまい、床がぐるぐる回っているかの様になり、そのまま私の意識は飛んでしまいました。
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