2 / 86
はじめましての誤解から2
しおりを挟む
「美味しそうなものいっぱいあるね」
その男より先を歩いていると、後ろからそんな声が聞こえてくる。振り返ると、辺りをキョロキョロしている男がいる。
「ねぇ、少し食べてもいいかな」
「食べてもいいけど、そうしたら蕎麦食えなくなるんじゃないの?」
「それは多分、大丈夫。実は朝から何も食べてないんだよね」
は? 朝からなにも食べてない? なにも食べずにこの辺をうろうろしてたというのか。馬鹿か、この男は。とちょっと呆れてしまう。
「じゃあ先に蕎麦を食べて、それで足りなかったら食べ歩きしたらいいんじゃないか? デザートになるだろ」
「デザートにも付き合ってくれる?」
目をキラキラとさせてるけど、なにに対して目を輝かせているんだ? それはデザートと称した仲見世通りの食べ歩きか、それとも俺にか。そこまで考えてため息をつく。
「俺に買い食いに付き合えと?」
そういうと、ダメだろうかとシュンとした顔をする。こいつは考えていることが全て顔に出るみたいだな。歳は俺より少し上だろう。そんないい年した大人がそんなに感情を表に出していいんだろうか。ま、俺には関係ないけど。それにしてもシュンとうなだれている姿が大型犬に似ている。そう思うと、つい笑ってしまった。
「いいよ。日本語できないんだろう?」
「こんにちは、とありがとうくらいしか言えない」
「まぁ、指さしでも買えるっちゃ買えるけど」
俺のその言葉に”絶望”という表情をして見せる。その顔が面白くて、つい笑ってしまった。
「1人で来たの? それとも別行動?」
「1人で来た。1人で食事って寂しいね。韓国では外食を1人でする習慣がないから」
それでナンパしてきたのか? それで女と間違えて俺に声をかけてきたのか。
「ダメ、かな?」
俺よりも断然背の高い男が上目使いするって器用じゃないか? でも、なんだか。呆れるところもあるけれど、つい頷いてしまった。
「わかった。つきやってやる」
俺のその言葉に頭をあげて、先ほどより目をキラキラと輝かせてきた。失敗、したかな? まぁそれでも今日は特に用事があるわけじゃないからいいか。そう思うと、男はにこにこし出した。そんなに嬉しいんだろうか。
「やった! じゃあ、その前に、その、天ぷら蕎麦を食べに行こう。日本のティギム、楽しみだ。お店はどっち?」
「ああ、こっち。この道をしばらくまっすぐ」
「了解」
まるで散歩に出た犬みたいにぐんぐんと俺を引っ張って行く。いや、店の場所知らないだろうに。なにがそんなに嬉しいんだろうと思う。冷たいようだけど、ほんとに言葉がわからなくたって食べたいものを指指して1とか指で知らせれば買えるし食べれる。そうは思うんだけど、なんだかそれでは可哀想な気がした。いや、俺が同情してやる必要はないと思うんだけど。
「そこの角の左側が蕎麦屋だよ」
「おお! 見るからに日本の感性だ。入るよ?」
「日本の感性っていうのが意味不明だけど、入れよ」
「うん」
お昼を過ぎているからか、店内はさほど混んでなかった。食事の時間帯だとたまに待っている人がいたりするけど、今日は待っている人もなく、すぐに席に案内された。
その男より先を歩いていると、後ろからそんな声が聞こえてくる。振り返ると、辺りをキョロキョロしている男がいる。
「ねぇ、少し食べてもいいかな」
「食べてもいいけど、そうしたら蕎麦食えなくなるんじゃないの?」
「それは多分、大丈夫。実は朝から何も食べてないんだよね」
は? 朝からなにも食べてない? なにも食べずにこの辺をうろうろしてたというのか。馬鹿か、この男は。とちょっと呆れてしまう。
「じゃあ先に蕎麦を食べて、それで足りなかったら食べ歩きしたらいいんじゃないか? デザートになるだろ」
「デザートにも付き合ってくれる?」
目をキラキラとさせてるけど、なにに対して目を輝かせているんだ? それはデザートと称した仲見世通りの食べ歩きか、それとも俺にか。そこまで考えてため息をつく。
「俺に買い食いに付き合えと?」
そういうと、ダメだろうかとシュンとした顔をする。こいつは考えていることが全て顔に出るみたいだな。歳は俺より少し上だろう。そんないい年した大人がそんなに感情を表に出していいんだろうか。ま、俺には関係ないけど。それにしてもシュンとうなだれている姿が大型犬に似ている。そう思うと、つい笑ってしまった。
「いいよ。日本語できないんだろう?」
「こんにちは、とありがとうくらいしか言えない」
「まぁ、指さしでも買えるっちゃ買えるけど」
俺のその言葉に”絶望”という表情をして見せる。その顔が面白くて、つい笑ってしまった。
「1人で来たの? それとも別行動?」
「1人で来た。1人で食事って寂しいね。韓国では外食を1人でする習慣がないから」
それでナンパしてきたのか? それで女と間違えて俺に声をかけてきたのか。
「ダメ、かな?」
俺よりも断然背の高い男が上目使いするって器用じゃないか? でも、なんだか。呆れるところもあるけれど、つい頷いてしまった。
「わかった。つきやってやる」
俺のその言葉に頭をあげて、先ほどより目をキラキラと輝かせてきた。失敗、したかな? まぁそれでも今日は特に用事があるわけじゃないからいいか。そう思うと、男はにこにこし出した。そんなに嬉しいんだろうか。
「やった! じゃあ、その前に、その、天ぷら蕎麦を食べに行こう。日本のティギム、楽しみだ。お店はどっち?」
「ああ、こっち。この道をしばらくまっすぐ」
「了解」
まるで散歩に出た犬みたいにぐんぐんと俺を引っ張って行く。いや、店の場所知らないだろうに。なにがそんなに嬉しいんだろうと思う。冷たいようだけど、ほんとに言葉がわからなくたって食べたいものを指指して1とか指で知らせれば買えるし食べれる。そうは思うんだけど、なんだかそれでは可哀想な気がした。いや、俺が同情してやる必要はないと思うんだけど。
「そこの角の左側が蕎麦屋だよ」
「おお! 見るからに日本の感性だ。入るよ?」
「日本の感性っていうのが意味不明だけど、入れよ」
「うん」
お昼を過ぎているからか、店内はさほど混んでなかった。食事の時間帯だとたまに待っている人がいたりするけど、今日は待っている人もなく、すぐに席に案内された。
0
あなたにおすすめの小説
カフェ・コン・レーチェ
こうらい ゆあ
BL
小さな喫茶店 音雫には、今日も静かなオルゴール調のの曲が流れている。
背が高すぎるせいか、いつも肩をすぼめている常連の彼が来てくれるのを、僕は密かに楽しみにしていた。
苦いブラックが苦手なのに、毎日変わらずブラックを頼む彼が気になる。
今日はいつもより温度を下げてみようかな?香りだけ甘いものは苦手かな?どうすれば、喜んでくれる?
「君の淹れる珈琲が一番美味しい」
苦手なくせに、いつも僕が淹れた珈琲を褒めてくれる彼。
照れ臭そうに顔を赤ながらも褒めてくれる彼ともっと仲良くなりたい。
そんな、ささやかな想いを込めて、今日も丁寧に豆を挽く。
甘く、切なく、でも愛しくてたまらない――
珈琲の香りに包まれた、静かで優しい記憶の物語。
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
Candy pop〜Bitter&Sweet
義井 映日
BL
「完璧な先輩」が壊れるまで、カウントはもう、とっくに『0』を過ぎていた。
「185cmの看板男」が、たった一人の恋人の前で理性を失う。
三ヶ月の禁欲を経て、その愛は甘く、激しく、暴走する――。
「あらすじ」
大学の「看板男」こと安達大介は、後輩の一之瀬功(こう)を溺愛している。
ついに迎えた初めての夜。しかし、安達の圧倒的な「雄」の迫力に、功は本能的な恐怖で逃げ出してしまう。
「――お前は俺を狂わせる毒だと思ってた」
絶望した安達と、愛しているのに身体が竦む功。
三ヶ月の「じれったい禁欲生活」を経て、看板男の仮面が剥がれるとき、世界で一番甘い夜が始まる。
★本編全6話に加え、季節を巡る濃密な番外編1本も公開中!近日最新エピソードも追加予定!
(2月の看病編/3月のホワイトデー編公開予定です)
お話が気に入った、面白かった、と思ってくださったら、お気に入り登録、いいね、をお願い致します!
作者の励みになります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる