春は君のとなり 〜Tokyo & Seoul 〜

水無瀬 蒼

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また会う日のために2

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 昨日はイジュンをホテルまで送ったあとはまっすぐ帰ってきた。体はそうだけど、心はずっとイジュンのことを考えている。浅草でイジュンと出会ってからのこと、そしてこれからの2人の付き合いのこと。日本と韓国に離れたらどうなってしまうんだろうか。一時的に気持ちが錯覚を見せただけで、ほんとは恋になんて落ちていないかもしれない。そんなことまで考えた。だって、遠いんだ。いや、遠くても国内ならいい。気軽に行ける。だけど、韓国は外国だ。パスポートがないと行かれない。ゆえに、今現在パスポートのない自分は韓国には行かれない。いくらチケットが買えたとしても。そんな状況でうまくやっていけるのだろうか。ただ救いは時差がないことくらいだ。電話をするタイミングは気にしなくていい。だけど、イジュンは電話をくれるだろうか。起業しようかと考えているから忙しくなるかもしれない。そんなマイナスなことばかり考えてしまって夜は良く眠れなかった。
 今日は日曜日だから、このままダラダラしていられる。そう思って何気なく時計を見る。イジュンはもう空港に向かっている頃だろう。見送りに行かないと言った自分を薄情と思ってはいないだろうか。いや、そう思われたっていい。だって、見送りになんて行ったら離れがたくなってしまうじゃないか。コーヒーでも飲んで落ち着こう。そう思ってコーヒーを淹れ、ローテーブルにカップを置く。そこで目に付いてしまった、プリクラと破られた跡のある紙。そんなものを見て、心がざわつく。プリクラを見ると、格好つけているイジュンがいる。

「人のことは女みたいにしておいて、自分だけイケメンにってずるいだろ」

 しかし、このプリクラはどうしたらいいんだろうか。どこかに貼るか? いや、それじゃあ女子みたいじゃないか。男でプリクラをどこかに貼っているなんて聞いたことがない。となると、しまっておくしかない。しかし、どこに? イジュンの顔を見たいのなら目に付きやすい場所に。反対に見たくもないなら忘れちゃうくらいの場所に。なんて思うけど、見たくもない、ないてことはない。実物より若干イケメンになっているとはいえ、イジュンなんだ。見たくないなんてことはない。

「そしたら手帳にでも挟んでおくかな。確かイジュンは財布に入れてたな。見返したりとか、してくれるのかな」

 でも、俺、昨日からずっとイジュンのことばかり考えてるじゃん。なのに空港には行かないとかなんなんだよ。でも、ほんとに見送りに行かないで後悔しないだろうか。見送りに行かないのは離れるのが辛くなるから。昨日ホテルまで見送ったのは、空港まで行く代わりだった。ほんとなら原宿で別れれば良かったんだ。だって上野は自分の家とは正反対なんだから。それでも、もう会えなくなってしまうと思ったからホテルまで送った。だから空港まで行かなくたっていい。でも本当に? 行かなくて後悔しない? 今日会わなかったら、俺がほんとに韓国に行くまで会えないんだぞ? 離れがたくなるなんて言ってるけど、ほんとにいいのか? 見送りに行けば離れがたいのは確かだけど、家にいたってずっとイジュンのことを考えてたら同じなんじゃないか?
 時計を見るとちょうど昼を過ぎてて、なにか食べなきゃと思うけれど、食べる気にならない。食欲がない。明日からまた学校なんだからきちんと食べなきゃいけないのに、そんな気になれない。それよりも時計ばかり気にしてしまう。今から空港に行けばぎりぎり間に合うだろうか。

「ほんとに行かなくてあとで後悔しないか?」

 そう何度も自分に問いかけている。後悔なんて……。するに決まってる! 今から急げばなんとか会えるかもしれない。間に合わないかもしれないけど、可能性はある。

「馬鹿かよ、俺」

 椅子の背に掛けていたパーカーを掴んで家を飛び出す。なんで素直にならなかったんだよ。間に合ってくれ。そう思って駅までダッシュした。
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