うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

文字の大きさ
106 / 360
第2章 4 金の亡者の本懐

性善説

しおりを挟む
 階段を下りはじめると、すぐに石像が自動で元の場所に戻り、入り口をふさいだ。

 光が入ってこなくなって真っ暗闇になるかと思ったが、遺跡内は明るいまま。

 なんらかの魔法が付与されているのだろう。

 こういうのって地味にすごいよね。

 この遺跡を作った人は相当の手練れ魔法使いだったのだろう。

「ってか閉まるときは自動なのね。外に出るときも押せばいいのか?」

「なにをバカなことを。専用の呪文を唱えないと開かないに決まっているでしょう」

「なんで出るときだけ呪文が必要なんだよ!」

「侵入者を閉じ込めておくためではないでしょうか?」

「……ぐうの音も出ない正論をありがとう」

 不覚にも、久しぶりにミライって頭いいなぁと思ってしまった。

「ま、私たちはここから出るための呪文を知らないので、不覚にも閉じ込められてしまったんですけどね」

「頭がいいなんて思った俺がバカだったよ! どうすんだよ!」

 あとぜんぜん不覚じゃないだろうが!

「誠道さん。静かにしてください。カイマセヌさんに気づかれてしまいます」

 そう指摘され、慌てて口を手で押さえるが、ひそひそ声で話はつづける。

「じゃあどうやって脱出するんだよ?」

「カイマセヌさんかクリストフさんが知っているはずです。彼らから教えてもらいましょう」

「教えてくれるわけないだろ。敵なんだから」

「誠道さんは性善説をご存知ないのですか?」

「ジツハフを誘拐してんだから、生きてくうちに悪に染まったんだよ」

 声を潜めているため、ウィスパーボイスで突っ込む羽目になってしまった。

「たしかに。それは困りましたね」

 顎に手を当ててなにやら考えはじめるミライ。

「いや困ってんじゃねぇよ。事前に考えとくべきだろ」

「……あっ! そうですよ。ジツハフくんを救出するためには、彼らを倒さなければいけません。なので彼らを倒す前提で考えるのです。動けなくなった彼らを拷問して脱出の呪文を吐かせましょう」

「拷問って、それだと俺たちが悪者みたいに見えるような」

「向けられた悪意に対して情けをかけることを優しさとは言いませんよ」

 ミライが強い口調で諭してくる。

 な、なんか格好いい……。

「そもそも、まだ起こってないことを心配するのはやめにしませんか? 脱出の心配は脱出のときに考えればいいのです」

 な、なんか格好悪い……。

 問題を先延ばしにしただけだぁ――って。

「この扉の先か?」

 階段を下りた先には巨大な扉があった。

 禍々しい黒色の扉は見ているだけで強烈な圧迫感を覚える。

 侵入者を拒もうとする気まんまんだ。

 お宝がないところに設置するような扉ではない。

「はい。この先にいるはずです」

「そっか」

 ごくりと息をのんだ瞬間、鳥肌が立った。

 不安が体にまとわりつく。

 果たして俺は勝てるのか?

 ジツハフくんを救い出せるのか?

 ――いや、勝つんだ。救い出すんだ。

 俺のすべてを賭けて絶対に勝利してみせる。

「じゃあ、いくぞ」

「はい。誠道さん」

 俺は黒の扉に両手を押しつける。

 扉の表面はひんやりとしていた。

「……ここは呪文が必要、なんてことはないよな?」

「はい。ここも手動です」

 よかった。

 一応確認しないとね。

 じゃないと強敵とご対面っていう格好いいシーンが台無しだから。

 この遺跡に入るときみたくツッコミする羽目になったら、非常に緊張感のない、しまらないシーンなるからね。

「それじゃあいきますよ」

 ミライも俺と同じように扉に手を押しつける。

 俺たちは目で合図して。

「「せーのっ!」」

 そして、俺が力一杯扉を押そうとした瞬間、ミライがあろうことが扉を上に持ち上げた!

「なんでシャッタータイプの扉なんだよ!」

 ああ、やっぱりしまりのないシーンになっちゃったよぅ。……じゃなくて。

「ジツハフくん」

 象形文字が描かれた白い壁で囲まれた巨大な空間の中央に、椅子に縛られたジツハフくんと、二人の男がいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...