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2章『楽園へ行こう』
20 閑話 ラーンスに狙われた話
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んじゃあ、話すけどね。ラビットさんに拾われてわけなんだけど、料理の腕は皆無、かろうじて出来るのは、皿洗いくらいなんだよ。
だって日本ではやったことないし。上げ膳据え膳じゃないよ、うちはお母さんがマメなタイプだからかなあ。一人暮らしするまでは甘えてもいいんじゃないってね。ま、それが裏目に出てるんだけど、ああ、話を戻すね。
お休みの日にラビットに命令されて、ランクルを走らせたんだ。
「あー、そこ、左な」
初めて入る中央と呼ばれる町の、更に中心の石造りの二階建ての屋敷に連れていかれ、ランクルから降りた僕は、門番のいる出入り口のところにランクルを置いていくのに不安が残り、ちらちらとランクルを見ていると見目が整った少年全とした顔が突き出したんだよ。
「こいつなの?ラビット。例の……ジューゴって」
だらしなく白いシャツを着崩した美貌は、真っ白な顔に薄くそばかすが浮き、金の髪を肩で揺らして微笑んでね。
「いーじゃん、俺、結構好み。真っ黒な瞳なんてすっごく美味しそうだ。ね、喰っていい?」
「どーぞ、どーぞ、ラーンス君」
ラビットが揉み手をして、ジューゴの肩を押すと、門番のところを通過し美貌のラーンスが僕の手を引っ張って中へ連れていかれ、
「はひっ?ラビット?う……わわわ!」
と情けない声を上げたんだ。
するとランクルが驚いてボディを揺らしながら警戒音を鳴らしたから、回りが驚いてランクルに詰め寄り声を上げてね。
「マシーナだ!すげえ」
「初めて見た!」
「ジューゴ、早くぅ」
「ランクル、待ってろよ。うわあ……」
ぐいぐいと引っ張られ一階の角の部屋へ連れていかれると、部屋の簡易式ベッドに押し倒されちゃった。
「……え?」
ラーンスがシャツを半脱ぎした艶っぽい仕草で上に馬乗りになり、僕の顎を中指でつつ……と撫でてきてね、
「ふうん、可愛いじゃん」
って下腹に座ったラーンスが下肢をぐりぐりと性的に刺激して来るが、僕の下半身は凪であり、いっそ清々しい感じだったよ。
「男好きでもないじゃんか。も、殺しちゃお」
ラーンスがゆらりと後ろに身体を傾けると、腰の辺りを触れて瞬時右手を僕の目に当てて振りかぶる。
「はひっ……」
ざくと鈍い音がして、僕は身をよじり枕が裂けるのを見たんだ。
「あ、避けた」
「避けるでしょ、普通!」
ラーンスの手には短剣があり再びジューゴの瞳を狙って刺して来てね。
「ひっ……」
ざくっざくっと、短剣で目を狙うラーンスの笑顔が何か怖い。
「このっ」
ラーンスは小さな身体をカバーするために全身をバネのように伸縮させ、やや大振りな仕草を持つのを見切ると振りかぶった瞬間、僕は腰を上に突き出し、ラーンスの身を傾けると、ラーンスが膝で体勢を立て直した足の間からすり抜けラーンスを逆に組み伏した。成功してラッキーだった。
「やるじゃん……ジューゴ」
「なんなんだよ」
ラーンスが急に短剣を床に落として、下からほうっと顔を赤らめ、僕の首に手を巻きつけて来たんだ。
「何か好きになっちゃったかも、抱いていいよぉ……ジューゴ……っ……いてぇっ」
ラビットがラーンスの額に手刀を繰り出し、僕の上からをひょいとどかすとラーンスのズボンを剥ぐなり、真っ白な尻を平手打ちし始めてね、実はラーンスは手に短剣をもう一本持っていて、絡んだ拍子に刺すつもりだったみたい。
「お前はやり過ぎだ。本気だっただろーが、ん?」
決して小さい子どもではないラーンスが、肉体派のラビットに叱られている様に僕は吹き出しちゃった。
「もう、いいって、ラビット」
「ジューゴも言ってんじゃん!ラビット、ごめんって……ぇ……」
「と、まあ、ラーンスの真っ赤になった尻と引き換えに、僕は楽園騎士団の仕事を得たんだけどね」
「ジューゴ様は、男の子好きではなかったのですか?」
ファナがもじもじと聞いてきた。
「みたいだね。ラーンスは綺麗な男の子だけど」
僕は僕の好みはいったいなんなのか正直分からなくて、ランクルを運転しながら唸った。
「私…ジューゴ様の好みになるように、頑張ります!」
まだまだ痩せて小さなファナが、決心した気持ちがあんまり分からない僕はファナの頭をぽんぽんと撫でた。
ファナが
「お話し、また、聞かせてくださいね!」
と言うのを聞いて僕は苦笑いした。
だって日本ではやったことないし。上げ膳据え膳じゃないよ、うちはお母さんがマメなタイプだからかなあ。一人暮らしするまでは甘えてもいいんじゃないってね。ま、それが裏目に出てるんだけど、ああ、話を戻すね。
お休みの日にラビットに命令されて、ランクルを走らせたんだ。
「あー、そこ、左な」
初めて入る中央と呼ばれる町の、更に中心の石造りの二階建ての屋敷に連れていかれ、ランクルから降りた僕は、門番のいる出入り口のところにランクルを置いていくのに不安が残り、ちらちらとランクルを見ていると見目が整った少年全とした顔が突き出したんだよ。
「こいつなの?ラビット。例の……ジューゴって」
だらしなく白いシャツを着崩した美貌は、真っ白な顔に薄くそばかすが浮き、金の髪を肩で揺らして微笑んでね。
「いーじゃん、俺、結構好み。真っ黒な瞳なんてすっごく美味しそうだ。ね、喰っていい?」
「どーぞ、どーぞ、ラーンス君」
ラビットが揉み手をして、ジューゴの肩を押すと、門番のところを通過し美貌のラーンスが僕の手を引っ張って中へ連れていかれ、
「はひっ?ラビット?う……わわわ!」
と情けない声を上げたんだ。
するとランクルが驚いてボディを揺らしながら警戒音を鳴らしたから、回りが驚いてランクルに詰め寄り声を上げてね。
「マシーナだ!すげえ」
「初めて見た!」
「ジューゴ、早くぅ」
「ランクル、待ってろよ。うわあ……」
ぐいぐいと引っ張られ一階の角の部屋へ連れていかれると、部屋の簡易式ベッドに押し倒されちゃった。
「……え?」
ラーンスがシャツを半脱ぎした艶っぽい仕草で上に馬乗りになり、僕の顎を中指でつつ……と撫でてきてね、
「ふうん、可愛いじゃん」
って下腹に座ったラーンスが下肢をぐりぐりと性的に刺激して来るが、僕の下半身は凪であり、いっそ清々しい感じだったよ。
「男好きでもないじゃんか。も、殺しちゃお」
ラーンスがゆらりと後ろに身体を傾けると、腰の辺りを触れて瞬時右手を僕の目に当てて振りかぶる。
「はひっ……」
ざくと鈍い音がして、僕は身をよじり枕が裂けるのを見たんだ。
「あ、避けた」
「避けるでしょ、普通!」
ラーンスの手には短剣があり再びジューゴの瞳を狙って刺して来てね。
「ひっ……」
ざくっざくっと、短剣で目を狙うラーンスの笑顔が何か怖い。
「このっ」
ラーンスは小さな身体をカバーするために全身をバネのように伸縮させ、やや大振りな仕草を持つのを見切ると振りかぶった瞬間、僕は腰を上に突き出し、ラーンスの身を傾けると、ラーンスが膝で体勢を立て直した足の間からすり抜けラーンスを逆に組み伏した。成功してラッキーだった。
「やるじゃん……ジューゴ」
「なんなんだよ」
ラーンスが急に短剣を床に落として、下からほうっと顔を赤らめ、僕の首に手を巻きつけて来たんだ。
「何か好きになっちゃったかも、抱いていいよぉ……ジューゴ……っ……いてぇっ」
ラビットがラーンスの額に手刀を繰り出し、僕の上からをひょいとどかすとラーンスのズボンを剥ぐなり、真っ白な尻を平手打ちし始めてね、実はラーンスは手に短剣をもう一本持っていて、絡んだ拍子に刺すつもりだったみたい。
「お前はやり過ぎだ。本気だっただろーが、ん?」
決して小さい子どもではないラーンスが、肉体派のラビットに叱られている様に僕は吹き出しちゃった。
「もう、いいって、ラビット」
「ジューゴも言ってんじゃん!ラビット、ごめんって……ぇ……」
「と、まあ、ラーンスの真っ赤になった尻と引き換えに、僕は楽園騎士団の仕事を得たんだけどね」
「ジューゴ様は、男の子好きではなかったのですか?」
ファナがもじもじと聞いてきた。
「みたいだね。ラーンスは綺麗な男の子だけど」
僕は僕の好みはいったいなんなのか正直分からなくて、ランクルを運転しながら唸った。
「私…ジューゴ様の好みになるように、頑張ります!」
まだまだ痩せて小さなファナが、決心した気持ちがあんまり分からない僕はファナの頭をぽんぽんと撫でた。
ファナが
「お話し、また、聞かせてくださいね!」
と言うのを聞いて僕は苦笑いした。
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