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三. セトの章
11. 腑抜け達
しおりを挟む「魔法使いとかいうのは、占い師みたいなもんじゃね?」
は?
「ああ!絵本にあったな!水晶に手をかざしてアブラカタブラ~ってよ」
はあ。
「お主に不幸が訪れるからこのご利益のある壺を買いなされ~とか言いそう。そういや、隣のババアが実際に騙されてたな。わっはっはー!!」
へえ。
「違うよお前ら。ビビデバビデブー!って魔人が飛び出て何でも好きな事を聞いてくれるんだよ。最後はお友達になって主人公はようやく陰湿キャラから脱するんだよ」
……。
「お前たちは遅れているなあ。魔法使いはトカゲの尻尾をぐつぐつ煮て、箒に乗って飛ぶんだよ。最後は火あぶりにされんの!」
もはや頭の中で突っ込むのも面倒臭い。
夕方、騎士団員が多く集まる大衆酒場。
彼らが、“塔”のギルドマスターの正体を知っているというから酒を奢ってあげたらコノザマである。
そこまで《中央》の魔法使いの認知は低いものかと逆に可哀想になるくらいだ。冒険者時代はそこそこ魔法使いがいたから、当然一般人が知り得る常識だと考えていたが、こんなにも不遇の扱いだったとは。
しかし酔っているとはいえ、誰一人としてまともな事を言っているとは思えない。
今日はハズレ。完全に無駄足だった。
「ローブを着てるんらったら占い師だってば。だって俺見たもん。ローブを着たヤバそうなやちゅが深夜、だんちょーの部屋に音もなく入っていくのを…」
「それ、どういう事?」
“紡ぎの塔”のギルドマスターが常にローブを羽織っている噂があると言ったら、一番顔の赤い男が呂律の回らないベロベロな口調で喋る。
「まったんが知るもんか。たまたま見かけたんらよ。俺っちが夜勤の時れね、このえの先輩たちをスルーしたんだぜ?後から聞いたら、だんちょってばへいひてひ…ん…ていき的?にうらないしのシト、呼ぶんらってよ」
「はあ?ユリウス様が?んなもん、あり得ねえよ」
「幽霊を見間違えたんだよ、お前、バカだから。ぎゃはははは」
顔の赤い男はついにテーブルに突っ伏した。
ゴインと額を打ち付ける凄い音がしたが、当の本人は目をしぱしぱしているだけである。
相当飲みすぎたようだ。しかし酔っぱらいの戯言にしては気にかかる事も言っていた。
「そうらったんかね…。やけにはっきりしたおばけさんらったんらなあ~」
ローブを羽織った怪しげな占い師が、深夜騎士団長の私室を訪れ、近衛兵に一切咎められる事なく定期的に通っている。
男の話を総合するとこうなのだが腑に落ちない。
あのフレデリク将軍が占い師を呼ぶ?
あの実力主義で僕よりも現実主義者で自分以外を認めない高潔な将軍が、そんな不確かなモノを必要とする意味が分からない。
お化けなんてのは論外だ。
「なんかやたらと“教会”と“塔”に入れあげてるって噂もあるくらいだぜ」
「ありえんありえん。オレは騎士団長の事をよく知らんが、女神を信仰する教会はともかく、魔法使いは毛嫌いしていると聞くぞ。物理攻撃至上主義者って有名だし」
「そうだよな!」
「君たちは最近騎士団に入ったとみえるね」
「ついひと月ほど前かな。《中央》に住む連中はみんなそうさ。前は義務という名の志願者のみだったけど、治世の発表が成されてから住民はいずれかのギルドに必ず所属しなくちゃならなくなった」
「そそ。強制だよ、キョーセー」
だからか。伝統ある騎士団員としては軽すぎる印象だったのだ。
《中央》にも、ギルドの意向に沿えない者はやはり居たか。
それもそうだろう。
この町と違って数十万が住んでいる都市だ。それこそ老若男女、生まれも立場も全く違う人間達が、問答無用にたった4つしかない組織に所属してその身を投じ、ギルドの方針に従わざるを得ないのだから当然だ。
しかし、《中央》に在り続けるには、自らの保身の為には仕方が無い事だった。
ギルドが後ろ盾をしてくれるからこそ、《中央》での生活を間違いなく保証されるのだから。
「いい迷惑だぜ。平民も貴族も浮浪者も、一緒くたにしやがって…!」
一人の男が吐き捨てるように言う。
よくよく見れば、簡素な騎士服の下に丈夫そうななめし革を着込んでいる。麦酒のジョッキを握るその指も綺麗で爪の先まで整えられ、下働きなどまるで縁のない「使う立場」側の風格が垣間見える。
合点がいった。
「君たちは…そう、だったんだね」
「ああ。オレらは小貴族の出身だよ」
男はにっこりと笑い、懐から家紋が刻印された指輪を取り出した。
王から爵位を与えられた貴族は、その証として王政府から家紋を賜られる。
その指輪は、男の「証」である。貴族としての誇りが、その指輪に込められている。
「オレもだよ!畜生っ、《中央》は貴族の身分制度が完全に取り払われたからな。ちっとも面白くねえ」
「家督を継ぐと云っても階級なんてただの飾りだからな。聞く耳持たぬでギルド入りさ」
「ま、一応平民とは区別してもらっているけどね。名目上に、だけど」
力なく笑う男たちは、みな災厄で領地を喪い、《中央》へ逃れてきた貴族だった。
階級は男爵、準男爵。僕は伯爵家だから彼らよりも上だが、彼らから見たら平民は遥か下なのだ。
この世界に於ける長年の貴族制度を完璧にゼロにしたら、それこそ貴族共の反感を買って領民を巻き込んだ暴動が起こるだろう。
立場が弱くなったとは言え、貴族は貴族。民の貴族に対する畏敬は根付いているし、支配される側として浸透しきっている。
無知な民を煽れば高い確率で扇動できる。それはギルドとしても避けたいはずだ。一致団結して災厄に立ち向かうのに、民衆が割れていれば元も子もないからである。
だから真っ向対立しない程度に、貴族の特権を残した。
それでも《中央》の貴族に発言力が無いのは、その階級が低すぎるが故だろう。
平民に毛の生えた、名ばかりの肩書。力ある豪族はこぞって《王都》や貿易都市にいた。
元々《中央》は平民の多かった地である。まず教会が出来、信者が集まって町が出来る。信者を対象に商売人達が増え、商売人をもてなす為に平民が歓楽都市を作った。これが湖の都の成り立ちである。
そんな都市に観光客として貴族を呼び寄せていたのだ。
ギルドは良くできていると思う。
《中央》の安全に守られる以上は「協力」という名の共生を求められる。従わないのなら、どうぞ出て行って下さいという事なのだろう。
だが災厄から故郷を失い、生活基盤を此処に移した者が多い中、今更《中央》の暮らしは捨てられない小貴族達は、お情け程度の便宜をいただく代わりに、貴族の誇りを捨てさせられた。
世襲制で繋いできた貴族の血筋を、一刀両断してギルド内に組み込む。もはやそうなれば「お家」なんてものは何の価値もないゴミ屑同然だ。なんせ、ギルドに入れる事によって「貴族を継がせない」のだから。
僕も貴族。彼らとは立場が違うが、同じ貴族として何とも情けないと思う。
発言権を失くした貴族は、ただの口うるさいガヤだ。
口さえ塞いでしまえばもう何の懸念はない。
そうしてギルドは貴族の力を削ぎ、王亡き国を新たに執行し、4人の君主による独裁政権を発足するのに成功したのである。
しかし幾ら文句を言っても、単一で生きていいけるほどこの世界は決して住みやすくはない。
災厄から世界は変わった。集団こそ強いものはない事を思い知らされた10年だった。
第一、貴族というものは王在りきの存在である。
王亡き今、貴族の権力なんてものはそもそもが無意味。不敬罪で誰が捕らえ、誰が罰するというのだ。私刑がばれた時こそ、集団による制裁が食らわされるだろう。
そんな貴族が昔のように権力に返り咲くには、それを可能とする王と、《王都》を開放せねば話にならないのである。
だから権威を取り戻す為に、貴族はなんだかんだ言いつつも、協力せざるを得ないのだ。
今ここに飲んでくれている小貴族の彼らは、自分の身の置き場をじっくりと品定めしたという。
4つのギルドと教会。彼らはその中で一番威張れそうな“騎士団”に居場所を選んだ。
貴族のほとんどが、騎士団に服従を誓う事となったらしい。
「エルフの所は論外だね。今更汗水垂れ流して農作業なんかやってられるか」
「優先的に食料分配されるわけでもねえし、キツイだけだ。てめえの畑を持ってなけりゃあ、何処か分からん場所に出稼ぎさせられるだなんてヤバすぎる」
「だよなあ。それに人外族に使われるってのも、何気に嫌だよね」
この世界の半数以上の職業は農民ではなかろうか。
そんな彼らは特別に他のギルドに行きたいと申し出ない限りは自動的にエルフ族のギルドに配属される。だからこのギルドが一番人数も多いようだ。
元々やっていた事をやればいいだけで特に何もなし。卸し口がギルドに代わるだけだ。収穫の時期には無償で手伝いも入るし、繁忙期以外は暇だ。ひたすら民を食わすための食料を作っていればいいのだから戦闘なんてものもしなくてよい。
僕的には最も恵まれたギルドだと思う。
しかし人間には人外族を蔑む輩も一定以上いるから、彼らもその類なのだろう。
特に貴族に人外を嫌う傾向がある。僕だって使われるならば動物と大差ないモノよりも人間の方がいい。エルフの長はとても綺麗で可愛らしい容姿をしているけれど、それはそれ、これはこれ。
「盗賊んとこは落ちたな」
「オレも、オレも!」
「へっ、みんな受けたのかよ」
「まさか入団試験が筆記とは思わなんだ」
盗賊ギルドはインテリ集団である。政治に重要な役割を担っているから馬鹿では務まらない。
所属数が最も少ないのも頷ける。とにかく入団のテストからしてハードルが凄まじく高いらしいのだ。
「一応は受けたんだね、みんな」
「一番楽そうだろ?基本、椅子に座ってるだけだし」
「要所要所につけて威張っていられるし」
「《中央》から転勤もないからね!」
この人達、落ちて正解だと思った。
聞くところによると、政治だけではなく学校教育や銀行、病院や法律にも運営に深く関わっていると聞く。貴族だからある程度の常識は学んでいるかと思ったけれど、立場に胡坐をかいて何もせずに図体だけがでかくなった馬鹿のパターンに育ったようだ。
「教会は論外だぜ。規律がめちゃくちゃ厳しい」
「歓楽都市で遊べないってどんな拷問だよって話だよなあ!」
「聖女は見目麗しくていいんだけどねぇ」
「モノにできないのを眺めてたって意味ねえだろ」
「あのストイックさに惚れる男も多いんだぜ?ま、あの聖女が靡くとは思わねえけど」
教会は人の心の拠り所。
災厄で神を喪った人類に、いったい何を信仰するのか甚だ疑問だが、それでも「信仰」は必要不可欠である。
心の安寧をいやしない神に委ね、それで生きる源になるのならばそれでいいと思う。
人の心は弱いのだ。一人では生きてはいけない。なんでもいいのだ、何かに依存さえしていれば、それだけで生きていける。
偶像崇拝の教会は創造神イシュタルを信仰している集団で、我が国の国教でもある。
神が喪われて幾分かその立場は失墜しているが、今でも殆どの民が創造の女神を崇拝しているのは、生まれた時から自然に慣れ親しんだ経緯があるからなのだろう。
そんな協会は基本的に慈善事業。最も質素な生活を強いられる。
布教活動やミサで《中央》を離れる事も多い。ギルドのように金を稼がず僅かな寄付だけで成り立っているから常に貧乏。処女性を尊び、信者には淫行を禁じている。
配偶者以外との性行為は禁止。勿論、婚姻前の性交渉なんかもご法度で、生産性のない同性愛や人外族との肌の触れ合いもダメときた。当然ながら博打や賭博、暴力や飲酒等も厳しく管理される。
そして頼まれればなんでもやるのも教会だ。ギルドでは「依頼」の業務に当たらない各地の清掃や農作業の手伝いなんかも率先してやるっていうんだからどれだけマゾな集団なのだろうと思う。
教会のトップに立つ“聖女”は長い黒髪の美しいセレンディアという名の女性だ。
彼女を語ると長くなるので割愛するが、実に慈悲深く信仰に篤くて融通が利かない人物だと言われている。
どれだけ聖女が魅力的な女性であったにせよ、この飲んだくれ達が教会に身を置く事はまずあり得まい。
「あー、そうだ。魔法使いの所もダメだったなあ」
「そうだそうだ。あそこも一応試験があるからな。オレは一発で落ちたぞ。わははは」
「へえ、興味あるな」
盗賊ギルドに筆記試験があるのは分かるけれど、戦闘に役に立たない魔法使いが何を偉そうに吟味する必要があるのか。
そう聞くと、「その身に宿すマナの保有量」に基準があるのだと返された。
「あそこは戦闘じゃなくて施設管理が主な仕事だからな。出ずっぱりなのはキツそうだけど、実際に働くのは店の連中であってオレらじゃねえ。ケツモチしてりゃいいんだから楽だと思ったらまさかの試験」
「魔法使いを名乗ってるからしょうがねえよ。ある程度の魔法力がないとダメみてえでさ。オレには魔法の才能がありませんって事よ」
「でも市場の連中はずりぃよな。店を構えてるだけでギルド入りだろ?ノーテストで」
「その家族もまとめて引き受けるからな。ま、15の成人過ぎたらそうもいかねえけど」
ということで、残ったのが騎士団だった…というわけか。
王国最強の名を馳せていた誇り高き騎士団の質がどうにも墜ちたと思っていたが、万人を受け入れる選りすぐらないギルド入りの結果だったのだ。
フレデリク将軍の求める人材どころか、あまりのショボいクオリティになるのであればそれこそ本末転倒ではなかろうか。
僕としては程度が低ければ低いほどかえってやり易いのだからいいんだけど、当の騎士団長ご本人はどう思っているんだろうね。
自分のいない遠く離れた地で、程度の低い人間たちがのさばって権威を失楽しようとしているのを《中央》の地で知る由もなく。
かつての畏敬だった騎士団と比べると見る影もない。昔は行軍しているだけで威圧感がビシビシと伝わってきていたというのに。
ギルドも表裏一体だな。
戦争するには「駒」が大量に必要だから、それにはこんなやる気のない輩もいないよりマシという事なのだろう。
「これでも平民より待遇はいいからねぇ」
「ああ、あいつらの配属先は外の前線だからな。怒れる神や魔物と出会う危険はオレらよりある」
「俺たちはこうやって酒を呑み、女を買う時間も余裕もある。なんだかんだで騎士団様々だぜ!」
「《中央》から離れているからどんな田舎村かと思ったら、想像と全く違って驚いたからな」
「ああ。退屈だったら死ぬしかなかったからよ」
麦酒のジョッキをカキンと合わせる男たち。
これ以上の情報は望めないと悟った僕は彼らのテーブルに金貨を2枚置き、席を立った。
「ここは違うぜ!女も食事も《中央》並みだ。《中央》と違って騎士団のお偉いさん方が哨戒していないからな」
「がははは!羽目を外す意味では《中央》より心地いいぜ」
「まだまだ飲み足りないな!おい、度数の強い酒はないのか!!」
ああ、世も末だ。
ガハガハと騒がしい大衆酒場を背にし、すでに暗くなった夜道を一人歩く。
彼らとの会話を反芻しながら向かう目的地は決まっているので迷わず歩く。
僕だったら、僕がもし《中央》にいたとしたら何処でもやっていけるはずだ。
自頭は良いし帝王学も習得している。盗賊ギルドで政府の中心で采配もできるだろう。
僕は顔も良いし物腰も柔らかだから、教会の「顔」として引っ張りだこになると思う。姦淫罪を問われるとちょっと心当たりがありすぎて困るけど、この世に品行方正な奴は存在しないと思っているから、教会も裏を返せば中身はドロドロと人間模様が渦巻いているものさ。
エルフのギルドもいいね。僕は農作業をするのではなくて、人を使う立場になればいい。
人外族に恩を売るのは後々に役に立つはずだ。彼らは真霊力とともに生きている生物だし、マナの恩恵に肖るならともにいた方が都合が良い。エルフは美男美女も多いと聞くから、僕といつの間にか交わってハーフエルフがたくさん生まれてくるかもしれないね。
騎士団も上に立つ人間になればいい。戦闘に立つのではなく、軍師として盤面の駒を操るのだ。
僕は立ち回りもうまくやれる自信があるし、頭の回転も速い。これでも砂漠を一人で越えれるのだから引く手あまたなのではなかろうか。
フレデリク将軍とも密にやっていける度胸もあるから、あっちが僕を欲しがるに違いない。
魔法は素質があるか分からない。この世界に在るものは全てマナをその身に宿しているから魔法は誰でも使えるのだけど。
必要がないから使わないだけで、その気になれば僕は器用だし魔法だって簡単に発動できるだろう。
高価な真霊晶石の触媒も、玄人が身に着けるという純度2程度ならばすぐにツテを頼って手に入る。
僕の真価は魔法よりも施設管理で花開くだろう。僕はこの町の店を知り尽くしている。今のギルドが四苦八苦してやっている事は、僕がほんの小さな頃から当たり前のように携わってきたものだ。経験もそのクオリティも桁違いだろう。
とにかく僕は優秀なのだ。
各ギルドマスター自らが僕をスカウトしに来てもいいぐらいに有能。
マスターと名乗るくらいだからそれなりに出来る人たちなんだろうけど、そんなの僕の敵じゃないと本気で思う。
幼き頃からくぐった修羅場は数知れないし、経験豊富な僕ほど優秀な人材は早々ないだろう。
だけどお生憎様だ。
僕は敢えてギルドには入らない。
この町はあくまで独立中立地。《中央》と同格であらねばならないし、僕はいずれ『王』になるからだ。
無能たちと別れた僕が向かった先は、眩暈がするほど性技の巧かった女たちの働く店だ。
今日は仕事としては不発だったから、少しでもこの悶々と倒錯した心を払拭したかった。
それに忘れられなかったのだ。昨夜のように、何もかも忘れるぐらいに抱きつぶしてしまいたい。
僕を見つけた女たちは、またお肉が食べたいと猫撫で声ですり寄ってきた。
そんなの容易い御用だ。
君たちが望めば、これからずっと僕の傍にいさせてあげられる。美味い肉どころか、世界中の珍味も食わせてやろう。
そう気障に告げたら女たちの悲鳴が高く上がった。
「その代わり、僕をいつでも愉しませてくれたまえよ」
これで彼女たちは何の苦労もなく、僕のモノになった。
その日、父は帰らなかった。
彼女らを手に入れた事が嬉しくて、そのまま路上で事に及んでスッキリした僕は一人屋敷に帰る。
執事から父の動向を説明されるも聞き流し、メイドを伴って添い寝してもらう為に自室に引っ込んだ。
在る事変はすでにこの時始まっていたのだけど、平和ボケした町は一人として気付く者はなく。
僕も例外ではなくて、気怠い身体をメイドにほぐして貰いながら夢うつつと悦に入るのみで。
ヴァレリの町が滅びを迎えるまで、あと7日。
――――それは突然、顕れた。
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