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静かな夜の扉6
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「ありがとう、タクヤ。今日、君と話せて良かった。正直、かなり辛かったんだが、タクヤのおかげでまた頑張ろうと思えた。また明日からの貴族院で頑張るよ。絶対に法案を通す。それがこの国の庶民を救うんだ」
「少しでも元気が出たのなら良かったです。頑張ってください。そして、俺ができることがあればなんでも言ってください。庶民の暮らしを見てこいと言うなら見てきます。どこをどう行けばいいのかわからないけど」
「君は和食を作ってくれ。あの味噌スープが飲みたい。あ、これはアベルが覚えたんだったな。でも、他の和食を食べてみたいからな。そして君はまだ屋敷から出たことがなかったか」
「はい。散歩も庭で済んでいるので……」
「それなら、そのうち一緒に行こう。私では気がつかないことも君なら気がつくこともあるかもしれない」
「はいっ!」
やった! 庶民の暮らす場所がわかれば、俺1人でも行くことができる。そして、庶民の目から見たこの国の庶民の暮らしがどれくらいなのかわかる。俺の利点は、ただの庶民じゃなくて、この国の人間ではない他の国の人間だから比べることができるという点だ。思ったよりも酷いのか、思ったよりは悪くないのか、それがわかる。
「今日はもう休もう」
時計を見ると、時間は22時を指していた。もうそんな時間になってたのか。
「遅くまですいませんでした。レオニスさんも休んでくださいね」
「ああ。そうしよう。それから朝食だけど、最近は食べずに行っていたけれど、明日はいつも通り食べて出かけるよ」
やった! レオニスさんがきちんと食事を食べてくれる。このひとつでも、ここに来た甲斐がある。良かった。これでアベルさんをはじめ、他の使用人の人たちも安心するだろう。
「じゃあ、明日はダイニングルームで食べましょう。夜はまたなにか作りますね」
「楽しみにしているよ」
「はい。じゃあお休みなさい」
「ああ。お休み」
そう言って俺はルナを抱いて書斎を出て、自室へと戻った。心臓がばくばく言っている。何気に緊張していたから。でも、鈴が鳴って、まるで行けって言われているようだったけど、ほんとに行って良かった。あれでおじけづいてまっすぐに部屋に戻ってきていたら、レオニスさんが明日の朝はダイニングルームでいつも通り朝食を食べるとはならなかっただろう。俺ができることなんてほんとになくて。でも、食事をすると言ってくれたのが嬉しい。これで朝食だけでなく、夕食も普通に食べてくれるかな? そうしたら俺の役目は果たせたと言えるんじゃないかな。
「ルナ。行けって言ってくれてありがとう。レオニスさんも少しは元気が出たみたいだ。良かったよな。アベルさんもニコラスさんも、他の人だってみんな喜ぶ。ほんとにお前は神の使いなのかな?」
俺がそうルナに話しかけると、涼しい顔をして顔を洗っている。ルナ的には夕食後ずっと起きてたから、もう丸まりたいんだろう。
でも、レオニスさんはすごいな。怖いことだってあるのに、人のために戦う。私利私欲にまみれた貴族なんかじゃない。間違えても「貴族による貴族のための政治」だなんて馬鹿なことは言わない。そして、あんな怖い人を敵に回してまでも戦おうとするんだ。それはすごいことだ。貴族なんてここに来るまで会ったこともない人種だったけど、イメージとしてはお高くとまっているイメージだった。でも、レオニスさんはお高くなんてとまってなかった。お高くとまっているのはヴァルター侯爵の方だった。レオニスさんみたいな貴族がたくさんいたら、この国の庶民は救われるだろうな。ああ、でも、そうか。レオニスさんは見ず知らずの俺を遺跡のところで助けてくれたような人だ。自国の庶民を助けようとするのは当たり前か。でも、それでも戦おうとする姿は格好いいし、尊敬する。人としてそんな人になりたいと思う。レオニスさんとの距離が縮まった気がする。それは、この屋敷に居候している身としては悪いことではないだろう。でも、なんとなく、これ以上近づいたらいけない。そんな気もする。悪い意味じゃなく。もっともっとレオニスさんのことを知りたいと思うし、もっともっと近くに行きたい。そう思ってしまうから。それはなんだかいけないような気がして。それでも、今日はレオニスさんが抱えていることが少しわかって良かった。月明かりの下、そう思った。
「少しでも元気が出たのなら良かったです。頑張ってください。そして、俺ができることがあればなんでも言ってください。庶民の暮らしを見てこいと言うなら見てきます。どこをどう行けばいいのかわからないけど」
「君は和食を作ってくれ。あの味噌スープが飲みたい。あ、これはアベルが覚えたんだったな。でも、他の和食を食べてみたいからな。そして君はまだ屋敷から出たことがなかったか」
「はい。散歩も庭で済んでいるので……」
「それなら、そのうち一緒に行こう。私では気がつかないことも君なら気がつくこともあるかもしれない」
「はいっ!」
やった! 庶民の暮らす場所がわかれば、俺1人でも行くことができる。そして、庶民の目から見たこの国の庶民の暮らしがどれくらいなのかわかる。俺の利点は、ただの庶民じゃなくて、この国の人間ではない他の国の人間だから比べることができるという点だ。思ったよりも酷いのか、思ったよりは悪くないのか、それがわかる。
「今日はもう休もう」
時計を見ると、時間は22時を指していた。もうそんな時間になってたのか。
「遅くまですいませんでした。レオニスさんも休んでくださいね」
「ああ。そうしよう。それから朝食だけど、最近は食べずに行っていたけれど、明日はいつも通り食べて出かけるよ」
やった! レオニスさんがきちんと食事を食べてくれる。このひとつでも、ここに来た甲斐がある。良かった。これでアベルさんをはじめ、他の使用人の人たちも安心するだろう。
「じゃあ、明日はダイニングルームで食べましょう。夜はまたなにか作りますね」
「楽しみにしているよ」
「はい。じゃあお休みなさい」
「ああ。お休み」
そう言って俺はルナを抱いて書斎を出て、自室へと戻った。心臓がばくばく言っている。何気に緊張していたから。でも、鈴が鳴って、まるで行けって言われているようだったけど、ほんとに行って良かった。あれでおじけづいてまっすぐに部屋に戻ってきていたら、レオニスさんが明日の朝はダイニングルームでいつも通り朝食を食べるとはならなかっただろう。俺ができることなんてほんとになくて。でも、食事をすると言ってくれたのが嬉しい。これで朝食だけでなく、夕食も普通に食べてくれるかな? そうしたら俺の役目は果たせたと言えるんじゃないかな。
「ルナ。行けって言ってくれてありがとう。レオニスさんも少しは元気が出たみたいだ。良かったよな。アベルさんもニコラスさんも、他の人だってみんな喜ぶ。ほんとにお前は神の使いなのかな?」
俺がそうルナに話しかけると、涼しい顔をして顔を洗っている。ルナ的には夕食後ずっと起きてたから、もう丸まりたいんだろう。
でも、レオニスさんはすごいな。怖いことだってあるのに、人のために戦う。私利私欲にまみれた貴族なんかじゃない。間違えても「貴族による貴族のための政治」だなんて馬鹿なことは言わない。そして、あんな怖い人を敵に回してまでも戦おうとするんだ。それはすごいことだ。貴族なんてここに来るまで会ったこともない人種だったけど、イメージとしてはお高くとまっているイメージだった。でも、レオニスさんはお高くなんてとまってなかった。お高くとまっているのはヴァルター侯爵の方だった。レオニスさんみたいな貴族がたくさんいたら、この国の庶民は救われるだろうな。ああ、でも、そうか。レオニスさんは見ず知らずの俺を遺跡のところで助けてくれたような人だ。自国の庶民を助けようとするのは当たり前か。でも、それでも戦おうとする姿は格好いいし、尊敬する。人としてそんな人になりたいと思う。レオニスさんとの距離が縮まった気がする。それは、この屋敷に居候している身としては悪いことではないだろう。でも、なんとなく、これ以上近づいたらいけない。そんな気もする。悪い意味じゃなく。もっともっとレオニスさんのことを知りたいと思うし、もっともっと近くに行きたい。そう思ってしまうから。それはなんだかいけないような気がして。それでも、今日はレオニスさんが抱えていることが少しわかって良かった。月明かりの下、そう思った。
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