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第2章 4 金の亡者の本懐
お姉ちゃん失格
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「言われなくても……わかってるんだよ」
ジツハフは私を待っている。
そんなことは、誠道くんに言われなくたってわかっている。
でも、この弱虫人間の足は、この憎き体は、どうしたって動かないんだ。
「それに……私は、ジツハフの本当のお姉ちゃんじゃない…………」
私は膝を抱えてうずくまる。
ジツハフを助けにはいけないのに、土下座しようとしたら体はすんなりと動いた。
誠道くんたちが助けにいってくれるとわかったとき、私はどうしようもなく、ほっとしてしまった。
ああ、これで私は助けにいかなくて済む。
最低限、姉としての役割は果たせた。
なんてことを思ってしまったんだ。
「私は弱虫だぁ! なんで……なんで! こんなところでっ! 震えてるんだ……」
闇オークションの日。
ごろつきどもに囲まれたときは、誠道くんたちを囮にして逃げるのがやっとだった。
誠道くんの家でミライさんが攫われたときは一歩も動けず、攫われていくミライさんを見ているだけだった。
惨めだった。
むなしかった。
悔しかった。
そんな忸怩たる思いを幾度となく味わってきたのに、私はなにも変わっていない。
恐怖に怯えるただの情けない女。
ジツハフを守るためにお金をためてきたはずなのに。
仮に私がいったとしてなんになる。
カイマセヌは私の全財産を渡して、それで見逃してくれる男じゃない。
私だってその場でやられるに決まっている。
そんなの、ジツハフは望んでいないはずだ。
自分のせいでお姉ちゃんがやられるなんて、そんなこと……。
「なにを考えてんだよ。最低だ……助けにいけない弱虫が……最低だ」
ジツハフを助けにいかないでいい理由を作り上げてしまうようなお姉ちゃんは、きっと、お姉ちゃん失格だ。
「ジツハフ……ごめん。こんなお姉ちゃんで……ごめ」
『いやだ! 離せ! ここから出ていけ!』
そのとき、すぐそばからジツハフの声が聞こえてきた。
空耳?
まさか攫われてなかった?
そう思ったが、その声は水晶の中から聞こえていた。
水晶には、クリストフに髪の毛を掴まれたジツハフの姿が映っていた。
ああ、この水晶はまだこの部屋で起こったことを映しつづけていたのだ。
リビングにお金がないと思ったクリストフが、他の部屋にいってジツハフを見つけたのだろう。
もしくは、リビングが騒がしいことに気がついたジツハフが様子を見にいって捕まってしまったのか。
『おいてめぇ! 抵抗すんな!』
『離せっ。お前なんかこわくないぞ!』
『調子に乗んなよクソガキがよぉ! いいから教えろ! お金はどこだ!』
水晶の中でクリストフがジツハフの髪を掴み、床にその小さな体を押さえつける。
ジツハフは必死で抵抗しているが、大人の男に敵うはずもない。
しかし、その目だけは敵意をむき出しにして、反抗の意を示している。
それを見ているお姉ちゃんは、震えてなにもできないのに。
目の前で起こっていることではなく水晶に映った過去の映像で、しかも最愛の弟ジツハフが被害を受けているのに、お姉ちゃんは水晶の中のクリストフに怯えてしまう。
「ごめん。ジツハフ……こんなお姉ちゃんで」
私は、ジツハフと初めて出会った日のことを、家族になった日のことを思い起こしていた。
ジツハフは私を待っている。
そんなことは、誠道くんに言われなくたってわかっている。
でも、この弱虫人間の足は、この憎き体は、どうしたって動かないんだ。
「それに……私は、ジツハフの本当のお姉ちゃんじゃない…………」
私は膝を抱えてうずくまる。
ジツハフを助けにはいけないのに、土下座しようとしたら体はすんなりと動いた。
誠道くんたちが助けにいってくれるとわかったとき、私はどうしようもなく、ほっとしてしまった。
ああ、これで私は助けにいかなくて済む。
最低限、姉としての役割は果たせた。
なんてことを思ってしまったんだ。
「私は弱虫だぁ! なんで……なんで! こんなところでっ! 震えてるんだ……」
闇オークションの日。
ごろつきどもに囲まれたときは、誠道くんたちを囮にして逃げるのがやっとだった。
誠道くんの家でミライさんが攫われたときは一歩も動けず、攫われていくミライさんを見ているだけだった。
惨めだった。
むなしかった。
悔しかった。
そんな忸怩たる思いを幾度となく味わってきたのに、私はなにも変わっていない。
恐怖に怯えるただの情けない女。
ジツハフを守るためにお金をためてきたはずなのに。
仮に私がいったとしてなんになる。
カイマセヌは私の全財産を渡して、それで見逃してくれる男じゃない。
私だってその場でやられるに決まっている。
そんなの、ジツハフは望んでいないはずだ。
自分のせいでお姉ちゃんがやられるなんて、そんなこと……。
「なにを考えてんだよ。最低だ……助けにいけない弱虫が……最低だ」
ジツハフを助けにいかないでいい理由を作り上げてしまうようなお姉ちゃんは、きっと、お姉ちゃん失格だ。
「ジツハフ……ごめん。こんなお姉ちゃんで……ごめ」
『いやだ! 離せ! ここから出ていけ!』
そのとき、すぐそばからジツハフの声が聞こえてきた。
空耳?
まさか攫われてなかった?
そう思ったが、その声は水晶の中から聞こえていた。
水晶には、クリストフに髪の毛を掴まれたジツハフの姿が映っていた。
ああ、この水晶はまだこの部屋で起こったことを映しつづけていたのだ。
リビングにお金がないと思ったクリストフが、他の部屋にいってジツハフを見つけたのだろう。
もしくは、リビングが騒がしいことに気がついたジツハフが様子を見にいって捕まってしまったのか。
『おいてめぇ! 抵抗すんな!』
『離せっ。お前なんかこわくないぞ!』
『調子に乗んなよクソガキがよぉ! いいから教えろ! お金はどこだ!』
水晶の中でクリストフがジツハフの髪を掴み、床にその小さな体を押さえつける。
ジツハフは必死で抵抗しているが、大人の男に敵うはずもない。
しかし、その目だけは敵意をむき出しにして、反抗の意を示している。
それを見ているお姉ちゃんは、震えてなにもできないのに。
目の前で起こっていることではなく水晶に映った過去の映像で、しかも最愛の弟ジツハフが被害を受けているのに、お姉ちゃんは水晶の中のクリストフに怯えてしまう。
「ごめん。ジツハフ……こんなお姉ちゃんで」
私は、ジツハフと初めて出会った日のことを、家族になった日のことを思い起こしていた。
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