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第1章 7 異世界でも俺は引きこもりたい
新たな特訓
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「誠道さん、ちょっとご相談があります」
朝食を取った後、リビングのソファに寝そべって膨れた腹をさすっていると、食器の片づけを終えたミライが話しかけてきた。
「実は今日、誠道さんに新たに受けていただきたい訓練があります」
「新しい訓練?」
嘘でしょ?
毎日の筋トレのほかに、また新たな筋トレメニューが加わるの?
それは嫌だなぁ……………あ、でも。
昨日の出来事が頭をよぎる。
大度出に絡まれて、なにもできずに弱虫イエスマンに成り下がろうとした自分。
ミライに助けられて、泣いてしまった自分。
本当に惨めだった。
新しいメニューをミライが考えてくれたのも、俺に自信をつけさせるためなのだろう。
だったら、俺は。
「わかった。やるよ」
「え?」
「なんでミライが驚くんだよ」
「いや、絶対に反対されると思いまして」
「俺をなんだと思ってんだよ」
「ただの引きこもり?」
「あってるから言い返せねぇな。……俺にも思うところがあったんだよ」
「そうですか」
頬を緩めたミライはとても嬉しそうだった。
「じゃあ、さっそく先生を呼んできますね」
その言葉を残して、ミライはリビングから出ていく。
「え、先生って……」
つまりパーソナルトレーナーってことだよな?
筋肉ムキムキのお兄さんが出てくるの?
もし今からでも変更が可能なら、綺麗なお姉さんがいいなぁ。
筋トレを教えてもらっているときは密着状態で、体と体が触れ合って……むひひひ。
「誠道さん。先生をお連れいたしました」
「はい! 手取り足取りおねがいします!」
第一印象が大事だと、元気な声で挨拶しながら振り返ると。
「…………おお」
マジシャンが着るようなタキシードを着た女性が立っていた。
胸は控えめだが……まあいいだろう。
大きなサングラスをしているが、顔の下半分だけでも美人だとわかる整った顔立ち。
ボブヘアーの金色の髪は宝石のように輝いている――って、うーん、なんか見たことある気がするんだが、まあいいか。
それよりでかしたミライ!
女性を連れてきてくれてありがとう!
「こちら、メンタリストのイツモフさんです」
ミライが手を添えながら紹介すると、イツモフさんは軽く頭を下げた。
「どうも。ご紹介にあずかりました。私、イツモフと申します。ここにいるミライさんからご指名を受け、あなたの思考回路をポジティブにするためにやってまいりました」
おお、挨拶を聞いただけなのに、すごく礼儀正しい真面目そうな人だという印象だ。
俺が異世界で出会ってきた人が変人ばかりだから、ハードルが低くなっているのだろうか。
……でも、思考回路? ポジティブ?
体と体を密着させるパーソナルトレーナーではなくて?
「今あなた、私のことを真面目そうだと、そう思いましたね」
「えっ? どうしてわかったんですか?」
「当然です。なぜなら私は超優秀なメンタリストですから。表情から心を読んだのです」
純粋にすごいと思った。
パーソナルトレーナーではないのは残念だが、これは信頼できそうだ。
自分のことを超優秀と言ったのもうなずける実力である。
「心を読むって、すごいですね」
「そうでしょうそうでしょう! 私のことはどんどん褒めてください! 私は超優秀で真面目なメンタリスト。縮めてマジメンタリストなのですからっ!」
あれれー、一気に信用ガタ落ちしたんですけどー。
超優秀なんて自分で言っちゃうやつなんて絶対信用ならないよね。
ミライが連れてきたやつを信頼しちゃいけなかったよね。
「ちなみに、私のフルネームはイツモフ・ザケテイル!」
こいつ絶対真面目じゃねぇじゃん!
名前からして真面目じゃねぇじゃん!
「そして私の父の名はキットフ・ザケテイル。母の名はタブンフ・ザケテイル」
一族みんなフザケテイルじゃねぇか。
真面目成分が含まれる遺伝子は、この一族に限り、進化の過程で完全に捨てちゃったんですね。
「さらに、偉大な祖父の名はカーペンター」
「意外とすぐふざけはじめた人が見つかったよ!」
一族みんなとか言ってごめんなさい。
こいつの父と母がふざけはじめたんですね。
「いや名づけたのはその親だから犯人は祖父母世代、カーペンターさんだぁ!」
これは、もしかしてあれですか?
田中さんや佐藤さんが二階堂や如月や西園寺に憧れちゃうのと同じですか?
ラノベ書きはじめの人が、珍しい苗字ばかりつける謎の病気と同じですか?
一時期の小鳥遊のあふれ返り具合は異常だったよ。
物書き界隈では、きっと鷹は絶滅しちゃってたんだと思う。
「なぁミライ。本当にこの人で大丈夫なのか?」
「問題ありません。イツモフさんは優秀なマジメンタリストで、数多くの方を救っております。『こんなにバカげたやつが自信満々に生きているんだから、俺も前を向いて生きられそうだと思えた』ともっぱらの評判です」
「なるほどね」
それをあえてやっているのなら、こいつはやっぱりすごいという認識になるのだが、どこからどう見ても、これがこの人の素だよね。
大丈夫かなぁ。
マジメンタリストじゃなくて、明らかにマジヤバメンタリストだよね……?
朝食を取った後、リビングのソファに寝そべって膨れた腹をさすっていると、食器の片づけを終えたミライが話しかけてきた。
「実は今日、誠道さんに新たに受けていただきたい訓練があります」
「新しい訓練?」
嘘でしょ?
毎日の筋トレのほかに、また新たな筋トレメニューが加わるの?
それは嫌だなぁ……………あ、でも。
昨日の出来事が頭をよぎる。
大度出に絡まれて、なにもできずに弱虫イエスマンに成り下がろうとした自分。
ミライに助けられて、泣いてしまった自分。
本当に惨めだった。
新しいメニューをミライが考えてくれたのも、俺に自信をつけさせるためなのだろう。
だったら、俺は。
「わかった。やるよ」
「え?」
「なんでミライが驚くんだよ」
「いや、絶対に反対されると思いまして」
「俺をなんだと思ってんだよ」
「ただの引きこもり?」
「あってるから言い返せねぇな。……俺にも思うところがあったんだよ」
「そうですか」
頬を緩めたミライはとても嬉しそうだった。
「じゃあ、さっそく先生を呼んできますね」
その言葉を残して、ミライはリビングから出ていく。
「え、先生って……」
つまりパーソナルトレーナーってことだよな?
筋肉ムキムキのお兄さんが出てくるの?
もし今からでも変更が可能なら、綺麗なお姉さんがいいなぁ。
筋トレを教えてもらっているときは密着状態で、体と体が触れ合って……むひひひ。
「誠道さん。先生をお連れいたしました」
「はい! 手取り足取りおねがいします!」
第一印象が大事だと、元気な声で挨拶しながら振り返ると。
「…………おお」
マジシャンが着るようなタキシードを着た女性が立っていた。
胸は控えめだが……まあいいだろう。
大きなサングラスをしているが、顔の下半分だけでも美人だとわかる整った顔立ち。
ボブヘアーの金色の髪は宝石のように輝いている――って、うーん、なんか見たことある気がするんだが、まあいいか。
それよりでかしたミライ!
女性を連れてきてくれてありがとう!
「こちら、メンタリストのイツモフさんです」
ミライが手を添えながら紹介すると、イツモフさんは軽く頭を下げた。
「どうも。ご紹介にあずかりました。私、イツモフと申します。ここにいるミライさんからご指名を受け、あなたの思考回路をポジティブにするためにやってまいりました」
おお、挨拶を聞いただけなのに、すごく礼儀正しい真面目そうな人だという印象だ。
俺が異世界で出会ってきた人が変人ばかりだから、ハードルが低くなっているのだろうか。
……でも、思考回路? ポジティブ?
体と体を密着させるパーソナルトレーナーではなくて?
「今あなた、私のことを真面目そうだと、そう思いましたね」
「えっ? どうしてわかったんですか?」
「当然です。なぜなら私は超優秀なメンタリストですから。表情から心を読んだのです」
純粋にすごいと思った。
パーソナルトレーナーではないのは残念だが、これは信頼できそうだ。
自分のことを超優秀と言ったのもうなずける実力である。
「心を読むって、すごいですね」
「そうでしょうそうでしょう! 私のことはどんどん褒めてください! 私は超優秀で真面目なメンタリスト。縮めてマジメンタリストなのですからっ!」
あれれー、一気に信用ガタ落ちしたんですけどー。
超優秀なんて自分で言っちゃうやつなんて絶対信用ならないよね。
ミライが連れてきたやつを信頼しちゃいけなかったよね。
「ちなみに、私のフルネームはイツモフ・ザケテイル!」
こいつ絶対真面目じゃねぇじゃん!
名前からして真面目じゃねぇじゃん!
「そして私の父の名はキットフ・ザケテイル。母の名はタブンフ・ザケテイル」
一族みんなフザケテイルじゃねぇか。
真面目成分が含まれる遺伝子は、この一族に限り、進化の過程で完全に捨てちゃったんですね。
「さらに、偉大な祖父の名はカーペンター」
「意外とすぐふざけはじめた人が見つかったよ!」
一族みんなとか言ってごめんなさい。
こいつの父と母がふざけはじめたんですね。
「いや名づけたのはその親だから犯人は祖父母世代、カーペンターさんだぁ!」
これは、もしかしてあれですか?
田中さんや佐藤さんが二階堂や如月や西園寺に憧れちゃうのと同じですか?
ラノベ書きはじめの人が、珍しい苗字ばかりつける謎の病気と同じですか?
一時期の小鳥遊のあふれ返り具合は異常だったよ。
物書き界隈では、きっと鷹は絶滅しちゃってたんだと思う。
「なぁミライ。本当にこの人で大丈夫なのか?」
「問題ありません。イツモフさんは優秀なマジメンタリストで、数多くの方を救っております。『こんなにバカげたやつが自信満々に生きているんだから、俺も前を向いて生きられそうだと思えた』ともっぱらの評判です」
「なるほどね」
それをあえてやっているのなら、こいつはやっぱりすごいという認識になるのだが、どこからどう見ても、これがこの人の素だよね。
大丈夫かなぁ。
マジメンタリストじゃなくて、明らかにマジヤバメンタリストだよね……?
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