うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

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第2章 4 金の亡者の本懐

とある遺跡

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 俺とミライは、鬱蒼とした森の中にいる。

 日中だというのに太陽の光はあまり届かず、じめじめとした空気が漂う不快な場所だ。

「ここだよな。クリストフが言ってた遺跡って」

「はい。グランダラの近くにある遺跡はここしかないので、間違いないかと」

 グランダラの西側に広がる森の中、その奥深くにある遺跡。
 
 いつの時代の産物かもわかっておらず、数十年前に一度調査が行われた――三十分かからずに終わったらしい――後は、だれも寄りつかない不気味な場所になっている。

 これらはすべて、ここに向かう道中でミライから聞いた情報だ。

「にしても、すごい場所だな」

 森の中に突如として現れる、ぽっかりと空いた謎の空間。

 そこには謎の白い石でできた壁や、どうやって積み重ねたのかわからない大きな岩のタワーが、円を描くようにして並べられている。

 中央にはひときわ大きな一枚岩で作られた石碑がある。

 なにやら文字が書かれているが、まったく読むことができない。

 象形文字ではないだろうか。

 しかも、これらの岩には遺跡の作成者によって特殊な魔法が付与されているらしく、爆破しようとしても傷ひとつ入らなかったとか。

「ってなんで貴重な遺跡を爆破させようとしてんだよ! 調査隊はバカなのか?」

「調査隊に選ばれるような人間がバカなはずないでしょう。象形文字を解読した結果、多少の衝撃ではびくともしないことがわかり、それが本当かどうか試してみたのです」

「そういうことね……って納得しねぇよ! 結果的に爆破させようとした事実は変わらねぇから。ピラミッドやスフィンクスを爆破してみるようなもんだからな!」

 やっぱりこの世界の調査隊はバカでしたねぇ。

「で、あの石碑の前にある石像をずらすと地下に入れるんだよな?」

「はい。この、ココニハゼッタイニナニモナ遺跡の地下は、その名前通り大きな空洞が広がっているだけなので、潜伏するにはもってこいかと」

「……悪いが俺はもうツッコまないぞ?」

「なにを言っているんですか?」

 ミライから厳しい目を向けられる。

「今さら怖気づいたんですか? 私たちはすぐにでもこの、ココニハゼッタイニナニモナ遺跡の中に突っ込んで、ジツハフくんを救出しなければいけないんですよ?」

「この噛み合わなさは意図的か? それともやっぱりツッコみを待っているのか?」

「だから遺跡に突っ込むのを待っている暇なんてないでしょう。気になっていることがあるなら言ってください。集中できなければ戦いに支障をきたします」

「そこまで言うなら聞くが、どうしてこの遺跡には変な名前がついているんだ?」

「そんなことも知らないんですか?」

 なぜかドヤ顔を浮かべるミライ。

 いやいや、俺はこの遺跡についてさっきお前から聞かされたばかりだからな。

「この遺跡の石碑に書かれてある象形文字を解読すると、『この遺跡は、ココニハゼッタイニナニモナ遺跡で、ここにはお宝なんて絶対にありません』と書かれてあるのです」

「もはや名前の由来なんかどうでもいいわ。なんで三十分で調査打ち切ってんだ。絶対なにかあるやつだろ」

「そんなわけがありません。だって、地下へとつながる石像をずらすと、『ココニハゼッタイニナニモアリマセン』という音声が脳に響くのですから」

「だから絶対にフラグだろそれ」

「誠道さんは可哀想な人ですね。信じることの大切さが理解できていないなんて」

「バカ正直すぎるのもどうかと思うけどな」

 これは信じる信じないの問題じゃなくて……って、みんなが信じてないってことは、俺がこの遺跡に隠された宝を独り占めできるチャンスってことだ。

「よっしゃ。俺、ジツハフを取り返したら、絶対に一人でこの遺跡をくまなく探索してやるんだ」

「ちょっと誠道さん! 死亡フラグやめてください!」

「なんでこのフラグは認識するんだよ!」

 もうわけわからん。

 しかしまぁ、この遺跡の中にカイマセヌとジツハフがいるとみて間違いない。

 俺たちは地下への入り口となっている、ライオンに翼が生えたような生き物の石像の前に立つ。

「……って、どうやってこれ動かすんだ?」

「そこは抜かりなく」

 にやりと笑ったミライが石像に手をかざしたところで。

「でも誠道さん。足震えてますけど、大丈夫ですか?」

「こんなの、武者震いだ」

「強がらなくていいですよ。私だって怖いですから」

 よく見ると、ミライは少しだけ顔を強張らせていた。

 それを見て、ちょっとだけ安心する。

「実は俺もだ。本当は怖いけど、助けたい思いの方が強いから」

「私もです。やっぱり誠道さんは素敵なお方ですね」

 ミライと顔を見合わせ、うなずき合う。

 それ以上の言葉はいらない。

「それじゃあ誠道さん。改めて、準備はいいですか?」

「もちろんだ!」

「それでは、せーのっ、の合図で力いっぱい押してください」

「そこは呪文かなにかを唱えるんじゃないのかよ」

「いいから、早く押してください。せーのっ!」

 ミライの合図を聞いて、慌てて石像を押す。


『ココニハゼッタイニナニモアリマセン』


「本当に聞こえてきたよー」

 やっぱりここには絶対になにかあるな!
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