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三章 命の在処
22 僕とラメタル国
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ジーンの戴冠式はすごくひっそりと行われて、宰相になった人から王冠を渡されて被るって感じで、それから王城からスピーカー放送を流した。その内容はなんていうか、近代化する宣言して終わり、そのあとにジーンが詳しく説明していた。
まるで空から降ってくるような声に跪く人や、歩みを止めた人がいてなんだか新鮮で不思議だった。
僕は毒が抜けると信じられないことに妊娠しているらしくて、出産をラメタル王国で行うからと言われて驚いて倒れそうになった。
そしてハミルさんのこと。親が死んだ後の坑道に埋めてあげたんだと聞いた。ジーンにつれていってて欲しいと言いたかったけれどやめておいた。あの気持ちを知っているのは、多分僕だけだ。
ジーンの運転する車でラメタル王国に行ったのは戴冠式が終わってすぐだ。屋敷から車で出ると王都を抜けて、砂地に沢山の野菜が植っている地域を通り過ぎ崖の下から山を登る。山の中腹まで来るとぐるりと高い壁が張り巡らされていてびっくりする。
「ラメタル王国は少し『進みすぎ』ているからね、入国を制限しているんだよ」
国境でジーンが車から顔を出すと、国境警備員さんは警察官みたいに敬礼し僕らはゲートをくぐった。
「うわ……あ……」
テレビのニュースで少し見たことのある『都会』の街がある。
「母はフランスのパリをイメージしたんだね。アキラの記憶に少しあったよ」
広い通りには外国人ばかりで、大きい人小さい人ケモノの人がいた。ケモノの人は耳や尻尾だけの人や顔が獣の人がいて、みんな普通に歩いている。車と馬車が普通に行き交い、街がキラキラしていた。
「大通りを上がっていくとラメタル王国の王城につく。王都デメテル以外には小さな村があるだけで、本当に小さな国なんだよ」
ジーンが笑いながら真っ直ぐな道を進み王城に向かう。王城の警備員さんはすぐに通してくれる。ジーンの車が到着すると、人が階段から降りて来て車の前に並んだ。
「すごいですね、ジーン」
ジーンも驚いているみたいでジーンと一緒に車を降りると、タークさんが歩いてくる。
「こちらでははじめましてですね、アキラくん。ターク・タイタンです。僕の前世は鈴木一郎です!漢数字の一に太郎二郎の郎です」
タークさんが日本の男の人の名前を口にした。
「あ、そっか、名字、鈴木明です。明るいと書きます。名字、同じですね」
あ、日本人に一番多い名前なんだ。するとタークさんがジーンをきりっと見上げて、
「ジーン!テーマパークの名前はスズキで行きます」
と言い放つ。ジーンは普通の当たり前って顔で
「分かりました、母上」
と話している。え、え……。
「アキラくん、ジーンの家族を紹介しますね」
そこからがもうすごかった。
僕が来るからって全員来たらしいのが少し怖い。
タークさんガリウスさんとセフェムさんはいいとして、長男のイベールさんと次男のベクルさんは番いで夫婦らしく、僕には分からなかったんだけど宿り木が違うから大丈夫なんだって。三男のナファさんはジーンと仲がいいらしい。四男のレームさんは獣の顔をしていて、長女のジアさんと番いで、双子の次女はアルルさんがいた。小人族や獣人族や巨人族の混ざり具合がそれぞれで、僕はお腹の子がどんな子になるのか心配になってしまう。
「久しぶり~、アキラ」
反対側には助けてくれた青みがかった銀髪のセネカくんが手をひらひら振ってくれた。その横に背の高いの茶髪の女の人がいて、現女王のアストラさんだった。セネカくんのお姉さん。鈍色の髪の長身がお母さんのサリオンさん、そして小さくてライオンみたいな髪の毛の人がジェスさんで、なんとジーンのお兄さんのレームさんとお姉さんのジアさんの子供らしい。
「お前も大変だろうけど頑張れ」
ジェスさんにそう言われて僕はよく分からなくてとりあえず頷いた。ジェスさんは七十五歳で、六十歳のジーンの甥になるってことらしい。
「アキラくん、体調良かったら温泉に入ってから身支度してくださいね!」
温泉はすごく嬉しいですが、身支度はなんのことですか、ジーン。
石畳を素足で歩き、僕は露天風呂の端に立つと中を覗き込んでいた。透き通ったお湯が……深い。ジーンのお母さんが湯治のために作った王族専用の温泉は広くて水深が深そうだ。まるでどこか外国のスパのようだ。昼間の野外でジーンが僕の肩に手を添える。
ジーンの逞しい胸が目に入ってきた。僕の痩せた体と比べるまでもなく綺麗な格好いい身体つきをしている。一緒にいるのが少し恥ずかしいくらい僕はみっともなくて。
「ゆっくり足から浸かるんだよ」
タオルを剥ぎ取られ全裸で温泉に入るんだけれど、深すぎてジーンにしがみついた。
「巨人の父がゆっくり入ることが出来る様にしてあるからね。浅いところに連れていってあげるから」
そのまま抱っこされて反対側の端にある椅子に腰掛ける。
「ここは母の特等席。アキラだと少し浅いかな」
それでも胸まではしっかりと浸かっていて真っ青な空を眺めることが出来た。
「アキラ、驚いたかな?」
驚きました、ジーン。
僕は頷いた。あんなに兄弟がいるなんて。
「宿り木が違えば兄弟でも伴侶になることが出来る。しかもうちは魂の番いが多い特殊な家族だからね」
イベールさんとベクルさん、それからレームさんとジアさんだ。獣人族にある番いという魂の『縛り』に驚いていた。
「マナの強い者に多いからね。甥にあたるジェスもサリオン様と番いだからね」
あんなにおっとり物静かなサリオンさんも獣人だったなんて驚きだ。
「湯あたりしてもいけないから出でもいいかな。また入ろうよ」
髪の毛や身体は室内のお風呂で洗い、タオルドライをして涼しい脱衣室に入ると、女の人がいてびっくりする。
「王宮でサリオン様に仕えているメイドのテレサだよ。アキラの服を設えてくれているんだ」
ジーンがパナーンナーで、ソーイングをしてくれている人がいるって聞いていたから僕はテレサさんに頭を下げた。
「いつも可愛い服をありがとうございます」
テレサさんは
「いえ。仕事ですので」
と小さく笑った。
まるで空から降ってくるような声に跪く人や、歩みを止めた人がいてなんだか新鮮で不思議だった。
僕は毒が抜けると信じられないことに妊娠しているらしくて、出産をラメタル王国で行うからと言われて驚いて倒れそうになった。
そしてハミルさんのこと。親が死んだ後の坑道に埋めてあげたんだと聞いた。ジーンにつれていってて欲しいと言いたかったけれどやめておいた。あの気持ちを知っているのは、多分僕だけだ。
ジーンの運転する車でラメタル王国に行ったのは戴冠式が終わってすぐだ。屋敷から車で出ると王都を抜けて、砂地に沢山の野菜が植っている地域を通り過ぎ崖の下から山を登る。山の中腹まで来るとぐるりと高い壁が張り巡らされていてびっくりする。
「ラメタル王国は少し『進みすぎ』ているからね、入国を制限しているんだよ」
国境でジーンが車から顔を出すと、国境警備員さんは警察官みたいに敬礼し僕らはゲートをくぐった。
「うわ……あ……」
テレビのニュースで少し見たことのある『都会』の街がある。
「母はフランスのパリをイメージしたんだね。アキラの記憶に少しあったよ」
広い通りには外国人ばかりで、大きい人小さい人ケモノの人がいた。ケモノの人は耳や尻尾だけの人や顔が獣の人がいて、みんな普通に歩いている。車と馬車が普通に行き交い、街がキラキラしていた。
「大通りを上がっていくとラメタル王国の王城につく。王都デメテル以外には小さな村があるだけで、本当に小さな国なんだよ」
ジーンが笑いながら真っ直ぐな道を進み王城に向かう。王城の警備員さんはすぐに通してくれる。ジーンの車が到着すると、人が階段から降りて来て車の前に並んだ。
「すごいですね、ジーン」
ジーンも驚いているみたいでジーンと一緒に車を降りると、タークさんが歩いてくる。
「こちらでははじめましてですね、アキラくん。ターク・タイタンです。僕の前世は鈴木一郎です!漢数字の一に太郎二郎の郎です」
タークさんが日本の男の人の名前を口にした。
「あ、そっか、名字、鈴木明です。明るいと書きます。名字、同じですね」
あ、日本人に一番多い名前なんだ。するとタークさんがジーンをきりっと見上げて、
「ジーン!テーマパークの名前はスズキで行きます」
と言い放つ。ジーンは普通の当たり前って顔で
「分かりました、母上」
と話している。え、え……。
「アキラくん、ジーンの家族を紹介しますね」
そこからがもうすごかった。
僕が来るからって全員来たらしいのが少し怖い。
タークさんガリウスさんとセフェムさんはいいとして、長男のイベールさんと次男のベクルさんは番いで夫婦らしく、僕には分からなかったんだけど宿り木が違うから大丈夫なんだって。三男のナファさんはジーンと仲がいいらしい。四男のレームさんは獣の顔をしていて、長女のジアさんと番いで、双子の次女はアルルさんがいた。小人族や獣人族や巨人族の混ざり具合がそれぞれで、僕はお腹の子がどんな子になるのか心配になってしまう。
「久しぶり~、アキラ」
反対側には助けてくれた青みがかった銀髪のセネカくんが手をひらひら振ってくれた。その横に背の高いの茶髪の女の人がいて、現女王のアストラさんだった。セネカくんのお姉さん。鈍色の髪の長身がお母さんのサリオンさん、そして小さくてライオンみたいな髪の毛の人がジェスさんで、なんとジーンのお兄さんのレームさんとお姉さんのジアさんの子供らしい。
「お前も大変だろうけど頑張れ」
ジェスさんにそう言われて僕はよく分からなくてとりあえず頷いた。ジェスさんは七十五歳で、六十歳のジーンの甥になるってことらしい。
「アキラくん、体調良かったら温泉に入ってから身支度してくださいね!」
温泉はすごく嬉しいですが、身支度はなんのことですか、ジーン。
石畳を素足で歩き、僕は露天風呂の端に立つと中を覗き込んでいた。透き通ったお湯が……深い。ジーンのお母さんが湯治のために作った王族専用の温泉は広くて水深が深そうだ。まるでどこか外国のスパのようだ。昼間の野外でジーンが僕の肩に手を添える。
ジーンの逞しい胸が目に入ってきた。僕の痩せた体と比べるまでもなく綺麗な格好いい身体つきをしている。一緒にいるのが少し恥ずかしいくらい僕はみっともなくて。
「ゆっくり足から浸かるんだよ」
タオルを剥ぎ取られ全裸で温泉に入るんだけれど、深すぎてジーンにしがみついた。
「巨人の父がゆっくり入ることが出来る様にしてあるからね。浅いところに連れていってあげるから」
そのまま抱っこされて反対側の端にある椅子に腰掛ける。
「ここは母の特等席。アキラだと少し浅いかな」
それでも胸まではしっかりと浸かっていて真っ青な空を眺めることが出来た。
「アキラ、驚いたかな?」
驚きました、ジーン。
僕は頷いた。あんなに兄弟がいるなんて。
「宿り木が違えば兄弟でも伴侶になることが出来る。しかもうちは魂の番いが多い特殊な家族だからね」
イベールさんとベクルさん、それからレームさんとジアさんだ。獣人族にある番いという魂の『縛り』に驚いていた。
「マナの強い者に多いからね。甥にあたるジェスもサリオン様と番いだからね」
あんなにおっとり物静かなサリオンさんも獣人だったなんて驚きだ。
「湯あたりしてもいけないから出でもいいかな。また入ろうよ」
髪の毛や身体は室内のお風呂で洗い、タオルドライをして涼しい脱衣室に入ると、女の人がいてびっくりする。
「王宮でサリオン様に仕えているメイドのテレサだよ。アキラの服を設えてくれているんだ」
ジーンがパナーンナーで、ソーイングをしてくれている人がいるって聞いていたから僕はテレサさんに頭を下げた。
「いつも可愛い服をありがとうございます」
テレサさんは
「いえ。仕事ですので」
と小さく笑った。
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