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第3章 1 ポストに謎のプレゼント
スポーツドリンク
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大度出独裁国家、改めクソ真面目四兄弟との一件があってから、俺はさらにトレーニングに励むようになった。
――あいつらの助けなんか絶対に借りるものか。
その強い感情が、努力の源の一部になっていた。
大度出……じゃなくて心出たちの手を借りたくない理由は俺のクソみたいなプライド以外のなにものでもないし、彼らが改心していることも理解はしているのだが、理解できるのと受け入れられるのは違う。
腹筋を終え、水分補給をしようと自室からでて一階のリビングへ向かう。
すると、そこではダイニングテーブルに肘をついて、ため息をつくミライの姿があった。
「あ、誠道さん。またトレーニングですか?」
「当然。強くなりたいからな」
「強く、ですか。……はぁ、そうですか、……はぁ」
「なんだよ。さっきからため息ばっかりついて」
「いや……だって。二重の意味で、はぁ……」
ミライは俺の顔を数秒見た後で。
「実は最近、ゴブリンの睾丸と借用書のお得セットが届かなくなったんです」
「お得セット言うな! そんなことで悩んでたのかよ!」
「だって短冊に書いてもダメで」
「七夕か!」
「靴下を用意してもダメで」
「クリスマスか!」
「なのでいま、願いを叶えてくれる不思議な石を買おうとしているところです」
「絶対やめて! そんな石ないから! 仮に存在したとしても、そんな貴重なものを売りに出すやつなんていないから!」
普通に考えて、そんなもんあったら自分で使うから。
「はぁ、あれは一体なんだったんでしょうか。天使の施し、神の恵み? …………はっ! もしかして!」
ひらめいた! と言わんばかりに手をポンとたたくミライ。
「ふっふっふ、私に解けない謎はこの世にないのです」
なにを迷探偵が。
世迷言を。
「この謎を解く手がかりは、合わせてひとつ」
「ひとつかい! そこは三個くらいあるもんだろ!」
ちなみに、ひとつなのは手がかりじゃなくて真実の方な。
「いいですか、誠道さん。ポストに睾丸と借用書が届かなくなった時期を考えてみてください」
自慢げに俺を指さすミライ。
いや、あの、俺真実を知っているんですけど。
俺が心出たちを説得したから、いわば俺が犯人なんですけど。
「そうです! つまり犯人は…………あなたです! 誠道さん! って、もう指差してました……っ」
格好よく指さす予定だったんでしょうが、なんかすごい変な感じになっちゃったね。
だけど。
「どうして俺が犯人だってわかったんだ」
あのときミライはぐーすか寝ていたはず。
たった一つの真実――手がかりからいったいどうやって俺が犯人だと見抜いたのか。
まさか、本物の名探偵っ?
「簡単ですよ。私が悩みを相談した翌日からぱったり来なくなったのは、図星だったからです。サプライズがバレるのは格好悪いですから。それで恥ずかしくなった誠道さんがやめたのです」
「あほか! 全然ちがうよ!」
「もう恥ずかしがらなくてもいいのに。は・ん・に・ん・さ・ん」
「恥ずかしがってねぇわ!」
俺はしぶしぶ大度出たちとの出来事を話してやった。
ミライは神妙な面持ちで俺の話を聞いていた。
「ってなわけで、もうプレゼントが届くことはないから」
「私が寝て――逆に自宅の中から見張っていたときに、そんなことがあったんですね」
「そこで見栄張らなくていいよ。別に責めてないから」
「じゃあ、ぐーすかすぴすぴ永眠する勢いで寝ていたときに、そんなことがあったんですね」
そこまで言われると逆にムカつくけど、埒があかないからもう指摘しはない。
「でも誠道さん。私も同じで、彼らを改心したからと言って、その……許せるわけではありません」
「……だよな。同じ人間として、簡単に許せるわけがないよな」
「はい」
深くうなずくミライ。
なんか空気が重苦しくなってしまったな。
「そうだ。俺のど渇いていたんだった。飲みもの飲みものっと」
俺は飲みものを保管している冷蔵庫(氷魔法の魔石を使用)から、キンキンに冷えた水を取り出してごくごく飲む。
「ぷはぁー。おいしいけど、こういうときはスポーツドリンクが飲みてぇなぁ」
運動後だから、水でもおいしいことはおいしいよ。
ただ、やっぱりアク〇リアスやポカ〇スエットが恋しいくなるのは、仕方がないことだと思う。
「スポーツドリンク、ですか」
ミライがぼそりとつぶやいて、顎に手を当てて考え込んでいる。
「どうした? スポーツドリンクなんてこの世界にあるのか?」
「いえ、残念ながらこの世界にはないですが…………わかりました。ここは誠道さんの引きこもりを支援する優秀な美少女メイドとして、必ずやアク〇リアスやポカ〇スエットのような、伝説のスポーツドリンクを作り出して見せます」
「それ、本当か?」
「はい! ただ準備期間に一週間はください」
「一週間でできるのか?」
ああいう商品って開発には半年くらいかかるもんじゃないの?
働いたことがないから知らんけど。
「任せてください。だってこの私が作るのですから」
自信満々なミライ。
もしも本当にスポーツドリンクを作ってくれるなら、トレーニングが一層はかどるってもんだ。
ミライを優秀なメイドだと、はじめて認めることができるかもしれない。
――あいつらの助けなんか絶対に借りるものか。
その強い感情が、努力の源の一部になっていた。
大度出……じゃなくて心出たちの手を借りたくない理由は俺のクソみたいなプライド以外のなにものでもないし、彼らが改心していることも理解はしているのだが、理解できるのと受け入れられるのは違う。
腹筋を終え、水分補給をしようと自室からでて一階のリビングへ向かう。
すると、そこではダイニングテーブルに肘をついて、ため息をつくミライの姿があった。
「あ、誠道さん。またトレーニングですか?」
「当然。強くなりたいからな」
「強く、ですか。……はぁ、そうですか、……はぁ」
「なんだよ。さっきからため息ばっかりついて」
「いや……だって。二重の意味で、はぁ……」
ミライは俺の顔を数秒見た後で。
「実は最近、ゴブリンの睾丸と借用書のお得セットが届かなくなったんです」
「お得セット言うな! そんなことで悩んでたのかよ!」
「だって短冊に書いてもダメで」
「七夕か!」
「靴下を用意してもダメで」
「クリスマスか!」
「なのでいま、願いを叶えてくれる不思議な石を買おうとしているところです」
「絶対やめて! そんな石ないから! 仮に存在したとしても、そんな貴重なものを売りに出すやつなんていないから!」
普通に考えて、そんなもんあったら自分で使うから。
「はぁ、あれは一体なんだったんでしょうか。天使の施し、神の恵み? …………はっ! もしかして!」
ひらめいた! と言わんばかりに手をポンとたたくミライ。
「ふっふっふ、私に解けない謎はこの世にないのです」
なにを迷探偵が。
世迷言を。
「この謎を解く手がかりは、合わせてひとつ」
「ひとつかい! そこは三個くらいあるもんだろ!」
ちなみに、ひとつなのは手がかりじゃなくて真実の方な。
「いいですか、誠道さん。ポストに睾丸と借用書が届かなくなった時期を考えてみてください」
自慢げに俺を指さすミライ。
いや、あの、俺真実を知っているんですけど。
俺が心出たちを説得したから、いわば俺が犯人なんですけど。
「そうです! つまり犯人は…………あなたです! 誠道さん! って、もう指差してました……っ」
格好よく指さす予定だったんでしょうが、なんかすごい変な感じになっちゃったね。
だけど。
「どうして俺が犯人だってわかったんだ」
あのときミライはぐーすか寝ていたはず。
たった一つの真実――手がかりからいったいどうやって俺が犯人だと見抜いたのか。
まさか、本物の名探偵っ?
「簡単ですよ。私が悩みを相談した翌日からぱったり来なくなったのは、図星だったからです。サプライズがバレるのは格好悪いですから。それで恥ずかしくなった誠道さんがやめたのです」
「あほか! 全然ちがうよ!」
「もう恥ずかしがらなくてもいいのに。は・ん・に・ん・さ・ん」
「恥ずかしがってねぇわ!」
俺はしぶしぶ大度出たちとの出来事を話してやった。
ミライは神妙な面持ちで俺の話を聞いていた。
「ってなわけで、もうプレゼントが届くことはないから」
「私が寝て――逆に自宅の中から見張っていたときに、そんなことがあったんですね」
「そこで見栄張らなくていいよ。別に責めてないから」
「じゃあ、ぐーすかすぴすぴ永眠する勢いで寝ていたときに、そんなことがあったんですね」
そこまで言われると逆にムカつくけど、埒があかないからもう指摘しはない。
「でも誠道さん。私も同じで、彼らを改心したからと言って、その……許せるわけではありません」
「……だよな。同じ人間として、簡単に許せるわけがないよな」
「はい」
深くうなずくミライ。
なんか空気が重苦しくなってしまったな。
「そうだ。俺のど渇いていたんだった。飲みもの飲みものっと」
俺は飲みものを保管している冷蔵庫(氷魔法の魔石を使用)から、キンキンに冷えた水を取り出してごくごく飲む。
「ぷはぁー。おいしいけど、こういうときはスポーツドリンクが飲みてぇなぁ」
運動後だから、水でもおいしいことはおいしいよ。
ただ、やっぱりアク〇リアスやポカ〇スエットが恋しいくなるのは、仕方がないことだと思う。
「スポーツドリンク、ですか」
ミライがぼそりとつぶやいて、顎に手を当てて考え込んでいる。
「どうした? スポーツドリンクなんてこの世界にあるのか?」
「いえ、残念ながらこの世界にはないですが…………わかりました。ここは誠道さんの引きこもりを支援する優秀な美少女メイドとして、必ずやアク〇リアスやポカ〇スエットのような、伝説のスポーツドリンクを作り出して見せます」
「それ、本当か?」
「はい! ただ準備期間に一週間はください」
「一週間でできるのか?」
ああいう商品って開発には半年くらいかかるもんじゃないの?
働いたことがないから知らんけど。
「任せてください。だってこの私が作るのですから」
自信満々なミライ。
もしも本当にスポーツドリンクを作ってくれるなら、トレーニングが一層はかどるってもんだ。
ミライを優秀なメイドだと、はじめて認めることができるかもしれない。
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