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二. ニーナの章
16. 傾向と対策
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いつもの会議室ではなく、ロルフ団長の執務室。
元は貴族の華美で立派な飾り机に座る団長を初めとし、特攻隊長のアドリアンとコルト、参謀のアイン、書記の私、ギャバン、ロロの7名が揃っている。
これは団が発足した当時の、ギャバン以外は旧生徒会のメンバーである。本当はこれに私の初恋の人も含まれていたが、彼は一足先に冒険者になるべく貿易都市に出発し、災厄に遭って死んでいる。
そして、サメの着ぐるみの男と、アッシュ。
以上、9名が執務室の丸テーブルにいた。
会議室は夜になると宿の無い団員達の寝床になる。
唯一個室を持っている団長の部屋しか都合がつかなかったのだ。
「夜分遅い中、ご苦労である諸君!!特に帰ってきたばかりのコルトは辛いだろうが我慢してくれ」
「大丈夫ですよ、団長」
「うむ!」
そして、緊急会議は始まった。
「じゃあ、まずは噂の存在にしか過ぎなかった死人がまさに本物だったってワケだがね、その死人についての報告を。ニーナ、頼むよ」
ここから進行は参謀のアインが勤める。真っ暗な闇の中で受け身も取れずにこけた彼は、捻り方が悪かったらしく骨にひびが入っていたそうだ。
医者から帰ってきたアインの足は、ぐるぐると包帯が巻かれていた。
「はい」
私は立ち上がり、用意していた資料を一部は団長に、そしてもう一部は丸テーブルの真ん中に置いた。
死人に関する資料だ。
魔族と魔物、そして伝説とされる伝承から当てはまりそうなものをピックアップしてまとめてある。
「すげえぜニーナ。こんな短期間でよくまとめたなあ!」
アドリアンが資料を見ながら唸っている。
私は調べ物は得意なのだ。コルトが遅れて食事を取っている間に調べて書き留めた。団長から夜に報告会議があると告げられたので、慌てて作成したが出来はどうだろうか。
「まず死人に関してですが、あれは間違いなく、リンドグレンの埋葬された亡骸でしょう。墓場から抜け出した痕もある事から明白です」
死人が生き返るなど聞いたことが無い。
しかしあれは死体だった。
災厄で死んだ者を多数見てきた。浜に打ち上げられた死体も扱った。
その腐臭は否応如くなく腐った人の死骸。
ただ、土にまみれた分、若干の土臭さはあったけれど。
「その特徴は、爛れた肉体です。土に還る、分解されている途中の姿です」
「うへえ」
「恐ろしいな…」
アドリアン達は、動いている死人を見ていない。
あれに遭遇したのは私と団長とアイン、ギャバン。そしてあの二人だけだ。
「人間の機能は失われているのか、すぐ後ろに奴が現れてもこちらが静かにしていれば気付いてはいませんでした。恐らくは目も鼻も耳も、ダメになっているでしょう」
声なき声で啼きながら、足を引きずって歩く死人の姿を思い出す。あれは背筋の凍る思いだった。
「走る事は出来ず、移動は徒歩。そして、土の中だと思われます」
その死人を追ってきたはずなのに、何時の間にかそれは姿を消した。
次に現れたのは、私たちの後ろだったのだ。
土の中を移動していると考えれば辻褄が合う。
「攻撃方法は、集団での強襲。あれに囲まれては身動きが取れず噛まれてしまうのはやむを得ないでしょう」
動きは鈍いが、押し寄せられるとそれが波となって勢いが増す。
怒涛の勢いでこちらが押されてしまうだろう。
「弱点は火。元が人間の死体だけに、そうなのでしょう」
アッシュの魔法で焼かれた死人達は、簡単に燃えて散った。
「火も弱点だが、首も落とせば動かなくなったぞ」
ロルフ団長が腕組みしながら言った。そういえば、アッシュの火にまかれた死人を団長は剣で攻撃していた。
「火は確かに弱点だけど、それでもしつこく動いてたぜ、このおっさんが剣で切ってようやく大人しくなったけどよ」
と、アッシュが付け加える。
アッシュの横でサメの男は黙ったままだ。
右手の人差し指が口元にある。
「…脳」
ギャバンが言った。
「確かに。歩くや噛むといった運動能力を司る脳が活発化しているからこそ、あいつらは動けるのか。ああ、その理屈は分かるかも」
「そうかもしれぬな!」
ならばその脳を身体から切り離せば、死人の機能は完全に停止すると言う事なのだろう。
サメの男の放ったすさまじい魔法は、絶大な威力だった。恐らくはあの隕石の炎で、脳みそごと焼き尽くされた。だから死人は死んだのだ。
死んだ人間が死ぬと言う表現が何だかおかしいが、死んだ。
「で、ニーナ。あれは何者なんだい?」
アインが問う。
私は資料のページをザザザと何枚もめくり、彼らに見せつけるように言った。
「それが、どれにも該当しないんです」
「そうか…」
「やはり!」
「まずは、絶滅したと思われている魔族より、似たような種類は見つかっています。人間にそっくりな姿をしているものが、これとか、これも…」
魔族の中には人間と見間違うような姿をしているものもいた。
二本足で歩き、長い爪も翼もない。だがその目は獣のようで、牙がある。性格は残忍で殺戮者だ。魔族の中でもやっかいな部類に入る。
今回の死人は目は窪んで無く、噛んでくるが牙もなかった。
魔族は人間と同様に集団生活をして高度な知識も持っている。姿形は多種多様。
「魔族は全滅したんだろ?それは除外でいいだろ」
アドリアンがもう一枚ページをめくった。
「次は魔物の可能性です。魔物は未発見が続々増えているので、もしかしたら死人に近い姿もいるかもしれません」
だが、魔物はあり得ないのだ。
まず、遺伝子的に種が違う。
人間と、野菜ぐらい違うのだ。
人間が死ぬと野菜に変化すると言っているようなものなのだ。そんなのはあり得ない。輪廻転生して野菜に生まれ変わればそれはあり得るのかもしれないが、それは魂のレベルだ。肉体を変化させる事など、創造神でなければ土台無理だ。
ヒト型の魔物もいない訳ではない。だがあくまで人に近しい姿なのであって、知性も何も持っていないのが魔物なのだ。
魔物は野生動物と似ている。野生の動物は飼い慣らす事が出来るが、魔物は誰にもどんなものにも従わない。本能のまま、在り続けるだけの存在なのだ。
肉にも衣服にもなる動物と違って、食料さえもならない、人や魔族の害にしかならないもの、それが魔物なのである。
「最後に、これは伝記なのですが」
ページをまためくって文章を読む。
「かつて創世の時代に於いて、創造の女神はたくさんの生き物を作った。まず女神は己が従者と似たような生き物に命を吹き込み、それが動物となった。次に自らを模した人形を二体作り、一つにマナを込めた。もう一つはマナを入れなかったが、人形は次々に数を増やしていった。いつしか前者を魔族、そして後者を人間と呼ぶようになった」
真偽するほど無駄な遥か昔の創世の記録である。
この世界に住まう人間は、まず日曜学校でこの物語を頭に叩き込まれる。輪廻転生を謳う創世神を崇めるのが国教なのだ。お伽噺の物語調で、子ども達は宗教に慣れ親しみ学ぶのだ。
「女神は、自分以外の生き物の命が有限で在る事を知らなかった。自分と同じように永遠に生き、永遠にマナを巡回させるのだと思った。自分が特別であることを、女神自身は知らなかった。女神が作った生き物は次第に老い、腐り、その機能を衰えさせながらも生きねばならなかった。女神が寿命を作らなかったので、肉体は死んでいるのに魂だけがあり続けなければならなかった」
そう、これこそが死人である。
「生き物は腐り、土は汚れ、いつしかその数も増えなくなった。女神が気付いた時には、土にへばりついた骨がカタカタとその乾いた歯を鳴らすだけだったという。女神は失敗作だったと反省し、次から寿命を生き物に与えた。この子孫が我々人間である」
女神はその失敗作を奈落の底に捨てた。それは今でも完全に死ぬことは許されず、この世界の底でへばりついているらしい。
その名を、【生ける屍】という。
一気に文章を読み上げて、私は顔を上げた。
「でもこれは伝説のお伽噺だろ?」
そう嘆くアインに、私は頷く。
「ええ。だから伝記なのよ。でも、一番似ているのがこれだった。何らかの事情で死ぬことを許されない屍が私達を襲ったあれだとしたら、なんだかしっくりくるわ」
「そうだな!だがその事情とはなんだ!!」
「それが分かってたら苦労しませんよ。それにこれはただの伝説の話です」
「うむうう」
「ならば何も正体は分からず仕舞いという訳か」
コルトの台詞に、悔しいが頷くしかなかった。
「ただ言える事は、あれは魔族でも魔物でもないという事です。これがお分かりですか?あれは人間です。私達と同じ、その魂は輪廻の輪に入ってしまったけれど、元は生きて私達と一緒にこの世界に生きていた人間なのです」
「こわいよ!!」
ロロが机に突っ伏した。
力は団長よりも強くて余りある彼は、心根が純粋無垢だ。
怖い話は特に苦手らしく目が潤んでいる。
「あれに噛まれたら私達もその生ける屍になると考えたら、その唾液か体液かの成分に、致死量の毒が含まれているのは間違いないでしょう」
死人に噛まれると、その場所から腐っていったと噂では語られていた。
身体の組織から腐敗される即効性の毒。あの墓場を調べれば、何か分かるかもしれない。
「対処法を得るにはまだ情報不足です。伝承といえど、ヒントにはなるかもしれません。私はこのまま調査を継続したいと考えます」
「うむ、墓場に調査団としてニーナには入ってもらおう。きついが頼めるか?」
「はい!」
このまま正体不明のままうやむやにされた方がモヤモヤするものだ。団長の指名に、私は背筋を正して敬礼した。
忙しくなってテルマとあまり逢えなくなるのは寂しいが、しいては巡り巡って彼女の為でもあるのだ。危険な物質を町に持ち込まれないようにするためにも、これは重大な任務だ。
そして議題は次に移った。
アドリアンが立ち上がり、団長の横に並んだ。
「まずは作業報告を」
アインが彼を促す。
「おうよ!って言ってもあらかたもう話ちまったなあ」
と言って、アドリアンはボサボサの頭を掻いた。
やはりアッシュと喋り方が似ている。そのアッシュは隣で私の資料を食い入るように見ているローブの男の手元を覗き込んでいた。
アドリアンは女たらしで少し擦れた感のある男だ。人の好さそうなアッシュとは部類が違う。
「コルトの第2陣で、全ての墓堀と死体焼きは完了。念のため、団長らが行き止まった崖の方まで奴らを探したがいなかった。でもまだ瓦礫の中までは全部調べ切ってねえ」
そして彼はポケットをごそごそして何やら掴み取ると、それらを机の上にばらまいた。
小指の爪程度の大きさ。黒くてシワシワに波模様があるそれは、硬くてとても小さな石だった。
「干したブドウみたいだろ?」
言われてみれば、まさしく干しブドウそっくりだ。ブドウよりも固く、甘い香りはしないけれど。
各々がそれを手にし、感触を確かめている。
ローブの男の興味は、私の資料よりもその干しブドウに移ったようだ。あちこち触っては匂いを嗅いで、弄り倒している。なんか美味そうだなと言っているのはアッシュだ。
「これはなんだ?」
団長も初めて報告を受けたのだろう。アドリアンに先を促している。
「これは団長らが戦った場所の跡地で見つけたもんだ。焼け焦げた原っぱの上に、この変な黒い石が大量に散らばってた。最初は何かの種かと思ったが、どうやら違うようでね。気になって持って帰ってきちまったのよ」
「これは焼けたから黒いのか?」
「さあねえ、実際に俺はおたくらの戦闘を見てねえから、何とも言えないよ」
そしてチラリとローブの男たちを見据えて、また視線を私達に戻した。
あの灼熱の炎に焼かれた何かなのだろうか。あそこには石畳と瓦礫、そしてグレフと死人しかなかった。
よくよく見れば、黒いのは焦げかもしれない。しわしわになっているのも、高熱に焼かれて何かがぎゅうと収縮されてしまったからだとしたら。
「まさかあの死人が丸まったものじゃないだろうね」
アインだ。私と同じことを考えていたらしい。
「だとしたら触りたくねえな、気色悪い!」
結局、この小さな石が何なのかは分からなかった。死体の収縮されたものとしては小さすぎるし極論過ぎる気もする。
これもいずれ調査対象だと言うことにし、アドリアンは今後の団の動きを語った。
「団長と話したんだけど、ここしばらくは俺と団長、コルト、ギャバン、そして腕の立つ奴何人かで、残った死人のせん滅をやろうと思ってる」
「うむ。奴らはすでに東にも現れているからな」
「どこに潜んでるかも判らねえし、昼間行ってもそいつらは土ん中に隠れていねえ。だから夜に行動することにした」
「え?」
「…まじか、俺聞いてないんだけど…」
私の隣でギャバンが頭を抱えている。
「夜はお前の夜目と、感覚が必要なのだ!団の為と思って働いてくれ、ギャバン!!」
はっはっはと笑う団長を恨めしそうに見て、ギャバンはとうとう机から頭を上げなかった。よほど嫌なのだろう。
確かにあの晩は本当に怖かった。命からがらというより、助けが無ければ死んでいたのだ。
そんな危険な場所にまた行かねばならぬのは地獄だろう。
団長たちはやる気満々だ。
墓場の憂いを絶った分、数に物を言わせる脅威が少し軽減されたのもある。また、火や首といった弱点や、気配さえ絶てば気付かれないといった性質も分かっている。あの時ほど狼狽える必要はもうないのだ。
「俺達は夜間はいない。その間のリーダーはアインとロロだ。精一杯、町を守ってくれよ」
真面目なクルトの言葉に、アインは素直に頷き、ロロははいさ!と元気よく手を挙げた。
こうして、今後の団の動きは決まった。
日中の見回りは廃止。メンバーは、緊急以外は台風の補強作業を行う。
私と何人かのメンバーは調査団として、日中墓場に入り、死人の痕を追う。
夜間は団長ら力自慢が、廃墟で死人退治だ。
最後の一人がいなくなるまで、これを継続する。
この期間の「探索」は、調査に入った私達のみが墓場限定で行う事と相成ったのである。
少しばかり一息入れ、軽くお茶を飲む。
夜は随分と深くなり、子どもは寝る時間帯だ。
そしてようやく、この不審な二人組の素性の話題に入ったのである。
元は貴族の華美で立派な飾り机に座る団長を初めとし、特攻隊長のアドリアンとコルト、参謀のアイン、書記の私、ギャバン、ロロの7名が揃っている。
これは団が発足した当時の、ギャバン以外は旧生徒会のメンバーである。本当はこれに私の初恋の人も含まれていたが、彼は一足先に冒険者になるべく貿易都市に出発し、災厄に遭って死んでいる。
そして、サメの着ぐるみの男と、アッシュ。
以上、9名が執務室の丸テーブルにいた。
会議室は夜になると宿の無い団員達の寝床になる。
唯一個室を持っている団長の部屋しか都合がつかなかったのだ。
「夜分遅い中、ご苦労である諸君!!特に帰ってきたばかりのコルトは辛いだろうが我慢してくれ」
「大丈夫ですよ、団長」
「うむ!」
そして、緊急会議は始まった。
「じゃあ、まずは噂の存在にしか過ぎなかった死人がまさに本物だったってワケだがね、その死人についての報告を。ニーナ、頼むよ」
ここから進行は参謀のアインが勤める。真っ暗な闇の中で受け身も取れずにこけた彼は、捻り方が悪かったらしく骨にひびが入っていたそうだ。
医者から帰ってきたアインの足は、ぐるぐると包帯が巻かれていた。
「はい」
私は立ち上がり、用意していた資料を一部は団長に、そしてもう一部は丸テーブルの真ん中に置いた。
死人に関する資料だ。
魔族と魔物、そして伝説とされる伝承から当てはまりそうなものをピックアップしてまとめてある。
「すげえぜニーナ。こんな短期間でよくまとめたなあ!」
アドリアンが資料を見ながら唸っている。
私は調べ物は得意なのだ。コルトが遅れて食事を取っている間に調べて書き留めた。団長から夜に報告会議があると告げられたので、慌てて作成したが出来はどうだろうか。
「まず死人に関してですが、あれは間違いなく、リンドグレンの埋葬された亡骸でしょう。墓場から抜け出した痕もある事から明白です」
死人が生き返るなど聞いたことが無い。
しかしあれは死体だった。
災厄で死んだ者を多数見てきた。浜に打ち上げられた死体も扱った。
その腐臭は否応如くなく腐った人の死骸。
ただ、土にまみれた分、若干の土臭さはあったけれど。
「その特徴は、爛れた肉体です。土に還る、分解されている途中の姿です」
「うへえ」
「恐ろしいな…」
アドリアン達は、動いている死人を見ていない。
あれに遭遇したのは私と団長とアイン、ギャバン。そしてあの二人だけだ。
「人間の機能は失われているのか、すぐ後ろに奴が現れてもこちらが静かにしていれば気付いてはいませんでした。恐らくは目も鼻も耳も、ダメになっているでしょう」
声なき声で啼きながら、足を引きずって歩く死人の姿を思い出す。あれは背筋の凍る思いだった。
「走る事は出来ず、移動は徒歩。そして、土の中だと思われます」
その死人を追ってきたはずなのに、何時の間にかそれは姿を消した。
次に現れたのは、私たちの後ろだったのだ。
土の中を移動していると考えれば辻褄が合う。
「攻撃方法は、集団での強襲。あれに囲まれては身動きが取れず噛まれてしまうのはやむを得ないでしょう」
動きは鈍いが、押し寄せられるとそれが波となって勢いが増す。
怒涛の勢いでこちらが押されてしまうだろう。
「弱点は火。元が人間の死体だけに、そうなのでしょう」
アッシュの魔法で焼かれた死人達は、簡単に燃えて散った。
「火も弱点だが、首も落とせば動かなくなったぞ」
ロルフ団長が腕組みしながら言った。そういえば、アッシュの火にまかれた死人を団長は剣で攻撃していた。
「火は確かに弱点だけど、それでもしつこく動いてたぜ、このおっさんが剣で切ってようやく大人しくなったけどよ」
と、アッシュが付け加える。
アッシュの横でサメの男は黙ったままだ。
右手の人差し指が口元にある。
「…脳」
ギャバンが言った。
「確かに。歩くや噛むといった運動能力を司る脳が活発化しているからこそ、あいつらは動けるのか。ああ、その理屈は分かるかも」
「そうかもしれぬな!」
ならばその脳を身体から切り離せば、死人の機能は完全に停止すると言う事なのだろう。
サメの男の放ったすさまじい魔法は、絶大な威力だった。恐らくはあの隕石の炎で、脳みそごと焼き尽くされた。だから死人は死んだのだ。
死んだ人間が死ぬと言う表現が何だかおかしいが、死んだ。
「で、ニーナ。あれは何者なんだい?」
アインが問う。
私は資料のページをザザザと何枚もめくり、彼らに見せつけるように言った。
「それが、どれにも該当しないんです」
「そうか…」
「やはり!」
「まずは、絶滅したと思われている魔族より、似たような種類は見つかっています。人間にそっくりな姿をしているものが、これとか、これも…」
魔族の中には人間と見間違うような姿をしているものもいた。
二本足で歩き、長い爪も翼もない。だがその目は獣のようで、牙がある。性格は残忍で殺戮者だ。魔族の中でもやっかいな部類に入る。
今回の死人は目は窪んで無く、噛んでくるが牙もなかった。
魔族は人間と同様に集団生活をして高度な知識も持っている。姿形は多種多様。
「魔族は全滅したんだろ?それは除外でいいだろ」
アドリアンがもう一枚ページをめくった。
「次は魔物の可能性です。魔物は未発見が続々増えているので、もしかしたら死人に近い姿もいるかもしれません」
だが、魔物はあり得ないのだ。
まず、遺伝子的に種が違う。
人間と、野菜ぐらい違うのだ。
人間が死ぬと野菜に変化すると言っているようなものなのだ。そんなのはあり得ない。輪廻転生して野菜に生まれ変わればそれはあり得るのかもしれないが、それは魂のレベルだ。肉体を変化させる事など、創造神でなければ土台無理だ。
ヒト型の魔物もいない訳ではない。だがあくまで人に近しい姿なのであって、知性も何も持っていないのが魔物なのだ。
魔物は野生動物と似ている。野生の動物は飼い慣らす事が出来るが、魔物は誰にもどんなものにも従わない。本能のまま、在り続けるだけの存在なのだ。
肉にも衣服にもなる動物と違って、食料さえもならない、人や魔族の害にしかならないもの、それが魔物なのである。
「最後に、これは伝記なのですが」
ページをまためくって文章を読む。
「かつて創世の時代に於いて、創造の女神はたくさんの生き物を作った。まず女神は己が従者と似たような生き物に命を吹き込み、それが動物となった。次に自らを模した人形を二体作り、一つにマナを込めた。もう一つはマナを入れなかったが、人形は次々に数を増やしていった。いつしか前者を魔族、そして後者を人間と呼ぶようになった」
真偽するほど無駄な遥か昔の創世の記録である。
この世界に住まう人間は、まず日曜学校でこの物語を頭に叩き込まれる。輪廻転生を謳う創世神を崇めるのが国教なのだ。お伽噺の物語調で、子ども達は宗教に慣れ親しみ学ぶのだ。
「女神は、自分以外の生き物の命が有限で在る事を知らなかった。自分と同じように永遠に生き、永遠にマナを巡回させるのだと思った。自分が特別であることを、女神自身は知らなかった。女神が作った生き物は次第に老い、腐り、その機能を衰えさせながらも生きねばならなかった。女神が寿命を作らなかったので、肉体は死んでいるのに魂だけがあり続けなければならなかった」
そう、これこそが死人である。
「生き物は腐り、土は汚れ、いつしかその数も増えなくなった。女神が気付いた時には、土にへばりついた骨がカタカタとその乾いた歯を鳴らすだけだったという。女神は失敗作だったと反省し、次から寿命を生き物に与えた。この子孫が我々人間である」
女神はその失敗作を奈落の底に捨てた。それは今でも完全に死ぬことは許されず、この世界の底でへばりついているらしい。
その名を、【生ける屍】という。
一気に文章を読み上げて、私は顔を上げた。
「でもこれは伝説のお伽噺だろ?」
そう嘆くアインに、私は頷く。
「ええ。だから伝記なのよ。でも、一番似ているのがこれだった。何らかの事情で死ぬことを許されない屍が私達を襲ったあれだとしたら、なんだかしっくりくるわ」
「そうだな!だがその事情とはなんだ!!」
「それが分かってたら苦労しませんよ。それにこれはただの伝説の話です」
「うむうう」
「ならば何も正体は分からず仕舞いという訳か」
コルトの台詞に、悔しいが頷くしかなかった。
「ただ言える事は、あれは魔族でも魔物でもないという事です。これがお分かりですか?あれは人間です。私達と同じ、その魂は輪廻の輪に入ってしまったけれど、元は生きて私達と一緒にこの世界に生きていた人間なのです」
「こわいよ!!」
ロロが机に突っ伏した。
力は団長よりも強くて余りある彼は、心根が純粋無垢だ。
怖い話は特に苦手らしく目が潤んでいる。
「あれに噛まれたら私達もその生ける屍になると考えたら、その唾液か体液かの成分に、致死量の毒が含まれているのは間違いないでしょう」
死人に噛まれると、その場所から腐っていったと噂では語られていた。
身体の組織から腐敗される即効性の毒。あの墓場を調べれば、何か分かるかもしれない。
「対処法を得るにはまだ情報不足です。伝承といえど、ヒントにはなるかもしれません。私はこのまま調査を継続したいと考えます」
「うむ、墓場に調査団としてニーナには入ってもらおう。きついが頼めるか?」
「はい!」
このまま正体不明のままうやむやにされた方がモヤモヤするものだ。団長の指名に、私は背筋を正して敬礼した。
忙しくなってテルマとあまり逢えなくなるのは寂しいが、しいては巡り巡って彼女の為でもあるのだ。危険な物質を町に持ち込まれないようにするためにも、これは重大な任務だ。
そして議題は次に移った。
アドリアンが立ち上がり、団長の横に並んだ。
「まずは作業報告を」
アインが彼を促す。
「おうよ!って言ってもあらかたもう話ちまったなあ」
と言って、アドリアンはボサボサの頭を掻いた。
やはりアッシュと喋り方が似ている。そのアッシュは隣で私の資料を食い入るように見ているローブの男の手元を覗き込んでいた。
アドリアンは女たらしで少し擦れた感のある男だ。人の好さそうなアッシュとは部類が違う。
「コルトの第2陣で、全ての墓堀と死体焼きは完了。念のため、団長らが行き止まった崖の方まで奴らを探したがいなかった。でもまだ瓦礫の中までは全部調べ切ってねえ」
そして彼はポケットをごそごそして何やら掴み取ると、それらを机の上にばらまいた。
小指の爪程度の大きさ。黒くてシワシワに波模様があるそれは、硬くてとても小さな石だった。
「干したブドウみたいだろ?」
言われてみれば、まさしく干しブドウそっくりだ。ブドウよりも固く、甘い香りはしないけれど。
各々がそれを手にし、感触を確かめている。
ローブの男の興味は、私の資料よりもその干しブドウに移ったようだ。あちこち触っては匂いを嗅いで、弄り倒している。なんか美味そうだなと言っているのはアッシュだ。
「これはなんだ?」
団長も初めて報告を受けたのだろう。アドリアンに先を促している。
「これは団長らが戦った場所の跡地で見つけたもんだ。焼け焦げた原っぱの上に、この変な黒い石が大量に散らばってた。最初は何かの種かと思ったが、どうやら違うようでね。気になって持って帰ってきちまったのよ」
「これは焼けたから黒いのか?」
「さあねえ、実際に俺はおたくらの戦闘を見てねえから、何とも言えないよ」
そしてチラリとローブの男たちを見据えて、また視線を私達に戻した。
あの灼熱の炎に焼かれた何かなのだろうか。あそこには石畳と瓦礫、そしてグレフと死人しかなかった。
よくよく見れば、黒いのは焦げかもしれない。しわしわになっているのも、高熱に焼かれて何かがぎゅうと収縮されてしまったからだとしたら。
「まさかあの死人が丸まったものじゃないだろうね」
アインだ。私と同じことを考えていたらしい。
「だとしたら触りたくねえな、気色悪い!」
結局、この小さな石が何なのかは分からなかった。死体の収縮されたものとしては小さすぎるし極論過ぎる気もする。
これもいずれ調査対象だと言うことにし、アドリアンは今後の団の動きを語った。
「団長と話したんだけど、ここしばらくは俺と団長、コルト、ギャバン、そして腕の立つ奴何人かで、残った死人のせん滅をやろうと思ってる」
「うむ。奴らはすでに東にも現れているからな」
「どこに潜んでるかも判らねえし、昼間行ってもそいつらは土ん中に隠れていねえ。だから夜に行動することにした」
「え?」
「…まじか、俺聞いてないんだけど…」
私の隣でギャバンが頭を抱えている。
「夜はお前の夜目と、感覚が必要なのだ!団の為と思って働いてくれ、ギャバン!!」
はっはっはと笑う団長を恨めしそうに見て、ギャバンはとうとう机から頭を上げなかった。よほど嫌なのだろう。
確かにあの晩は本当に怖かった。命からがらというより、助けが無ければ死んでいたのだ。
そんな危険な場所にまた行かねばならぬのは地獄だろう。
団長たちはやる気満々だ。
墓場の憂いを絶った分、数に物を言わせる脅威が少し軽減されたのもある。また、火や首といった弱点や、気配さえ絶てば気付かれないといった性質も分かっている。あの時ほど狼狽える必要はもうないのだ。
「俺達は夜間はいない。その間のリーダーはアインとロロだ。精一杯、町を守ってくれよ」
真面目なクルトの言葉に、アインは素直に頷き、ロロははいさ!と元気よく手を挙げた。
こうして、今後の団の動きは決まった。
日中の見回りは廃止。メンバーは、緊急以外は台風の補強作業を行う。
私と何人かのメンバーは調査団として、日中墓場に入り、死人の痕を追う。
夜間は団長ら力自慢が、廃墟で死人退治だ。
最後の一人がいなくなるまで、これを継続する。
この期間の「探索」は、調査に入った私達のみが墓場限定で行う事と相成ったのである。
少しばかり一息入れ、軽くお茶を飲む。
夜は随分と深くなり、子どもは寝る時間帯だ。
そしてようやく、この不審な二人組の素性の話題に入ったのである。
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海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
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【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
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調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
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辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
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旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
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果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
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