蒼淵の独奏譚 ~どこか壊れた孤高で最強の魔法使いがその一生を終えるまでの独奏物語~

蔵之介

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二. ニーナの章

47. 瓦礫の底の侵略者

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 船着き場で待つリュシア達と合流する。

 行く道がてら死人とすれ違うも瓦礫に身を潜めてやり過ごし、無事に辿り着く。
 死人の動作はのろく、大きな音を立てなければこちらに気付かない。私は運が良かった。


 リュシアは空を見上げていた。

「人形たちを感じるんですか?」

 彼には何も説明していない。私が傀儡を行使している事も知らないはずなのに、もう全て承知しているかの態度であった。

「少しな」

 彼は空を見ている。育みの太陽すら霧に阻まれている頭上を。
 そこに私が従えた10体の人形とテルマが、グレフの痕跡を探している。
 彼には見えているのだろうか。まるでその姿を追うように空を一心に見つめている。


「ほい、嬢ちゃん」

 アッシュから一口大の飴を渡された。

 薄い緑色をしている。
 促されるまま口に入れると、新触感を味わえた。

 それは飴かと思わしき硬さなのに、口内で蕩けて柔らかくなったのだ。
 若干の粘り気が噛むのに丁度いい。
 程よい甘さと、柑橘系の酸っぱさが入り混じり、絶妙な配分でとにかく旨い。

「なにこれ、すっごく美味しい!!」

 もぐもぐもぐ。
 咀嚼し、飲み込む。

 すると仄かに身体が温かくなる感覚に包まれる。

 疲れた身体には甘いものが効くと昔から言われるが、この染み渡る力の感は何なのだろう。
 初めての感覚に戸惑っていると、得意気な顔をしたアッシュが鼻の下を擦りながら笑っている。

「へへーん、効くだろ!アッシュ特製滋養強壮なんちゃってライムチュウ!略してナンチュウだ!」
「なんちゅう…?それよりも力が湧いてくるような、凄く不思議な感覚がするんだけど…」
「あん?そりゃ、ナンチュウの中に魔法の効果を入れてっからな」
「え!食べ物の中に、魔法を!?」

 涼しい顔でさらっととんでもない事を言っている自覚はあるのか。

 魔法の力は即効性。目の前で発動し、その場で展開されるのが通例だ。
 何らかのアイテム内に魔法の力を含ませるなど、神話の遺物かみのきせき以外聞いた事がない。その存在すら稀少なのに、アッシュはそれを簡単に生み出しているのか。

 なんて規格外の人たちなのだ。


「体力とか怪我を治すんじゃなくて、真霊力マナを回復させるんだぜ。あんたがずっと魔法を使ってるって旦那が言うから、待ってる間に作ってみた」

 即興で、しかもマナの回復だとのたまう。

 確かに人形を空に放ってごっそり失ったマナが補充されている。
 マナは自然に回復するのを待つしか手立てがない。
 そもそも真霊力というエネルギーそのものを扱う術を、人間では持て余して使えないはずなのだが。

「信じられない!それも、リュシアさんのマナの同化の力という訳なの…?」
「まあ、俺自体がすっげえ疲れっからあんまり数が作れない上に、他人のマナじゃ回復しねえからよ。あんた以外にゃ意味ねえけどな」

 そうなのだ。
 マナは誰しもが肉体に保有するエネルギー体だ。それぞれ個別の指紋があるように、マナにもその人の特徴がある。マナはいわゆる自然現象を空気のように取り込んで、自分独自に身体の中を馴染ませているものである。

 だから一概にマナといっても大元のエネルギーが同じだけで、性質は千差万別だ。
 当然、マナを回復させるのは自分と同じ性質のマナが必要となる。他人からそんなのを与えられるのはまず無いので、自然回復を待つというのはそういう事だ。


 そうか。アッシュは過去、リュシアとマナの同化を行って、彼のマナを一部有したのだ。
 それは私の身体を流れるマナと同一のもの。私以外に意味は無いのも頷ける。
 リュシアのマナの性質を、このナンチュウとやらに入れたのだろう。


「回復魔法を使う奴はあんまりいねえみたいだし?これだと持ち運びできっから、色々試してんだぜ」
「凄い、アッシュ。見かけによらず」
「見かけによらずは余計だっつーの!旦那は回復魔法とか使わねえし、バランス的に丁度いいだろ?」

 そういえば、と思う。
 私の死にかけた肉体をこの世に蘇らせたのはリュシアだ。
 マナの同化を施して私は心身ともに回復したが、それ以前に簡単な回復魔法を使う姿を私はまだ見ていない。

「まさか彼ほどの魔法の使い手が、回復魔法が使えないなんてない、わよね?」

 魔法は6大元素によって紡がれるが、その多くは攻撃魔法であり回復となると少し勝手が違う。
 自分なり相手なりの『細胞を活性化させて自己再生速度と自己治癒力を高める』のが回復魔法の本質であり、6大元素とは若干異なるのだ。

 大まかに分類すれば「光」に属するだろう。
 しかし対人間に施す魔法は繊細さを求められる。攻撃魔法を構築するよりも遥かに集中力と細かな調節が必要となるのだ。

 これが大概面倒くさい。

 しかも回復力は掛けた相手側の治癒力に依存する。
 魔法はそれを手助けするに留まり、爆発的な瞬時の復活は望めない。

 分かり易く説明すれば、足を骨折して全治6か月の所を、毎日回復魔法をかける事によってそれが4か月に縮んだ―ーー程度の力なのだ。

 まあ。擦り傷程度であればすぐに治るし、大事に至る前に応急処置が出来るから全く無意味ではないのだけれど。


「俺は一度も見た事ねえな。自分自身には使ってるみてえだけどよ」

 昨夜、館でロルフ団長を挑発して殴られた彼の頬は腫れただろう。血も出ていたから唇も切れていたはずだ。
 でもそれから数時間後に私が彼の顔を初めて見た時、そんな怪我など何処にも無かったのだ。
 普通ならば数日は残るだろう。内出血の痕は治るのも遅いのだから。

「あの脳筋よりもでけえ変態騎士団長にも殴られて平気そうだろ?あんなに吹っ飛ばされて、普通ならどっかおかしくしてるって」

 ケラケラ笑うアッシュの目はリュシアを見ている。すぐ近くにいる私達の会話が聞こえていないはずはない。
 なのに当の本人は無関心である。

「そんなワケでしっかり食っときな。あんたの魔法が頼みの綱なんだからよ」
「うん、ありがとう。アッシュ」

 マナが回復し、力が湧き出でる。テルマもそうだが、人形たちの感度も上がったようだ。
 漠然とマナの濃淡を捉えていた感覚が、よりはっきり判別できる。



 いける。
 そう確信した。



 ■■■



 廃墟の西側エリア、あの死人が現れた墓場周辺は空振りであった。
 死人すらもいない。墓場を焼いて正解だった。これに死人の大群がいたら、もっとマナは淀んでいただろう。

 人形たちを東エリアに集中させる。

 マナの偏りがある場所は、はぐれのグレフか死人の残りがいるようだ。

 幸いにも私達以外の人間はいない。
 騎士団が便宜を図ってくれた中に、この地を封鎖するという役割も果たしてくれているのだとリュシアは言った。

 あの騎士団長は大概気に食わないが、仕事は早く頼りにもなる。その点は流石、天下に名を轟かせた騎士団長総帥閣下である。
 あの陣幕で何をリュシアと取引したのかは分からないが、よほど騎士団長にとって良いものだったに違いない。

 ここまで至れり尽くせりなのだから。


「ここと、ここにグレフ。…この辺りに死人がいるかも」

 ギャバンの用意した手書きの地図に書き込んでいく。
 後で危険分子を全て退治するからだ。万が一、町に繰り出されると危険極まりない。それにこの廃墟は遺物を漁りに一般人も多数やってくるのだ。

 憂いは全て断つ。

「この地図は後で団長に渡すから。…騎士団が後始末してくれるみたいだね」
「なんでもやってくれるんだね、騎士団長って」

 ほんと、やってくれ過ぎて怖いくらいだ。

 彼は何を支払ったのだろう。
 どうせ聞いても答えてくれないだろうし、関係ないと一蹴されるのがオチだ。

 だってあの陣幕の騎士団は、とにかく私達を下に見ていて、問答無用で非難しかしなかったのだ。
 心変わりの代償が何だったのか、気になるのだから仕方ないじゃないか。


「ニーナ…集中しないと。あんまりマスターを困らせ過ぎないようにね」

 そうだった。
 いけない。私は一度考え込むと、泥沼に嵌る節がある。

 悪い癖だ。それに今はこんなことを考えている場合じゃないのだ。



 空からの探索は大分絞れてきた。
 西側と東側の入り口周辺は違う。

 怪しいのは港周辺と中央部分。過去多くの人間が住んでいた場所は、マナの軌跡も濃く残っているのだ。


「おねえちゃん!!」

 テルマの興奮した声が頭に響く。

「あ、そうか、一方通行か。おねえちゃん、聞こえる?あのね、港の辺り。あそこに人形を向かわせて!!」

 テルマの声は聞こえるし、テルマを通じて彼女が見ている映像は分かるのに、こちらの声が届かない。

 テルマは今、港周辺、災厄の被害をまともに食らった建物の残骸の山を見ている。
 マナの滞りは無い。むしろ他のどの場所よりも、マナの流れは正常だ。

「それが怪しいのよね。不自然過ぎない?他は混沌としているのに、そこだけ何もないって。幾つかのマナが交差してるっぽいんだけど、敢えてそうしているような…」

「え!お兄ちゃん!?」

 私とテルマ、二人同時に驚き止まる。
 リュシアが突然会話に割り込んできたのだ。

「テルマの声が、聞こえるの!?」
「……」

 しかしリュシアは応えない。黙るという事は、正しいのだろう。
 何となく彼の癖というか、コミュニケーションの仕方を把握しつつある。

「ニーナ、人形を全て飛ばせ」
「は、はい!」

 四方六方に散っていた人形たちを呼び寄せ、件の港に集合させる。
 空を飛ぶから瓦礫や土地の隆起に阻まれないのが強みだ。

「お前はその場で待機。万が一、何があるか分からんからな」
「おねえちゃんの目になっていればいいのね」
「ああ。グレフはマナを喰う。全て吸い付くされると、精霊であっても死ぬぞ」

「りょーかい!!…ふうん、お兄ちゃんの声は届くのかあ。おねえちゃんは後でやり方を教えて貰った方がいいかもね…。すごいなあ、お兄ちゃんとわたしは繋がってる訳じゃないのに…どうして会話が?マナの周波数を合わせた?いやいや、それこそ数値は固定されてないし計算するにしても天文学的だし…」

 何やらブツブツと独り言を言っている。

「テルマ?」
「ま、いっか。全部後回し後回し。さあ、いくよ!!」



 瓦礫の塊を掻い潜り、10体の人形は飛び回る。
 霧が一層濃くなり、一歩遠くから見ているテルマから入る視覚も白一色で何も分からない。

 あの辺りは大きな施設があった。
 土台が崩れ海に半分以上が浸かっている。崩れ、散乱した瓦礫は大きく簡単には撤去できない。私達でさえ探索に近寄れなかった場所だ。

「そこ、冒険者ギルドがあったね…」

 テルマの視覚を探知できないギャバンに地図で指し示すと、彼は懐かしむように目を細めた。

「ギャバンはリンドグレンの都市を知ってるの?」
「…うん。オレは元々そこの漁師だったからね」
「そうだったの!?」
「…昔だけど。災厄が起きて住めなくなったから、《中央》に落ち延びたんだよ」

 ギャバンの過去も色々と気になる所だか、今はあれこれと詮索しているより大事な事がある。
 問題は、その場所に私達が物理的に近寄れない事だ。

 建物は半分が海で、半分が潰れている。そこへと至る道もほぼ破壊されており、途中何度も海水が入り組んで阻まれる。
 徒歩で行くのは不可能だろう。重機を持ち込んで数千人単位で瓦礫を一から撤去すれば可能だが、それこそ現実的ではない。

「おねえちゃん聞こえる?今建物上空にいるんだけど、人形達が何かを察知したみたいなの!」


 これは…。


 人形を通じて私も感じ取る。

 深淵の霧を抜けると、そこは真っ新で穢されていないマナが充満していたのだ。


 この10年。災厄が人間を遠ざけ、不可侵な領域であったこの場所は、皮肉にも人がいなくなったお陰でマナの濃度が純粋かつ濃い。
 そのマナは何物にも侵されていない。
 何色にも染まっていないのだから、つまり私の性質のマナに換える事が出来るのだ。

 純粋なマナを乗っ取り、人形は新たなマナを吸収する。一層感度を鋭くさせ、私の負担も和らいだ。

「外からは霧と瓦礫で何み視えない。おねえちゃんは分かる?」
「……――――」

 海に浸かっていない陸地部分は何もない。

 すると、海の中か。

 人形達を海に潜らせる。本当に役に立つ。人間が立ち入れない場所へ、何ら苦労なく忍び込ませる事が出来るのだから。


「…海の中、入りました」
「何か感じるか?」

 人形のマナを感じるのは私だけだ。隣に佇むリュシアはもどかしそうである。

「…いいえ。中は外よりもマナが濃くて…。水の精霊が干渉してきて難し……っつ!これは!!!…!!っつう…!」

 突然、目の前が弾けた。

 大波の気泡を一気に浴びた衝撃。頭が重く、クラクラと眩暈に身体をふら付かせる。

「嬢ちゃん!」

 地面に倒れ込む前にアッシュが支えてくれる。
 必死に踏ん張る。何とか状況を把握しなければ。

 継続魔法が途切れると人形を操れなくなる。もう、アンティーク店の人形は使い果たしてしまった。

 また最初からなんて手間もかかるし、貴重なマナの無駄遣いである。
 何だったのか。先ほどの衝撃は外部からだ。

 私自身ではない。そうか、あれは人形が受けた攻撃だったのか。

 意識を探ると二体いない。
 繋がった糸は、外からの攻撃を喰らって無理やり切断されたのだ。


 海の中は水の領域。水の精霊メロウの性質が最も強く影響する。
 だがあれは違う。自然現象でも魔法を喰らったわけでもない。
 もっと違う何か。マナの一片も感じられない、邪悪な力。

「人形が攻撃され、二体失いました。海の中、奥底に何かがいます!」

 私が叫んだ途端、海の水が逆噴射した。

 まるで大滝。重力に逆らい、凄まじい水圧と水流が人形共々押し上げる。
 成す術もなく、人形は陸に追いやられる。

 水の柱は空高く舞い上がり、霧を突き抜けて太陽の光を通す。
 キラキラと水飛沫が虹を創る。

 人形達が水に翻弄され、また1体が壊れて糸が途絶えた。

 私は人形を通して視ているだけで、攻撃手段を持っていない。勿論、防御もだ。
 人形は斥候の役割は果たしてくれるものの、その存在は無力で非常に無防備だ。

 改善の余地がありそうだ。敵地に赴くのに非武装、無抵抗なのは若干分が悪い。
 ここから生きて戻れたら、の話であるが。



 どうすれば。

 グレフの親玉の居場所は、間違いなくビンゴだろう。しかし海の中は外と違って自由だ。
 私達はあの場に物理的に行けず、海の中にも潜れない。

 地の利は完全に敵側にある。
 我々人間は無力だ。


 右手の人差し指を口元に当てて何やら考え込んでいたリュシアが顔を上げる。

「あれは鹿だ」
「へ?」

 唐突に何を言い出すのか。
 しかし彼は私達にお構いなしにずんずんと歩き出す。

「え、ちょっ…旦那!」

 私達も慌てて追いかける。

 リュシアの足は止まらない。早歩きというより、もはや走っている。


「アッシュとギャバンは何でもいいから、人形の替わりになるものを大量に持ってこい」
「…替わりになるもの?」

 リュシアの語尾に迷いは無い。

「石さえ嵌ればそれでいい。ただし、水に溶けないものだ」
「り、了解!集めたらどうすりゃいいんだ」
「あの雌がいたところに持ってこい。一刻後に全て終わらす。理解したら行け」
「ほいさ!」

 何か手立てがあるのか。

「精霊、お前はアッシュ達を護れ」
「精霊って…わたしにはテルマって名前があるんだけど!!…後でちゃんと訂正してもらうから」

 少し仏頂面のテルマが冒険者ギルド跡地の上空から離れ、アッシュ達が走った方向に飛んでいく。


「私は…?」

 最後に残った私はどうすれば。

 彼は真っ直ぐに前を見据え、私には目もくれない。


「お前は俺と来い。人形は攻撃を喰らわん位置に退避させておけ」
「は、はい!」


 私の役目、彼の傍に在る事であった。




 リュシアの号令の元、ようやく事態が動き出す。


 そう。
 全て終わらすのだ。


 私が真に飛び立つために、町を脅かした落とし前をつける。

 私の大事な仲間を奪った怒れる神グレフを滅し、町の平和を取り戻してせめてもの手向けの花としよう。
 彼らに報い、私が最終的に町を捨てる覚悟と―――リュシアに人生を預ける未来を信じて。



 さあ。


 
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