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三. セトの章
6. 選ばれしクズの子 ー回想ー
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朝を迎え、ほんの少し仮眠を取る。
また昼が来て気温が上がる中、最後の水をみんなで飲み干す。この黒い雨さえ飲めれば苦労せずに済んだのにと悪態を付いてみたが、何の解決にもならないので皆黙り込んでいる。
布を裂いて簡易的なろ過装置を作ってみたが、黒い粉塵はかなり細かくて布の隙間さえ通ってくれなかった。数時間かけて数滴の真水が出来たけど、乾いた喉を潤すには足りなさ過ぎて意味も無かった。
地震から14日。丸二週間。僕らが町を出発して5日目の夜。
相変わらず砂の上を歩く僕らは、また何かを見た。
疲労困憊の僕らは蜃気楼でも見ているかのようだった。
闇に包まれた砂漠の地に、ぼんやりと白いモヤのような影がゆらゆらと動いている。
こんなに真っ暗なのに、遠目からはっきりと見えたのだ。
輪郭は曖昧。だけど存在はくっきりしているといった矛盾を孕んでいる。
モヤはどんな形でもなかった。
分かり易く言えば、タバコを吸って吐き出された煙のような。
無形であり有形。モヤは煙のように掻き消える事無く、いつまでも砂地に立っているのだ。
「なんだ?」
野盗の一件もあって、先見の男も父も、他の従者も慎重である。
距離を取り、遠巻きにモヤの正体を探っている。
「そこだけ深い霧があるように見えますな」
「雨による自然現象であろうか」
たまに砂漠の水分が蒸発して、水蒸気が霧散せずにその場に留まり続ける事がある。
風が無いと起こり得る現象なのだが、それとは違う。
「スモッグ型の魔族か魔物かも知れませんね」
「魔族が出る話は聞かないな」
魔物は別として、人間と相対する魔族がこんな場所まで侵攻してくる事は滅多に無い。
《王都》は目と鼻の先にあり、人間の本拠地でもある。そんな場所に単身乗り込んでくるのは、魔族にとっても自殺行為だからである。
教会の庇護を受けた《王都》は難攻不落の要塞も兼ねている。
王は人間の最期の砦。魔族の進出を人間が簡単に許すはずはない。
創世の時代から王の血筋は絶えず、現在まで受け継がれてきた。王は人間の希望の象徴でもあり、魔族に対抗する最大のスポンサーでもあるのだ。
それに今、マナの恩恵に肖っているのは魔族の方だ。
マナに潤った魔族が敢えてマナの少ない人間側の大地に足を踏み入れ、何の意味があるというのだ。
マナに満ちた側の種族は、マナの覇権を奪おうと対する種族からの侵略を護る事に集中する。
悪戯に人間を翻弄する輩もいるが、魔族が人間の支配地域に入るルートは一本しかなく、それには《貿易都市》や、《中央》といった防壁を越えねばならない。
《中央》から砂漠に入り込んだ魔族の情報も入って来ていないから、このモヤが魔族の可能性である事は限りなく低い。
「ならば…魔物か」
父と先見の男、加えて従者は3人いる。どれも砂漠という過酷な血で揉まれ経験を積んできた屈強な男達だ。
たかが魔物一匹如きに遅れは取らないだろう。
それにしても野盗をやり過ごすのに2人も失ったのは痛手だった。1人は弓に射られ即死、もう1人は囮に使ったからね。
第一陣の斥候は3人死に、2人行方不明。第二陣の斥候は野盗に殺され、全員杭に刺さっていたという。
ただ《王都》に救助を要請しに行くだけなのに、こんなにも人を喪うとは思っていなかった。
白いモヤは何をするまでもなく、くねくねと気色悪い動きをしている。
仕掛けてこないのならば相手にする必要はないのだが、どうにも無視できない存在感がそれにはある。
なぜかこう、ピリピリと頭の毛が逆立つような、肌が冷たくなる感覚がするのだ。
魔法や超自然現象のようなオカルトの類いは好きではない。
仕組みとして現実世界に存在するのは常識として知っているが、ちっとも合理的ではないから嫌いなのだ。
旅の冒険者が一度魔法を披露してくれた事があったが、あの茶番劇な何だったのかと思い出すと笑いが込み上げてくるお粗末さだった。
散々集中し、長ったらしい詠唱を終え、やっとのこさ杖から出た代物はしょぼくれた花火だったのだ。
魔法とやらを一個発動する時間と、剣を100振りする時間は同じだった。
無駄な勉強と高い触媒を買って、それぐらいしか出来ない。それもちょっと火を熾したり、光を灯したり、奇術師紛いの行為をしたり。
全て人類の進化の英知である「道具」で賄える事を。
それをドヤ顔で披露する魔法使いとやらは、皆阿呆だと思っている。
何が自然の力を操るだ。そんな無駄で目に見えない発展途上の不確かな事に時間を費やさなくとも、人間は生きていけるのだ。
でも今の僕は、そんな不確かなモノ…第六感的な雰囲気を感じていたのである。
パチパチパチパチ
「!?」
突然、白いモヤがぶわりと広がった。
警戒する父らが身構えるそのモヤの真ん前に、黒い物体がすうと現れた。
モヤは発光し、前に佇む黒の物体を後ろから照らしている。
二本の足が見える。
パチパチパチパチ
この音は、手を叩いているのか。
人なのだろうか。他人の事は言えないが、こんな砂漠に一人きりとは。荷物も馬も見当たらず、至って軽装である。特筆すべきは上下ともに黒の衣服を着込んでいる事だけで。
「だ、誰だ!!」
野盗の可能性は捨てきれない。従者らが武器を構え、剣の切っ先をそれに向ける。
僕は役立たずだが、戦えるものが5人もいる。相手が一人なら何とかなるか。
パチパチパチパチ
拍手が鳴りやまない。無言で鳴らされる拍手がこんなにも不気味だとは知らなかった。
こちらからは逆光で顔が見えない。
だが、体つきから男。
すると男が前に進み出た。拍手を途切れさせぬままで。
「さきほどのじたいは、みごとでしたよ」
「!!」
「何者だ!名を名乗れ!!」
「みごとなまでのくずっぷりでした」
「何を言っている!」
白いモヤはくねくねするだけでその場から動かない。男は両手をパチパチと打ち鳴らし、戦闘体勢を取る父らに慄くわけでもなく、ちっとも臆さず近づいてきた。
見るからに手ぶら。光から距離を取った事でようやく顔が見えた。
何の変哲もない、ごく普通の中年の男である。チョビ髭を携え、人の好さそうなニコニコ顔を張り付かせて隙だらけだ。
「あそこにいたのもりっぱなくずでしたが、はなしがつうじませんでした。それはそれでかまわないのですが、あなたははなしがつうじますか」
何処か舌足らずで間延びした喋り方をする。所々言葉遣いのイントネーションもおかしい。田舎者によくある癖だ。
「何者だと聞いているのだ!貴様も我らに仇なす輩か!!」
「?」
大声を張り上げる従者にきょとんとした顔の男は、頭の上に大きなハテナマークを浮かべて首を傾げている。
そんな男に業を煮やしたのか、丸腰で危険性が薄いと高を括ったのだろう、従者の一人がずかずかと歩み寄り男の胸倉を摑み上げて顔をぐいと近づけて同じ台詞をもう一度言った。
「だから何者だと聞いているのが聴こえないのか!クズだのなんだの我々を誰だと思っている。ここにおわすは、誇り高き草原のま――――ぐぎゃ!」
しかし言葉は最期まで紡がれる事はなかった。
激高した従者の喉が、遠くにいるはずの白いモヤに貫かれたのだ。
「な!」
モヤはくねくねと触手のような手を伸ばし、息も絶え絶えの従者を拘束する。
僕らは身動きが取れないでいる。
野盗とは違う、凄まじい恐怖に押しつぶされそうだったのだ。
僕はガタガタと震える身体を何とか踏ん張るのに必死だった。喉が渇いて小尿すらも出ない脱水症状だったのに、軽く漏らしてしまうほどに。
「きいているだけなのにこうげきしてくるのはなかなかのくずっぷりですが、それではあそこにいたひととおなじです」
男は僕をじいと見つめながら笑った。
「ぼ、僕は!!」
「セト!」
「僕は、セ、セト!!これより先の草原の町から来た者だ!!」
「坊ちゃま!なりません!」
野盗よりも危険な存在だと思った。ビンビンに感じた第六感が、こいつには逆らうべからずとうるさく鳴り響いている。楽しんで人を殺していた野盗とは明らかに種類が違う。
この男があの白いモヤを操っているのは間違いない。
そして僕らの命を、「カス」ほどにも感じていない。
「せ、せと。くずのなまえ」
「セトだよ。それにクズって、ほんと酷い言い草だよね。初対面に向かってさ」
「せとははなしがつうじるのですか」
「なにを持って通じると言っているかは分からないけど。そっちが紳士的に攻撃しないなら、僕らだって何もしない。むしろ協力も惜しまないよ」
「セト…」
男は僕しか見ていない。
白いモヤに喉を貫かれた従者はビクビクと痙攣している。項垂れ、手足に力が入っていないから、もうだめだろう。
父と残りの従者は僕の前で構えを解いていない。僕が男と会話し出したのを最初は止めようとしたが、今は守るように庇うのみだ。
ここは男を刺激しないに限る。
男の目的は分からない。ひと様を捕まえて屑だの好き放題言ってくれているが、侮蔑した様子は見受けられない。
男の言う『あそこにいたクズ』とは、僕の予想が正しければあの野盗どもだ。あいつらに話が通じるとは思えない。
そして僕らを『屑』と呼んだ訳は、野盗から逃げる為に囮として人を置いて行った行為なのだろう。
どうしてそれが分かるかって?
そんなの、この砂漠に着いてそれくらいしか事件が起きていないからに決まっている。
野盗に出会ったのが最大の事件で、それ以外はずっと砂と戦ってきたのだ。あの数分にも満たない出来事で僕らがやった非道な『クズ行為』は、あれ以外考えられない。
僕だってどうかと思ったくらいなんだ。だけど崇高な血を絶やすわけにはいかないから、当然の事をしたまでであり咎められる理由なんてどこにもない。
「貴方の目的は何?事と次第によっては便宜を図らなくもないよ。まあ、それには砂漠を抜けて《王都》に助けを求めてからの話になるけどね」
「どうしてたすけがひつようなのですか。くずはなんでもできるのではないのですか」
「地震の被害に遭ったからだよ。貴方だって地震に遭遇したでしょ。僕らの町は瓦礫の山でどうしようもなくてね。それには《王都》か《中央》の人手が必要なんだよ」
「じしん」
男は「地震」と何度も繰り返す。
ちょっと精神的な意味でヤバい人かもしれない。話が通じる人を探している割に、男と会話が成り立たない。
しかし無下に扱うとさっきのようにモヤに殺されてしまう。
もはや万事休すか。この事態、どうすればいい。
「セト、話を合わせろ」
「分かってるけど、怖いよ」
何と言っても僕はまだ9歳の子どもで、父ほど頭が回るまでには勉強が足りてない。
精神異常者を前にどこまで食い下がれるか、僕には役者不足としか思えない。
だけど男は父たちには目もくれず、僕を一点に見つめている。これは腹を括って相手をしてやるしかないのか。
「何とか隙を探ってみよう」
「坊ちゃま、ファイトでございます」
「あの!貴方の名前を聞かせてくれないかい?」
懸命に取り繕って、ごく普通に僕は話しかける。
男はぶつぶつと言うばかりで答えてくれない。
ああ、もう!どうして僕がこんな目に!
「貴方はクズな奴を探していたの?」
第一声が「屑」だったのを思い出す。この男は僕らの囮作戦を見事であると褒めたのだ。
「あなたはくずですか?あのこういはいきるためのよくですか?」
「生きるための欲?それは当たり前だと思うけど。誰だって理不尽に死にたくないし、助かるなら何でもすると思うけどね」
「くずをさがしています。ことばのつうじるくずを」
男はニコニコと満面の笑みだ。
ついに喉を突かれた従者が事切れた。ピクリとも動かない。白いモヤは遺体となったそれを触手でちょこちょこと触り、感触を楽しんでいるように見えた。
この男の言葉の意味をそのまま捉えると、話が通じない。
屑行為をご所望のようだったので、町で食料と水を持ちだして放置しているとか、地震に遭う前は女をとっかえひっかえしていたとか、僕なりのクズ自慢をしてみたのだが、いまいちピンときていないようなのである。
真意は何だ。考えるんだ。
さっき男は何と言った?
「欲」がどうのこうの言ってなかったか。
屑の意味は『役に立たない例え』である。言い換えれば『価値の無い人や行為』という事。そしてそれをする時、僕らは自分本位、自分さえ良ければいい状態となっている。
すなわち、『生理的欲求』を満たす為に『屑行為』を果たすのだ。
そうか、僕の考えが正しければこの男の真意は「屑」そのものにあるのではない。
行為の意味の齎す根本的な感情を知りたいのだとしたら。
「貴方は『人間の欲望』を学びたいんだね。皮と骨と脳みそだけで作られた本当の人間のあるべき姿を」
「セト…」
「欲?」
父らが考えもつかなかった結論を男に告げた時、男はパチクリと目を見開き、僕の言葉の意味をじいと考え込んだ。
「教会が教える欲の中に7つの罪源があるけど、貴方が知りたいのはそれ以前のもっと根本的な事。それを知ってどうするかは僕には関係ないけどね」
本当はめちゃくちゃ怖かった。
これで話が通じないなら、僕にはもう成す術が無い。
「そうでした」
でも、この勝負、僕の勝ちだ。
「あなたはことばのつうじるくずのようです。わたしはくずをさがしています。おせんされたきたないばしょにわざわざきたのも、そうせざるをえなかったからです」
「汚染された地?」
この黒い雨の降る砂漠の地を言っているだろうか。
男の言葉は具体的のようで、その実際の意味はあまりにも抽象的で分からない。
「せと。くずのにんげんよ。わたしに『よく』をかたりなさい。おしえなさい。しめしなさい。そうすればわたしがあなたをたすけてあげましょう」
「僕らを助けてくれるというの」
「はい」
言葉のそのままの意味で取ってもいいのだろうか。
「僕らは貴方の知っている通り「屑」だから、助けは一つだけじゃないよ」
「そうですか」
「僕が望むもの、全て叶えてくれるのなら貴方の好きなだけ教えてあげる。見せてあげるし、示してもあげられる。それにはまず、町を復興しなければ話にならない。それとも違う誰かを此処で待つ?こんな砂漠の真ん中で、また話の通じない馬鹿な野盗に出会うだけかもね」
怖がっているのを悟られるな。
震える手は後ろに隠した。精一杯、小憎たらしい子どもを演じている。
「それは【とりひき】ですね」
「貴方がそういうなら、「取引」なんだと思うよ。貴方が僕を助ける代わりに、僕が貴方の望む知識を与えるという、ね」
「そうですね。まったくそのとおりです」
男はニヤリと顔を歪めた。
ニコニコ顔を能面ように張り付けていた男の表情が初めて変わった瞬間であった。
「ではまるっとじゅうねん」
「10年?」
「これをかします」
すると遠くにクネクネしていたあの白いモヤが何時の間にか僕の真ん前に立っていた。触手の先に従者の死体をぶら提げてである。
「せととこれとわたしがいいかんけいをきずきましょう。これよりじゅういちねんといちにちめに、かえしてもらうそのひまで」
グモモモモモモモモォォォ!!!!
「な!」
「なんて、聲だ…!!」
白いモヤが咆哮した。
そしてシュルシュルと煙が収縮したかと思うと、僕の中に入ってきたのである。
「え?わあああ!!」
「セト!!」
「坊ちゃま、大丈夫ですか!」
口からどんどん煙が吸い込まれていくのに、喉を何も通った気配がない。だけど身体がずしんと重くなる感覚がするのだ。
途端に眩暈を感じ、立っていられなくなってふらふらと尻餅をつく。
父に支えられながらも黒の男を見上げると、男はまたニコニコと先程の笑顔に戻って口をにんまりと開けた。
「けがれたちではじめてであったちてきせいぶつです。なにもしらないわたしたちをくずなこういでみたしてください。きたいしていますよ、くずなせと」
「は、はは…それは、良かった…」
幸か不幸か、僕らは【それ】と邂逅した。
いや、砂漠を無事に抜け、結局《王都》や《中央》の助けを借りず、無傷で町に戻れたのは幸運だった。
あの日、世界の全ては終わろうとしていた。
僕らは「屑」なお陰でその難を逃れ、世界が破滅に導かれていく条理の波に逆らってひたすら幸せを享受していく。
誰もが羨む贅沢な生活を、快楽を、そしてあらゆる『欲』を。僕らはありのままに受け入れ、世界にただ一つの『選ばれた民』だと信じ込んでこの世を能天気に謳歌していた。
おめおめと町に戻った僕らを待ち構えていた領民は、怒りの余り僕らをすぐにでも殺してしまいそうな勢いだったけれど、僕の口から現れた白いモヤが一瞬にして瓦礫を撤去して元通りの町に戻してくれた事で態度が軟化。さらに黒の男が「行商人」として大量の食料を無料で配った事で完全に沈下し、前以上に扱い易くなって従うようになった。
「やはりお前は特別な子だな。父は嬉しいぞ」
「そうだね。僕もそう思うよ」
僕らの町だけ、地震は無かったことになった。
また昼が来て気温が上がる中、最後の水をみんなで飲み干す。この黒い雨さえ飲めれば苦労せずに済んだのにと悪態を付いてみたが、何の解決にもならないので皆黙り込んでいる。
布を裂いて簡易的なろ過装置を作ってみたが、黒い粉塵はかなり細かくて布の隙間さえ通ってくれなかった。数時間かけて数滴の真水が出来たけど、乾いた喉を潤すには足りなさ過ぎて意味も無かった。
地震から14日。丸二週間。僕らが町を出発して5日目の夜。
相変わらず砂の上を歩く僕らは、また何かを見た。
疲労困憊の僕らは蜃気楼でも見ているかのようだった。
闇に包まれた砂漠の地に、ぼんやりと白いモヤのような影がゆらゆらと動いている。
こんなに真っ暗なのに、遠目からはっきりと見えたのだ。
輪郭は曖昧。だけど存在はくっきりしているといった矛盾を孕んでいる。
モヤはどんな形でもなかった。
分かり易く言えば、タバコを吸って吐き出された煙のような。
無形であり有形。モヤは煙のように掻き消える事無く、いつまでも砂地に立っているのだ。
「なんだ?」
野盗の一件もあって、先見の男も父も、他の従者も慎重である。
距離を取り、遠巻きにモヤの正体を探っている。
「そこだけ深い霧があるように見えますな」
「雨による自然現象であろうか」
たまに砂漠の水分が蒸発して、水蒸気が霧散せずにその場に留まり続ける事がある。
風が無いと起こり得る現象なのだが、それとは違う。
「スモッグ型の魔族か魔物かも知れませんね」
「魔族が出る話は聞かないな」
魔物は別として、人間と相対する魔族がこんな場所まで侵攻してくる事は滅多に無い。
《王都》は目と鼻の先にあり、人間の本拠地でもある。そんな場所に単身乗り込んでくるのは、魔族にとっても自殺行為だからである。
教会の庇護を受けた《王都》は難攻不落の要塞も兼ねている。
王は人間の最期の砦。魔族の進出を人間が簡単に許すはずはない。
創世の時代から王の血筋は絶えず、現在まで受け継がれてきた。王は人間の希望の象徴でもあり、魔族に対抗する最大のスポンサーでもあるのだ。
それに今、マナの恩恵に肖っているのは魔族の方だ。
マナに潤った魔族が敢えてマナの少ない人間側の大地に足を踏み入れ、何の意味があるというのだ。
マナに満ちた側の種族は、マナの覇権を奪おうと対する種族からの侵略を護る事に集中する。
悪戯に人間を翻弄する輩もいるが、魔族が人間の支配地域に入るルートは一本しかなく、それには《貿易都市》や、《中央》といった防壁を越えねばならない。
《中央》から砂漠に入り込んだ魔族の情報も入って来ていないから、このモヤが魔族の可能性である事は限りなく低い。
「ならば…魔物か」
父と先見の男、加えて従者は3人いる。どれも砂漠という過酷な血で揉まれ経験を積んできた屈強な男達だ。
たかが魔物一匹如きに遅れは取らないだろう。
それにしても野盗をやり過ごすのに2人も失ったのは痛手だった。1人は弓に射られ即死、もう1人は囮に使ったからね。
第一陣の斥候は3人死に、2人行方不明。第二陣の斥候は野盗に殺され、全員杭に刺さっていたという。
ただ《王都》に救助を要請しに行くだけなのに、こんなにも人を喪うとは思っていなかった。
白いモヤは何をするまでもなく、くねくねと気色悪い動きをしている。
仕掛けてこないのならば相手にする必要はないのだが、どうにも無視できない存在感がそれにはある。
なぜかこう、ピリピリと頭の毛が逆立つような、肌が冷たくなる感覚がするのだ。
魔法や超自然現象のようなオカルトの類いは好きではない。
仕組みとして現実世界に存在するのは常識として知っているが、ちっとも合理的ではないから嫌いなのだ。
旅の冒険者が一度魔法を披露してくれた事があったが、あの茶番劇な何だったのかと思い出すと笑いが込み上げてくるお粗末さだった。
散々集中し、長ったらしい詠唱を終え、やっとのこさ杖から出た代物はしょぼくれた花火だったのだ。
魔法とやらを一個発動する時間と、剣を100振りする時間は同じだった。
無駄な勉強と高い触媒を買って、それぐらいしか出来ない。それもちょっと火を熾したり、光を灯したり、奇術師紛いの行為をしたり。
全て人類の進化の英知である「道具」で賄える事を。
それをドヤ顔で披露する魔法使いとやらは、皆阿呆だと思っている。
何が自然の力を操るだ。そんな無駄で目に見えない発展途上の不確かな事に時間を費やさなくとも、人間は生きていけるのだ。
でも今の僕は、そんな不確かなモノ…第六感的な雰囲気を感じていたのである。
パチパチパチパチ
「!?」
突然、白いモヤがぶわりと広がった。
警戒する父らが身構えるそのモヤの真ん前に、黒い物体がすうと現れた。
モヤは発光し、前に佇む黒の物体を後ろから照らしている。
二本の足が見える。
パチパチパチパチ
この音は、手を叩いているのか。
人なのだろうか。他人の事は言えないが、こんな砂漠に一人きりとは。荷物も馬も見当たらず、至って軽装である。特筆すべきは上下ともに黒の衣服を着込んでいる事だけで。
「だ、誰だ!!」
野盗の可能性は捨てきれない。従者らが武器を構え、剣の切っ先をそれに向ける。
僕は役立たずだが、戦えるものが5人もいる。相手が一人なら何とかなるか。
パチパチパチパチ
拍手が鳴りやまない。無言で鳴らされる拍手がこんなにも不気味だとは知らなかった。
こちらからは逆光で顔が見えない。
だが、体つきから男。
すると男が前に進み出た。拍手を途切れさせぬままで。
「さきほどのじたいは、みごとでしたよ」
「!!」
「何者だ!名を名乗れ!!」
「みごとなまでのくずっぷりでした」
「何を言っている!」
白いモヤはくねくねするだけでその場から動かない。男は両手をパチパチと打ち鳴らし、戦闘体勢を取る父らに慄くわけでもなく、ちっとも臆さず近づいてきた。
見るからに手ぶら。光から距離を取った事でようやく顔が見えた。
何の変哲もない、ごく普通の中年の男である。チョビ髭を携え、人の好さそうなニコニコ顔を張り付かせて隙だらけだ。
「あそこにいたのもりっぱなくずでしたが、はなしがつうじませんでした。それはそれでかまわないのですが、あなたははなしがつうじますか」
何処か舌足らずで間延びした喋り方をする。所々言葉遣いのイントネーションもおかしい。田舎者によくある癖だ。
「何者だと聞いているのだ!貴様も我らに仇なす輩か!!」
「?」
大声を張り上げる従者にきょとんとした顔の男は、頭の上に大きなハテナマークを浮かべて首を傾げている。
そんな男に業を煮やしたのか、丸腰で危険性が薄いと高を括ったのだろう、従者の一人がずかずかと歩み寄り男の胸倉を摑み上げて顔をぐいと近づけて同じ台詞をもう一度言った。
「だから何者だと聞いているのが聴こえないのか!クズだのなんだの我々を誰だと思っている。ここにおわすは、誇り高き草原のま――――ぐぎゃ!」
しかし言葉は最期まで紡がれる事はなかった。
激高した従者の喉が、遠くにいるはずの白いモヤに貫かれたのだ。
「な!」
モヤはくねくねと触手のような手を伸ばし、息も絶え絶えの従者を拘束する。
僕らは身動きが取れないでいる。
野盗とは違う、凄まじい恐怖に押しつぶされそうだったのだ。
僕はガタガタと震える身体を何とか踏ん張るのに必死だった。喉が渇いて小尿すらも出ない脱水症状だったのに、軽く漏らしてしまうほどに。
「きいているだけなのにこうげきしてくるのはなかなかのくずっぷりですが、それではあそこにいたひととおなじです」
男は僕をじいと見つめながら笑った。
「ぼ、僕は!!」
「セト!」
「僕は、セ、セト!!これより先の草原の町から来た者だ!!」
「坊ちゃま!なりません!」
野盗よりも危険な存在だと思った。ビンビンに感じた第六感が、こいつには逆らうべからずとうるさく鳴り響いている。楽しんで人を殺していた野盗とは明らかに種類が違う。
この男があの白いモヤを操っているのは間違いない。
そして僕らの命を、「カス」ほどにも感じていない。
「せ、せと。くずのなまえ」
「セトだよ。それにクズって、ほんと酷い言い草だよね。初対面に向かってさ」
「せとははなしがつうじるのですか」
「なにを持って通じると言っているかは分からないけど。そっちが紳士的に攻撃しないなら、僕らだって何もしない。むしろ協力も惜しまないよ」
「セト…」
男は僕しか見ていない。
白いモヤに喉を貫かれた従者はビクビクと痙攣している。項垂れ、手足に力が入っていないから、もうだめだろう。
父と残りの従者は僕の前で構えを解いていない。僕が男と会話し出したのを最初は止めようとしたが、今は守るように庇うのみだ。
ここは男を刺激しないに限る。
男の目的は分からない。ひと様を捕まえて屑だの好き放題言ってくれているが、侮蔑した様子は見受けられない。
男の言う『あそこにいたクズ』とは、僕の予想が正しければあの野盗どもだ。あいつらに話が通じるとは思えない。
そして僕らを『屑』と呼んだ訳は、野盗から逃げる為に囮として人を置いて行った行為なのだろう。
どうしてそれが分かるかって?
そんなの、この砂漠に着いてそれくらいしか事件が起きていないからに決まっている。
野盗に出会ったのが最大の事件で、それ以外はずっと砂と戦ってきたのだ。あの数分にも満たない出来事で僕らがやった非道な『クズ行為』は、あれ以外考えられない。
僕だってどうかと思ったくらいなんだ。だけど崇高な血を絶やすわけにはいかないから、当然の事をしたまでであり咎められる理由なんてどこにもない。
「貴方の目的は何?事と次第によっては便宜を図らなくもないよ。まあ、それには砂漠を抜けて《王都》に助けを求めてからの話になるけどね」
「どうしてたすけがひつようなのですか。くずはなんでもできるのではないのですか」
「地震の被害に遭ったからだよ。貴方だって地震に遭遇したでしょ。僕らの町は瓦礫の山でどうしようもなくてね。それには《王都》か《中央》の人手が必要なんだよ」
「じしん」
男は「地震」と何度も繰り返す。
ちょっと精神的な意味でヤバい人かもしれない。話が通じる人を探している割に、男と会話が成り立たない。
しかし無下に扱うとさっきのようにモヤに殺されてしまう。
もはや万事休すか。この事態、どうすればいい。
「セト、話を合わせろ」
「分かってるけど、怖いよ」
何と言っても僕はまだ9歳の子どもで、父ほど頭が回るまでには勉強が足りてない。
精神異常者を前にどこまで食い下がれるか、僕には役者不足としか思えない。
だけど男は父たちには目もくれず、僕を一点に見つめている。これは腹を括って相手をしてやるしかないのか。
「何とか隙を探ってみよう」
「坊ちゃま、ファイトでございます」
「あの!貴方の名前を聞かせてくれないかい?」
懸命に取り繕って、ごく普通に僕は話しかける。
男はぶつぶつと言うばかりで答えてくれない。
ああ、もう!どうして僕がこんな目に!
「貴方はクズな奴を探していたの?」
第一声が「屑」だったのを思い出す。この男は僕らの囮作戦を見事であると褒めたのだ。
「あなたはくずですか?あのこういはいきるためのよくですか?」
「生きるための欲?それは当たり前だと思うけど。誰だって理不尽に死にたくないし、助かるなら何でもすると思うけどね」
「くずをさがしています。ことばのつうじるくずを」
男はニコニコと満面の笑みだ。
ついに喉を突かれた従者が事切れた。ピクリとも動かない。白いモヤは遺体となったそれを触手でちょこちょこと触り、感触を楽しんでいるように見えた。
この男の言葉の意味をそのまま捉えると、話が通じない。
屑行為をご所望のようだったので、町で食料と水を持ちだして放置しているとか、地震に遭う前は女をとっかえひっかえしていたとか、僕なりのクズ自慢をしてみたのだが、いまいちピンときていないようなのである。
真意は何だ。考えるんだ。
さっき男は何と言った?
「欲」がどうのこうの言ってなかったか。
屑の意味は『役に立たない例え』である。言い換えれば『価値の無い人や行為』という事。そしてそれをする時、僕らは自分本位、自分さえ良ければいい状態となっている。
すなわち、『生理的欲求』を満たす為に『屑行為』を果たすのだ。
そうか、僕の考えが正しければこの男の真意は「屑」そのものにあるのではない。
行為の意味の齎す根本的な感情を知りたいのだとしたら。
「貴方は『人間の欲望』を学びたいんだね。皮と骨と脳みそだけで作られた本当の人間のあるべき姿を」
「セト…」
「欲?」
父らが考えもつかなかった結論を男に告げた時、男はパチクリと目を見開き、僕の言葉の意味をじいと考え込んだ。
「教会が教える欲の中に7つの罪源があるけど、貴方が知りたいのはそれ以前のもっと根本的な事。それを知ってどうするかは僕には関係ないけどね」
本当はめちゃくちゃ怖かった。
これで話が通じないなら、僕にはもう成す術が無い。
「そうでした」
でも、この勝負、僕の勝ちだ。
「あなたはことばのつうじるくずのようです。わたしはくずをさがしています。おせんされたきたないばしょにわざわざきたのも、そうせざるをえなかったからです」
「汚染された地?」
この黒い雨の降る砂漠の地を言っているだろうか。
男の言葉は具体的のようで、その実際の意味はあまりにも抽象的で分からない。
「せと。くずのにんげんよ。わたしに『よく』をかたりなさい。おしえなさい。しめしなさい。そうすればわたしがあなたをたすけてあげましょう」
「僕らを助けてくれるというの」
「はい」
言葉のそのままの意味で取ってもいいのだろうか。
「僕らは貴方の知っている通り「屑」だから、助けは一つだけじゃないよ」
「そうですか」
「僕が望むもの、全て叶えてくれるのなら貴方の好きなだけ教えてあげる。見せてあげるし、示してもあげられる。それにはまず、町を復興しなければ話にならない。それとも違う誰かを此処で待つ?こんな砂漠の真ん中で、また話の通じない馬鹿な野盗に出会うだけかもね」
怖がっているのを悟られるな。
震える手は後ろに隠した。精一杯、小憎たらしい子どもを演じている。
「それは【とりひき】ですね」
「貴方がそういうなら、「取引」なんだと思うよ。貴方が僕を助ける代わりに、僕が貴方の望む知識を与えるという、ね」
「そうですね。まったくそのとおりです」
男はニヤリと顔を歪めた。
ニコニコ顔を能面ように張り付けていた男の表情が初めて変わった瞬間であった。
「ではまるっとじゅうねん」
「10年?」
「これをかします」
すると遠くにクネクネしていたあの白いモヤが何時の間にか僕の真ん前に立っていた。触手の先に従者の死体をぶら提げてである。
「せととこれとわたしがいいかんけいをきずきましょう。これよりじゅういちねんといちにちめに、かえしてもらうそのひまで」
グモモモモモモモモォォォ!!!!
「な!」
「なんて、聲だ…!!」
白いモヤが咆哮した。
そしてシュルシュルと煙が収縮したかと思うと、僕の中に入ってきたのである。
「え?わあああ!!」
「セト!!」
「坊ちゃま、大丈夫ですか!」
口からどんどん煙が吸い込まれていくのに、喉を何も通った気配がない。だけど身体がずしんと重くなる感覚がするのだ。
途端に眩暈を感じ、立っていられなくなってふらふらと尻餅をつく。
父に支えられながらも黒の男を見上げると、男はまたニコニコと先程の笑顔に戻って口をにんまりと開けた。
「けがれたちではじめてであったちてきせいぶつです。なにもしらないわたしたちをくずなこういでみたしてください。きたいしていますよ、くずなせと」
「は、はは…それは、良かった…」
幸か不幸か、僕らは【それ】と邂逅した。
いや、砂漠を無事に抜け、結局《王都》や《中央》の助けを借りず、無傷で町に戻れたのは幸運だった。
あの日、世界の全ては終わろうとしていた。
僕らは「屑」なお陰でその難を逃れ、世界が破滅に導かれていく条理の波に逆らってひたすら幸せを享受していく。
誰もが羨む贅沢な生活を、快楽を、そしてあらゆる『欲』を。僕らはありのままに受け入れ、世界にただ一つの『選ばれた民』だと信じ込んでこの世を能天気に謳歌していた。
おめおめと町に戻った僕らを待ち構えていた領民は、怒りの余り僕らをすぐにでも殺してしまいそうな勢いだったけれど、僕の口から現れた白いモヤが一瞬にして瓦礫を撤去して元通りの町に戻してくれた事で態度が軟化。さらに黒の男が「行商人」として大量の食料を無料で配った事で完全に沈下し、前以上に扱い易くなって従うようになった。
「やはりお前は特別な子だな。父は嬉しいぞ」
「そうだね。僕もそう思うよ」
僕らの町だけ、地震は無かったことになった。
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