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第1章 4 魔本には男子の夢が詰まっている
マダムはやっぱり強かった
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クションさんの言葉で、観客のざわめきがしずまっていく。
嵐の前の静けさってこのことを言うのかもしれない。
「わかっていただけたようですね。実はこの赤ちゃんはなんと! トップバッターにふさわしく普通の赤ちゃんではございません! 奇跡の赤ちゃんです!」
クションさんの大きな声に、会場中がどよめく。
「我々が今回ご用意した赤ちゃんは、赤ちゃんとは思えない発育の早さがアピールポイントとなっております! 二足歩行も可能ですし、もちろん走ることもできます!」
「「「うぉおおおおお!」」」
観客たちの歓声がオークション会場にこだまする。
しかし、俺だけは冷静だった。
だってさ……あれ?
そうだよね?
なんか俺、その赤ちゃん知ってるような気がするんだけど。
「さらに! この赤ちゃんは玉乗りもジャグリングもお手のもの。サーカスやショーの団員としてもご使用いただけますし、この才能あふれる赤ちゃんの親となって一生可愛がっていくこともできます」
サーカスやショーの団員……あっ。
俺は、あの日のことを思い出していた。
真っ白が永遠に広がるだけのだだっ広い空間で、テンションマックスになって走り回り、子供思いの母親を一瞬にして金の亡者へと変貌させた、あの赤ちゃん。
間違いない。
オークションに出品されているのはあの子だ。
母親が「サーカスに売り飛ばして……」と言っていたのを覚えている。
でもまさか、本当に愛する我が子を売り飛ばしていたとは。
「さぁ、それではいよいよ商品の入場です!」
会場がどんどんヒートアップしていく。
なんだろう、心が痛い。
俺よりも悲惨な境遇の転生者がいるとは。
落札できるなら落札してやりたいけど、この熱狂。
たぶん無理だろうな。
せめて、優しい人に落札されることを願います。
「みなさま、その目を刮目させて、商品をご覧ください!」
観客のボルテージが最高潮を迎えた後、通路の奥から頑丈な檻が係員に押されて舞台上へやってくる。
割れんばかりの手拍子が巻き起こった。
俺の斜め前にいるスタイル抜群、年齢不詳のマダムに至っては、「絶対落札するわぁ」と鼻息を荒くしている。
「「「うぉぉおおおおおおおおお!」」」
そして檻が舞台の中央まで運ばれ、スポットライトがその中を照らした瞬間、鼓膜を突き破らんばかりの大歓声が湧きあがった。
さっきのマダムも椅子の上に立ち上がって狂喜乱舞している。
それもそのはずで。
その中にいたのは、なんとオムツをはいたおじさんだった。
「そっちかよ! ふざけんな!」
心配して損したわ。
たしかに発育いいけども。
走れるけども。
そもそもこいつはおじさんで、赤ちゃんじゃないだろ。
もしかしてオムツおじさんの固有ステータスの影響?
「では、100リスズからのスタートです」
「2000万リスズ!」
「そしていきなり高すぎだろ!」
しかも入札したのが若い男。
どういう趣味なの?
「3000万リスズ!」
「なんでそんなに高騰すんだよ! 仮想通貨か!」
間髪入れずに中年の女性が価格を塗り替える。
いや、だから高すぎだろ。
「3200万リスズ!」
先程の若い男がまた入札する。
「3500万リスズ!」
つづいてミライの声。
「5200万リスズ!」
初老の男性の声。
「7000万リスズ!」
今度は小太りの貴婦人が割って入る。
だからさ、なんでこんなに人気なの?
異世界意味わからん。
そして、このオークションに終止符を打つ声が響く。
「2億リスズ」
斜め前のマダムが勝ち誇ったようにその値段を告げると、それまでの熱狂が嘘のように場がシーンと静まり返った。
「他にいませんか? 2億です。もういませんか? はい! 810番の方。2億リスズで落札です! おめでとうございます!」
クションさんが叫んだ後、会場が歓声で揺れた。
「なんじゃこりゃああああ!」
その歓声に紛れて、俺は思いのたけをストレートに叫ぶ。
どう考えてもおかしいよね。
なんでオムツおじさんがそんなに高いのさ。
世界には俺の知らない需要と性癖があるんだなぁ。
「……ってかなんでミライが入札してんだよ!」
「はっ! すみません。テンション上がってほしくもないのに、つい……」
ああ、このオークション、絶対落札できないよぉ。
だって初っ端から2億だもん。
女の子の下着姿が見放題とはいえ、2億は……いやぁ、悩むなぁ。
あと全然関係ないけど、落札者であるスタイル抜群の美人マダムを見たオムツおじさんが、ダンディに笑ってガッツポーズしたのなんかムカつくんですけど。
それって俺の心が狭いだけですかねぇ?
嵐の前の静けさってこのことを言うのかもしれない。
「わかっていただけたようですね。実はこの赤ちゃんはなんと! トップバッターにふさわしく普通の赤ちゃんではございません! 奇跡の赤ちゃんです!」
クションさんの大きな声に、会場中がどよめく。
「我々が今回ご用意した赤ちゃんは、赤ちゃんとは思えない発育の早さがアピールポイントとなっております! 二足歩行も可能ですし、もちろん走ることもできます!」
「「「うぉおおおおお!」」」
観客たちの歓声がオークション会場にこだまする。
しかし、俺だけは冷静だった。
だってさ……あれ?
そうだよね?
なんか俺、その赤ちゃん知ってるような気がするんだけど。
「さらに! この赤ちゃんは玉乗りもジャグリングもお手のもの。サーカスやショーの団員としてもご使用いただけますし、この才能あふれる赤ちゃんの親となって一生可愛がっていくこともできます」
サーカスやショーの団員……あっ。
俺は、あの日のことを思い出していた。
真っ白が永遠に広がるだけのだだっ広い空間で、テンションマックスになって走り回り、子供思いの母親を一瞬にして金の亡者へと変貌させた、あの赤ちゃん。
間違いない。
オークションに出品されているのはあの子だ。
母親が「サーカスに売り飛ばして……」と言っていたのを覚えている。
でもまさか、本当に愛する我が子を売り飛ばしていたとは。
「さぁ、それではいよいよ商品の入場です!」
会場がどんどんヒートアップしていく。
なんだろう、心が痛い。
俺よりも悲惨な境遇の転生者がいるとは。
落札できるなら落札してやりたいけど、この熱狂。
たぶん無理だろうな。
せめて、優しい人に落札されることを願います。
「みなさま、その目を刮目させて、商品をご覧ください!」
観客のボルテージが最高潮を迎えた後、通路の奥から頑丈な檻が係員に押されて舞台上へやってくる。
割れんばかりの手拍子が巻き起こった。
俺の斜め前にいるスタイル抜群、年齢不詳のマダムに至っては、「絶対落札するわぁ」と鼻息を荒くしている。
「「「うぉぉおおおおおおおおお!」」」
そして檻が舞台の中央まで運ばれ、スポットライトがその中を照らした瞬間、鼓膜を突き破らんばかりの大歓声が湧きあがった。
さっきのマダムも椅子の上に立ち上がって狂喜乱舞している。
それもそのはずで。
その中にいたのは、なんとオムツをはいたおじさんだった。
「そっちかよ! ふざけんな!」
心配して損したわ。
たしかに発育いいけども。
走れるけども。
そもそもこいつはおじさんで、赤ちゃんじゃないだろ。
もしかしてオムツおじさんの固有ステータスの影響?
「では、100リスズからのスタートです」
「2000万リスズ!」
「そしていきなり高すぎだろ!」
しかも入札したのが若い男。
どういう趣味なの?
「3000万リスズ!」
「なんでそんなに高騰すんだよ! 仮想通貨か!」
間髪入れずに中年の女性が価格を塗り替える。
いや、だから高すぎだろ。
「3200万リスズ!」
先程の若い男がまた入札する。
「3500万リスズ!」
つづいてミライの声。
「5200万リスズ!」
初老の男性の声。
「7000万リスズ!」
今度は小太りの貴婦人が割って入る。
だからさ、なんでこんなに人気なの?
異世界意味わからん。
そして、このオークションに終止符を打つ声が響く。
「2億リスズ」
斜め前のマダムが勝ち誇ったようにその値段を告げると、それまでの熱狂が嘘のように場がシーンと静まり返った。
「他にいませんか? 2億です。もういませんか? はい! 810番の方。2億リスズで落札です! おめでとうございます!」
クションさんが叫んだ後、会場が歓声で揺れた。
「なんじゃこりゃああああ!」
その歓声に紛れて、俺は思いのたけをストレートに叫ぶ。
どう考えてもおかしいよね。
なんでオムツおじさんがそんなに高いのさ。
世界には俺の知らない需要と性癖があるんだなぁ。
「……ってかなんでミライが入札してんだよ!」
「はっ! すみません。テンション上がってほしくもないのに、つい……」
ああ、このオークション、絶対落札できないよぉ。
だって初っ端から2億だもん。
女の子の下着姿が見放題とはいえ、2億は……いやぁ、悩むなぁ。
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