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第6章 5 目指せ! 敗北!
これも試練?
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海の家の前に向かうと、肩を落としたミライがしょんぼりと立っていた。
「あ、誠道さん。そっちは無事にエントリーできましたか?」
「まあな。これで俺の現在地を正確に知ることができるぜ。そういうミライはどうだ」
「私は会えずじまいでした」
大きくため息をつくミライ。
それほどまでに、ミライは創流雅に会いたかったということなのだろう。
「仕方ありません。こうなったら所属事務所の前で出待ちを」
「厄介なファンみたいなことしてんじゃねぇ」
「だったら動画配信サイトに上がっている家の間取りから自宅を特定して」
「だから厄介なファンの行動! ってかここ異世界だから!」
「じゃあ、いったいどうすれば会えるのでしょうか」
「知らんけど、普通に大会に出るんだったら、客席にいれば見ることはできるだろ」
それを会ったと言えるかは別にして。
ライブにいった、舞台を見にいった、的な感覚は味わるんじゃないかと思う。
「それくらい、私だって考えついてますよ」
ミライは呆れたと言わんばかりに首を横に振って、嘲笑した。
「そもそも、それを推しに会ったとは言いませんよ」
やっぱり、ミライはそういうタイプのファンだったのね。
「第一、私が誠道さんをこの明らかにえっちでバカげた大会に参加させたのは、誠道さんを控室に潜入させて創流雅さんにサインをもらってこさせようとしているからです。あわよくば握手もさせて、その誠道さんの手を握れば、それは間接握手になって」
「そのためかよ。今回はなんかすんなりいくと思ったら!」
「参加者の知り合いはチケット代を払わずに関係者席で観戦もできます」
「だから俺を利用すんな!」
「それに、誠道さんにはこれから死なない程度の麻痺毒を飲んでもらうので、万が一にも優勝はありません。ハーレムなんて作らせません」
「支援すべき相手を殺そうとしてんじゃねぇ!」
「死なない程度にやりますって、死なないから」
「死ぬ気でやれよ、死なないから、みたいにいうんじゃねぇ!」
はぁ、はぁ、と過ツッコみ(過ツッコみってなんだよ)のせいで息が上がってしまう。
膝に手をついて前かがみになり、荒くなった呼吸を整えていると、どこからともなく怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんでですか! 絶対におかしいです!」
「……は? 聖、ちゃん?」
クレーマーのように喚き散らす、愉悦の睾丸女帝こと心菜聖ちゃんが、大会の運営スタッフの三人の女性に羽交い絞めにされながら、どこかへ連行されようとしていた。
「なんですか! 勝手にバックヤードに侵入しようとしたからって警備室に連れていくって! あなたたちになんの権限があってそんな横暴を!」
いや、聖ちゃん。
申しわけないけど、今回は味方できません。
あなたを連行している大会運営者の判断が圧倒的に正しいです。
「ここは絶対に私の出番なんです! 私以外に適任がいるとは思えません!」
両手両足をバタバタさせて、なおも抵抗をつづける聖ちゃん。
そこまでして彼女を駆り立てるものはいったいなんだろうか?
そういや、この大会を中止させないためにクラーケンを倒しにきたって言ってたなぁ。
でも、聖ちゃんは女だから、別にこの大会にここまで狂気的に執着する理由はないと思うんだけど。
「いいから私にやらせてください!」
聖ちゃんがこんなに執着するものいったら、『ぐちゃぐちゃと睾丸』だけだろ。
その二つがこの大会に関わっているとは思えないから…………だめだ。
さっぱりわからない。
実に面白くない。
「わかりました。そこまで私を拒絶するというのなら」
俺が警察の捜査になんだかんだで協力する大学教授の真似をしていると、聖ちゃんが三人の大会運営スタッフの拘束を振り飛ばし、設営された大会会場にむけて猛ダッシュしはじめた。
「私がこの大会を、こんな無意味な大会なんか潰してやる!」
ポケットから縮小させていた聖剣ジャンヌダルクまで取り出しやがった!!
「おい待て聖ちゃん!」
俺は急いで聖ちゃんめがけて駆けだした!
「こんな、こんな大会なんて大っ嫌いだぁああああああ!」
「浮気見つけてヤケになる彼女みたいなことやめてー!」
くそ、大会開始前にこんな試練があるなんて。
……っは!
もしかして、暴走する聖ちゃんを止め、さらにミライからの麻痺毒攻撃を回避することが、第三の試練なのか?
まあ、そんなわけないだろうけど、それでも俺のハーレム計画――――純然たる向上心の邪魔なんか誰にもさせやしないぞ!
「あ、誠道さん。そっちは無事にエントリーできましたか?」
「まあな。これで俺の現在地を正確に知ることができるぜ。そういうミライはどうだ」
「私は会えずじまいでした」
大きくため息をつくミライ。
それほどまでに、ミライは創流雅に会いたかったということなのだろう。
「仕方ありません。こうなったら所属事務所の前で出待ちを」
「厄介なファンみたいなことしてんじゃねぇ」
「だったら動画配信サイトに上がっている家の間取りから自宅を特定して」
「だから厄介なファンの行動! ってかここ異世界だから!」
「じゃあ、いったいどうすれば会えるのでしょうか」
「知らんけど、普通に大会に出るんだったら、客席にいれば見ることはできるだろ」
それを会ったと言えるかは別にして。
ライブにいった、舞台を見にいった、的な感覚は味わるんじゃないかと思う。
「それくらい、私だって考えついてますよ」
ミライは呆れたと言わんばかりに首を横に振って、嘲笑した。
「そもそも、それを推しに会ったとは言いませんよ」
やっぱり、ミライはそういうタイプのファンだったのね。
「第一、私が誠道さんをこの明らかにえっちでバカげた大会に参加させたのは、誠道さんを控室に潜入させて創流雅さんにサインをもらってこさせようとしているからです。あわよくば握手もさせて、その誠道さんの手を握れば、それは間接握手になって」
「そのためかよ。今回はなんかすんなりいくと思ったら!」
「参加者の知り合いはチケット代を払わずに関係者席で観戦もできます」
「だから俺を利用すんな!」
「それに、誠道さんにはこれから死なない程度の麻痺毒を飲んでもらうので、万が一にも優勝はありません。ハーレムなんて作らせません」
「支援すべき相手を殺そうとしてんじゃねぇ!」
「死なない程度にやりますって、死なないから」
「死ぬ気でやれよ、死なないから、みたいにいうんじゃねぇ!」
はぁ、はぁ、と過ツッコみ(過ツッコみってなんだよ)のせいで息が上がってしまう。
膝に手をついて前かがみになり、荒くなった呼吸を整えていると、どこからともなく怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんでですか! 絶対におかしいです!」
「……は? 聖、ちゃん?」
クレーマーのように喚き散らす、愉悦の睾丸女帝こと心菜聖ちゃんが、大会の運営スタッフの三人の女性に羽交い絞めにされながら、どこかへ連行されようとしていた。
「なんですか! 勝手にバックヤードに侵入しようとしたからって警備室に連れていくって! あなたたちになんの権限があってそんな横暴を!」
いや、聖ちゃん。
申しわけないけど、今回は味方できません。
あなたを連行している大会運営者の判断が圧倒的に正しいです。
「ここは絶対に私の出番なんです! 私以外に適任がいるとは思えません!」
両手両足をバタバタさせて、なおも抵抗をつづける聖ちゃん。
そこまでして彼女を駆り立てるものはいったいなんだろうか?
そういや、この大会を中止させないためにクラーケンを倒しにきたって言ってたなぁ。
でも、聖ちゃんは女だから、別にこの大会にここまで狂気的に執着する理由はないと思うんだけど。
「いいから私にやらせてください!」
聖ちゃんがこんなに執着するものいったら、『ぐちゃぐちゃと睾丸』だけだろ。
その二つがこの大会に関わっているとは思えないから…………だめだ。
さっぱりわからない。
実に面白くない。
「わかりました。そこまで私を拒絶するというのなら」
俺が警察の捜査になんだかんだで協力する大学教授の真似をしていると、聖ちゃんが三人の大会運営スタッフの拘束を振り飛ばし、設営された大会会場にむけて猛ダッシュしはじめた。
「私がこの大会を、こんな無意味な大会なんか潰してやる!」
ポケットから縮小させていた聖剣ジャンヌダルクまで取り出しやがった!!
「おい待て聖ちゃん!」
俺は急いで聖ちゃんめがけて駆けだした!
「こんな、こんな大会なんて大っ嫌いだぁああああああ!」
「浮気見つけてヤケになる彼女みたいなことやめてー!」
くそ、大会開始前にこんな試練があるなんて。
……っは!
もしかして、暴走する聖ちゃんを止め、さらにミライからの麻痺毒攻撃を回避することが、第三の試練なのか?
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