コンセプトバーのお兄さんと富豪くん

クリム

文字の大きさ
5 / 20

個室でこっそりしています

しおりを挟む
「ごめん、ごめんなさい。本当にごめんて」

「本当?莱さん、反省してる?」

「し、してます」

 地域総合病院の個室にて、ベッドの上で正座し平謝りする莱、そのベッドの上にあぐらをかいてふんぞりかえるのは国一だ。

 ことの顛末は、日曜日深夜に遡る。

 莱が泣きながら酔っ払っていた頃、ガールズバーの路上で待ち伏せしていた、莱の元彼の卓が、アヤに掴みかかった。それを交わしながらハイヒールを脱ぎ捨て逃げるアヤが、

「あんたはただの客!」

と叫ぶと、

「100万も使わせて、アヤ!待てよ」

卓の声に被せるように、

「その100万はライコウのでしょ!ーーぎゃあぁ!」

と再度叫んだところで、卓に捕まり首を絞められた。『ジュエル』からマスターの依頼で、見守りをしていた店員がアヤが逃げてくるのを見て警察を呼んでいた。

 なんとか卓の腕を掴むが全く振り解けず、アヤが首を絞められ意識が朦朧としたところで、パトカーのサイレンが聞こえた。

「あ、あ、アヤ……」

 それを聞いて卓は手を振ってアヤをアスファルトに落として逃げ出し、アヤは同じく転んだ店員に

「ラ、ライコウが、あ、危ないかも」

と、咳込みながら告げた。

 警察が駆けつけた後のアヤの発言に、警察も迅速に動き、莱のアパートに行く。そこで倒れていた莱を発見し、意識混濁のため救急車で運ばれる次第となったのだ。

 急性アルコール中毒の莱は点滴を受けながら意識を取り戻し、警察に人生初の事情聴取を受け、卓がまだ逃げている都合上、個室にて面会謝絶だったのが、月曜日まで。

 逃げる金が尽きたのか、実家に戻った卓が殺人未遂で逮捕されたと、店長の源氏名カイルが昼間でも綺麗な顔で莱の所にやってきた。

「元彼の親から100万円、渡されたんだよ。ライコウ、そいつのために借金して『ジュエル』で働いてたんだよねぇ」

 茶封筒を開けると、帯がついた新札束。卓のお父さんにはたまに会っていたよね。シェアハウスするって言ってたら、若いうちに色々やれって話してくれたんだ。もう、会うことはないし、会えないけど。

「今日の昼には病院から出るだろ?ライコウ、昼の仕事してから、夜、まだ『ジュエル』で働くのか?」

 今の部屋の家賃は7万円。医療事務の給料だけで、暮らせていけないことはないが、引っ越すにも金がかかる。半年以上前から、タカは家賃半分を入れてくれなくなっていたし。

「カイルさん、もう少し働かせてください。『火曜日彼氏』も心配ですので」

 というのは表向きで、裏では同棲までして8年越しに振られた分、奴のためなんかの身体を削ってぐちゃぐちゃのボロボロになりたかったのもある。ヤリ専のクラブとかに堕ちてもいいかな、位に思っていたのだから。

 莱は浅黒い顔に笑みを作ると流し目でカイルを見上げた。

「つくづく『ライコウはライコウ』だわ。ーーだってさ、よかったね」

 カーテンの後ろから、国一が白いシャツに半ズボンで現れた。

「え、え、どうして?」

「火曜日彼氏だもん!莱さん、LINE全然繋がらないし!だから、『ジュエル』に連絡してもらったら、病院って……」

 カイルが肩を竦めると、

「俺、ライコウをアパートに送るんだけど。まあ、車を回すのに1時間くらいかかるから、ちびっ子をなだめろよ?大事なお客様の子だし」

と、部屋を出ていく。

 待って、待って、ねえ、後生だから。カイルさん、国一くんをどうしろと。

「莱さん、聞いてる?」

「ごめん、ごめんなさい。本当にごめんて」

「本当?莱さん、反省してる?」

「し、してます」

 そして地域総合病院の個室にて、ベッドの上で正座し平謝りする莱、そのベッドの上にあぐらをかいてふんぞりかえるのは国一が出来上がる。

「じゃあ、元彼としてないセックスしてくれたら、仲直りしてあげる」

 どんな子供だよ、ませてる以前の問題だ。

「ーーここで?」

 とりあえず莱は国一に聞いてみる。午前中じゃん、病院じゃん、面会謝絶終わったじゃん。誰か、まあ、看護師さん入ってきたらどうする?いや、カメラの位置は?どう見ても国一は成人前だから、捕まるのは莱だ。卓と同じ繁華街留置所になりますか?

「ここで」

「身体の準備ーーぺぺ?」

 手元のカバンから出して手に握らされたのは、お馴染みぺぺローション小ボトル。

「お願い」

 病院用寝巻きは、紐固定の前開きで、しかもパンツは購買で買うのがだるくて、手洗いして干してある奴だけだ。だから、莱はパンツを履いていない。

 自分にはとことん雑な莱は、少し毛の生えた股間の毛を気にしながら、尻の穴にぺぺローションを指でとって拭いつける。

 マイボトルなら直入れだが、このボトルは誰のかわからないので、少し指につけてはにちにちと尻の穴を広げて行き、そこまでは太くない国一のペニスが入るくらい緩ませると、国一をベッドボードを背もたれにして足をまっすぐに開かせて座らせた。

 綺麗なペニスだなあと思う。オナニーをしていれば利き手にちょっと傾くのに、真っ直ぐだ。

「なに?」

「まあまあ」

そんなペニスの上に膝立ちで跨ると、尻たぶを掴んで広げながら、国一のペニスをアナルに吸い込んでいく。ちゅくちゅくとぺぺローションの音がして、腹の中が気持ちいい。

「あは、入った」

 腹合わせで座位のまま、両腕を国一の膝くらいのところで支えにして、片足の膝ををベッドボードに乗せ、更に反対側の膝をベッドボードに乗せると、国一を膝で挟むようにする。

「ほんとは、さ、膝を肩にかけるんだ、よ。奴は腕や肩に負担かけない、から、こんなん、したこと、ないっーーふぁっ、ま、待って」

 浮かせている尻に下から突き上げるように動き出す国一に、腕が突っ張りバランスを崩してしまいそうになって、尻の穴をぎゅっと締めた。

「うわ、莱さーーううっ」

 腹の中に射精され、ほっとしたのも束の間、莱のペニスを掴んだ国一がゴシゴシと扱き出す。

「や、あっ、ちょーーっ」

 卓にも触られたことないのにーーそして、触れるようなキスをされた。

「出ちゃう……っ」

 必死で両手で体重を支えつつ、莱は国一の手の中に射精をしてしまった、国一のペニスを締め付けながら。

「ご、ごめっ、手を拭いて」

「うん、たくさん出るんだね」

「ごめん」

 片足をなんとか降ろして、莱は慌てて寝巻きで国一の手を拭く。その時に国一のペニスを扱くようにアナルから出して、もう片足もやっと降ろせた。

「莱さん。あのね、俺、初めてのキスも、莱さんとだよ」

 まじかーーと、莱は絶対に筋肉痛になりそうな腕で頭を抱え込んだ。

 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

忠犬だったはずの後輩が、独占欲を隠さなくなった

ちとせ
BL
後輩(男前イケメン)×先輩(無自覚美人)  「俺がやめるのも、先輩にとってはどうでもいいことなんですね…」 退職する直前に爪痕を残していった元後輩ワンコは、再会後独占欲を隠さなくて… 商社で働く雨宮 叶斗(あめみや かなと)は冷たい印象を与えてしまうほど整った美貌を持つ。 そんな彼には指導係だった時からずっと付き従ってくる後輩がいた。 その後輩、村瀬 樹(むらせ いつき)はある日突然叶斗に退職することを告げた。 2年後、戻ってきた村瀬は自分の欲望を我慢することをせず… 後半甘々です。 すれ違いもありますが、結局攻めは最初から最後まで受け大好きで、受けは終始振り回されてます。

給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!

永川さき
BL
 魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。  ただ、その食事風景は特殊なもので……。  元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師  まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。  他サイトにも掲載しています。

恋人ごっこはおしまい

秋臣
BL
「男同士で観たらヤっちゃうらしいよ」 そう言って大学の友達・曽川から渡されたDVD。 そんなことあるわけないと、俺と京佐は鼻で笑ってバカにしていたが、どうしてこうなった……俺は京佐を抱いていた。 それどころか嵌って抜け出せなくなった俺はどんどん拗らせいく。 ある日、そんな俺に京佐は予想外の提案をしてきた。 友達か、それ以上か、もしくは破綻か。二人が出した答えは…… 悩み多き大学生同士の拗らせBL。

冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。

丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。 イケメン青年×オッサン。 リクエストをくださった棗様に捧げます! 【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。 楽しいリクエストをありがとうございました! ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【完結】ベイビーダーリン ~スパダリ俳優は、僕の前でだけ赤ちゃん返りする~

粗々木くうね
BL
「……おやすみ。僕の、かわいいレン」 人気俳優の朝比奈(あさひな)レンは、幼馴染で恋人の小鳥遊 椋(たかなし むく) の前でだけ赤ちゃんに戻る。 癒しと愛で満たす、ふたりだけの夜のルーティン。 ※本作品に出てくる心の病気の表現は、想像上のものです。ご了承ください。 小鳥遊 椋(たかなし むく) ・5月25日生まれ 24歳 ・短期大学卒業後、保育士に。天職と感じていたが、レンのために仕事を辞めた。現在はレンの所属する芸能事務所の託児所で働きながらレンを支える。 ・身長168cm ・髪型:エアリーなミディアムショート+やわらかミルクティーブラウンカラー ・目元:たれ目+感情が顔に出やすい ・雰囲気:柔らかくて包み込むけど、芯があって相手をちゃんと見守れる 朝比奈レン(あさひな れん) ・11月2日生まれ 24歳 ・シングルマザーの母親に育てられて、将来は母を楽させたいと思っていた。 母に迷惑かけたくなくて無意識のうちに大人びた子に。 ・高校在籍時モデルとしてスカウトされ、母のためにも受けることに→芸能界デビュー ・俳優として転身し、どんな役も消化する「カメレオン俳優」に。注目の若手俳優。 ・身長180cm ・猫や犬など動物好き ・髪型:黒髪の短髪 ・目元:切れ長の目元 ・雰囲気:硬派。口数は少ないが真面目で礼儀正しい。 ・母の力になりたいと身の回りの家事はできる。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

処理中です...