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第1章 2 俺のステータスだけ特別すぎないか
隠密行動失敗
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「よいか、おぬしらよ。さっそくじゃが、心の中で『ステータスオープン』と唱えるのじゃ。基本ステータスである【攻撃】【防御】【魔攻】【魔防】【素早さ】、さらに各人の固有ステータスが顔の前に表示されるはずじゃ」
各人に固有のステータスかぁ。
あ、もしかしてあの赤ちゃん――オムツおじさんじゃない方――が歩き回っているのも、肉体強化的な固有ステータスのおかげ?
ってかこの力があれば、大度出独裁国家に反旗を翻せるんじゃないのか?
そうだ!
今まで散々我慢してきたんだ。
女神様、どうかやり返す力を俺にください!
高鳴る心臓を落ち着かせるため、俺はふうぅと息を吐く。
「俺は【魅了】か、悪くないな」
「わしゃ【呪術】じゃ」
「バブ、バブブ、バブブゥゥ!」
各々の喜びの声が耳に届く。
よっしゃ、俺もお願いしますよ神様。
高望みはしませんが、できれば【英雄】なんていいですなぁ。
もしくはハーレムを作れる能力なんてのもありだなぁ。
期待に胸を膨らませつつ、俺は心の中で「ステータスオープン」と唱える。
すると、ゲームのステータス画面を表示させたときのように、目の前に四角いウィンドウと黒い文字が浮かび上がったので、上から順に見ていく。
攻撃 LV1
LV1。
これって高い……わけないよね。
たぶん最低レベルだよね。
胸がチクリと痛む。
ま、まあべべべ別に引きこもっている間に筋トレなんてしてこなかったから、ととと当然だよね。
悲しくなんかないよ。
そもそもこんな基本ステータスはどうでもいい。
だって転生者であるこの俺様はカンスト済みのすげぇ固有ステータスを持っているんだから。
防御 LV1
魔攻 LV0
でも、さすがにLV1がつづき過ぎではないですか?
魔攻に至っては0ですよ。
ショックでめまいがして――だからこんな基礎ステータスなんかどうでもいいんだよ気を強く持て俺!
魔防 LV1
素早さ LV1
予想通りだからもう傷つかないぞ。
俺はごくりと生唾を飲み込む。
このひとつ下に、俺だけの固有ステータスがある。
それでいいのだ。
基本ステータスなんかゴミに等しいのだから、ショックを受ける必要がない。
さぁこい、英雄!
邪眼!
ハーレム祭り!
期待に胸を躍らせながら、俺は次の項目を見た。
引きこもり LV1
え、引きこもりって…………ん?
見間違いかな?
だってそんなこと、あるわけないもんね。
目をシパシパさせて、俺はもう一度上から順にステータスを見ていく。
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
引きこもり LV1
「ってなんだよ引きこもりってぇえええ!」
ふざけんなよぉおおおお!
こんなことが許されてたまるかぁ!
「え、あの男の子のステータス【引きこもり】なの? かわいそうに。うちの神童――じゃなくて金の生る木とは大違いね」
もはや自分の欲望を隠す気もないお母さんから冷笑を向けられる。
オムツをはいたおじさんに至っては。
「女性からそんな冷たい目を向けられるとは、羨ましいぞ少年。みなのもの! ぜひ私にも、オムツをはいているこの私にも、彼と同じように冷たい目を向けてはくれないかっ」
大統領の演説かのように堂々と声を張りながら、腰をフリフリして周囲にオムツをアピールしはじめる始末。
「毒親も変態もちょっと黙っとけよ! おい女神リスズ、【引きこもり】って、どういうことだよこれ!」
俺はフードを脱ぎ、なりふり構わず女神リスズに詰め寄る。
しかし、女神リスズは心底どうでもいいというような顔を浮かべ、あっさりと告げた。
「おぬしはたしか、石川誠道と言ったか。どういうことじゃと言われてものう……ああ、そういうことか。【引きこもり】が不満なのじゃな。それは悪いことをしたのじゃ。たしかによく見ると格好悪すぎる。今すぐ訂正しよう」
「お、おう。わかればいいんだよ」
なんだ。
固有ステータスに不満があればすぐに変えてくれるのか。
話がわかる女神様で助かったよ。
今度こそ間違いなく、俺の異世界英雄冒険譚の幕開けだぁ!
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
引籠 LV1
「いや漢字二文字にしてなんかそれっぽくしただけじゃねぇか!」
「うるさいのう。おぬし、【引きこもり】が不満じゃと言ったではないか」
「【引きこもり】っていう表示が不満じゃなくて、【引きこもり】っていうステータス自体が不満なの! もっとかっこいい名前のやつがいいの!」
「ワガママばっかりの転生者じゃのう」
女神様リスズはやれやれと長いため息をつく。
「ならこれでどうじゃ。出血大サービスじゃぞ」
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
新偉人 LV1
なんだよ。やればできるじゃん。最初からこうしてくれ。
「で、リスズさん。これなんて読むの?」
「『新しい偉人』と書いてずばり『ニート』じゃ」
「おいふざけんな引籠と同じじゃねぇか!」
「これでも文句を言うか。そもそもわらわは事前に説明したぞ。それぞれの人間性に準じた固有ステータスを与えると」
「わかってるよ。でもそれが【引きこもり】とか【新偉人】っておかしいだろ」
「なら問うが、おぬしには他にどんな特徴があるというのじゃ」
「うぐっ……」
胸に言葉のナイフが突き刺さる。
「家に閉じこもる以外、なにもしていなかったじゃろ」
「ぐがはぁっ」
これ以上はもうやめてくれぇ。
心が、心が抉られてなくなっちゃうよぉ。
「ほらみろ。お主はただの引きこもりではないか。じゃから、固有ステータスも当然【引きこもり】なのじゃ。いや【新偉人】になったんじゃったかの?」
「あれぇ? なんだか三途の河が見えるよぅ。死んだおじいちゃんが手招きしてるよぅ」
「おぬしはもう死んでおるじゃろうが」
女神さまが呆れたように言い放つ。
あのぉ、とろでオムツおじさん。
女神リスズに暴言を吐かれている俺を羨ましそうに見るのいいかげんやめてください。
腰をさらに激しく振らないでください。
「くそふざけんな! こんなステータスいらねぇし役にもたたねぇよ! カンストさせたってただのニート、いや異世界一のキングオブニートにしかなれないだろうが。ってかどうして異世界にいってまで引きこもらなきゃいけないんだ。そもそも引きこもってたら、外が日本だろうと異世界だろうと変わんねぇから、異世界転生の意味ねぇよ!」
などと俺が喚き散らしているときだった。
突然肩に手が置かれ、俺はふっと我に返る。
背筋がぴきりと凍りついた。
「よお、石川。お前もあのバスに乗っていたとはな」
肩にごつごつした手が置かれる。
俺の顔は今、社会の教科書に載っている北条雅子よりも真っ白になっているだろう。
「ど、どうもみなさんごきげんうるわしゅう」
恐る恐る振り返ると、そこには薄ら笑いを浮かべた大度出、並びに大度出独裁国家の面々が立っていた。
ああ、石川誠道、隠密行動失敗です。
各人に固有のステータスかぁ。
あ、もしかしてあの赤ちゃん――オムツおじさんじゃない方――が歩き回っているのも、肉体強化的な固有ステータスのおかげ?
ってかこの力があれば、大度出独裁国家に反旗を翻せるんじゃないのか?
そうだ!
今まで散々我慢してきたんだ。
女神様、どうかやり返す力を俺にください!
高鳴る心臓を落ち着かせるため、俺はふうぅと息を吐く。
「俺は【魅了】か、悪くないな」
「わしゃ【呪術】じゃ」
「バブ、バブブ、バブブゥゥ!」
各々の喜びの声が耳に届く。
よっしゃ、俺もお願いしますよ神様。
高望みはしませんが、できれば【英雄】なんていいですなぁ。
もしくはハーレムを作れる能力なんてのもありだなぁ。
期待に胸を膨らませつつ、俺は心の中で「ステータスオープン」と唱える。
すると、ゲームのステータス画面を表示させたときのように、目の前に四角いウィンドウと黒い文字が浮かび上がったので、上から順に見ていく。
攻撃 LV1
LV1。
これって高い……わけないよね。
たぶん最低レベルだよね。
胸がチクリと痛む。
ま、まあべべべ別に引きこもっている間に筋トレなんてしてこなかったから、ととと当然だよね。
悲しくなんかないよ。
そもそもこんな基本ステータスはどうでもいい。
だって転生者であるこの俺様はカンスト済みのすげぇ固有ステータスを持っているんだから。
防御 LV1
魔攻 LV0
でも、さすがにLV1がつづき過ぎではないですか?
魔攻に至っては0ですよ。
ショックでめまいがして――だからこんな基礎ステータスなんかどうでもいいんだよ気を強く持て俺!
魔防 LV1
素早さ LV1
予想通りだからもう傷つかないぞ。
俺はごくりと生唾を飲み込む。
このひとつ下に、俺だけの固有ステータスがある。
それでいいのだ。
基本ステータスなんかゴミに等しいのだから、ショックを受ける必要がない。
さぁこい、英雄!
邪眼!
ハーレム祭り!
期待に胸を躍らせながら、俺は次の項目を見た。
引きこもり LV1
え、引きこもりって…………ん?
見間違いかな?
だってそんなこと、あるわけないもんね。
目をシパシパさせて、俺はもう一度上から順にステータスを見ていく。
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
引きこもり LV1
「ってなんだよ引きこもりってぇえええ!」
ふざけんなよぉおおおお!
こんなことが許されてたまるかぁ!
「え、あの男の子のステータス【引きこもり】なの? かわいそうに。うちの神童――じゃなくて金の生る木とは大違いね」
もはや自分の欲望を隠す気もないお母さんから冷笑を向けられる。
オムツをはいたおじさんに至っては。
「女性からそんな冷たい目を向けられるとは、羨ましいぞ少年。みなのもの! ぜひ私にも、オムツをはいているこの私にも、彼と同じように冷たい目を向けてはくれないかっ」
大統領の演説かのように堂々と声を張りながら、腰をフリフリして周囲にオムツをアピールしはじめる始末。
「毒親も変態もちょっと黙っとけよ! おい女神リスズ、【引きこもり】って、どういうことだよこれ!」
俺はフードを脱ぎ、なりふり構わず女神リスズに詰め寄る。
しかし、女神リスズは心底どうでもいいというような顔を浮かべ、あっさりと告げた。
「おぬしはたしか、石川誠道と言ったか。どういうことじゃと言われてものう……ああ、そういうことか。【引きこもり】が不満なのじゃな。それは悪いことをしたのじゃ。たしかによく見ると格好悪すぎる。今すぐ訂正しよう」
「お、おう。わかればいいんだよ」
なんだ。
固有ステータスに不満があればすぐに変えてくれるのか。
話がわかる女神様で助かったよ。
今度こそ間違いなく、俺の異世界英雄冒険譚の幕開けだぁ!
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
引籠 LV1
「いや漢字二文字にしてなんかそれっぽくしただけじゃねぇか!」
「うるさいのう。おぬし、【引きこもり】が不満じゃと言ったではないか」
「【引きこもり】っていう表示が不満じゃなくて、【引きこもり】っていうステータス自体が不満なの! もっとかっこいい名前のやつがいいの!」
「ワガママばっかりの転生者じゃのう」
女神様リスズはやれやれと長いため息をつく。
「ならこれでどうじゃ。出血大サービスじゃぞ」
攻撃 LV1
防御 LV1
魔攻 LV1
魔防 LV1
素早さ LV1
新偉人 LV1
なんだよ。やればできるじゃん。最初からこうしてくれ。
「で、リスズさん。これなんて読むの?」
「『新しい偉人』と書いてずばり『ニート』じゃ」
「おいふざけんな引籠と同じじゃねぇか!」
「これでも文句を言うか。そもそもわらわは事前に説明したぞ。それぞれの人間性に準じた固有ステータスを与えると」
「わかってるよ。でもそれが【引きこもり】とか【新偉人】っておかしいだろ」
「なら問うが、おぬしには他にどんな特徴があるというのじゃ」
「うぐっ……」
胸に言葉のナイフが突き刺さる。
「家に閉じこもる以外、なにもしていなかったじゃろ」
「ぐがはぁっ」
これ以上はもうやめてくれぇ。
心が、心が抉られてなくなっちゃうよぉ。
「ほらみろ。お主はただの引きこもりではないか。じゃから、固有ステータスも当然【引きこもり】なのじゃ。いや【新偉人】になったんじゃったかの?」
「あれぇ? なんだか三途の河が見えるよぅ。死んだおじいちゃんが手招きしてるよぅ」
「おぬしはもう死んでおるじゃろうが」
女神さまが呆れたように言い放つ。
あのぉ、とろでオムツおじさん。
女神リスズに暴言を吐かれている俺を羨ましそうに見るのいいかげんやめてください。
腰をさらに激しく振らないでください。
「くそふざけんな! こんなステータスいらねぇし役にもたたねぇよ! カンストさせたってただのニート、いや異世界一のキングオブニートにしかなれないだろうが。ってかどうして異世界にいってまで引きこもらなきゃいけないんだ。そもそも引きこもってたら、外が日本だろうと異世界だろうと変わんねぇから、異世界転生の意味ねぇよ!」
などと俺が喚き散らしているときだった。
突然肩に手が置かれ、俺はふっと我に返る。
背筋がぴきりと凍りついた。
「よお、石川。お前もあのバスに乗っていたとはな」
肩にごつごつした手が置かれる。
俺の顔は今、社会の教科書に載っている北条雅子よりも真っ白になっているだろう。
「ど、どうもみなさんごきげんうるわしゅう」
恐る恐る振り返ると、そこには薄ら笑いを浮かべた大度出、並びに大度出独裁国家の面々が立っていた。
ああ、石川誠道、隠密行動失敗です。
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