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第1章 4 魔本には男子の夢が詰まっている
いい上司
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「へっ、自分たちから人気のない場所にきてくれるとは、飛んで火に入る夏の虫だな。ボディーガードもいねぇみてぇだしよぉ」
一番体格のでかい髭面の男が一歩前に出た。
まじかこれ。
いつの間に、剣や槍や斧を持った男どもに囲まれてしまったのだろう。
「この闇オークションに参加する金持ちどもは用心深いと聞いていたが、俺たちゃほんとラッキーだぜ」
聖ちゃんと背中を合わせながら、まずったなと思う。
ごろつきどもが闇オークションという絶好の機会を逃すはずがない。
「くそ、……どうする」
万事休すかもしれない。
俺には【新偉人】というクソステータスしかないし、そばにはジツハフくんと金の亡者だがか弱い女性もいる。
頼みの綱の聖ちゃんも、聖剣ジャンヌダルクが壊れている今は、ただの妹系少女だ。
【昼夜逆転しがち】で目くらまししている間に逃げられればいいが、こんなに大勢の人間を一斉に足止めはできない。
いったいどうしたら……。
「おい、ジツハフの姉」
俺は姉弟が抱き合っていた方を見る。
「この状況を打開できる方法を一緒にかんが……って、すでにいねぇじゃねぇか!」
そこには誰もいなかった。
「くそぉ、あいつらどこいった?」
それに答えてくれたのは、ごろつきの中のひとりだった。
「あいつらは、『お前らの方が金持ってるから』って教えてくれたから逃してやったぞ」
「ふざけんなぁあああああ!」
あの金の亡者姉弟、今度見つけたらただじゃおかねぇぞ。
こんな絶体絶命の状況を丸投げしやがって。
「お前ら、終わったな」
ごろつきのリーダーが俺たちを見下すような笑みを浮かべ――というより怒りをかみ殺すような表情をしている。
あ、これ、みすみす対象を逃がした部下にキレてるやつだ。
その怒りも俺たちにぶつけられる理不尽なやつだ。
「誠道さん。私がこいつらを引きつけますので、弱いあなたはその隙に逃げてください」
「弱い言うな! 幼い女の子を置いていくなんて、そんな真似できるかよ」
「おい引きこもりのしょうもない変態男。いったい私のどこを見て幼いと判断したんですかっ! 胸ですかっ? 私はもう中学生ですよ」
「そんなことでキレてる場合じゃねえんだよ!」
「そう騒ぐな。ここにいる全員逃がしゃしねぇって」
ごろつきのリーダーが剣を構える。
「いや、すでにあんたの無能な部下が二人も逃がしちゃってるだろうが!」
「俺の部下をバカにするんじゃね! 部下のミスは上司の責任だ!」
「こいついい上司になる素質持ってやがんのに、なんでごろつきなんだよぉ!」
責任を部下に押しつけるでおなじみの日本の上司のみなさーん。
あなたがたが無駄に高い賃金をもらっている理由を考えたことがありますかー?
「覚悟しろよ。お前ら殺っちまえ!」
「「「おう!」」」
ああ、これ、終わったな。
ごろつきたちが俺たちに襲い掛かろうとした――まさにそのとき。
眩い光があたりを包み込んだ。
俺はとっさに目を閉じる。
ごろつきたちも「なんだなんだ?」とざわついている。
「これ……聖ちゃんの技?」
「いえ、私じゃありません……あっ」
聖ちゃんから驚きの声が上がる。
恐る恐る目を開けると、俺たちの前に神々しい白い光を放つ聖剣ジャンヌダルクが置いてあった。
しかも完品。
一番体格のでかい髭面の男が一歩前に出た。
まじかこれ。
いつの間に、剣や槍や斧を持った男どもに囲まれてしまったのだろう。
「この闇オークションに参加する金持ちどもは用心深いと聞いていたが、俺たちゃほんとラッキーだぜ」
聖ちゃんと背中を合わせながら、まずったなと思う。
ごろつきどもが闇オークションという絶好の機会を逃すはずがない。
「くそ、……どうする」
万事休すかもしれない。
俺には【新偉人】というクソステータスしかないし、そばにはジツハフくんと金の亡者だがか弱い女性もいる。
頼みの綱の聖ちゃんも、聖剣ジャンヌダルクが壊れている今は、ただの妹系少女だ。
【昼夜逆転しがち】で目くらまししている間に逃げられればいいが、こんなに大勢の人間を一斉に足止めはできない。
いったいどうしたら……。
「おい、ジツハフの姉」
俺は姉弟が抱き合っていた方を見る。
「この状況を打開できる方法を一緒にかんが……って、すでにいねぇじゃねぇか!」
そこには誰もいなかった。
「くそぉ、あいつらどこいった?」
それに答えてくれたのは、ごろつきの中のひとりだった。
「あいつらは、『お前らの方が金持ってるから』って教えてくれたから逃してやったぞ」
「ふざけんなぁあああああ!」
あの金の亡者姉弟、今度見つけたらただじゃおかねぇぞ。
こんな絶体絶命の状況を丸投げしやがって。
「お前ら、終わったな」
ごろつきのリーダーが俺たちを見下すような笑みを浮かべ――というより怒りをかみ殺すような表情をしている。
あ、これ、みすみす対象を逃がした部下にキレてるやつだ。
その怒りも俺たちにぶつけられる理不尽なやつだ。
「誠道さん。私がこいつらを引きつけますので、弱いあなたはその隙に逃げてください」
「弱い言うな! 幼い女の子を置いていくなんて、そんな真似できるかよ」
「おい引きこもりのしょうもない変態男。いったい私のどこを見て幼いと判断したんですかっ! 胸ですかっ? 私はもう中学生ですよ」
「そんなことでキレてる場合じゃねえんだよ!」
「そう騒ぐな。ここにいる全員逃がしゃしねぇって」
ごろつきのリーダーが剣を構える。
「いや、すでにあんたの無能な部下が二人も逃がしちゃってるだろうが!」
「俺の部下をバカにするんじゃね! 部下のミスは上司の責任だ!」
「こいついい上司になる素質持ってやがんのに、なんでごろつきなんだよぉ!」
責任を部下に押しつけるでおなじみの日本の上司のみなさーん。
あなたがたが無駄に高い賃金をもらっている理由を考えたことがありますかー?
「覚悟しろよ。お前ら殺っちまえ!」
「「「おう!」」」
ああ、これ、終わったな。
ごろつきたちが俺たちに襲い掛かろうとした――まさにそのとき。
眩い光があたりを包み込んだ。
俺はとっさに目を閉じる。
ごろつきたちも「なんだなんだ?」とざわついている。
「これ……聖ちゃんの技?」
「いえ、私じゃありません……あっ」
聖ちゃんから驚きの声が上がる。
恐る恐る目を開けると、俺たちの前に神々しい白い光を放つ聖剣ジャンヌダルクが置いてあった。
しかも完品。
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