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二. ニーナの章
31. テルマの独白①
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ひっぐ、ぐす…えぐ…うわああんっ!
わたしはおねえちゃんに望まれて生まれてきたのに、おねえちゃんに嫌われてしまった。
おねえちゃんがわたしを求めたからわたしはテルマになったのに、殺されようとしているわたしをおねえちゃんはじっと見てた。
おねえちゃんがいるからわたしが在るのに、おねえちゃんはわたしを否定した。
何もかも思い出して、わたしを捨てた。
おねえちゃんだけずるい。
おねえちゃんの心はわたしのものだったのに、いまは違う人が住み着いてる。
わたしは行き場がなくなった。
おねえちゃんが必要としてくれなかったら、どうしてわたしがここにいるの?
ベッドの上しか知らないわたしにはとても大きな世界。こんなに暗くて冷たくて汚いところだった。
おねえちゃんはこんな醜い外の世界に憧れていたの?
あんなに、自分が壊れるまで信じた『妹』を捨ててまで、あの家にいたくなかったのね。
わたしの20年はなんだったの。
わたしはあなたの為だけに在ったのに。
こんなに泣いても、ボタンの目からは涙一滴だって出やしない。
きつく縫い付けてあるバッテンの口は、どう頑張っても開かない。
両足がもげ、色んなところから綿が飛び出しているのに、ちっとも痛みなんて感じない。
せっかく動けるようになったのに、やっとおねえちゃんの本物の妹になれたと思ったのに、わたしはわたしのままだったのね。
醜いのは世界じゃない。
わたし、だ。
人間でもなく、クマのぬいぐるみでもないわたしは、一体何なのだろう。
【殺せ。殺せ】
ああ、まだ声が聞こえる。
散々殺したじゃないか。おねえちゃんの大事な人たちを。
あの連中を一人残らず殺したら、おねえちゃんは鳥かごから解放されて、病気の治ったわたしといつまでも永遠にいられるのではなかったのか。
【殺せ。人間を殺せ】
わたしに力をくれるだけくれてあとは放置する気?
嘘つき。
わたしはぬいぐるみのままじゃないか。
おねえちゃんはひたすら後悔して、それでも最終的にわたしを捨てた。
それにわたしの力は、あのお兄ちゃんには全く効いてない。
何一つ、いいことなんてない!
神の声が聞こえた時にできたわずかな隙をついて逃げてきたけど、あのまま死んじゃっていれば少しは楽だったのかな。
人間なんて、意思なんて、あるだけ損だ。
人間なんて面倒だ。
意思なんて辛すぎる。
わたしはいつかおねえちゃんとおしゃべりしておままごとして楽しく遊ぶ日々を夢見ていたけれど、こんな結果になるのだったらもうワガママは言わない。
わたしをただのぬいぐるみのままでいさせて欲しかった。
もう何も望まない。
妹がいると思い込んでるおねえちゃんと、あの小さな部屋で二人でいる方がはるかに幸せだった。
どうしてこうなってしまったの。
おねえちゃんが20年も信じてきた『妹』の存在を、出会って数日のあの変なお兄ちゃんに奪われるとは思わなかった。
そうね。
お兄ちゃんの力に警戒しろと言っていたわね。
忘れていたわけじゃない。わたし如きでは、太刀打ちできなかっただけ。
それに。
元気に動いてるわたしを見て、もっと喜んでくれると期待していた。
おねえちゃんを縛る団の人たちを皆殺しにして、これで旅立てるありがとうと言ってくれるものだと勝手に思ってたわ。
どれも結果は散々だったけれどね。
【殺せ。殺せ。人間を殺せ】
ああ、もう!
いい加減しつこい!
町がわたしがいなくても、もう大混乱よ。いちいちわたしが殺さなくたって、町は悲鳴に溢れてる。
わたしはもういなくなりたいの。
おねえちゃんが要らないのなら、わたしが在る必要は全くないわ。
わたしは今でもおねえちゃんが大好きよ。
わたしのちっぽけな世界は、おねえちゃんだけで充分なの。
ヒタリヒタリ。
小さな足音が近づいてくる。
あのマナの輝きは…。
はあ、わたしもここまでね。
とっても短い人生?クマ生?ぬい生?ま、どうでもいいわ。
元々ぬいぐるみに命なんてないのだから。
ちょっとだけ哀しいけど、あの短い時間におねえちゃんに会っただけでも奇跡よね。
うん、大丈夫。
ヒタリ。
足音が止まった。
とても綺麗なマナの輝き。
わたしの、おねえちゃんが今まで注いでくれたマナは全部餌にしちゃってなくなってしまった。
わたしのマナもあんなに綺麗だったらいいな。
おねえちゃんのマナだもの。綺麗に決まってる。
あの人のマナを奪うのは無理よ。
マナの量だって尋常じゃない。観測不能なんだから。
膨大すぎて、入り込む事すら無理よ。
いい気味ね。
幸せにすると約束を破ったのはそっち。
わたしは二度と、神のことばを信じない。
一気にやられちゃうといい。神の力はマナを凌駕するけれど、あの人の力はそれすら超越してる。
ごめんね。わたしが先にいってしまうから、神の最期を見れなくて。
ごめんなさい、おねえちゃん。
あなたが大好きだった。
あなたが赤ちゃんの頃からずっと一緒だった。
あなたがわたしにテルマを見ようと利用しようと、本当にどうでもいいの。
ニーナ、あなたは生きて。
生きて今度こそ、この町を出るの。
渇望した世界に飛び出して、あなたは自由に生きるべきだわ。
町も家族も妹も団も全部捨てて、マナを輝かすお兄ちゃんの傍であなたも煌めいてほしい。
大事な人たちを殺してごめんね。
わたしがテルマじゃなくてごめんね。
あなたと過ごした20数年間。
わたしはとても幸せだったよ。
ありがとう、ニーナ。
「お前は、タルパだな」
たる?
「人工未知零体。幻影だ」
ふ、ふん。
止めを刺しにやってきて、敢えて傷口に塩を塗り込むつもりかしら。
ニーナはあなたを気に入っていたけれど、あなたはとても無神経な人なのね。
「想念の力によって幻影を視覚化。無から妄想を持続して命を吹き込み、そこに存在させ続けてコントロールされたもの。いわば、妄想の延長線の存在」
いちいちあなたに指摘されなくても、わたしがニーナの妄想の副産物だって事、ちゃんと理解してる。
ま、ぬいぐるみのわたしの言葉なんて、ニーナ以外には届かないのだけど。
そんなところで突っ立って、はやくわたしを殺せばいいのに。
あなたがこんなところで道草してる間にも、神はどんどん町を壊しているのよ。
あなたのその輝かしい魔法でもって、ニーナを守ってあげなさいよ。
わたしからニーナを奪ったんだから。ニーナの心を一瞬で持っていってしまった罪は重いのよ。
『妹』を見捨ててまでも、あなたに心を奪われているのだから、あの子は。
わたしはニーナの架空の友達。イマジナリーフレンド。
あの子が7歳の誕生日の日に、本物のテルマはプールに落ちて死んだの。
お母さんも父さんもお祖母ちゃんもみんな哀しんで、泣いて、テルマの死を悼んだけれど、ニーナだけは納得しなかったのね。
ニーナがあの日、テルマを一人館に残したまま昼寝しちゃったものだから。テルマが一人で危険な場所に行って勝手に落ちて死んじゃったのに本当はニーナの所為でもなんでもないのに、ニーナは自分の責任に押しつぶされちゃったのね。
未熟な心は耐え切れずに壊れてしまった。
だからニーナはわたしを作ったの。自分の身を守るために、無意識にわたしを生んだのよ。
ふふ。おかしい。
こんなこと、あなたに言っても仕方ないのにね。
ニーナの辻褄合わせは大変だった。
ほら、わたしはただのぬいぐるみでしかなかったから、どうしても矛盾が生まれるの。
動けず、成長もしないわたしをニーナは不治の病にすることで、なんとかわたしを維持したの。
ニーナが少しでもわたしを疑ってしまうと、幻影のわたしはすぐに消えちゃうから。
でも、周りの理解は得られなかった。
お母さんもお父さんもニーナを不気味がって、その原因のわたしをお母さんは何度も捨てようと試みたし、お父さんはテルマのお墓に連れて行って諭そうともした。
でも、ニーナの想像力の方が強かったみたい。
誰もがニーナを避けてしまう中でも、ニーナは立派にわたしのおねえちゃんを演じていたよ。
「そうか。そうして少しずつマナを蓄積して」
そうね。
「深層心理の中で妄想が現実となり、それを維持するのに彼女は自分のマナで繋ぎ止めたのか」
ふふ。
ぬいぐるみのわたしに、どれくらいマナがあったか知りたい?
…って。
どうして普通に会話してるのよ。
わたしの声が聞こえているの?
まさかそんな、在り得っこない。
わたしの声は、わたしの心は、わたしを生んだニーナ以外には認識できないの!
ニーナは、おねえちゃんは周りにどれだけ白い目で見られても、どれだけ気味悪がられて虐められても、わたしの存在を消そうとは一切しなかった。
あなたは、なんなの。
怖い。
あなたは、なぜわたしのことばが分かるの。
「ようやく理解した。なるほどな、お前はいわば、精霊のなり損ないというわけだ」
わたしの声が聞こえるのなら、わたしの質問に答えなさい!
「……」
ほら、やっぱり聞こえていな…。
「あの娘のマナを解析した」
え?
「だから分かる。お前の足取りも、微かな足跡を辿った」
それはわたしを殺しに来たってことでしょう?
いいのよ、別に。
でも少しだけ癪だから、あなたをここで殺してから死んでも遅くないかな。
あなたは侮れない。
神は人間の一単体なんて気にしないのに、あなただけは別だったわ。
あなたは神の嫌われ者。わたしがあなたを殺せば、もしかするとこの町は助かるかもね。
褒美にこの町を、おねえちゃんを助けてほしいと神に願えば、あなたの命と引き換えにどうにでもなりそう。
「好きにすればいい」
は?
「抵抗すれば俺もお前を殺すだけだ」
わたしを殺せば、あなたを想っているニーナがあなたを憎っ…。
「好きにすればいいと言っている。俺も、個々の人間の単一情報など気にしない。俺にとって敵か味方かだけでいい。情に訴える目論見が外れたな」
さっきからあなたは何を言っているの!
それに精霊って何なのよ。わたしはテルマ!
おねえちゃんから生み出された、おねえちゃんの大事な妹のテルマよ!
「お前が何だろうとどうでもいい」
な!
「いつ、意識が覚醒した?」
なんなの、このひと。
めちゃくちゃ偉そうじゃないの。
そ、そりゃあ、わたしはこの人には敵わないし、さっきわたしが逃げた時、なんとなくわざと隙を作ったんじゃないかなあって感じたのね。
この人の魔法は、わたしを一瞬で殺せるぐらい凄いものだから。
二日前よ。
おねえちゃん達が廃墟に行った日。
今より二日前、急に意識が浮上した。
何の前触れもなかった。
相変わらずわたしはベッドに寝転がっていて、わたしがわたしという認識すらも持っていなかったのに突然、わたしは「おねえちゃんが作り出した妹のテルマ」だと意識したんだった。
「それから?」
それからは…。そうね、何もなかったわ。
ぬいぐるみが「考える」だけでも末恐ろしかったんだもの。
おねえちゃんが帰ってこなくて良かったと思った。だってわたしはベッドの上で一晩中呻いていたんだから。
苦しくて、うるさくて、きつくて、怖かった。
20年の記憶をどんどん辿って、おねえちゃんが毎日毎日わたしに語ってくれた言葉を思い出してやっと動けるまでいったのよ。
「うるさい?」
そうよ、本当にうるさい。
今も、ずっとうるさいのよ。
いい加減、耳を切り落としたくなっちゃう。
でも頭に直接響いてくるから、落とすとなると首になっちゃうね。
「何か声が聞こえるのか?」
どうしてあなたにそこまで話さなければならないのかしら。
とても高飛車で偉そうで、傲慢で自分が特別な存在だとでも思っているの?
それに声が聞こえるとわたしが言ったら何なの?このうざいったらない声をあなたが消してくれるとでもいうの?
「それをお前が望むのなら」
え!
うっそ。
冗談で言ったのに、本当にできるの?
え、どうしてそこまでしてくれるの?
わたし、あなたに何も与えられないよ。
わたしのニーナはあなたが奪った。わたしが知ってる事なんて、たかが二日間の出来事よ。
「それが精霊の具現化の方法に繋がるのならな」
ほーほー?
「精霊が何かを依り代に具現化するなど聞いた試しがない。人のマナを得て精霊化するのも滅多にない事だ。恐らくは、お前が持つ例の石、あれが何らかの作用を齎しているはず」
石?
あの、とってもきれいでとうめいでキラキラしたあの石を言っているのかな。
お兄ちゃんはわたしを殺しにきたのではないの?
「死にたければ勝手に死ねばいい。それは自分で決める事だ。」
……。
「お前の生きた二日間の詳細と、その石を俺に寄越せば、お前の未来を考えなくもない」
はあ?
本当にあなたって人は傲慢なのね、ニーナったらこんな人に心を奪われなくても…ってもう遅いかな。
あなたもずるいのよ!
いい年齢なのに異性に疎いニーナが、あんなイケメンを目前で見せられて、惹かれないって方がおかしいわよ。
で、なんなの、タダで喋らせるつもり?
正直言って、わたしはもう疲れてるの。
おねえちゃんに要らないって云われちゃったから、わたしが存在する意味がないの。
わたしの頭の中で、あなたを殺せ殺せと神が命令してくるけれど、わたしはもう抵抗どころか戦う気すら残ってないわ。
何でも喋ってあげるわよ。
それが巡り巡っておねえちゃんの為になるのであれば本望よ。
どうせわたしは人間をたくさん殺してしまったし、人間のルールは良く分からないけれど罪を償えというのならばそうする。
で、なあに、聞いてあげるわ。
「交換条件をやる。彼女…ニーナを」
え?
「唯一のお前の心残りなんだろ。彼女を悪いようにはしない。彼女の望むまま、俺に着いてきたければ受け入れるし、旅がしたければ最大限に援助する。勿論、町に残るというなら町ごと支援しよう」
ほん、と?
「ニーナの今後の人生は俺が保証する。俺の身体如き、幾らでもくれてやる。これは破格の条件だぞ。お前が死んだ後もニーナは幸せに生きる。クマのぬいぐるみの最期としては贅沢な話だと思うがな」
ふふ。あはははは。
自分でそれを言う?
あははは。
おっかしい!
可笑しすぎて、とっても嬉しいわ!!!
ふふふ、あなたは落として上げるのがお上手だこと。
さあ、いらっしゃいな。
おねえちゃんに貰った石ならここにある。
それにこんなわたしにいちいち時間を取られるのも本意じゃない。
せっかくニーナを幸せにしてくれると約束してくれたんですもの。
町中をうろついてる神にニーナが殺されてしまう前に、さっさとあなたが向かってほしい。
あなたがニーナを、この町を救うのよ。
「……」
わたしはなんて幸せなぬいぐるみなんだろう。
思いっきり笑いたかったけど、バッテンのお口はやっぱり開いてくれない。
だけどもう気にしない。
おねえちゃんにわたしは必要なくなってしまったけれど、命を吹き込んでくれたあの子にようやく本当のお返しができるんだもの。
大事な人たちを殺してごめんね。
でも、もっと大事な人になる人を、あなたの後ろにくっ付けてやったわよ。
最後にあなたの役に立ててよかった。
ありがとう、サメのお兄ちゃん。
わたしはおねえちゃんに望まれて生まれてきたのに、おねえちゃんに嫌われてしまった。
おねえちゃんがわたしを求めたからわたしはテルマになったのに、殺されようとしているわたしをおねえちゃんはじっと見てた。
おねえちゃんがいるからわたしが在るのに、おねえちゃんはわたしを否定した。
何もかも思い出して、わたしを捨てた。
おねえちゃんだけずるい。
おねえちゃんの心はわたしのものだったのに、いまは違う人が住み着いてる。
わたしは行き場がなくなった。
おねえちゃんが必要としてくれなかったら、どうしてわたしがここにいるの?
ベッドの上しか知らないわたしにはとても大きな世界。こんなに暗くて冷たくて汚いところだった。
おねえちゃんはこんな醜い外の世界に憧れていたの?
あんなに、自分が壊れるまで信じた『妹』を捨ててまで、あの家にいたくなかったのね。
わたしの20年はなんだったの。
わたしはあなたの為だけに在ったのに。
こんなに泣いても、ボタンの目からは涙一滴だって出やしない。
きつく縫い付けてあるバッテンの口は、どう頑張っても開かない。
両足がもげ、色んなところから綿が飛び出しているのに、ちっとも痛みなんて感じない。
せっかく動けるようになったのに、やっとおねえちゃんの本物の妹になれたと思ったのに、わたしはわたしのままだったのね。
醜いのは世界じゃない。
わたし、だ。
人間でもなく、クマのぬいぐるみでもないわたしは、一体何なのだろう。
【殺せ。殺せ】
ああ、まだ声が聞こえる。
散々殺したじゃないか。おねえちゃんの大事な人たちを。
あの連中を一人残らず殺したら、おねえちゃんは鳥かごから解放されて、病気の治ったわたしといつまでも永遠にいられるのではなかったのか。
【殺せ。人間を殺せ】
わたしに力をくれるだけくれてあとは放置する気?
嘘つき。
わたしはぬいぐるみのままじゃないか。
おねえちゃんはひたすら後悔して、それでも最終的にわたしを捨てた。
それにわたしの力は、あのお兄ちゃんには全く効いてない。
何一つ、いいことなんてない!
神の声が聞こえた時にできたわずかな隙をついて逃げてきたけど、あのまま死んじゃっていれば少しは楽だったのかな。
人間なんて、意思なんて、あるだけ損だ。
人間なんて面倒だ。
意思なんて辛すぎる。
わたしはいつかおねえちゃんとおしゃべりしておままごとして楽しく遊ぶ日々を夢見ていたけれど、こんな結果になるのだったらもうワガママは言わない。
わたしをただのぬいぐるみのままでいさせて欲しかった。
もう何も望まない。
妹がいると思い込んでるおねえちゃんと、あの小さな部屋で二人でいる方がはるかに幸せだった。
どうしてこうなってしまったの。
おねえちゃんが20年も信じてきた『妹』の存在を、出会って数日のあの変なお兄ちゃんに奪われるとは思わなかった。
そうね。
お兄ちゃんの力に警戒しろと言っていたわね。
忘れていたわけじゃない。わたし如きでは、太刀打ちできなかっただけ。
それに。
元気に動いてるわたしを見て、もっと喜んでくれると期待していた。
おねえちゃんを縛る団の人たちを皆殺しにして、これで旅立てるありがとうと言ってくれるものだと勝手に思ってたわ。
どれも結果は散々だったけれどね。
【殺せ。殺せ。人間を殺せ】
ああ、もう!
いい加減しつこい!
町がわたしがいなくても、もう大混乱よ。いちいちわたしが殺さなくたって、町は悲鳴に溢れてる。
わたしはもういなくなりたいの。
おねえちゃんが要らないのなら、わたしが在る必要は全くないわ。
わたしは今でもおねえちゃんが大好きよ。
わたしのちっぽけな世界は、おねえちゃんだけで充分なの。
ヒタリヒタリ。
小さな足音が近づいてくる。
あのマナの輝きは…。
はあ、わたしもここまでね。
とっても短い人生?クマ生?ぬい生?ま、どうでもいいわ。
元々ぬいぐるみに命なんてないのだから。
ちょっとだけ哀しいけど、あの短い時間におねえちゃんに会っただけでも奇跡よね。
うん、大丈夫。
ヒタリ。
足音が止まった。
とても綺麗なマナの輝き。
わたしの、おねえちゃんが今まで注いでくれたマナは全部餌にしちゃってなくなってしまった。
わたしのマナもあんなに綺麗だったらいいな。
おねえちゃんのマナだもの。綺麗に決まってる。
あの人のマナを奪うのは無理よ。
マナの量だって尋常じゃない。観測不能なんだから。
膨大すぎて、入り込む事すら無理よ。
いい気味ね。
幸せにすると約束を破ったのはそっち。
わたしは二度と、神のことばを信じない。
一気にやられちゃうといい。神の力はマナを凌駕するけれど、あの人の力はそれすら超越してる。
ごめんね。わたしが先にいってしまうから、神の最期を見れなくて。
ごめんなさい、おねえちゃん。
あなたが大好きだった。
あなたが赤ちゃんの頃からずっと一緒だった。
あなたがわたしにテルマを見ようと利用しようと、本当にどうでもいいの。
ニーナ、あなたは生きて。
生きて今度こそ、この町を出るの。
渇望した世界に飛び出して、あなたは自由に生きるべきだわ。
町も家族も妹も団も全部捨てて、マナを輝かすお兄ちゃんの傍であなたも煌めいてほしい。
大事な人たちを殺してごめんね。
わたしがテルマじゃなくてごめんね。
あなたと過ごした20数年間。
わたしはとても幸せだったよ。
ありがとう、ニーナ。
「お前は、タルパだな」
たる?
「人工未知零体。幻影だ」
ふ、ふん。
止めを刺しにやってきて、敢えて傷口に塩を塗り込むつもりかしら。
ニーナはあなたを気に入っていたけれど、あなたはとても無神経な人なのね。
「想念の力によって幻影を視覚化。無から妄想を持続して命を吹き込み、そこに存在させ続けてコントロールされたもの。いわば、妄想の延長線の存在」
いちいちあなたに指摘されなくても、わたしがニーナの妄想の副産物だって事、ちゃんと理解してる。
ま、ぬいぐるみのわたしの言葉なんて、ニーナ以外には届かないのだけど。
そんなところで突っ立って、はやくわたしを殺せばいいのに。
あなたがこんなところで道草してる間にも、神はどんどん町を壊しているのよ。
あなたのその輝かしい魔法でもって、ニーナを守ってあげなさいよ。
わたしからニーナを奪ったんだから。ニーナの心を一瞬で持っていってしまった罪は重いのよ。
『妹』を見捨ててまでも、あなたに心を奪われているのだから、あの子は。
わたしはニーナの架空の友達。イマジナリーフレンド。
あの子が7歳の誕生日の日に、本物のテルマはプールに落ちて死んだの。
お母さんも父さんもお祖母ちゃんもみんな哀しんで、泣いて、テルマの死を悼んだけれど、ニーナだけは納得しなかったのね。
ニーナがあの日、テルマを一人館に残したまま昼寝しちゃったものだから。テルマが一人で危険な場所に行って勝手に落ちて死んじゃったのに本当はニーナの所為でもなんでもないのに、ニーナは自分の責任に押しつぶされちゃったのね。
未熟な心は耐え切れずに壊れてしまった。
だからニーナはわたしを作ったの。自分の身を守るために、無意識にわたしを生んだのよ。
ふふ。おかしい。
こんなこと、あなたに言っても仕方ないのにね。
ニーナの辻褄合わせは大変だった。
ほら、わたしはただのぬいぐるみでしかなかったから、どうしても矛盾が生まれるの。
動けず、成長もしないわたしをニーナは不治の病にすることで、なんとかわたしを維持したの。
ニーナが少しでもわたしを疑ってしまうと、幻影のわたしはすぐに消えちゃうから。
でも、周りの理解は得られなかった。
お母さんもお父さんもニーナを不気味がって、その原因のわたしをお母さんは何度も捨てようと試みたし、お父さんはテルマのお墓に連れて行って諭そうともした。
でも、ニーナの想像力の方が強かったみたい。
誰もがニーナを避けてしまう中でも、ニーナは立派にわたしのおねえちゃんを演じていたよ。
「そうか。そうして少しずつマナを蓄積して」
そうね。
「深層心理の中で妄想が現実となり、それを維持するのに彼女は自分のマナで繋ぎ止めたのか」
ふふ。
ぬいぐるみのわたしに、どれくらいマナがあったか知りたい?
…って。
どうして普通に会話してるのよ。
わたしの声が聞こえているの?
まさかそんな、在り得っこない。
わたしの声は、わたしの心は、わたしを生んだニーナ以外には認識できないの!
ニーナは、おねえちゃんは周りにどれだけ白い目で見られても、どれだけ気味悪がられて虐められても、わたしの存在を消そうとは一切しなかった。
あなたは、なんなの。
怖い。
あなたは、なぜわたしのことばが分かるの。
「ようやく理解した。なるほどな、お前はいわば、精霊のなり損ないというわけだ」
わたしの声が聞こえるのなら、わたしの質問に答えなさい!
「……」
ほら、やっぱり聞こえていな…。
「あの娘のマナを解析した」
え?
「だから分かる。お前の足取りも、微かな足跡を辿った」
それはわたしを殺しに来たってことでしょう?
いいのよ、別に。
でも少しだけ癪だから、あなたをここで殺してから死んでも遅くないかな。
あなたは侮れない。
神は人間の一単体なんて気にしないのに、あなただけは別だったわ。
あなたは神の嫌われ者。わたしがあなたを殺せば、もしかするとこの町は助かるかもね。
褒美にこの町を、おねえちゃんを助けてほしいと神に願えば、あなたの命と引き換えにどうにでもなりそう。
「好きにすればいい」
は?
「抵抗すれば俺もお前を殺すだけだ」
わたしを殺せば、あなたを想っているニーナがあなたを憎っ…。
「好きにすればいいと言っている。俺も、個々の人間の単一情報など気にしない。俺にとって敵か味方かだけでいい。情に訴える目論見が外れたな」
さっきからあなたは何を言っているの!
それに精霊って何なのよ。わたしはテルマ!
おねえちゃんから生み出された、おねえちゃんの大事な妹のテルマよ!
「お前が何だろうとどうでもいい」
な!
「いつ、意識が覚醒した?」
なんなの、このひと。
めちゃくちゃ偉そうじゃないの。
そ、そりゃあ、わたしはこの人には敵わないし、さっきわたしが逃げた時、なんとなくわざと隙を作ったんじゃないかなあって感じたのね。
この人の魔法は、わたしを一瞬で殺せるぐらい凄いものだから。
二日前よ。
おねえちゃん達が廃墟に行った日。
今より二日前、急に意識が浮上した。
何の前触れもなかった。
相変わらずわたしはベッドに寝転がっていて、わたしがわたしという認識すらも持っていなかったのに突然、わたしは「おねえちゃんが作り出した妹のテルマ」だと意識したんだった。
「それから?」
それからは…。そうね、何もなかったわ。
ぬいぐるみが「考える」だけでも末恐ろしかったんだもの。
おねえちゃんが帰ってこなくて良かったと思った。だってわたしはベッドの上で一晩中呻いていたんだから。
苦しくて、うるさくて、きつくて、怖かった。
20年の記憶をどんどん辿って、おねえちゃんが毎日毎日わたしに語ってくれた言葉を思い出してやっと動けるまでいったのよ。
「うるさい?」
そうよ、本当にうるさい。
今も、ずっとうるさいのよ。
いい加減、耳を切り落としたくなっちゃう。
でも頭に直接響いてくるから、落とすとなると首になっちゃうね。
「何か声が聞こえるのか?」
どうしてあなたにそこまで話さなければならないのかしら。
とても高飛車で偉そうで、傲慢で自分が特別な存在だとでも思っているの?
それに声が聞こえるとわたしが言ったら何なの?このうざいったらない声をあなたが消してくれるとでもいうの?
「それをお前が望むのなら」
え!
うっそ。
冗談で言ったのに、本当にできるの?
え、どうしてそこまでしてくれるの?
わたし、あなたに何も与えられないよ。
わたしのニーナはあなたが奪った。わたしが知ってる事なんて、たかが二日間の出来事よ。
「それが精霊の具現化の方法に繋がるのならな」
ほーほー?
「精霊が何かを依り代に具現化するなど聞いた試しがない。人のマナを得て精霊化するのも滅多にない事だ。恐らくは、お前が持つ例の石、あれが何らかの作用を齎しているはず」
石?
あの、とってもきれいでとうめいでキラキラしたあの石を言っているのかな。
お兄ちゃんはわたしを殺しにきたのではないの?
「死にたければ勝手に死ねばいい。それは自分で決める事だ。」
……。
「お前の生きた二日間の詳細と、その石を俺に寄越せば、お前の未来を考えなくもない」
はあ?
本当にあなたって人は傲慢なのね、ニーナったらこんな人に心を奪われなくても…ってもう遅いかな。
あなたもずるいのよ!
いい年齢なのに異性に疎いニーナが、あんなイケメンを目前で見せられて、惹かれないって方がおかしいわよ。
で、なんなの、タダで喋らせるつもり?
正直言って、わたしはもう疲れてるの。
おねえちゃんに要らないって云われちゃったから、わたしが存在する意味がないの。
わたしの頭の中で、あなたを殺せ殺せと神が命令してくるけれど、わたしはもう抵抗どころか戦う気すら残ってないわ。
何でも喋ってあげるわよ。
それが巡り巡っておねえちゃんの為になるのであれば本望よ。
どうせわたしは人間をたくさん殺してしまったし、人間のルールは良く分からないけれど罪を償えというのならばそうする。
で、なあに、聞いてあげるわ。
「交換条件をやる。彼女…ニーナを」
え?
「唯一のお前の心残りなんだろ。彼女を悪いようにはしない。彼女の望むまま、俺に着いてきたければ受け入れるし、旅がしたければ最大限に援助する。勿論、町に残るというなら町ごと支援しよう」
ほん、と?
「ニーナの今後の人生は俺が保証する。俺の身体如き、幾らでもくれてやる。これは破格の条件だぞ。お前が死んだ後もニーナは幸せに生きる。クマのぬいぐるみの最期としては贅沢な話だと思うがな」
ふふ。あはははは。
自分でそれを言う?
あははは。
おっかしい!
可笑しすぎて、とっても嬉しいわ!!!
ふふふ、あなたは落として上げるのがお上手だこと。
さあ、いらっしゃいな。
おねえちゃんに貰った石ならここにある。
それにこんなわたしにいちいち時間を取られるのも本意じゃない。
せっかくニーナを幸せにしてくれると約束してくれたんですもの。
町中をうろついてる神にニーナが殺されてしまう前に、さっさとあなたが向かってほしい。
あなたがニーナを、この町を救うのよ。
「……」
わたしはなんて幸せなぬいぐるみなんだろう。
思いっきり笑いたかったけど、バッテンのお口はやっぱり開いてくれない。
だけどもう気にしない。
おねえちゃんにわたしは必要なくなってしまったけれど、命を吹き込んでくれたあの子にようやく本当のお返しができるんだもの。
大事な人たちを殺してごめんね。
でも、もっと大事な人になる人を、あなたの後ろにくっ付けてやったわよ。
最後にあなたの役に立ててよかった。
ありがとう、サメのお兄ちゃん。
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精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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