63 / 170
二. ニーナの章
33. 石の聲
しおりを挟む
さて、これからどうしよう。
とりあえず外に出てはみたものの、これから先が思いつかない。
右足からどんどん腐っていく身体で家に帰るわけにもいかないし、私に着いてくるこの人達も放っておけない。
時間が経てば、いずれ私も彼らと同じように徘徊するだけの死人となるのだ。
誰かを殺してしまう前に、どうにかせねばならない。
「きゃああああああ!!!」
「うわああああああ!」
すぐ上で、複数の人の悲鳴が聞こえた。
この階段を昇った先、海の女神を奉る銅像のある広場の方向。
「く、来るなあ!!」
何者かが人を襲っている。
グレフか死人か。
前者の場合は少し死ぬ時間が早まるだけ。一思いにグレフに殺されるのも一興かと思ったが、やはりこの身体を殺戮に使われるのは嫌だ。後者の場合は、私でも何とか対応できそうだ。
運動能力を司る器官、即ち脳を、首を吹っ飛ばせばいいだけ。
右足が思うように動かないので階段を昇るのは一苦労であったが、その間に魔法を構築する。
私も魔法使いの端くれ。あの人のような桁違いの魔法ではないが、それなりに使えるとも自負している。15歳の時からずっと、暇さえあれば練習してきたのだ。
水の精霊メロウよ…
意識するんだ。
水の精霊しか呼べないが、水こそ万物の恵み。水は人の生きる糧、育み、慈しみ、揺蕩うもの。
しかし水は武器にもなるのだ。大量の水は溺れ、息もできず、身動きすらも取れない。
鋭い水の刃は、鋼の刃ですらも簡単に切れる。押しつぶされる水圧に、人は耐える事すら不可能だ。
揺蕩う水の恵み 鋭く細く鋭利な刃物となりて 万物を切り裂け…
腰に忍ばせていた真霊晶石の杖を握りしめる。
まだいける。私はまだ、人として誰かを助ける事ができるのだ。
階段をようやく昇りきると、酒場の扉の前に人はいた。
見知った顔、酒場の女将さんとご主人、酒場で修業中の息子の三人が外に出て、酒場の入り口の扉を懸命に押しているのだ。
時折扉の中から、ガサガサなのに滑った腕がニョキリと生えてきて、モガモガと宙を掴もうとしている。
三人がかりで押し問答している扉は、蝶番がガタガタで今にも外れそうである。
良かった、間に合った。
「扉を開けて!!」
突然叫んだ私に、必死の形相で扉を抑えていた三人が私に気付く。
この襲ってくる輩を外に出さないようにここで踏ん張っているのに何を抜かすと言った顔だったが、私の杖が青く光り輝き、魔法を構築している最中だと知って状況を理解してくれたらしい。
「開けたらすぐに逃げて!あなた達も危険だから!」
構築するは水の刃。
究極に水流を速く、極力細くして、絶対に欠けない刃を飛ばすのだ。
彼らが押さえ込んでいた手を離した瞬間、酒場の中から2匹の死人が前につんのめるようにして現れる。
これも作戦通りだ。
奴らが動きが鈍く、複数の動作は情報伝達がうまくいかないのか、再び動くまでに若干の時間が生じるのだ。
前にのめり込んだ奴らの首は、そのまま私に向かって差し出される事になる。体勢を元に戻すまでにはまだ多少の時間が掛かるはず。
思った通り、死人の首を目掛けて、私は刃を穿つ。
#濁流放水__アクエ・ニードル__#!!
水は滴りさえも無く凄まじい勢いで飛んでいき、スパっと気持ち良い音を立てて、二匹同時にその腐った首を切り落とした。
すぐに死人は膝から崩れ落ち、扉と外との境目でビクビクンと身体を撓らせている。
一方飛んで行った首はゴロゴロと階段下へ落ちていき、ボチャンとくぐもった音を出して海の中へと消えていったようである。
手足でもない限り、自力で浮いてくる事はできまい。
母なる海に善からぬ物体が二体も首のままで沈んでいると考えるといい気はしないが、私にしては上出来だ。
「あれはなんだ!」
残された胴体がピクピクするだけで安心したのか、酒場の主人たちが私に近づいてきた。
三人とも全身汗だくである。
寝込みを襲われたのか三人とも寝間着姿で、女将さんに至っては化粧すらしていないから誰だか分からなかった。
意外と結構な厚塗りだったんだなと、指摘するのも今更隠すのもそんな場合ではないので、私は彼らに向き直る。
「大丈夫ですか!噛まれたりしてませんか!」
ほんの少しだけでも死人の身体の一部が入り込んだだけでもこのザマなのだ。
私の場合、爪の先が食い込んだだけだろう。
しかし奴らのウイルスは確実に私を蝕み、侵食したのだ。目立った傷はなさそうだが、念の為に聞いてみる。
すっかり興奮しきった彼らは口々に喋りまくったが、触れられてさえもないようである。
私が倒した二人の死人は、この隣の宿屋に泊まる行商人たちであった。例の黒の行商人のおじさんとは関係ない別の人たちだ。
こんな夜中にドカンドカンと遠慮なく扉を叩くもんだから、女将さん達は二階から彼らの姿を確認して、この酔っ払いめ近所迷惑甚だしいと箒片手に出て行ったそうだ。
扉を開けるとどうにも様子がおかしくて、いきなり襲ってくるものだから持っていた箒で応戦した後、彼らを酒場の中に閉じ込め、女将さんと息子は二階から飛び降りて主人の加勢に入った所を、運よく私が通りがかって退治してくれた、という事らしい。
となると、宿屋はもうダメだろう。
私はまだピクピクして扉の前を占領している件の死人達の足を引っ張って道を作る。
「早く家の中へ!合図を聴いたでしょ、朝が来るまでしっかり戸締りして決して出ないで!!」
「ああ、カモメ団のお方…助かりました」
よほど怖かったのか、主人の箒を持つ手が震えている。
少しばかり寝間着の下が濡れていて、よくもまあこんな怖い状況で、家族を守るために戦ったものだと素直に感心した。
「女将さんたちも、さあ!」
「カモメ団に任せていれば安心だね」
「頑張ってください、カモメ団!」
「はは…善処します…」
彼らの目には脅えが残っていたが、団員である私の存在に安心しきってほっとした表情を見せていた。
既に殆どの団員が死んでいるのに…と喉まで出掛かる台詞を何とか押しとどめる。
不安に拍車をかける必要はないし、彼らをこれ以上怖がらせる意味も無いのだ。
どうせ明日になれば、朝が来れば全て分かる。
団員はほぼ全滅し、団長すらもいなくて、この町に戦える人はいなくなってしまっている事を。
彼らが扉にしっかりと木を通して鍵をかけたのを確認して、さあてこんな感じで最期まで人助けも悪くないと思っていた時、広場の端っこでもう動かなくなった首の無い死体の側に、見慣れた光があるのに気づく。
「これは…あの石?」
それを手に取り、広場の街灯に照らす。
それはまさしくあの行商人の売っていた、『願いの叶うという石』であった。
死体の側にあると言う事は、彼らがこの石を所持していたのだろう。
そういえば、と思い出す。
あの晩、廃墟で死人の軍勢に襲われた際、リュシアのえげつない魔法によって死人達は肢体も炭と化す高熱に焼かれて朽ち果てた。
アドリアン達が私達が戦った場所で拾ったという干しブドウのような黒いしわしわの物体の正体が、この透明な石だったのではと思い立ったのである。
急速に焼かれた石は小さく収縮したことでしわしわとなって真っ黒に焦げたと考えれば答えは見えてくる。
団員は行商人の売り文句にすっかり騙されて、殆どがその石を手に入れていた。思春期真っ盛りの彼らは、任務よりも恋愛に興じる年頃だったのがいけなかった。
あの大量に死人化した原因は、テルマが彼らを殺したから。そして命を失った身体をこの石が動かしているのだとしたら。
自分の想像で生まれたテルマだけが当てはまらなかったが、「命が無い、すなわちマナがない」と置き換えると彼女も該当者である。
この石は恐らく、死んだ者だけに反応するものなのだろう。
その時であった。
「!!」
感覚の失われた右足が急に熱を発し、もげそうなほどに痛んだのだ。
余りの痛みにその場で足を抑えて座り込んでしまう。
【ころせ!】
そして、突然頭に声が響いたのである。
「え!」
左右を見渡すが、私以外に人はいない。
私に着いてきていた建物内にいた死人は階段を上がるのに一苦労のようで転がり落ちては昇っての繰り返しでまだ広場には着いていない。
【ころせ、にんげんをころせ!!】
強いお酒を呑みすぎて二日酔いになったような気分だ。
グワングワンと鐘の中に頭を突っ込んで打ち鳴らされているような鈍痛と、目の裏側がツキンと激痛が走る。
最悪な気分だ。
「な、なに…」
【ころせ、あらがえ、たたかえ、したがえ】
「頭に!ううっ…」
この石を持った瞬間に、頭に響いたのだ。
声の主は分からないが、とても低くて感情の籠っていない恐ろしい声だった。
声は直接脳に響き渡り、呪いの呪文のように同じ言葉を繰り返している。
殺せ、殺せと。
人間を殺し、従えと。
この石が原因なのかと地面に転がしてみれば、案の定頭の声は止んだ。
間違いない、全ての事象はこの石だったのだ。
それを分かってあの行商人はタダ同然で石を売りさばいたのだろう。
売上金を海に捨てたのも、彼は外貨を稼ぐために行商していたのではなく、この町を滅ぼす為だった。
機会を狙っていたのか、それともただの偶然か。
今日という日にこの町の黙示録は堕ちたのだ。
とりあえず外に出てはみたものの、これから先が思いつかない。
右足からどんどん腐っていく身体で家に帰るわけにもいかないし、私に着いてくるこの人達も放っておけない。
時間が経てば、いずれ私も彼らと同じように徘徊するだけの死人となるのだ。
誰かを殺してしまう前に、どうにかせねばならない。
「きゃああああああ!!!」
「うわああああああ!」
すぐ上で、複数の人の悲鳴が聞こえた。
この階段を昇った先、海の女神を奉る銅像のある広場の方向。
「く、来るなあ!!」
何者かが人を襲っている。
グレフか死人か。
前者の場合は少し死ぬ時間が早まるだけ。一思いにグレフに殺されるのも一興かと思ったが、やはりこの身体を殺戮に使われるのは嫌だ。後者の場合は、私でも何とか対応できそうだ。
運動能力を司る器官、即ち脳を、首を吹っ飛ばせばいいだけ。
右足が思うように動かないので階段を昇るのは一苦労であったが、その間に魔法を構築する。
私も魔法使いの端くれ。あの人のような桁違いの魔法ではないが、それなりに使えるとも自負している。15歳の時からずっと、暇さえあれば練習してきたのだ。
水の精霊メロウよ…
意識するんだ。
水の精霊しか呼べないが、水こそ万物の恵み。水は人の生きる糧、育み、慈しみ、揺蕩うもの。
しかし水は武器にもなるのだ。大量の水は溺れ、息もできず、身動きすらも取れない。
鋭い水の刃は、鋼の刃ですらも簡単に切れる。押しつぶされる水圧に、人は耐える事すら不可能だ。
揺蕩う水の恵み 鋭く細く鋭利な刃物となりて 万物を切り裂け…
腰に忍ばせていた真霊晶石の杖を握りしめる。
まだいける。私はまだ、人として誰かを助ける事ができるのだ。
階段をようやく昇りきると、酒場の扉の前に人はいた。
見知った顔、酒場の女将さんとご主人、酒場で修業中の息子の三人が外に出て、酒場の入り口の扉を懸命に押しているのだ。
時折扉の中から、ガサガサなのに滑った腕がニョキリと生えてきて、モガモガと宙を掴もうとしている。
三人がかりで押し問答している扉は、蝶番がガタガタで今にも外れそうである。
良かった、間に合った。
「扉を開けて!!」
突然叫んだ私に、必死の形相で扉を抑えていた三人が私に気付く。
この襲ってくる輩を外に出さないようにここで踏ん張っているのに何を抜かすと言った顔だったが、私の杖が青く光り輝き、魔法を構築している最中だと知って状況を理解してくれたらしい。
「開けたらすぐに逃げて!あなた達も危険だから!」
構築するは水の刃。
究極に水流を速く、極力細くして、絶対に欠けない刃を飛ばすのだ。
彼らが押さえ込んでいた手を離した瞬間、酒場の中から2匹の死人が前につんのめるようにして現れる。
これも作戦通りだ。
奴らが動きが鈍く、複数の動作は情報伝達がうまくいかないのか、再び動くまでに若干の時間が生じるのだ。
前にのめり込んだ奴らの首は、そのまま私に向かって差し出される事になる。体勢を元に戻すまでにはまだ多少の時間が掛かるはず。
思った通り、死人の首を目掛けて、私は刃を穿つ。
#濁流放水__アクエ・ニードル__#!!
水は滴りさえも無く凄まじい勢いで飛んでいき、スパっと気持ち良い音を立てて、二匹同時にその腐った首を切り落とした。
すぐに死人は膝から崩れ落ち、扉と外との境目でビクビクンと身体を撓らせている。
一方飛んで行った首はゴロゴロと階段下へ落ちていき、ボチャンとくぐもった音を出して海の中へと消えていったようである。
手足でもない限り、自力で浮いてくる事はできまい。
母なる海に善からぬ物体が二体も首のままで沈んでいると考えるといい気はしないが、私にしては上出来だ。
「あれはなんだ!」
残された胴体がピクピクするだけで安心したのか、酒場の主人たちが私に近づいてきた。
三人とも全身汗だくである。
寝込みを襲われたのか三人とも寝間着姿で、女将さんに至っては化粧すらしていないから誰だか分からなかった。
意外と結構な厚塗りだったんだなと、指摘するのも今更隠すのもそんな場合ではないので、私は彼らに向き直る。
「大丈夫ですか!噛まれたりしてませんか!」
ほんの少しだけでも死人の身体の一部が入り込んだだけでもこのザマなのだ。
私の場合、爪の先が食い込んだだけだろう。
しかし奴らのウイルスは確実に私を蝕み、侵食したのだ。目立った傷はなさそうだが、念の為に聞いてみる。
すっかり興奮しきった彼らは口々に喋りまくったが、触れられてさえもないようである。
私が倒した二人の死人は、この隣の宿屋に泊まる行商人たちであった。例の黒の行商人のおじさんとは関係ない別の人たちだ。
こんな夜中にドカンドカンと遠慮なく扉を叩くもんだから、女将さん達は二階から彼らの姿を確認して、この酔っ払いめ近所迷惑甚だしいと箒片手に出て行ったそうだ。
扉を開けるとどうにも様子がおかしくて、いきなり襲ってくるものだから持っていた箒で応戦した後、彼らを酒場の中に閉じ込め、女将さんと息子は二階から飛び降りて主人の加勢に入った所を、運よく私が通りがかって退治してくれた、という事らしい。
となると、宿屋はもうダメだろう。
私はまだピクピクして扉の前を占領している件の死人達の足を引っ張って道を作る。
「早く家の中へ!合図を聴いたでしょ、朝が来るまでしっかり戸締りして決して出ないで!!」
「ああ、カモメ団のお方…助かりました」
よほど怖かったのか、主人の箒を持つ手が震えている。
少しばかり寝間着の下が濡れていて、よくもまあこんな怖い状況で、家族を守るために戦ったものだと素直に感心した。
「女将さんたちも、さあ!」
「カモメ団に任せていれば安心だね」
「頑張ってください、カモメ団!」
「はは…善処します…」
彼らの目には脅えが残っていたが、団員である私の存在に安心しきってほっとした表情を見せていた。
既に殆どの団員が死んでいるのに…と喉まで出掛かる台詞を何とか押しとどめる。
不安に拍車をかける必要はないし、彼らをこれ以上怖がらせる意味も無いのだ。
どうせ明日になれば、朝が来れば全て分かる。
団員はほぼ全滅し、団長すらもいなくて、この町に戦える人はいなくなってしまっている事を。
彼らが扉にしっかりと木を通して鍵をかけたのを確認して、さあてこんな感じで最期まで人助けも悪くないと思っていた時、広場の端っこでもう動かなくなった首の無い死体の側に、見慣れた光があるのに気づく。
「これは…あの石?」
それを手に取り、広場の街灯に照らす。
それはまさしくあの行商人の売っていた、『願いの叶うという石』であった。
死体の側にあると言う事は、彼らがこの石を所持していたのだろう。
そういえば、と思い出す。
あの晩、廃墟で死人の軍勢に襲われた際、リュシアのえげつない魔法によって死人達は肢体も炭と化す高熱に焼かれて朽ち果てた。
アドリアン達が私達が戦った場所で拾ったという干しブドウのような黒いしわしわの物体の正体が、この透明な石だったのではと思い立ったのである。
急速に焼かれた石は小さく収縮したことでしわしわとなって真っ黒に焦げたと考えれば答えは見えてくる。
団員は行商人の売り文句にすっかり騙されて、殆どがその石を手に入れていた。思春期真っ盛りの彼らは、任務よりも恋愛に興じる年頃だったのがいけなかった。
あの大量に死人化した原因は、テルマが彼らを殺したから。そして命を失った身体をこの石が動かしているのだとしたら。
自分の想像で生まれたテルマだけが当てはまらなかったが、「命が無い、すなわちマナがない」と置き換えると彼女も該当者である。
この石は恐らく、死んだ者だけに反応するものなのだろう。
その時であった。
「!!」
感覚の失われた右足が急に熱を発し、もげそうなほどに痛んだのだ。
余りの痛みにその場で足を抑えて座り込んでしまう。
【ころせ!】
そして、突然頭に声が響いたのである。
「え!」
左右を見渡すが、私以外に人はいない。
私に着いてきていた建物内にいた死人は階段を上がるのに一苦労のようで転がり落ちては昇っての繰り返しでまだ広場には着いていない。
【ころせ、にんげんをころせ!!】
強いお酒を呑みすぎて二日酔いになったような気分だ。
グワングワンと鐘の中に頭を突っ込んで打ち鳴らされているような鈍痛と、目の裏側がツキンと激痛が走る。
最悪な気分だ。
「な、なに…」
【ころせ、あらがえ、たたかえ、したがえ】
「頭に!ううっ…」
この石を持った瞬間に、頭に響いたのだ。
声の主は分からないが、とても低くて感情の籠っていない恐ろしい声だった。
声は直接脳に響き渡り、呪いの呪文のように同じ言葉を繰り返している。
殺せ、殺せと。
人間を殺し、従えと。
この石が原因なのかと地面に転がしてみれば、案の定頭の声は止んだ。
間違いない、全ての事象はこの石だったのだ。
それを分かってあの行商人はタダ同然で石を売りさばいたのだろう。
売上金を海に捨てたのも、彼は外貨を稼ぐために行商していたのではなく、この町を滅ぼす為だった。
機会を狙っていたのか、それともただの偶然か。
今日という日にこの町の黙示録は堕ちたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる