召喚先は腕の中〜異世界の花嫁〜

クリム

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二章 死に至る

14 僕の危機

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 四季がないって聞いていたけれど、少しずつ山は黄色っぽくなり枯葉が落ちてきた。紅葉って感じではなくて、枯葉色ってのがぴったりだ。

 屋敷の庭で働く庭師から掃き仕事を貰って、箒で掃いては集めて山を作った。枯葉は堆肥にするからたくさん集めて欲しいと言われて夢中になる。

 集めたらタークさんが別のところに持っていって、僕は箒の先に詰まった枯葉を取り除くためにしゃがんでいた。

 ジーンにはあれからほぼ毎日ってくらい抱かれている。ジーンは少し性欲が多いのかもしれない。少しだけタークさんに話すと、

「そんなものですよ、獣性の強い人は。嫌なら断ってもいいのですよ」

と笑いながら言われてしまった。

「タークさん……は裏かな」

 その時、背後に息遣いを感じた。びっくりして振り返ると黒い影が太陽を遮っていた。何人かが僕の目の前にいて、剣を構えている。青い軍服の人達だ。

「え……っ」

 ぶん、と空気を揺さぶる音がして、剣の刃が僕の首を薙ぎ払うように水平にやってきて、怖くてしゃがんだけど、軍服の人に蹴り出され吹き飛んだ。簡単に落ち葉を降らせる木に蹴飛ばされ、背中を打って頭が真っ白になる。気を失わなくてぐらぐらする頭で顔を上げると、軍服の人はまた剣を僕に向けてきた。

「やっ……!」

 後ろに向かって走ったけど避けきれずに肩を斬られる。血が溢れて指先を伝うのが分かった。歯の根が噛み合わずかちかち音を立てていたけれど、なんとか逃げようと四つん這いで動いて立ち上がり逃げる。男達は二人で喋らなかった。ただ僕に向かって剣を向けて斬りかかってくる。木の間を走り抜け、必死で軍服から距離をあけようとした。

 どうして?ジーンの味方である人達がと思う暇もない。ただ刃から逃げ出し、屋敷の方へ行きたかったけど、鍛えた軍服の人にセーラー服の襟の端を掴まれて引き倒された。そのままもう一人が僕の腹に乗って剣を胸に突き刺そうとする。殺されるーーそう思った瞬間、軍服の動きが止まった。

 僕の上で軍服の首が遠くの枯葉に落ちて、身体が横に倒れる。

「アキラ!」

 ジーンが遠くから剣を投げて殺したんだと分かって身体の力を抜いてから、丸くなって頭を振る。まだくらくらしていたが立てた。ジーンが真っ青な顔色で近づいてきて、僕はジーンに抱きつこうとする。

「あ、ジーン、後ろ!」

 僕を抱き上げようとした瞬間、隠れていたらしいもう一人の軍服が剣を低く構えて走ってきた。ジーンは振り向きざま腰に下げていた剣を抜いて刃をかわし、素早く低い体勢になると足めがけて回し蹴りをすると倒してから、剣で胸を刺した。

「ぐっ……がっ……っ」

 ジーンの剣が胸に刺さり身体を引きつらせ、軍服は少し呻いてから全身が引き攣り力が抜け大の字になる。ジーンが剣を抜くと軍服が横倒しに倒れ、胸から血が噴き出ていた。よどみない動きに僕は目を見開き呆然としていて、屋敷のからやっと別の軍服とハミルさんが走ってくる。

「アキラ、痛いかい?」

 ジーンは剣を抜いて振り鞘に入れてから、僕を抱き寄せた。もう傷は塞がっていて、服が血だらけなだけで、

「大丈夫です」

と言ったのにそのまま抱き上げられた。

「申し訳ありません!うちの隊の者です。一体……」

 隊長らしい人がジーンに片膝をついて青ざめている。

「心中の虫か……」

 ジーンは聞いたことがないくらい冷たい声をしていた。

「ハミル、すぐに調べろ。二人はアキラを狙っていた」

 ハミルさんが無表情で死体を運ぶように指示をしていて、ジーンの言葉に振り返る。

「多分、反乱分子でしょう。少し前からこちらにいましたが、こちらの情報を流していたのは彼らかと」

 冷たい笑い方でハミルさんが笑ったけど、ジーンは何も言わずに屋敷へ歩き出し、僕は何故殺されそうになったのかジーンに聞きたかったんだけど、ジーンはすごく考え込んでいて黙っていた。

 ジーンは部屋のソファでやっと降ろしてくれ、ソファに座った僕の肩を慎重に調べている。

「血がひどく出ている」

「もう塞がっていますから、大丈夫です」

「もっと早く気づけば……痛かったよね」

 ジーンは膝を床について僕の血のついた手を取って額に押し当てる。

「もう痛くないです。助けてくれてありがとうございます、ジーン」

 ジーンは苦しそうな困ったような顔をして僕を見上げ、低い声で呟いた。

「私のせいで狙われたのだろうから、礼などいらないよ。むしろ謝るべきは、私のほうだ」

 でもジーンのおかげで助かったのだから、それはお礼を言ってもいいですよね、ジーン。

「どうして僕を……」

 命を狙われる理由が思い当たらなくて首を傾げると、ジーンは黙ったまま立ち上がる。

「調べれば分かるけれど、今は……。シャワーは浴びられるかい?お互いに血まみれだ」 
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