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第1章 4 魔本には男子の夢が詰まっている
人身売買
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闇オークションの会場は、とあるお洒落なバーの地下だった。
ミライが借金したお金――おいふざけんな――で闇ルートから購入していた招待状を、ダンディズムあふれる白髪のマスターに見せると、店の奥に案内される。
そこからさらに階段を下りると、オークション会場が現れた。
「すげぇな。地下にこんな場所があるなんて」
メインエントランスの奥にある重厚な扉を開けると、円形の舞台と、それを取り囲むようにして設置されてある客席があり、すでに多くの参加者で賑わっていた。
ま、闇オークションなんだから、日の当たる場所では開催できないか。
でも、地下にこんな広いスペースを有しているなんて、あのマスターいったい何者?
俺とミライは並んで空いていた席に座って、オークションの開始を待つ。
その間に、スーツを着た幼い男の子が「ご自由にどうぞ」と飲み物を持ってきてくれた。
こういう子が働いているのも闇って感じがして、ちょっと怖いなぁ。
ってか緊張するなぁ。
俺はちゃんと魔本を落札してバラ色の未来を……下着の色はバラ色とは限らないから虹色の未来を手に入れることができるだろうか。
「誠道さん、鼻の下を伸ばしすぎです。オランウータンじゃないんですから」
「そんなわけあるか。俺はまごうことなき紳士だぞ」
「そうでしたね。へんたみちさん」
畦道みたいに呼ぶなぁ! と俺がツッコもうとしたとき、会場が一気に暗くなって地鳴りのような歓声が湧きあがった。
舞台がライトで照らされ、タキシードを着た人間が、円形の舞台とつながっている客席下の通路の奥から現れる。
真っ白の仮面をつけているが、その背の高さと所作から男であることは判別がついた。
「みなさま、本日はようこそお集まりいただきました。私は、当オークションの司会を務めさせていただきます。クション・ジュンと申します」
それから、クションさんがオークションの説明をしてくれた。
まあ、特別なことはなにもなかったが。
受付時にバーのマスターからもらった三桁の番号が書かれた札を掲げながら、前の入札者よりも高い値段を言うだけ。
十秒間他の入札の声が上がらなければ、その時点で、最高価格で入札していた人が落札というシンプルなルールだ。
「誠道さん、大丈夫ですか? 引きこもりのあなたがこんな大勢の人の前で大声が出せますか?」
「へへへ、ヘイーキに決まままままままってるるだろ?」
「それ平気じゃない人の言い方です」
なぜばれた?
だけど、ちょうどいい困難じゃないか。
壁は高ければ高いほどいい。
それを乗り越えたとき、眼下には下着姿で歩く女性たち――想像もできないほどの素晴らしい景色が広がっているのだから。
「それではさっそく、最初の商品にまいりましょう! このオークションのトップを飾る記念すべき品はなんと! 赤ちゃんです!」
どわぁああっと観客が盛り上がる。
うわぁ!
さっそく闇の部分が出てきたよ!
人身売買って本当にあるんだな。
かわいそうに。
「今回ご用意した商品ですが、残念ながら『バブゥ』としかしゃべることはできません」
「ええー」
「なんか拍子抜けだわ」
「それってただの赤ちゃんじゃねかよ!」
落胆のヤジが飛び交うが、いや当たり前だろ観客たちよ落胆すな。
赤ちゃんは普通『バブゥ』としか言わないからね。
「みなさま静粛に。普通の赤ちゃんを我がオークションで出品するわけがないことは、みなさまが一番ご存じではないですか?」
ミライが借金したお金――おいふざけんな――で闇ルートから購入していた招待状を、ダンディズムあふれる白髪のマスターに見せると、店の奥に案内される。
そこからさらに階段を下りると、オークション会場が現れた。
「すげぇな。地下にこんな場所があるなんて」
メインエントランスの奥にある重厚な扉を開けると、円形の舞台と、それを取り囲むようにして設置されてある客席があり、すでに多くの参加者で賑わっていた。
ま、闇オークションなんだから、日の当たる場所では開催できないか。
でも、地下にこんな広いスペースを有しているなんて、あのマスターいったい何者?
俺とミライは並んで空いていた席に座って、オークションの開始を待つ。
その間に、スーツを着た幼い男の子が「ご自由にどうぞ」と飲み物を持ってきてくれた。
こういう子が働いているのも闇って感じがして、ちょっと怖いなぁ。
ってか緊張するなぁ。
俺はちゃんと魔本を落札してバラ色の未来を……下着の色はバラ色とは限らないから虹色の未来を手に入れることができるだろうか。
「誠道さん、鼻の下を伸ばしすぎです。オランウータンじゃないんですから」
「そんなわけあるか。俺はまごうことなき紳士だぞ」
「そうでしたね。へんたみちさん」
畦道みたいに呼ぶなぁ! と俺がツッコもうとしたとき、会場が一気に暗くなって地鳴りのような歓声が湧きあがった。
舞台がライトで照らされ、タキシードを着た人間が、円形の舞台とつながっている客席下の通路の奥から現れる。
真っ白の仮面をつけているが、その背の高さと所作から男であることは判別がついた。
「みなさま、本日はようこそお集まりいただきました。私は、当オークションの司会を務めさせていただきます。クション・ジュンと申します」
それから、クションさんがオークションの説明をしてくれた。
まあ、特別なことはなにもなかったが。
受付時にバーのマスターからもらった三桁の番号が書かれた札を掲げながら、前の入札者よりも高い値段を言うだけ。
十秒間他の入札の声が上がらなければ、その時点で、最高価格で入札していた人が落札というシンプルなルールだ。
「誠道さん、大丈夫ですか? 引きこもりのあなたがこんな大勢の人の前で大声が出せますか?」
「へへへ、ヘイーキに決まままままままってるるだろ?」
「それ平気じゃない人の言い方です」
なぜばれた?
だけど、ちょうどいい困難じゃないか。
壁は高ければ高いほどいい。
それを乗り越えたとき、眼下には下着姿で歩く女性たち――想像もできないほどの素晴らしい景色が広がっているのだから。
「それではさっそく、最初の商品にまいりましょう! このオークションのトップを飾る記念すべき品はなんと! 赤ちゃんです!」
どわぁああっと観客が盛り上がる。
うわぁ!
さっそく闇の部分が出てきたよ!
人身売買って本当にあるんだな。
かわいそうに。
「今回ご用意した商品ですが、残念ながら『バブゥ』としかしゃべることはできません」
「ええー」
「なんか拍子抜けだわ」
「それってただの赤ちゃんじゃねかよ!」
落胆のヤジが飛び交うが、いや当たり前だろ観客たちよ落胆すな。
赤ちゃんは普通『バブゥ』としか言わないからね。
「みなさま静粛に。普通の赤ちゃんを我がオークションで出品するわけがないことは、みなさまが一番ご存じではないですか?」
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