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一. アッシュの章
25. dessert
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アグネスの発動した光の魔法の効果はまだ続いている。
霧散した光の粒はそのまま空洞の壁にくっついて、淡い光を放ち続けている。
光に照らされた空洞内は、とても広い作りだったのだと知る。
硬い地盤を蚤だけで削ったような痕が、地面から天井にかけて走っていた。
明らかに人の手が入った跡だ。元々この地にあった遺跡の一部だったかもしれないと親父は言っていた。
恐らくそうなのだろうと思う。
俺達の前方には、崩れ落ちた岩盤が今も、もうもうと砂煙を上げている。
時々ピシャリと水の音もするから、地下水の通り道もどこか壊れてしまったのかもしれない。
村はその殆どを山脈からの雪解け水で賄っていたので、この井戸水は余り利用していない。
この井戸を断っても死活問題にはならない事を踏んで、上の連中は恐らく唯一の出口を壊したのだろう。
俺の足元には、息絶えたボロボロの親父がいる。
そして、俺達の左右には、ボールのように丸まった、かつてヒトだった肉の塊が転がっている。
さらに俺の目の前。
フシューフシュー……!!
いつからそこにいたのか、元から俺達の傍らにいたのか。
一切の気配を絶っていた怒れる神が、その姿を具現化して俺達の前に鎮座している。
ゆうに10メートルはあろうかと、余りにもでかい図体が、天井の土を擦っている。
鼻息なのかただの呼吸なのか、生臭くて吐きそうだ。
その3つもある口から、とめどなく溢れる唾液が、地面に落ちるたびにシュウと何かを溶かし、気体となって煙を漂わせている。
本来あるべき目が、これにはついていない。
野犬を模したその顔には、ギザギザの耳と耳まで裂けた口、堅い毛皮に覆われた首が三つに、頭の大きさには不釣り合いな、それでも大人二人分ほどの大きさの胴体が一つ。
「なんだ、これ…」
見たこともない動物。
恐ろしいほどまでに、醜い動物。
頭が三つ。
胴体が一つ。
細い鞭のような尻尾が三つ。
「きゃああああああああ!!!!」
その醜悪なそれを見止めた女性が、腰を抜かして悲鳴を上げる。
アグネスが女性の口を塞ぐ。
今更塞いでも意味は無い。すでに俺達は、この真打に捉えられているのだ。
「ケルベロス…!?」
女性の口を塞ぎながらも、アグネスが呟く。
三つの首を擡げた見た事のない化け物をただ見上げている。
「まさか、伝説の生き物だぞ」
アグネスの呟きを聞いた、元・冒険者の男が同じようにグレフを見上げながら言う。
その顔には大粒の汗が、幾つも筋を作っている。
旦那の反応が気になった。
彼もこの恐ろしい化け物に、戦慄しているのだろうか。
それともいつものあの冷静な眼差しで、この状況を打開する案でも練っているのだろうか。
すると、旦那を探す暇を与えずにその化け物が動き出した。
フシュフシュと吐く息が、次第に形を伴い始めたのである。
「やべえ!!」
男が腰を抜かした女性から、問答無用にナイフを取り上げた。
そういえば彼女は最初からその得物をずっと手に持っていた。固く握りしめた掌を開かせるのに苦労したようだが、その女性よりも、戦闘経験のある男に武器を持たせた方が得策なのは間違いない。
彼女は武器を取り上げられると、そのまま化け物から離れるように後ずさる。
白いモヤが、今まで散々目にしてきた、豚の形状を作っていく。
あっという間に俺達は、豚の姿をしたグレフの大群に囲まれてしまった。
前方は恐らくこいつらのボスであろう、三つの首を持つバカでかい犬の化け物、周りには豚の大群。
後方は壊された井戸へと続く唯一の脱出経路。
回り込まれ、逃げ場はない。
万事休すの状況だった。
キョロキョロと見回すと、いた!旦那だ。
俺達から少し離れた場所に、白いローブが見える。
旦那から距離を取るように、何匹かの豚が旦那を取り囲んでいる。
しかし旦那は、豚のグレフの存在を気にしていないように見える。
先程から何をしているのかと思えば、なんと村の青年たちに担がれていた、囚われの男性二人を引っ張っていたのだ。
「旦那!」
走って旦那の方に向かう。
旦那は俺に気付き、ああ、とだけ喋った。
「何してんだ、旦那!あのバケモン、かなりヤバそうだぞ」
「そんな事よりこっちを手伝え」
「そんな事って…」
どんな事だよ。
どっからどう見ても、ピンチなのは俺達だろうが。
しかし何か考えがあっての行動なのだろう、俺はもう一人の男性に肩を回し、その身を担ぎ上げる。
そして、えっちらおっちら、井戸へと通じるはずだった小道の方へ運んで行った。
アグネスと残りの二人も途中で俺達に合流し、手を貸す。
男性の無事な姿を見てホッとしたのか、女性が泣き崩れている。
彼らを担いでいた村の青年の末路が、あのボールなのだ。
ヒトのカタチすら残っていない。
人には硬い骨と関節がある。しかしグレフにとってそれは単なる枝だったようだ。
彼女は覚悟していたのかもしれない。
夫も共に、ボールにされてしまったと。
ドガアアアア!!!
小道へと向かう俺達の真横を、何匹かの豚が吹っ飛んでいった。
白いモヤは壁に激突し、ぺしゃんことなる。
ビクリとして後ろを振り向くと、なんかそのでかい化け物が激怒しているような気がする。
フシュフシュと息が荒くなって、三つの首をグルングルンと回している。
その首に当たった豚が、こっちに飛んできているのだ。
相手をしないから怒ってんのか?
ついに、小道を塞ぐ瓦礫の所まで来た。
俺達の後ろは、もう何もない。
俺達の歩調に合わせて、グレフ達も侵攻している。徐々にその距離は、縮まっている。
ど真ん中に、三つの首を持つ戌。アグネスの言葉を借りて、ケルベロスと呼ぶことにする。
瓦礫の近くに男性二名を下ろし、そこでようやく旦那がケルベロスと対峙した。
この7人の要注意人物は、旦那ただ一人なのは言うまでもない。
グレフの警戒も、俺達よりは旦那の方に向いている。
旦那は黙って、ケルベロスを見ている。
「攻撃、しますか?」
旦那の背に、アグネスが言う。
「私はすでに光の魔法を構築しています。私が攻撃するには、この魔法を解かねばなりません」
旦那ではなく、魔法に疎い俺達に説明するようにアグネスは続ける。
魔法は、一度に一つしか発動できない。複数の精霊を行使することが出来ないからだ。
「魔法を解けば、恐らく数分でこの地は暗闇と化すでしょう。地の利は奴らにあります。非戦闘民が多い中、闇雲に動くのは得策ではありません」
彼女は旦那に魔法を使ってほしいと暗に言っているのだ。
彼の魔法は、アグネスよりも威力が高い。それはアグネスも知っている。
だから今、戦うのは旦那しかいないだろう。
ナイフを持った元・冒険者の男の力は、たかが知れているだろう。
ナイフ一本で、あの豚一匹倒す事などできやしない。
ならば、俺も魔法を使うしかない。
グレフには効かないにしろ、援護ぐらいはできるはずだ。
「旦那、俺も戦いますぜ」
輪違の紋章を握りしめながら俺は言う。
誰もが旦那を見つめていた。
その時、ようやく旦那が動いた。
俺達よりも、三歩先に進む。
ケルベロス達が、旦那の動きをけん制している。
一瞬ビクリとなったが、グルルと喉を鳴らしている。
俺が旦那の後に続こうと、足を一歩踏み出した時。
ゴイン
見えない壁にしこたま鼻を打ち付けた。
「っ!!!」
痛い。
なんだ、一体何が。
ぶつかった辺りに手を伸ばす。
「ん?」
何かが手に触れる。透明な、壁。
「んんんんん??」
両手で確かめる。
アグネスも、元・冒険者の男も、何時の間にか透明な壁が立ち塞がっているのに気づく。
ゴインと殴るも、ゴインと反動が返ってくるだけだ。
「んんんんんんん???」
なんだこれ、おいおいなんだこれ!!
旦那の所まで行けねえじゃねえか!!!!
俺達と、旦那の間に、壁がある。
この壁には見覚えがある。
アグネス達と最初に皆合した時、重力で豚達を押しつぶした時に旦那が張った結界と同じ。
「結界!!」
アグネスが壁を叩いている。
「旦那、旦那!!!」
俺は懸命に旦那を呼ぶ。
しかし旦那は俺達に背を向けたままだ。
背を向けているので、旦那の様子が分からない。
俺達を結界の中に閉じ込めて、旦那一人で何をしようというのだ。
「ロン、いるか」
静かな口調で、旦那が口を開いた。
すると、旦那の張った結界の中、つまり俺達がいるところ、その俺達以外は何もない空間が、急に歪んだ。
「へ…?」
歪んだ空間が徐々に形を鮮明化していく。
「ええええええ」
空間の収縮が落ち着いたかと思ったら、次の瞬間、俺達のほんの目の前に、知らない人が立っていた。
「な!」
「こやつは!!」
「きゃあ!!!」
「ええええええ」
全身黒ずくめの、長身の男が、急に姿を現したのである。
アグネスと俺、そして冒険者の男が構える。
黒ずくめの男は、とにかくほっそりと痩せていて、その身体にピッチリした服を着ているものだから、その細さが際立って見える。
旦那と同様に、その表情は衣に隠れていて見えない。
「は、ここに」
短い返事だった。
呆気に取られる俺達を余所に、旦那と黒ずくめの男だけで話は進んでいく。
「こいつらを連れて逃げろ」
「………」
「は?」
なんか、聞き捨てならない言葉だったような。
それよりコイツは誰なんだよ、何なんだ!
「ここから出られるはずだ。今から瓦礫を消す。風圧に乗って出ろ」
「承知」
黒ずくめが動けない男二人を両肩に担ぐ。
「お前たちはこれについていけ。これは俺の味方だ、信用してくれていい」
コレと呼ばれた黒ずくめが頷いている。
すると、逃げる気配を察知したグレフ達が、攻撃を開始してきた。
豚の大群が一斉に、俺達目掛けて突進してくる。
しかしそれは旦那の張った結界によって勢いを相殺され、敢え無く豚は潰れていく。
旦那は結界の中にはいない。
豚は旦那ではなく、俺達を攻撃対象としている。
旦那のすぐ横を通り過ぎ、その度に旦那のローブが翻る。
結界の外は、瞬く間に白いモヤで覆われた。
旦那が見えなくなっていく。
旦那が左腕を掲げるのが見えた。
俺達の方へと向けている。
瓦礫を消すと言っていた。
恐らくは旦那の魔法で、瓦礫を吹き飛ばすのだろう。その風圧で結界ごと外に飛ばすのだ。
俺達を無事に脱出させるために。
旦那一人を残して。
「なりません!!」
アグネスが旦那に叫ぶ。
「貴方御一人では、無理です。ケルベロスが本当に伝説の魔物だとしたら、いくら貴方であっても無事では済みません。ここは皆の力を合わせて戦うのが賢明かと!!!」
「断る」
旦那が吐き捨てる。
「お前の役目はなんだ?調査隊の先伐じゃないのか?」
「それは…」
「自分の力量を履き違えるな。それに戦闘は討伐隊に任せていればいい。お前は無事に、彼らを家族のもとに帰すのが役目だろ。セレンディアに無駄死にしたと俺に報告させるつもりか?」
「ぐ…」
アグネスが項垂れる。
彼女はもう理解している。自分の力がグレフに通じない事を。
この猛攻撃に、旦那の結界が無ければ消し炭にされている事を。
彼女の敬愛する人物の名を出されてしまうと、もう旦那に従うしかない。
「…申し訳ありません」
アグネスはペコリと一度だけ頭を下げると、黒ずくめの男に向き合い、また一礼した。
見ると、女性はもちろんの事、元・冒険者の男も黒ずくめの男に引っ付いている。
彼らは戦闘を放棄した。
旦那が後は任せておけというならば、足手まといになるより従うしかないのだ。
それに、欲を言えば早く脱出したい。
このグレフを一手に引き受けてくれるのならば、この機に乗じるのは当たり前の心情だ。
誰も怖い思いなんかしたくない。
死にたくない。戦いたくない。
それに旦那の事を、よく知らない。
知らない人間が、自分の代わりに戦って死んでも、自分が助かるのならば悲しいけれどそれはそれで受け入れるしかない。
災厄以降、ヒトは簡単に死んだ。
戦いで死ぬのも、死んでいくのを見るのも、別段、普通の事なのだ。
でも、俺は。
「いやだ…」
俺は、どうなる。
「…けんなっ…」
俺は違う。俺はこいつらとは違う。
旦那と出会い、旦那と一緒にいて、何度も旦那に助けられて。
俺は旦那が。
好きなのだ。
男とか女とか関係ない。
彼と一夜を共にしたから?
いいや、違う。
もう出会った瞬間、あの食堂で彼に初めて出会った時から、俺はもう、好きになってる。
良く知らない旦那の事を。何も知らない、生い立ちも、名前さえも知らない旦那を。
「ふざけんな…っ」
旦那は俺を助けてくれた。
俺の村の悪事を暴き、とんでもない目に遭わされたが、それでも俺は満足してるんだ。
旦那が俺を、ヒトに戻してくれたのだ。
この村で、一生生きていくと思っていた。
この村の事が好きで、この村の一員で在ることに誇りを感じていて、村一番の料理人である俺は、毎日がとても充実して楽しく暮らしていた。
でもそれは、その平和は誰かの犠牲の上に成り立つものだった。
俺は村以外の事はどうでもよくて、外界で何が起ころうと、どんな犠牲が払われようと、知った事ではなかった。
でもそんな俺を、旦那が救ってくれた。
旦那がいなければ、俺はたぶん、この豚どもと同じだった。
いつかそう遠くない未来に親父にこのシステムを打ち明けられ、自ら生贄を捕まえて殺して、そうして一生を終えていたのかもしれない。
それはゾっとする恐怖だった。
俺は親父のように、死ぬ間際であってもヒトを忘れたままでいたくない。
俺も終わらせたいのだ。
村人であるこの俺の手で。
旦那の手助けになろうだなんておこがましい考えは持っちゃいない。
でも終焉を見たい、結末を俺の手で付けたいと願うのは、そんなにわがままな考えなのか。
「ふざけんな!!!」
あんた、俺を最後まで面倒見るって言ったよな。
あんたが俺をここまで連れてきたんだ。最後まで責任取ると言ったどの口が、俺を真っ先に逃がそうとするんだ。
俺は最後まで、あんたといたい。
あんたが好きだから、ずっと一緒にいたい。
親父が死んで、村からも追い出された俺を、一人にしないでくれ。
顔を真っ赤に結界を叩く俺を、旦那がふわりと笑ったような気がした。
結界に向いていた左手が、魔法を発動することなく、結界の中の俺を掴んで引っ張り上げた。
「旦那!!」
俺の意思が届いたのか。
いや、これは…違う。
「全部…声に出てましたよ…」
アグネスのジトリとした視線が、旦那に抱き着く俺に突き刺さった。
途端に違う意味で真っ赤になる俺を見ても、旦那は何も言わなかった。
言わない代わりに、左手で俺をずっと掴んだまま、その身体を引き寄せている。
恥ずかしさに冷汗が噴き出る。
「旦那、あの…」
たじたじする俺をそのままにして、旦那は逆の右手を結界に向けて突き出した。
「頼んだぞ、ロン」
「御意のままに、マスター」
旦那の足元のローブが翻る。
旦那にくっ付いて初めてそのマナが暖かいモノだと知る。
旦那の身体に巡るマナが周囲のマナを集約し、右手を通じて発動する。
ゴオオオオオオオオオオオォォォォッォ!!!!!
旦那の右腕。
渦を描くように、かつて俺の発動した風の魔法とは雲泥の差を見せて、塊を作る。
渦の中心に沿って、幾つもの稲光が見える。
小さな小さな、凄まじい威力の台風が、旦那の右腕から迸る。
それは真っ直ぐに結界にぶち当たり、周囲のグレフを巻き込みながら、黒い竜巻へと姿を変えていく。
余りの風圧に、目を開けていられない。
旦那はそんな俺を庇うように、いまだ俺を抱きしめている。
華奢な身体。俺よりも細くて、小さい体躯。
しかしその力は、逞しく心強く感じる。
母に抱かれる、安心感さえ生まれる。
俺は旦那に抱かれたまま、目を閉じる。
風の音を聞きながら。
ドガガガガガガガァァァァァア!!!
風はついに瓦礫を吹き飛ばす。
その勢いを保ったまま、アグネス達を放り込んだ結界もろとも、井戸の残骸を巻き上げる。
爆薬で崩れた瓦礫も共に上へ上へと上がる。
グレフはもう近づけない。
近づいた瞬間に、風の刃で瞬殺されるのだ。
結界が、井戸を抜けた。
魔法ではない、何日かぶりの、とても懐かしい光が、零れ落ちてくる。
「ああ…」
思わずため息が出る。
暖かな自然の光が、太陽から齎される黄色の光が、井戸から一筋の線となってこの空洞を照らす。
アグネスがいなくなり、その魔法の効果も消える。
光の粒が小さくなっていき、空洞はまた暗闇に支配されていくが、井戸の跡地から入る光が、薄っすらとこの地を照らしてくれている。
何の問題もない。
風が抜けた。
そよ風すらも、もうない。
旦那が俺を離す。
名残惜しいが、今はこんな事をやっている場合ではない。
「さあて、料理の時間だ」
妙に気恥ずかしくて、そりゃ公衆の面前で、旦那に愛の告白をしちまったんだからしょうがいないだろ、俺はボキボキと指を鳴らして前に進み出る。
旦那が俺の肩を叩く。
そして、俺の隣に並ぶ。
それを合図に。
本体の攻撃が始まった。
霧散した光の粒はそのまま空洞の壁にくっついて、淡い光を放ち続けている。
光に照らされた空洞内は、とても広い作りだったのだと知る。
硬い地盤を蚤だけで削ったような痕が、地面から天井にかけて走っていた。
明らかに人の手が入った跡だ。元々この地にあった遺跡の一部だったかもしれないと親父は言っていた。
恐らくそうなのだろうと思う。
俺達の前方には、崩れ落ちた岩盤が今も、もうもうと砂煙を上げている。
時々ピシャリと水の音もするから、地下水の通り道もどこか壊れてしまったのかもしれない。
村はその殆どを山脈からの雪解け水で賄っていたので、この井戸水は余り利用していない。
この井戸を断っても死活問題にはならない事を踏んで、上の連中は恐らく唯一の出口を壊したのだろう。
俺の足元には、息絶えたボロボロの親父がいる。
そして、俺達の左右には、ボールのように丸まった、かつてヒトだった肉の塊が転がっている。
さらに俺の目の前。
フシューフシュー……!!
いつからそこにいたのか、元から俺達の傍らにいたのか。
一切の気配を絶っていた怒れる神が、その姿を具現化して俺達の前に鎮座している。
ゆうに10メートルはあろうかと、余りにもでかい図体が、天井の土を擦っている。
鼻息なのかただの呼吸なのか、生臭くて吐きそうだ。
その3つもある口から、とめどなく溢れる唾液が、地面に落ちるたびにシュウと何かを溶かし、気体となって煙を漂わせている。
本来あるべき目が、これにはついていない。
野犬を模したその顔には、ギザギザの耳と耳まで裂けた口、堅い毛皮に覆われた首が三つに、頭の大きさには不釣り合いな、それでも大人二人分ほどの大きさの胴体が一つ。
「なんだ、これ…」
見たこともない動物。
恐ろしいほどまでに、醜い動物。
頭が三つ。
胴体が一つ。
細い鞭のような尻尾が三つ。
「きゃああああああああ!!!!」
その醜悪なそれを見止めた女性が、腰を抜かして悲鳴を上げる。
アグネスが女性の口を塞ぐ。
今更塞いでも意味は無い。すでに俺達は、この真打に捉えられているのだ。
「ケルベロス…!?」
女性の口を塞ぎながらも、アグネスが呟く。
三つの首を擡げた見た事のない化け物をただ見上げている。
「まさか、伝説の生き物だぞ」
アグネスの呟きを聞いた、元・冒険者の男が同じようにグレフを見上げながら言う。
その顔には大粒の汗が、幾つも筋を作っている。
旦那の反応が気になった。
彼もこの恐ろしい化け物に、戦慄しているのだろうか。
それともいつものあの冷静な眼差しで、この状況を打開する案でも練っているのだろうか。
すると、旦那を探す暇を与えずにその化け物が動き出した。
フシュフシュと吐く息が、次第に形を伴い始めたのである。
「やべえ!!」
男が腰を抜かした女性から、問答無用にナイフを取り上げた。
そういえば彼女は最初からその得物をずっと手に持っていた。固く握りしめた掌を開かせるのに苦労したようだが、その女性よりも、戦闘経験のある男に武器を持たせた方が得策なのは間違いない。
彼女は武器を取り上げられると、そのまま化け物から離れるように後ずさる。
白いモヤが、今まで散々目にしてきた、豚の形状を作っていく。
あっという間に俺達は、豚の姿をしたグレフの大群に囲まれてしまった。
前方は恐らくこいつらのボスであろう、三つの首を持つバカでかい犬の化け物、周りには豚の大群。
後方は壊された井戸へと続く唯一の脱出経路。
回り込まれ、逃げ場はない。
万事休すの状況だった。
キョロキョロと見回すと、いた!旦那だ。
俺達から少し離れた場所に、白いローブが見える。
旦那から距離を取るように、何匹かの豚が旦那を取り囲んでいる。
しかし旦那は、豚のグレフの存在を気にしていないように見える。
先程から何をしているのかと思えば、なんと村の青年たちに担がれていた、囚われの男性二人を引っ張っていたのだ。
「旦那!」
走って旦那の方に向かう。
旦那は俺に気付き、ああ、とだけ喋った。
「何してんだ、旦那!あのバケモン、かなりヤバそうだぞ」
「そんな事よりこっちを手伝え」
「そんな事って…」
どんな事だよ。
どっからどう見ても、ピンチなのは俺達だろうが。
しかし何か考えがあっての行動なのだろう、俺はもう一人の男性に肩を回し、その身を担ぎ上げる。
そして、えっちらおっちら、井戸へと通じるはずだった小道の方へ運んで行った。
アグネスと残りの二人も途中で俺達に合流し、手を貸す。
男性の無事な姿を見てホッとしたのか、女性が泣き崩れている。
彼らを担いでいた村の青年の末路が、あのボールなのだ。
ヒトのカタチすら残っていない。
人には硬い骨と関節がある。しかしグレフにとってそれは単なる枝だったようだ。
彼女は覚悟していたのかもしれない。
夫も共に、ボールにされてしまったと。
ドガアアアア!!!
小道へと向かう俺達の真横を、何匹かの豚が吹っ飛んでいった。
白いモヤは壁に激突し、ぺしゃんことなる。
ビクリとして後ろを振り向くと、なんかそのでかい化け物が激怒しているような気がする。
フシュフシュと息が荒くなって、三つの首をグルングルンと回している。
その首に当たった豚が、こっちに飛んできているのだ。
相手をしないから怒ってんのか?
ついに、小道を塞ぐ瓦礫の所まで来た。
俺達の後ろは、もう何もない。
俺達の歩調に合わせて、グレフ達も侵攻している。徐々にその距離は、縮まっている。
ど真ん中に、三つの首を持つ戌。アグネスの言葉を借りて、ケルベロスと呼ぶことにする。
瓦礫の近くに男性二名を下ろし、そこでようやく旦那がケルベロスと対峙した。
この7人の要注意人物は、旦那ただ一人なのは言うまでもない。
グレフの警戒も、俺達よりは旦那の方に向いている。
旦那は黙って、ケルベロスを見ている。
「攻撃、しますか?」
旦那の背に、アグネスが言う。
「私はすでに光の魔法を構築しています。私が攻撃するには、この魔法を解かねばなりません」
旦那ではなく、魔法に疎い俺達に説明するようにアグネスは続ける。
魔法は、一度に一つしか発動できない。複数の精霊を行使することが出来ないからだ。
「魔法を解けば、恐らく数分でこの地は暗闇と化すでしょう。地の利は奴らにあります。非戦闘民が多い中、闇雲に動くのは得策ではありません」
彼女は旦那に魔法を使ってほしいと暗に言っているのだ。
彼の魔法は、アグネスよりも威力が高い。それはアグネスも知っている。
だから今、戦うのは旦那しかいないだろう。
ナイフを持った元・冒険者の男の力は、たかが知れているだろう。
ナイフ一本で、あの豚一匹倒す事などできやしない。
ならば、俺も魔法を使うしかない。
グレフには効かないにしろ、援護ぐらいはできるはずだ。
「旦那、俺も戦いますぜ」
輪違の紋章を握りしめながら俺は言う。
誰もが旦那を見つめていた。
その時、ようやく旦那が動いた。
俺達よりも、三歩先に進む。
ケルベロス達が、旦那の動きをけん制している。
一瞬ビクリとなったが、グルルと喉を鳴らしている。
俺が旦那の後に続こうと、足を一歩踏み出した時。
ゴイン
見えない壁にしこたま鼻を打ち付けた。
「っ!!!」
痛い。
なんだ、一体何が。
ぶつかった辺りに手を伸ばす。
「ん?」
何かが手に触れる。透明な、壁。
「んんんんん??」
両手で確かめる。
アグネスも、元・冒険者の男も、何時の間にか透明な壁が立ち塞がっているのに気づく。
ゴインと殴るも、ゴインと反動が返ってくるだけだ。
「んんんんんんん???」
なんだこれ、おいおいなんだこれ!!
旦那の所まで行けねえじゃねえか!!!!
俺達と、旦那の間に、壁がある。
この壁には見覚えがある。
アグネス達と最初に皆合した時、重力で豚達を押しつぶした時に旦那が張った結界と同じ。
「結界!!」
アグネスが壁を叩いている。
「旦那、旦那!!!」
俺は懸命に旦那を呼ぶ。
しかし旦那は俺達に背を向けたままだ。
背を向けているので、旦那の様子が分からない。
俺達を結界の中に閉じ込めて、旦那一人で何をしようというのだ。
「ロン、いるか」
静かな口調で、旦那が口を開いた。
すると、旦那の張った結界の中、つまり俺達がいるところ、その俺達以外は何もない空間が、急に歪んだ。
「へ…?」
歪んだ空間が徐々に形を鮮明化していく。
「ええええええ」
空間の収縮が落ち着いたかと思ったら、次の瞬間、俺達のほんの目の前に、知らない人が立っていた。
「な!」
「こやつは!!」
「きゃあ!!!」
「ええええええ」
全身黒ずくめの、長身の男が、急に姿を現したのである。
アグネスと俺、そして冒険者の男が構える。
黒ずくめの男は、とにかくほっそりと痩せていて、その身体にピッチリした服を着ているものだから、その細さが際立って見える。
旦那と同様に、その表情は衣に隠れていて見えない。
「は、ここに」
短い返事だった。
呆気に取られる俺達を余所に、旦那と黒ずくめの男だけで話は進んでいく。
「こいつらを連れて逃げろ」
「………」
「は?」
なんか、聞き捨てならない言葉だったような。
それよりコイツは誰なんだよ、何なんだ!
「ここから出られるはずだ。今から瓦礫を消す。風圧に乗って出ろ」
「承知」
黒ずくめが動けない男二人を両肩に担ぐ。
「お前たちはこれについていけ。これは俺の味方だ、信用してくれていい」
コレと呼ばれた黒ずくめが頷いている。
すると、逃げる気配を察知したグレフ達が、攻撃を開始してきた。
豚の大群が一斉に、俺達目掛けて突進してくる。
しかしそれは旦那の張った結界によって勢いを相殺され、敢え無く豚は潰れていく。
旦那は結界の中にはいない。
豚は旦那ではなく、俺達を攻撃対象としている。
旦那のすぐ横を通り過ぎ、その度に旦那のローブが翻る。
結界の外は、瞬く間に白いモヤで覆われた。
旦那が見えなくなっていく。
旦那が左腕を掲げるのが見えた。
俺達の方へと向けている。
瓦礫を消すと言っていた。
恐らくは旦那の魔法で、瓦礫を吹き飛ばすのだろう。その風圧で結界ごと外に飛ばすのだ。
俺達を無事に脱出させるために。
旦那一人を残して。
「なりません!!」
アグネスが旦那に叫ぶ。
「貴方御一人では、無理です。ケルベロスが本当に伝説の魔物だとしたら、いくら貴方であっても無事では済みません。ここは皆の力を合わせて戦うのが賢明かと!!!」
「断る」
旦那が吐き捨てる。
「お前の役目はなんだ?調査隊の先伐じゃないのか?」
「それは…」
「自分の力量を履き違えるな。それに戦闘は討伐隊に任せていればいい。お前は無事に、彼らを家族のもとに帰すのが役目だろ。セレンディアに無駄死にしたと俺に報告させるつもりか?」
「ぐ…」
アグネスが項垂れる。
彼女はもう理解している。自分の力がグレフに通じない事を。
この猛攻撃に、旦那の結界が無ければ消し炭にされている事を。
彼女の敬愛する人物の名を出されてしまうと、もう旦那に従うしかない。
「…申し訳ありません」
アグネスはペコリと一度だけ頭を下げると、黒ずくめの男に向き合い、また一礼した。
見ると、女性はもちろんの事、元・冒険者の男も黒ずくめの男に引っ付いている。
彼らは戦闘を放棄した。
旦那が後は任せておけというならば、足手まといになるより従うしかないのだ。
それに、欲を言えば早く脱出したい。
このグレフを一手に引き受けてくれるのならば、この機に乗じるのは当たり前の心情だ。
誰も怖い思いなんかしたくない。
死にたくない。戦いたくない。
それに旦那の事を、よく知らない。
知らない人間が、自分の代わりに戦って死んでも、自分が助かるのならば悲しいけれどそれはそれで受け入れるしかない。
災厄以降、ヒトは簡単に死んだ。
戦いで死ぬのも、死んでいくのを見るのも、別段、普通の事なのだ。
でも、俺は。
「いやだ…」
俺は、どうなる。
「…けんなっ…」
俺は違う。俺はこいつらとは違う。
旦那と出会い、旦那と一緒にいて、何度も旦那に助けられて。
俺は旦那が。
好きなのだ。
男とか女とか関係ない。
彼と一夜を共にしたから?
いいや、違う。
もう出会った瞬間、あの食堂で彼に初めて出会った時から、俺はもう、好きになってる。
良く知らない旦那の事を。何も知らない、生い立ちも、名前さえも知らない旦那を。
「ふざけんな…っ」
旦那は俺を助けてくれた。
俺の村の悪事を暴き、とんでもない目に遭わされたが、それでも俺は満足してるんだ。
旦那が俺を、ヒトに戻してくれたのだ。
この村で、一生生きていくと思っていた。
この村の事が好きで、この村の一員で在ることに誇りを感じていて、村一番の料理人である俺は、毎日がとても充実して楽しく暮らしていた。
でもそれは、その平和は誰かの犠牲の上に成り立つものだった。
俺は村以外の事はどうでもよくて、外界で何が起ころうと、どんな犠牲が払われようと、知った事ではなかった。
でもそんな俺を、旦那が救ってくれた。
旦那がいなければ、俺はたぶん、この豚どもと同じだった。
いつかそう遠くない未来に親父にこのシステムを打ち明けられ、自ら生贄を捕まえて殺して、そうして一生を終えていたのかもしれない。
それはゾっとする恐怖だった。
俺は親父のように、死ぬ間際であってもヒトを忘れたままでいたくない。
俺も終わらせたいのだ。
村人であるこの俺の手で。
旦那の手助けになろうだなんておこがましい考えは持っちゃいない。
でも終焉を見たい、結末を俺の手で付けたいと願うのは、そんなにわがままな考えなのか。
「ふざけんな!!!」
あんた、俺を最後まで面倒見るって言ったよな。
あんたが俺をここまで連れてきたんだ。最後まで責任取ると言ったどの口が、俺を真っ先に逃がそうとするんだ。
俺は最後まで、あんたといたい。
あんたが好きだから、ずっと一緒にいたい。
親父が死んで、村からも追い出された俺を、一人にしないでくれ。
顔を真っ赤に結界を叩く俺を、旦那がふわりと笑ったような気がした。
結界に向いていた左手が、魔法を発動することなく、結界の中の俺を掴んで引っ張り上げた。
「旦那!!」
俺の意思が届いたのか。
いや、これは…違う。
「全部…声に出てましたよ…」
アグネスのジトリとした視線が、旦那に抱き着く俺に突き刺さった。
途端に違う意味で真っ赤になる俺を見ても、旦那は何も言わなかった。
言わない代わりに、左手で俺をずっと掴んだまま、その身体を引き寄せている。
恥ずかしさに冷汗が噴き出る。
「旦那、あの…」
たじたじする俺をそのままにして、旦那は逆の右手を結界に向けて突き出した。
「頼んだぞ、ロン」
「御意のままに、マスター」
旦那の足元のローブが翻る。
旦那にくっ付いて初めてそのマナが暖かいモノだと知る。
旦那の身体に巡るマナが周囲のマナを集約し、右手を通じて発動する。
ゴオオオオオオオオオオオォォォォッォ!!!!!
旦那の右腕。
渦を描くように、かつて俺の発動した風の魔法とは雲泥の差を見せて、塊を作る。
渦の中心に沿って、幾つもの稲光が見える。
小さな小さな、凄まじい威力の台風が、旦那の右腕から迸る。
それは真っ直ぐに結界にぶち当たり、周囲のグレフを巻き込みながら、黒い竜巻へと姿を変えていく。
余りの風圧に、目を開けていられない。
旦那はそんな俺を庇うように、いまだ俺を抱きしめている。
華奢な身体。俺よりも細くて、小さい体躯。
しかしその力は、逞しく心強く感じる。
母に抱かれる、安心感さえ生まれる。
俺は旦那に抱かれたまま、目を閉じる。
風の音を聞きながら。
ドガガガガガガガァァァァァア!!!
風はついに瓦礫を吹き飛ばす。
その勢いを保ったまま、アグネス達を放り込んだ結界もろとも、井戸の残骸を巻き上げる。
爆薬で崩れた瓦礫も共に上へ上へと上がる。
グレフはもう近づけない。
近づいた瞬間に、風の刃で瞬殺されるのだ。
結界が、井戸を抜けた。
魔法ではない、何日かぶりの、とても懐かしい光が、零れ落ちてくる。
「ああ…」
思わずため息が出る。
暖かな自然の光が、太陽から齎される黄色の光が、井戸から一筋の線となってこの空洞を照らす。
アグネスがいなくなり、その魔法の効果も消える。
光の粒が小さくなっていき、空洞はまた暗闇に支配されていくが、井戸の跡地から入る光が、薄っすらとこの地を照らしてくれている。
何の問題もない。
風が抜けた。
そよ風すらも、もうない。
旦那が俺を離す。
名残惜しいが、今はこんな事をやっている場合ではない。
「さあて、料理の時間だ」
妙に気恥ずかしくて、そりゃ公衆の面前で、旦那に愛の告白をしちまったんだからしょうがいないだろ、俺はボキボキと指を鳴らして前に進み出る。
旦那が俺の肩を叩く。
そして、俺の隣に並ぶ。
それを合図に。
本体の攻撃が始まった。
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