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第4章 5 私はあなたを選ばない
可愛いです、やっぱり
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「はぁ?! なんだそりゃ」
ぷんすか頬を膨らませてそっぽを向くミライ。
なんだそれ。
ここで、いますぐ褒めろだ?
「早くしないと、私、また借金を作りにいきそうです」
「だからなんだそりゃ」
意味がわからない。
有用なやつが言う屁理屈じゃないことはわかるが。
「褒めろ、……ってなぁ」
「さぁ、早くしてください」
ミライは不機嫌そうに髪をくるくるいじっている。
不貞腐れている姿も絵になるあたり、ミライはやっぱり美少女だ。
……ったく、このモードに入ったミライは本当に面倒くさい。
面倒くさいのはいつもだった。
早く褒めないとミライの機嫌が直りそうにないので…………しょうがない、か。
「まあ、その、なんだ」
顔が熱い。
やっぱり、こういうのはちょっと苦手だ。
ムードができ上がっていたり、感情が高ぶっていたり、アドレナリンが出ていたりしたら話は別だが、こういう日常で、いきなりそういうことを言うのは、本当に恥ずかしい。
「さぁ、早く言ってください」
そっぽを向いているミライだが、ちらちらと期待を込めた目で見てくる。
「……あ、あのぉな、ミライは、その……ありがとう」
「感謝じゃなくて、容姿を褒めてください!」
「容姿っ!?」
「コハクちゃんには可愛いって言ったじゃないですか」
キレるとこ、そこかよ!
コハクちゃんは妹的存在っていうか、異性として意識していないからすっと言えただけであってだな……。
心臓の鼓動が止まらない。
……こうなったらもうやけだ!
「ああもうわかったよ! ミライも可愛いよ!」
「ミライ、『も』?」
髪を耳にかけながら、ゆっくりとこちらを向く。
も、と発音するためにすぼめられた真っ赤な唇が、いつもよりぷっくりして色っぽく感じるのは気のせいか。
露になった小ぶりな耳が、ものすごく愛おしく思えるのは気のせいか。
「いやだからその…………ミライの方が、その……すごく可愛いし、いつも俺のために家事やらなにやら働いてくれてありがとう」
ミライの頬がぽっと赤くなる。
自分で言えって言ったくせして、言ったら言ったで恥ずかしがるなよ!
「あの……誠道さん」
「えっと……、その、ははは」
気まずいのにどうしていいかわからなくて、二人して苦笑いを浮かべたあとで黙り込む。
やがて。
「でも、これで言質は取りましたからね」
ミライが意を決したように俺の顔をじっと見て、ぽっと頬を赤らめた。
目と目が会った瞬間、花火が弾けるかのように心臓がどかんと大きく脈打った。
「言質って、いったいなんのことだよ」
「誠道さんがそう言ったんですからね、男に二言はないですよ」
ミライが唇を尖らせて、こちらを上目づかいで色っぽく見つめてくる。
……な、なに?
そりゃ、可愛いって言ったけど、言わされたけど、本当に可愛いと思ってるけど。
もう一回言ってってこと?
「ああもうわかったよ」
こうなったら、誇張して大袈裟に言ってやろう。
そうやって開き直った方がかえって恥ずかしくない。
「ミライは世界一かわ」
「私が誠道さんのために働いてるって言いましたからね! だから私に金輪際、『外で働いて』なんて言わないでください!」
「そっちかよ!」
なんだそりゃ。
誤解してた俺、チョー恥ずかしいんですけど!
ぷんすか頬を膨らませてそっぽを向くミライ。
なんだそれ。
ここで、いますぐ褒めろだ?
「早くしないと、私、また借金を作りにいきそうです」
「だからなんだそりゃ」
意味がわからない。
有用なやつが言う屁理屈じゃないことはわかるが。
「褒めろ、……ってなぁ」
「さぁ、早くしてください」
ミライは不機嫌そうに髪をくるくるいじっている。
不貞腐れている姿も絵になるあたり、ミライはやっぱり美少女だ。
……ったく、このモードに入ったミライは本当に面倒くさい。
面倒くさいのはいつもだった。
早く褒めないとミライの機嫌が直りそうにないので…………しょうがない、か。
「まあ、その、なんだ」
顔が熱い。
やっぱり、こういうのはちょっと苦手だ。
ムードができ上がっていたり、感情が高ぶっていたり、アドレナリンが出ていたりしたら話は別だが、こういう日常で、いきなりそういうことを言うのは、本当に恥ずかしい。
「さぁ、早く言ってください」
そっぽを向いているミライだが、ちらちらと期待を込めた目で見てくる。
「……あ、あのぉな、ミライは、その……ありがとう」
「感謝じゃなくて、容姿を褒めてください!」
「容姿っ!?」
「コハクちゃんには可愛いって言ったじゃないですか」
キレるとこ、そこかよ!
コハクちゃんは妹的存在っていうか、異性として意識していないからすっと言えただけであってだな……。
心臓の鼓動が止まらない。
……こうなったらもうやけだ!
「ああもうわかったよ! ミライも可愛いよ!」
「ミライ、『も』?」
髪を耳にかけながら、ゆっくりとこちらを向く。
も、と発音するためにすぼめられた真っ赤な唇が、いつもよりぷっくりして色っぽく感じるのは気のせいか。
露になった小ぶりな耳が、ものすごく愛おしく思えるのは気のせいか。
「いやだからその…………ミライの方が、その……すごく可愛いし、いつも俺のために家事やらなにやら働いてくれてありがとう」
ミライの頬がぽっと赤くなる。
自分で言えって言ったくせして、言ったら言ったで恥ずかしがるなよ!
「あの……誠道さん」
「えっと……、その、ははは」
気まずいのにどうしていいかわからなくて、二人して苦笑いを浮かべたあとで黙り込む。
やがて。
「でも、これで言質は取りましたからね」
ミライが意を決したように俺の顔をじっと見て、ぽっと頬を赤らめた。
目と目が会った瞬間、花火が弾けるかのように心臓がどかんと大きく脈打った。
「言質って、いったいなんのことだよ」
「誠道さんがそう言ったんですからね、男に二言はないですよ」
ミライが唇を尖らせて、こちらを上目づかいで色っぽく見つめてくる。
……な、なに?
そりゃ、可愛いって言ったけど、言わされたけど、本当に可愛いと思ってるけど。
もう一回言ってってこと?
「ああもうわかったよ」
こうなったら、誇張して大袈裟に言ってやろう。
そうやって開き直った方がかえって恥ずかしくない。
「ミライは世界一かわ」
「私が誠道さんのために働いてるって言いましたからね! だから私に金輪際、『外で働いて』なんて言わないでください!」
「そっちかよ!」
なんだそりゃ。
誤解してた俺、チョー恥ずかしいんですけど!
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