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第5話 2019 坂本亜美の乱
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そして後期の期末テストの結果が帰って来た。前回は700点満点の学年一位。今回はー
学年9位。
生徒数が300人を超えるため、決して悪くはない順位だった。
しかし、これまで学年首席を貫いて来たため、周囲は驚いていた。
もちろん菊池くんに夢中になった事が原因だった。その菊池くんの順位は40番。
これまで下から数えた方が早かった菊池くんにしてはものすごい進歩だった。
菊池くんは「亜美のおかげだ。ありがとう」と白い歯を見せてくれた。
菊池くんを見るだけで私は幸せだった。
ところが、今回の成績を知って、親が心配し始めた。
担任もこのままでは私が有名大学の合格が危ぶまれるのではないかと危惧した。
担任は自分の責任になるのが嫌だったのだ。教頭に指導力不足を指摘されたのだろう。
高橋先生は私を放課後に呼び出した。高橋先生はため息をついていた。
「坂本さん、お友だちと仲良くするのもいいけど、きちんと勉強をして将来の事を考えなきゃダメよ?それと、もともと可愛いんだから、お化粧はまだ早いんじゃない?校則でもお化粧は禁止されてるでしょ?」
お友だちとは菊池くんのことだろう。高橋先生の言い方に心底いらついた。
だから言ってやった。
「先生は覚えてますか? サボってばかりの森村さんがたまたま掃除をしていたときに誉めたことを。いつもまじめに掃除をしていた私のことなんて気にかけもしなかったことを。」
あのときのことが思い出される。
「先生、私、気づいたんです。まじめに頑張ったっていいことなんか一つもなくて、ただしんどいだけだって。でも、きちんとやらないと後で何かをいわれるんじゃないかって不安だったんです。そんな不安を抱えるくらいなら、まじめでいる方がまだマシでした。だって何かあっても、まじめにやってたら許してもらえるじゃないですか。」
優等生だと思っていた私の突然の発言に高橋先生は目を開いた。
先生を傷つけたかもしれない。でも私はもう止まれない。
「私は真面目でいることを免罪符にしていたんです。なにか起きたときに責任をとりたくないから、批判されないように嫌だけどまじめにしていました。」
自分の心にわき出た言葉を次々とつないでいく。
「でも私、わかりました。ちょっとくらい、手を抜いたり、楽をしたってトラブルなんか起こらない。ちゃんとやらないことの不安に打ち勝って、要領よく生きないと幸せを勝ち取れないって。」
ふいに森村さんの笑い声が頭をよぎる。彼女の事を誤解していた。
幸せになるためには彼女の方が正しかったのだ。
「先生達は私が卒業したあとはもう責任なんて取ってくれないですよね。私、菊池くんを好きになるまでメイクなんてしたことなかった。でも社会にでたら、メイクは女性のマナーだって。校則でメイクを禁止してきたのに、こんな理不尽なことってありますか?私は校則なんかには縛られない。だから私は菊池くんの前ではいつでも可愛くいれるようにオシャレをして、受験までの残りの時間を菊池くんの勉強のために使います!!」
学年9位。
生徒数が300人を超えるため、決して悪くはない順位だった。
しかし、これまで学年首席を貫いて来たため、周囲は驚いていた。
もちろん菊池くんに夢中になった事が原因だった。その菊池くんの順位は40番。
これまで下から数えた方が早かった菊池くんにしてはものすごい進歩だった。
菊池くんは「亜美のおかげだ。ありがとう」と白い歯を見せてくれた。
菊池くんを見るだけで私は幸せだった。
ところが、今回の成績を知って、親が心配し始めた。
担任もこのままでは私が有名大学の合格が危ぶまれるのではないかと危惧した。
担任は自分の責任になるのが嫌だったのだ。教頭に指導力不足を指摘されたのだろう。
高橋先生は私を放課後に呼び出した。高橋先生はため息をついていた。
「坂本さん、お友だちと仲良くするのもいいけど、きちんと勉強をして将来の事を考えなきゃダメよ?それと、もともと可愛いんだから、お化粧はまだ早いんじゃない?校則でもお化粧は禁止されてるでしょ?」
お友だちとは菊池くんのことだろう。高橋先生の言い方に心底いらついた。
だから言ってやった。
「先生は覚えてますか? サボってばかりの森村さんがたまたま掃除をしていたときに誉めたことを。いつもまじめに掃除をしていた私のことなんて気にかけもしなかったことを。」
あのときのことが思い出される。
「先生、私、気づいたんです。まじめに頑張ったっていいことなんか一つもなくて、ただしんどいだけだって。でも、きちんとやらないと後で何かをいわれるんじゃないかって不安だったんです。そんな不安を抱えるくらいなら、まじめでいる方がまだマシでした。だって何かあっても、まじめにやってたら許してもらえるじゃないですか。」
優等生だと思っていた私の突然の発言に高橋先生は目を開いた。
先生を傷つけたかもしれない。でも私はもう止まれない。
「私は真面目でいることを免罪符にしていたんです。なにか起きたときに責任をとりたくないから、批判されないように嫌だけどまじめにしていました。」
自分の心にわき出た言葉を次々とつないでいく。
「でも私、わかりました。ちょっとくらい、手を抜いたり、楽をしたってトラブルなんか起こらない。ちゃんとやらないことの不安に打ち勝って、要領よく生きないと幸せを勝ち取れないって。」
ふいに森村さんの笑い声が頭をよぎる。彼女の事を誤解していた。
幸せになるためには彼女の方が正しかったのだ。
「先生達は私が卒業したあとはもう責任なんて取ってくれないですよね。私、菊池くんを好きになるまでメイクなんてしたことなかった。でも社会にでたら、メイクは女性のマナーだって。校則でメイクを禁止してきたのに、こんな理不尽なことってありますか?私は校則なんかには縛られない。だから私は菊池くんの前ではいつでも可愛くいれるようにオシャレをして、受験までの残りの時間を菊池くんの勉強のために使います!!」
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