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第4章 2 激闘勃発マンティコア!
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「それでは、第一回引きこもり愉しま選手権を開催いたします」
リルルちゃんがタバコを吸いながら宣言する。
引きこもり愉しま選手権ってなに?
せめて石川誠道愉しま選手権って言って。
「ルールは簡単。この引きこもりを愉しませた方が勝ち。ボディタッチは一切なしで、かける言葉は一言のみ。以上。あとはまあ各々頑張って。私は寝とくから」
「おい寝るな! お前もキャバ嬢ならちゃんと接客しろよ!」
「接客ならしてるだろうが、ほら」
リルルちゃん不機嫌そうに、目線で足元を見ろと言ってくる。
「いや、ただずっとタバコをぷかぷか吸ってるだけだろ…………え?」
リルルちゃんは、四つん這いになったマーズの背中に両足を乗せていた。
……ああもうくそが!
「よしっ! このまま勝負をつづけよう。審判は俺を愉しませるんだから俺でいいだろ?」
リルルちゃんはリルルちゃんじゃなくてリルル様だったのね。
まあ、面倒くさいマーズの相手をしてくれているなら、このままにしておいた方が俺もツッコみで忙しくならなくてすむ。
「じゃあさっそく、先行はキアラちゃ――」
「ちょっとぉ、まってぇ。誠道きゅんが審判だとぉ、仲間であるミライとかいうクズ女の方が有利だからぁ」
「クズって言葉を使う方がクズだって習いませんでしたか?」
「二人ともヒートアップしないで。……でも、キアラちゃん? 俺を喜ばせるんだから、俺以外に審判を任せる方が公平じゃないと思うけど」
「いいものがあるんですぅ」
キアラちゃんが店のバックヤードに消え、すぐに一人用の椅子を持ってきた。
「誠道きゅん。これに座ってみてくれますかぁ?」
「え? わかったけど」
言われるがままに椅子に座る――瞬間、体が動かなくなった。
「え? え? ちょっとキアラちゃん、体が動かないんだけど」
わけがわからず呼びかけるも、キアラちゃんは首を傾げて、にっこりと笑うだけ。
「これはぁ、拷問器具を改造した――ちょっと特殊な椅子でぇ」
「いま拷問器具って言ったよね?」
「座ると拘束の魔法がかかるようになっていてぇ」
あ、無視された。
「さらにぃ、嘘をつくと座面の下にある雷の魔石が反応して電撃が走るようになっているんですぅ。これなら嘘はつけないので平等ですねぇ。身内びいきも起きないので、誰も不幸にはならないですよねぇ」
「いきなり俺だけが超不幸になってるんですけど! 俺だけ実害を食らうっていう不平等なんですけど!」
「私は別にどんな条件でも構いませんよ。今更どんな小細工をしようと、あなたが優秀なメイドである私に勝てるはずがありませんから」
「いや、自分で優秀だって言うんなら反対してよ! あなたのご主人様が無意味に傷つけられようとしてるから!」
「もう、誠道さんったら」
俺はなんとかしてこの状況を打破しようとしているのだが、ミライにはまったく説得が通じていないようだ。
しかもなぜか意味ありげに含み笑いを浮かべているし。
「なんだよ。優秀なメイドを自称するなら早く俺を助けるべきだろ?」
「いやでも、ねぇ。だってこの状況はドMにとって……ねぇ」
「なにが『ねぇ』なの? どうして『本当のことはわかってますから』的な笑顔浮かべてるの? 俺は全力でこの状況を嫌がってるよ?」
「あ、なるほど。そういうことですか。すみません。誠道さんの不安に気づけず申しわけありません」
深々と一礼するミライ。
おお、この勝負が不毛だってこと、ようやくわかってくれたか。
「たしかに、このビリビリ椅子にイカサマが仕掛けられていない保証はないですからね。嘘をついた場合にのみ電撃が走るか、事前にきちんとたしかめておくべきでしょう」
「いや俺はそんなこと微塵も考えてないですけど?」
「ふんっ。イカサマなんかするわけないじゃない。私はプロのキャバ嬢よ。それを負けた理由にされても困るから、好きに調べなさいな」
「いや、プロのキャバ嬢はまずお客に電流なんか流そうとしないんですけど」
リルルちゃんがタバコを吸いながら宣言する。
引きこもり愉しま選手権ってなに?
せめて石川誠道愉しま選手権って言って。
「ルールは簡単。この引きこもりを愉しませた方が勝ち。ボディタッチは一切なしで、かける言葉は一言のみ。以上。あとはまあ各々頑張って。私は寝とくから」
「おい寝るな! お前もキャバ嬢ならちゃんと接客しろよ!」
「接客ならしてるだろうが、ほら」
リルルちゃん不機嫌そうに、目線で足元を見ろと言ってくる。
「いや、ただずっとタバコをぷかぷか吸ってるだけだろ…………え?」
リルルちゃんは、四つん這いになったマーズの背中に両足を乗せていた。
……ああもうくそが!
「よしっ! このまま勝負をつづけよう。審判は俺を愉しませるんだから俺でいいだろ?」
リルルちゃんはリルルちゃんじゃなくてリルル様だったのね。
まあ、面倒くさいマーズの相手をしてくれているなら、このままにしておいた方が俺もツッコみで忙しくならなくてすむ。
「じゃあさっそく、先行はキアラちゃ――」
「ちょっとぉ、まってぇ。誠道きゅんが審判だとぉ、仲間であるミライとかいうクズ女の方が有利だからぁ」
「クズって言葉を使う方がクズだって習いませんでしたか?」
「二人ともヒートアップしないで。……でも、キアラちゃん? 俺を喜ばせるんだから、俺以外に審判を任せる方が公平じゃないと思うけど」
「いいものがあるんですぅ」
キアラちゃんが店のバックヤードに消え、すぐに一人用の椅子を持ってきた。
「誠道きゅん。これに座ってみてくれますかぁ?」
「え? わかったけど」
言われるがままに椅子に座る――瞬間、体が動かなくなった。
「え? え? ちょっとキアラちゃん、体が動かないんだけど」
わけがわからず呼びかけるも、キアラちゃんは首を傾げて、にっこりと笑うだけ。
「これはぁ、拷問器具を改造した――ちょっと特殊な椅子でぇ」
「いま拷問器具って言ったよね?」
「座ると拘束の魔法がかかるようになっていてぇ」
あ、無視された。
「さらにぃ、嘘をつくと座面の下にある雷の魔石が反応して電撃が走るようになっているんですぅ。これなら嘘はつけないので平等ですねぇ。身内びいきも起きないので、誰も不幸にはならないですよねぇ」
「いきなり俺だけが超不幸になってるんですけど! 俺だけ実害を食らうっていう不平等なんですけど!」
「私は別にどんな条件でも構いませんよ。今更どんな小細工をしようと、あなたが優秀なメイドである私に勝てるはずがありませんから」
「いや、自分で優秀だって言うんなら反対してよ! あなたのご主人様が無意味に傷つけられようとしてるから!」
「もう、誠道さんったら」
俺はなんとかしてこの状況を打破しようとしているのだが、ミライにはまったく説得が通じていないようだ。
しかもなぜか意味ありげに含み笑いを浮かべているし。
「なんだよ。優秀なメイドを自称するなら早く俺を助けるべきだろ?」
「いやでも、ねぇ。だってこの状況はドMにとって……ねぇ」
「なにが『ねぇ』なの? どうして『本当のことはわかってますから』的な笑顔浮かべてるの? 俺は全力でこの状況を嫌がってるよ?」
「あ、なるほど。そういうことですか。すみません。誠道さんの不安に気づけず申しわけありません」
深々と一礼するミライ。
おお、この勝負が不毛だってこと、ようやくわかってくれたか。
「たしかに、このビリビリ椅子にイカサマが仕掛けられていない保証はないですからね。嘘をついた場合にのみ電撃が走るか、事前にきちんとたしかめておくべきでしょう」
「いや俺はそんなこと微塵も考えてないですけど?」
「ふんっ。イカサマなんかするわけないじゃない。私はプロのキャバ嬢よ。それを負けた理由にされても困るから、好きに調べなさいな」
「いや、プロのキャバ嬢はまずお客に電流なんか流そうとしないんですけど」
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