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貴族院の嵐6
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昨夜はレオニスさんのことを考えてあまり眠れなかったから、今朝は眠い。勉強は午後なので午前中は少し寝ようかな。でないと頭が回らない。そんな調子でダイニングルームへ行くとすでにレオニスさんは席についていた。ヤバい。待たせてしまった。
「すいません。遅くなって」
「いや、大丈夫だ。私も今来たところだから」
レオニスさんはそう言って笑うけれど、目の下には隈ができていた。やはりよく眠れなかったのだろう。でも、何事もなかったかのように笑っているのを見ると痛々しかった。ほんとに1人で戦っているんだなと思う。いや、思想に関しては同じように考えている人はいると思うけれど、あのヴァルター侯爵と1人で話しをするのは神経使うだろうし、そしてヴァルター侯爵の姪との婚約話がある。爵位で行くと伯爵と侯爵では侯爵の方が上だ。だから本当なら侯爵家と縁戚になれることは嬉しいことだろう。でも、相手があのヴァルター侯爵の姪っていうのが良くないんだろう。そうでなければ婚約の話も進めているだろうし、婚約者だって屋敷に来るだろう。だけど俺の知っている限り屋敷には来ていないし、それどころか使用人たちは婚約者がいるということさえはっきりとはわかっていなかった。もし屋敷に来ているのなら、婚約者のことは知っているだろう。相手方は、こちらが伯爵家だからと下に見ているからか、それともレオニスさん同様、気がのらない婚約なのか。どちらにしても、結婚しても上手くいくとは思えない。
そんなことを抱えているレオニスさんは大変だろうなと思う。でも、俺はなんでもないふりをしていなきゃいけない。だって客人が屋敷の主のことに口を挟むものじゃない。
俺がそんなふうにつらつらと考え事をしていると、レオニスさんが心配そうに俺のことを見ている。
「目の下に隈ができているが、昨夜はよく眠れなかったのか?」
うわ。俺の目の下にも隈ができてるのか。そりゃそうだよなあまり寝れなかったんだし。
「ちょっと寝付きが悪くて」
「そうか。そうしたら朝食を食べたら少し休んだらいい。勉強は午後だろう?」
「はい、そうします」
自分も寝不足で辛いだろうに、俺の心配をして……。ほんとに優しい人なんだよな。だからレオニスさんの抱えているものを少しでも持ってあげたいって思うんだ。そんな日が来るのかなんてわからないけど。元の世界に戻りたいと思っている客人の俺が思うものではないとも思うんだけど、そう思ってしまうんだ。
俺が席についたことでスープが出てきた。今日はじゃがいものポタージュで優しい甘さがある。最初の頃は朝からがっつり食べるんだなとびっくりしていたけれど、今ではこうじゃないと昼までもたない気がするくらいだ。人間、慣れって怖いな。
スープを飲みながら、ちらりとレオニスさんの方を見るけれど、なんでもない顔をしている。もう大丈夫なんだろうか。一晩寝てすっきりしたのかな? 他人事であるはずの俺がこんなにもやもやしてるのに? もう慣れちゃってるのかな? いや、慣れていたら昨夜のような苦しさはなかっただろう。ヴァルター侯爵が帰って即すっきりしているはずだ。
だけど、庶民にとってはレオニスさんはありがたい存在だろうな。みんながみんなヴァルター侯爵みたいだとは思わないけれど、多かれ少なかれふんぞり返っていると思うんだ。そんな人は庶民のことなんて考えないだろう。それこそ、貴族による貴族のための政治を執るだろう。庶民のことを考えた政治をしている人はどれくらいいるんだろうか。少しでも多いといい。そう思う。
レオニスさんのことを考えながらの食事を終えると、俺はすでに満足げに寛いでいるルナを抱いて部屋に戻った。少し寝ようと思ってベッドに横になっているのに、全然眠れない。昨夜と一緒だ。これじゃあダメだと思った俺は庭園を少し散歩し、眠気覚ましに厨房にブラックコーヒーを貰いに行った。眠れないなら、眠気だけは覚ましておきたい。
「ああ、タクヤさん。どうしました?」
「コーヒーが欲しくて。ブラックコーヒーありますか?」
「俺も飲みたいと思っていたので、淹れましょう。それにしてもすごい隈ですね」
アベルさんにも指摘されてしまった。なので俺はレオニスさんに答えたのと同じ、「寝付きが悪くて」と答えた。
しばらくしてコーヒーが落ち、厨房はコーヒーのいい香りが満ちた。これで少し眠気が覚めるといい。そう思った。
「すいません。遅くなって」
「いや、大丈夫だ。私も今来たところだから」
レオニスさんはそう言って笑うけれど、目の下には隈ができていた。やはりよく眠れなかったのだろう。でも、何事もなかったかのように笑っているのを見ると痛々しかった。ほんとに1人で戦っているんだなと思う。いや、思想に関しては同じように考えている人はいると思うけれど、あのヴァルター侯爵と1人で話しをするのは神経使うだろうし、そしてヴァルター侯爵の姪との婚約話がある。爵位で行くと伯爵と侯爵では侯爵の方が上だ。だから本当なら侯爵家と縁戚になれることは嬉しいことだろう。でも、相手があのヴァルター侯爵の姪っていうのが良くないんだろう。そうでなければ婚約の話も進めているだろうし、婚約者だって屋敷に来るだろう。だけど俺の知っている限り屋敷には来ていないし、それどころか使用人たちは婚約者がいるということさえはっきりとはわかっていなかった。もし屋敷に来ているのなら、婚約者のことは知っているだろう。相手方は、こちらが伯爵家だからと下に見ているからか、それともレオニスさん同様、気がのらない婚約なのか。どちらにしても、結婚しても上手くいくとは思えない。
そんなことを抱えているレオニスさんは大変だろうなと思う。でも、俺はなんでもないふりをしていなきゃいけない。だって客人が屋敷の主のことに口を挟むものじゃない。
俺がそんなふうにつらつらと考え事をしていると、レオニスさんが心配そうに俺のことを見ている。
「目の下に隈ができているが、昨夜はよく眠れなかったのか?」
うわ。俺の目の下にも隈ができてるのか。そりゃそうだよなあまり寝れなかったんだし。
「ちょっと寝付きが悪くて」
「そうか。そうしたら朝食を食べたら少し休んだらいい。勉強は午後だろう?」
「はい、そうします」
自分も寝不足で辛いだろうに、俺の心配をして……。ほんとに優しい人なんだよな。だからレオニスさんの抱えているものを少しでも持ってあげたいって思うんだ。そんな日が来るのかなんてわからないけど。元の世界に戻りたいと思っている客人の俺が思うものではないとも思うんだけど、そう思ってしまうんだ。
俺が席についたことでスープが出てきた。今日はじゃがいものポタージュで優しい甘さがある。最初の頃は朝からがっつり食べるんだなとびっくりしていたけれど、今ではこうじゃないと昼までもたない気がするくらいだ。人間、慣れって怖いな。
スープを飲みながら、ちらりとレオニスさんの方を見るけれど、なんでもない顔をしている。もう大丈夫なんだろうか。一晩寝てすっきりしたのかな? 他人事であるはずの俺がこんなにもやもやしてるのに? もう慣れちゃってるのかな? いや、慣れていたら昨夜のような苦しさはなかっただろう。ヴァルター侯爵が帰って即すっきりしているはずだ。
だけど、庶民にとってはレオニスさんはありがたい存在だろうな。みんながみんなヴァルター侯爵みたいだとは思わないけれど、多かれ少なかれふんぞり返っていると思うんだ。そんな人は庶民のことなんて考えないだろう。それこそ、貴族による貴族のための政治を執るだろう。庶民のことを考えた政治をしている人はどれくらいいるんだろうか。少しでも多いといい。そう思う。
レオニスさんのことを考えながらの食事を終えると、俺はすでに満足げに寛いでいるルナを抱いて部屋に戻った。少し寝ようと思ってベッドに横になっているのに、全然眠れない。昨夜と一緒だ。これじゃあダメだと思った俺は庭園を少し散歩し、眠気覚ましに厨房にブラックコーヒーを貰いに行った。眠れないなら、眠気だけは覚ましておきたい。
「ああ、タクヤさん。どうしました?」
「コーヒーが欲しくて。ブラックコーヒーありますか?」
「俺も飲みたいと思っていたので、淹れましょう。それにしてもすごい隈ですね」
アベルさんにも指摘されてしまった。なので俺はレオニスさんに答えたのと同じ、「寝付きが悪くて」と答えた。
しばらくしてコーヒーが落ち、厨房はコーヒーのいい香りが満ちた。これで少し眠気が覚めるといい。そう思った。
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