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はじめましての誤解から3
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「蕎麦は温かいのと冷たいのがあるけど、どっちがいい?」
「大分涼しくなったから温かい方がいいかな?」
「天ぷらは? さっきからティギムとか言ってたけど」
「うん。食べる。韓国のと食べ比べてみたい」
「じゃあ天ぷら蕎麦だな」
結局、話していたとおりに2人とも温かい天ぷら蕎麦にした。
「韓国にそばってあるの?」
「日食としてあるよ。だから本場のを食べてみたかった」
「日本料理のこと日食っていうんだ? やっぱり高い? 高級食みたいとか?」
「ううん。値段は普通の韓国料理よりちょっと高いだけかな? 結構人気だよ」
「へえ。韓国って行ったことないから全然わからない」
蕎麦が来るまでの間、俺はその男に色々聞いていた。
「そういえばお互い、名前知らないよな。俺は砂倉明日海」
「俺はハ・イジュン。24歳。明日海はいくつ? 大学生ぐらい?」
「大学4年。21歳。24歳ってことは会社員?」
「いや、軍隊を除隊したばかりだから、仕事をどうしようか考えているところ」
「あ、そういえば韓国は兵役があるんだよな。どこ所属だったの? 陸? 海? 空?」
「陸。だから18ヶ月で出てこれた」
「やっぱり厳しいの?」
「そうだね。何回か逃げ出したいと思ったよ」
「うへー。そんなに厳しいのか」
「そう。ほんとに厳しい。日本はいいな、兵役なくて」
兵役……。その前に日本には軍隊がない。自衛隊はあるけれど、あれは、あくまでも自衛するためのものだ。戦うものとは違う。まぁ、韓国に兵役があるのは、今なお終戦してないからなんだけど。
「大学って、どこ出たの?有名なところ?」
「日本で有名かはわからないけど、韓国内では有名なところ」
「俺も聞いたことあるかな?」
「どうだろう? ソウル大以外だよ」
「じゃあ知らないや。知ってるのソウル大学だけだもん」
俺が訊くとイジュンは笑い出した。なにかおなしなことを言ったのだろうか。
「一応ソウル大に続く大学」
「っていうことは頭のいい学校ってこと?」
「うん、そう言われてるね」
「えー、そんなに頭いいの?」
目の前にいるイジュンがそんなにいい大学を出ているとはにわかには信じられず、俺は瞬きを繰り返した。さっきの目をキラキラさせたり、大型犬がシュンとしたみたいな表情を見せたイジュンは、そんなに頭がいいと思わなかったんだ。人って見かけによらないんだな。
「大学ではなにを勉強してたの?」
「経営学だよ。だから、なにか活かした仕事できないかと思って」
「え! 偶然! 俺も経営学科!」
「へえ。ほんと偶然だね。就職決まってるの?」
「一応簿記は取ったから、それでそこそこの会社には受かってる。けど、やりたいものじゃないんだよね。公認会計士になりたかったけど、試験落ちちゃって。学校で習ったことがただの簿記になっちゃったから、ちょっとね。だから将来のこと、考えたくない」
ほんとは公認会計士になりたかった。でも、試験に落ちてしまったから、簿記を取って一般企業に内定を貰った。でも、今年後1回公認会計士の試験残っているから、そこで受かったら公認会計士になりたい。
「俺もどうなるかな。普通のサラリーマンになるのがいやだっていうか」
「韓国の人ってサムスンとか入ったらエリートなんだろ? そしたらサムスン狙ってみるとか」
「そんなに簡単なことじゃないよ。それにサムスンに入ったって大学で学んだことは活かせない」
「お互い同じことに悩んでるのか」
「そうみたいだね」
そんな風にお互いのことを話していると蕎麦が運ばれてきた。それまで、年相応の顔をしてたくせに、蕎麦が運ばれてきたら、また目をキラキラとさせた。その差に俺はつい笑ってしまった。
「大分涼しくなったから温かい方がいいかな?」
「天ぷらは? さっきからティギムとか言ってたけど」
「うん。食べる。韓国のと食べ比べてみたい」
「じゃあ天ぷら蕎麦だな」
結局、話していたとおりに2人とも温かい天ぷら蕎麦にした。
「韓国にそばってあるの?」
「日食としてあるよ。だから本場のを食べてみたかった」
「日本料理のこと日食っていうんだ? やっぱり高い? 高級食みたいとか?」
「ううん。値段は普通の韓国料理よりちょっと高いだけかな? 結構人気だよ」
「へえ。韓国って行ったことないから全然わからない」
蕎麦が来るまでの間、俺はその男に色々聞いていた。
「そういえばお互い、名前知らないよな。俺は砂倉明日海」
「俺はハ・イジュン。24歳。明日海はいくつ? 大学生ぐらい?」
「大学4年。21歳。24歳ってことは会社員?」
「いや、軍隊を除隊したばかりだから、仕事をどうしようか考えているところ」
「あ、そういえば韓国は兵役があるんだよな。どこ所属だったの? 陸? 海? 空?」
「陸。だから18ヶ月で出てこれた」
「やっぱり厳しいの?」
「そうだね。何回か逃げ出したいと思ったよ」
「うへー。そんなに厳しいのか」
「そう。ほんとに厳しい。日本はいいな、兵役なくて」
兵役……。その前に日本には軍隊がない。自衛隊はあるけれど、あれは、あくまでも自衛するためのものだ。戦うものとは違う。まぁ、韓国に兵役があるのは、今なお終戦してないからなんだけど。
「大学って、どこ出たの?有名なところ?」
「日本で有名かはわからないけど、韓国内では有名なところ」
「俺も聞いたことあるかな?」
「どうだろう? ソウル大以外だよ」
「じゃあ知らないや。知ってるのソウル大学だけだもん」
俺が訊くとイジュンは笑い出した。なにかおなしなことを言ったのだろうか。
「一応ソウル大に続く大学」
「っていうことは頭のいい学校ってこと?」
「うん、そう言われてるね」
「えー、そんなに頭いいの?」
目の前にいるイジュンがそんなにいい大学を出ているとはにわかには信じられず、俺は瞬きを繰り返した。さっきの目をキラキラさせたり、大型犬がシュンとしたみたいな表情を見せたイジュンは、そんなに頭がいいと思わなかったんだ。人って見かけによらないんだな。
「大学ではなにを勉強してたの?」
「経営学だよ。だから、なにか活かした仕事できないかと思って」
「え! 偶然! 俺も経営学科!」
「へえ。ほんと偶然だね。就職決まってるの?」
「一応簿記は取ったから、それでそこそこの会社には受かってる。けど、やりたいものじゃないんだよね。公認会計士になりたかったけど、試験落ちちゃって。学校で習ったことがただの簿記になっちゃったから、ちょっとね。だから将来のこと、考えたくない」
ほんとは公認会計士になりたかった。でも、試験に落ちてしまったから、簿記を取って一般企業に内定を貰った。でも、今年後1回公認会計士の試験残っているから、そこで受かったら公認会計士になりたい。
「俺もどうなるかな。普通のサラリーマンになるのがいやだっていうか」
「韓国の人ってサムスンとか入ったらエリートなんだろ? そしたらサムスン狙ってみるとか」
「そんなに簡単なことじゃないよ。それにサムスンに入ったって大学で学んだことは活かせない」
「お互い同じことに悩んでるのか」
「そうみたいだね」
そんな風にお互いのことを話していると蕎麦が運ばれてきた。それまで、年相応の顔をしてたくせに、蕎麦が運ばれてきたら、また目をキラキラとさせた。その差に俺はつい笑ってしまった。
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