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プレイヤー殺害事件
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夕飯をとっている時のことだ。
最近、有力な攻略班がどんどんと死んでいっているらしいという話を聞いたのはミアからだった。
こういう情報は確かにソロではなかなかわからないのだから大事かもしれない。
特にこの1度きりのコンティニューの効かないMMORPGでは情報が命を握ると言っても過言ではないからだ。
話を戻そう。
とにかくレベル的にも難易度的にもどう考えても死ぬ要素など無いダンジョンで死んでしまうというのだ。
Lv60のプレイヤーが適正Lv20やら30のダンジョンで死ぬか?そんなことはありえない。
...
となるとこれはダンジョンが、システムが殺しているのではなく...
「PK、プレイヤーキル...か」
俺はやはりその結論に到達した。それ以外に考えられない。
「やっぱりハルもそう思う?」
ミアは不安気な面持ちを覗かせながらそう言う。今にも泣き出してしまいそうなそんな顔だ。こんなに弱々しい姿は初めて見る。
「周回するにしてもこれからはソロはやめたほうがいいな」
「そうね」
俺とミアは互いのソロのスタイルを崩さずに協力し合える部分だけは協力し邪魔にならないように干渉していたがさすがにPK疑惑がある以上そうも言っていられない。
PKだとするなら攻略組を狩るほどの実力とレベルがあるということだから1人では対処しきれないだろう。
「あのさ最近の攻略情報とかこの死後のゲームに関することをまとめてる大きい攻略部署があるんだけど明日は周回やめて1度行ってみない?ソロの情報にも限界がある。それにPK達の情報もでてるかも」
ミアは俺の顔をまっすぐに見て静かに言った。
確かに。
1年ソロで突っ走ってきた俺だがミアにあの時命を助けられたり、そしてこうして誰かと繋がっているということがこれからは大事なのかもしれない。
「分かった。行こう」
そう返事をしミアに食事のお礼をすると俺は寝床についた。
なんだか胸騒ぎがした。
なかなか眠れない時はあの時俺が助けた男の子のことを考えると安心して眠れるのだ。
◇
翌日、朝
「結構歩くんだな」
「文句言わない!」
俺達は森の中をぐんぐん進みながらひたすらに歩く。
機密性を保つためとかでワープ不可の場所にあるらしいのだ。
その攻略本部、とやらは閻魔城下町から北西に離れた山に位置するみたいで割と果てしなく遠い。
そんな中前を歩くミアが急に止まり俺は驚いてずっこける。
「ど、どうした!?」
「私、通り魔に殺されてここに来たの」
ミアは振り返ってそう言った。
ミアは普段見せることない悲しいげな顔を俺に向け続ける。
「学校から帰ってたの。暗がりから何か走ってくるって思ったけどもう気が付いたら脇腹を刺されててね。そのまま死んじゃった。それでここにきて、必ずこのゲームをクリアして生き返って犯人をこの手で殺すまでは死ねないって思ってる。人に殺された私だからこそ今回のPK事件は許せない。一刻も早くやめさせないと」
「そうか...なんて言えばいいか...すまない。」
俺はあまりの衝撃に謝ることしかできなかった。
この死後のMMORPGでは生前の話や自他の死因を話したり聞いたりするのは基本的にタブーなのだ。
ミア自ら話したのはきっと彼女の決意の大きさを表しているのだろう。
「なんでハルが謝るのよ。私だけじゃなくてこのゲームをしてる人は皆色々な感情を抱えてプレイしてる、それこそ自分の死を乗り越えてるわけだからね。でも私が9層であなたを最初に見た時、純粋にこの死後のゲームを楽しんでるって思った。笑いながら戦ってたし死にかけてたし。そんな人がいるんだってレベルにしか興味の無かった私にとってある意味ショックだったの、だから助けた」
ミアが俺を助けた理由にはそんな背景があったのか。
「ただ純粋に楽しんでる、か...でも言ってしまえばそれは自分に向き合ってないってことでもあるよな。逆に俺はミアの生き返りたいからプレイするっていう姿勢に惹かれたし凄いって感じたさ。俺は子供を助けて車に轢かれたんだ。ニートでいるよりかはここにきてまともになれたよ」
なんだかいいシーンだが女の子に耐性のない俺には刺激が強すぎる...。だが安心させてやらなければ。
俺はミアの手をとって続ける。
なんだこの手の柔らかさは...。
「だから一緒にPK事件を解決しよう。そしてこれからは積極的に攻略にも参加していこう。そうすればこの果てしないダンジョンだっていつかは終わるさ」
「ありがとうハル。それは分かった。でも手汗、すごいんですけど...」
「うわぁあ!!す、すまん!」
◇
再びミアと俺は歩き出した。
山を越え谷を越え、モンスターに遭遇したら2人で対処しまた歩く。
疲れるが生きてるっていう実感が湧いて案外悪くはない。
そして山頂付近に攻略本部とやらがやっと目に入ると俺達は顔を見合わせてハイタッチをした。
攻略本部、到着。
最近、有力な攻略班がどんどんと死んでいっているらしいという話を聞いたのはミアからだった。
こういう情報は確かにソロではなかなかわからないのだから大事かもしれない。
特にこの1度きりのコンティニューの効かないMMORPGでは情報が命を握ると言っても過言ではないからだ。
話を戻そう。
とにかくレベル的にも難易度的にもどう考えても死ぬ要素など無いダンジョンで死んでしまうというのだ。
Lv60のプレイヤーが適正Lv20やら30のダンジョンで死ぬか?そんなことはありえない。
...
となるとこれはダンジョンが、システムが殺しているのではなく...
「PK、プレイヤーキル...か」
俺はやはりその結論に到達した。それ以外に考えられない。
「やっぱりハルもそう思う?」
ミアは不安気な面持ちを覗かせながらそう言う。今にも泣き出してしまいそうなそんな顔だ。こんなに弱々しい姿は初めて見る。
「周回するにしてもこれからはソロはやめたほうがいいな」
「そうね」
俺とミアは互いのソロのスタイルを崩さずに協力し合える部分だけは協力し邪魔にならないように干渉していたがさすがにPK疑惑がある以上そうも言っていられない。
PKだとするなら攻略組を狩るほどの実力とレベルがあるということだから1人では対処しきれないだろう。
「あのさ最近の攻略情報とかこの死後のゲームに関することをまとめてる大きい攻略部署があるんだけど明日は周回やめて1度行ってみない?ソロの情報にも限界がある。それにPK達の情報もでてるかも」
ミアは俺の顔をまっすぐに見て静かに言った。
確かに。
1年ソロで突っ走ってきた俺だがミアにあの時命を助けられたり、そしてこうして誰かと繋がっているということがこれからは大事なのかもしれない。
「分かった。行こう」
そう返事をしミアに食事のお礼をすると俺は寝床についた。
なんだか胸騒ぎがした。
なかなか眠れない時はあの時俺が助けた男の子のことを考えると安心して眠れるのだ。
◇
翌日、朝
「結構歩くんだな」
「文句言わない!」
俺達は森の中をぐんぐん進みながらひたすらに歩く。
機密性を保つためとかでワープ不可の場所にあるらしいのだ。
その攻略本部、とやらは閻魔城下町から北西に離れた山に位置するみたいで割と果てしなく遠い。
そんな中前を歩くミアが急に止まり俺は驚いてずっこける。
「ど、どうした!?」
「私、通り魔に殺されてここに来たの」
ミアは振り返ってそう言った。
ミアは普段見せることない悲しいげな顔を俺に向け続ける。
「学校から帰ってたの。暗がりから何か走ってくるって思ったけどもう気が付いたら脇腹を刺されててね。そのまま死んじゃった。それでここにきて、必ずこのゲームをクリアして生き返って犯人をこの手で殺すまでは死ねないって思ってる。人に殺された私だからこそ今回のPK事件は許せない。一刻も早くやめさせないと」
「そうか...なんて言えばいいか...すまない。」
俺はあまりの衝撃に謝ることしかできなかった。
この死後のMMORPGでは生前の話や自他の死因を話したり聞いたりするのは基本的にタブーなのだ。
ミア自ら話したのはきっと彼女の決意の大きさを表しているのだろう。
「なんでハルが謝るのよ。私だけじゃなくてこのゲームをしてる人は皆色々な感情を抱えてプレイしてる、それこそ自分の死を乗り越えてるわけだからね。でも私が9層であなたを最初に見た時、純粋にこの死後のゲームを楽しんでるって思った。笑いながら戦ってたし死にかけてたし。そんな人がいるんだってレベルにしか興味の無かった私にとってある意味ショックだったの、だから助けた」
ミアが俺を助けた理由にはそんな背景があったのか。
「ただ純粋に楽しんでる、か...でも言ってしまえばそれは自分に向き合ってないってことでもあるよな。逆に俺はミアの生き返りたいからプレイするっていう姿勢に惹かれたし凄いって感じたさ。俺は子供を助けて車に轢かれたんだ。ニートでいるよりかはここにきてまともになれたよ」
なんだかいいシーンだが女の子に耐性のない俺には刺激が強すぎる...。だが安心させてやらなければ。
俺はミアの手をとって続ける。
なんだこの手の柔らかさは...。
「だから一緒にPK事件を解決しよう。そしてこれからは積極的に攻略にも参加していこう。そうすればこの果てしないダンジョンだっていつかは終わるさ」
「ありがとうハル。それは分かった。でも手汗、すごいんですけど...」
「うわぁあ!!す、すまん!」
◇
再びミアと俺は歩き出した。
山を越え谷を越え、モンスターに遭遇したら2人で対処しまた歩く。
疲れるが生きてるっていう実感が湧いて案外悪くはない。
そして山頂付近に攻略本部とやらがやっと目に入ると俺達は顔を見合わせてハイタッチをした。
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