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第5章 3 発覚
顧客満足、商売上手!
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「だったらマーズさんに直接、藁人形を取り締まってもらうよう頼みましょう。ちょうど、そろそろマーズさんが定期報告にいらっしゃる時間ですし」
ミライの言う通り、そのあとすぐにマーズがやってきたので、リビングに通す。
「……って、あれ? なんでイツモフさんもいるの?」
俺の言葉通り、マーズの隣には金の亡者でおなじみ、イツモフ・ザケテイルがいた。
「なぜって、……まあ、強いて言えば顧客満足のためですかね」
ダイニングテーブルを挟んで対面に座るイツモフさんが、ミライの出したお茶をずずっと啜る。
「金の亡者が顧客満足って言葉を使うなよ。……え? 隕石でも降るの? 嫌な予感しかしないんだけど」
「そこは安心してください」
イツモフさんがお茶の入ったカップを興奮気味にドンと置いた。
「私は、ただキッチンを貸していただきたいだけなのです」
「だったらまず理由を話せ理由を」
「はい。実はいま、誠道くんの家の前という新興観光地で露店を出しています。需要の高いトイレイキタクナクナールや、カラダキレイニナールを観光地ぼったくり価格で売りつけているのですが」
「お前が犯人だったのか! ふざけんな!」
それでファンたちが居座りつづけられてたんですね。
「ふざけていません。私は格好の商売チャンスに飛びついただけ。有能な商売人と呼んでください」
「有能な商売人はぼったくり価格なんて言わないんですけど」
あと、いつの間に俺の家を観光地化してんの?
「はぁ、これだから素人はダメなんです」
イツモフさんは呆れたようにため息をついて。
「いまはバカなアイドルファンからぼったくりできるチャンス――需要を急いで満たすため、顧客満足のために急遽出店した影響で、食料にかんしては腐りかけ――いま話題の発酵食品を利用した簡素な物しか提供できないのです。だからこそ、私はいいカモ――顧客たちに火を通した温かい食べ物を提供してあげたいのです。顧客満足的に!」
「本音出まくりだからな! 商売根性っていうかもはや詐欺師根性! アウトなやつ! 火を通したいのも、腐りかけの食材をごまかしたいだけだろ!」
「そ、そんなわけありませ――――いや、待ってください。腐りかけの食材に火を通してしまうより、そのまま食べさせた方が腹を壊す可能性が高くなり、トイレイキタクナクナールの売れ行きも……」
「だからその考えが犯罪者だっつってんだろ」
「さすがに冗談ですよ。まあ、誠道さんにも悪い話ではないと思います。もちろんキッチンを提供していただくのですから、キッチン使用料はきっちり支払い…………いや、でも私たちは友達ですから、ねぇ?」
「こいつやっぱり最低だよ! 友達の絵師に無料で絵をかかせようとするタイプの最低な人種だよ! 絶対に使わせないからな!」
俺はイツモフさんの提案を断固として突っぱねる。
そもそも、どうして俺が俺の家を取り囲むファンたちに協力しないといけないんだ。
俺は被害者なの!
「はぁ。ケチ道くんはこれだから、はぁ」
「イツモフさんに落胆される筋合いはない」
「わかりました。では、とある方から入手した魔道カメラで写真を撮らせてください。似顔絵ですらあれだけ売れてる藁人形、誠道くんの顔写真にすれば、より高値で売れますから」
「これも犯人はお前かぁ!! ふざけんなぁ!!」
ほんと、イツモフさんは金の亡者すぎる!
絶対、あとで著作権とか場所代とか主張してお金をもぎ取ってやるからな!
「ねぇ、さっきから私のこと無視しないでくれるかしら。いまは私の定期報告の時間なのだけど」
イツモフさんの隣で存在感を消していたマーズが、おずおずと意見するが。
「あ、えっと……もう知りたいことは全部わかったから、マーズは帰っていいぞ。見張りをつづけてくれ」
申しわけないけど、もう用済みだ。
イツモフさんがすべて自白してくれたから。
「そんな、せっかく報告に来たというのにこんな冷たくあしらわれて、帰っていいだなんて。五日間も不眠不休で働いているのに感謝もされず、あろうことかこんな邪険に扱われるなんて……ああっ! 五日も粘った甲斐がありましたぁ」
うん。
マーズが喜んでくれてなによりです。
ミライの言う通り、そのあとすぐにマーズがやってきたので、リビングに通す。
「……って、あれ? なんでイツモフさんもいるの?」
俺の言葉通り、マーズの隣には金の亡者でおなじみ、イツモフ・ザケテイルがいた。
「なぜって、……まあ、強いて言えば顧客満足のためですかね」
ダイニングテーブルを挟んで対面に座るイツモフさんが、ミライの出したお茶をずずっと啜る。
「金の亡者が顧客満足って言葉を使うなよ。……え? 隕石でも降るの? 嫌な予感しかしないんだけど」
「そこは安心してください」
イツモフさんがお茶の入ったカップを興奮気味にドンと置いた。
「私は、ただキッチンを貸していただきたいだけなのです」
「だったらまず理由を話せ理由を」
「はい。実はいま、誠道くんの家の前という新興観光地で露店を出しています。需要の高いトイレイキタクナクナールや、カラダキレイニナールを観光地ぼったくり価格で売りつけているのですが」
「お前が犯人だったのか! ふざけんな!」
それでファンたちが居座りつづけられてたんですね。
「ふざけていません。私は格好の商売チャンスに飛びついただけ。有能な商売人と呼んでください」
「有能な商売人はぼったくり価格なんて言わないんですけど」
あと、いつの間に俺の家を観光地化してんの?
「はぁ、これだから素人はダメなんです」
イツモフさんは呆れたようにため息をついて。
「いまはバカなアイドルファンからぼったくりできるチャンス――需要を急いで満たすため、顧客満足のために急遽出店した影響で、食料にかんしては腐りかけ――いま話題の発酵食品を利用した簡素な物しか提供できないのです。だからこそ、私はいいカモ――顧客たちに火を通した温かい食べ物を提供してあげたいのです。顧客満足的に!」
「本音出まくりだからな! 商売根性っていうかもはや詐欺師根性! アウトなやつ! 火を通したいのも、腐りかけの食材をごまかしたいだけだろ!」
「そ、そんなわけありませ――――いや、待ってください。腐りかけの食材に火を通してしまうより、そのまま食べさせた方が腹を壊す可能性が高くなり、トイレイキタクナクナールの売れ行きも……」
「だからその考えが犯罪者だっつってんだろ」
「さすがに冗談ですよ。まあ、誠道さんにも悪い話ではないと思います。もちろんキッチンを提供していただくのですから、キッチン使用料はきっちり支払い…………いや、でも私たちは友達ですから、ねぇ?」
「こいつやっぱり最低だよ! 友達の絵師に無料で絵をかかせようとするタイプの最低な人種だよ! 絶対に使わせないからな!」
俺はイツモフさんの提案を断固として突っぱねる。
そもそも、どうして俺が俺の家を取り囲むファンたちに協力しないといけないんだ。
俺は被害者なの!
「はぁ。ケチ道くんはこれだから、はぁ」
「イツモフさんに落胆される筋合いはない」
「わかりました。では、とある方から入手した魔道カメラで写真を撮らせてください。似顔絵ですらあれだけ売れてる藁人形、誠道くんの顔写真にすれば、より高値で売れますから」
「これも犯人はお前かぁ!! ふざけんなぁ!!」
ほんと、イツモフさんは金の亡者すぎる!
絶対、あとで著作権とか場所代とか主張してお金をもぎ取ってやるからな!
「ねぇ、さっきから私のこと無視しないでくれるかしら。いまは私の定期報告の時間なのだけど」
イツモフさんの隣で存在感を消していたマーズが、おずおずと意見するが。
「あ、えっと……もう知りたいことは全部わかったから、マーズは帰っていいぞ。見張りをつづけてくれ」
申しわけないけど、もう用済みだ。
イツモフさんがすべて自白してくれたから。
「そんな、せっかく報告に来たというのにこんな冷たくあしらわれて、帰っていいだなんて。五日間も不眠不休で働いているのに感謝もされず、あろうことかこんな邪険に扱われるなんて……ああっ! 五日も粘った甲斐がありましたぁ」
うん。
マーズが喜んでくれてなによりです。
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