僕らのVRMMO開発記録。

よもぎ

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第4話 「増殖ゴブリン②」

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「に、逃げるぞみんな!」

ゴブリンの大群は増殖をしつつプレイヤー、つまり俺達に敵性反応をもっているようでワラワラと追ってくる。
1、2体なら可愛いものの大群、となるとかなり強そうに見えるのはなぜだ?
なぜかはだけている服に薄い緑色の肌にとんがった耳。 ただのゴブリンなのだが...。
俺達は右の海岸沿いに、ミクルや春樹は左の海岸沿いに、と割れるようにゴブリンから逃げる形になってしまった。


それからどのくらい走っただろう。
海岸沿いを爆走していると運良く小さな岩場の洞窟があり、ひとまずそこに俺や水亜、湯雲さんは避難したのだった。

「ハァハァ...ひとまず振り切ったか」

「そ、そうね...」

「つ、つかれましたぁ...」

俺達3人は涼しい洞窟の中で呼吸を整える。バクだかなんだか知らんがかなりやばい事態だ...。

「あのゴブリンの大群は置いておいたとしてログアウトできないのはなぜ?」 

水亜はよほど不安なのか俺にしがみついて言う。確かにこんなことは初めてだ。プレワールド、ゲーム作りの練習場として立ち上げた世界とは言え、こんなに不安定ではないはず。

「パソコンと同じ原理だ。例えばwebページを100とか1000ページ開いたらバグるだろ?止まったり落ちたり。つまり制御不能に陥るわけだ。たぶんあのゴブリンを減らすかしないとプレワールドは復旧しない。」

バグで発生した増殖性質を持つゴブリン。
確実に原因は奴だろう。

「じゃあ、閉じ込められたって...ことですか?」

「まぁそうなるな」

俺は湯雲さんに静かに言う。彼女は不安げな顔を向けて洞窟の外を見ている。

「ぁああー!!ゴブリンとかよりもっとやばいことが...」

と水亜は何かに気がついたのか叫ぶ。

「な、なんだよ...水亜」

「夜10時の点呼よ!寮の!」

あっ...それはまずい。
俺や水亜、春樹は最悪いいとしても湯雲さんやミクルは生徒会...。別館で夜までVRMMOやってましたー、なんてまかり通る話ではないだろう。

「今はたぶん7時くらいだから、タイムリミットはよくてあと2時間半。それまでにミクルや春樹と合流してあのゴブリン問題を片付けるぞ」

俺は洞窟の中で拳を握る。

解決策はただ一つ----。

◇  

山田春樹と東城ミクルは炎天下の中、海岸沿いを突っ走っている。

「どわぁあー!み、ミクル殿!このゴブリン達増えてますぞ!」

「ほ、ほんとだぁ!さっきつくった砂の城に逃げよーよ!」 

何がどうなっているのかわからない2人だがとりあえず逃げに逃げ砂の城へと到着した。
砂の城は本物の城のサイズくらいあり固めてあるのでそこそこ丈夫である。
ミクルが走って城に入ったのをみて山田は勢いよく砂の扉を閉める。
ガンガンとゴブリン達が扉を叩きつける音が聞こえるがひとまずは耐えることができそうだ。

2人は砂の城で息を整えつつ話す。

「ふぅ...ほ、ほんとにログアウトできないとは...!」

「み、ミクルもできない!メニューすら開かないじゃん!」

「おそらくはあのゴブリンが増えすぎたせいでしょうな...あんな数いたらパンクしてしまいますし」

そう山田が言っているうちにも扉をゴブリン達は容赦なく叩いている。

(このままだと寮の点呼に遅れてしまいまする!僕や京太郎殿はよくてもミクル殿や湯雲殿には必ず脱出させなければ...しかしどうすれば...システムが停止したとなれば我々もゲームの世界とは言え生身の体同然。ゴブリンすらも倒せるまい...。いや...!まだチャンスはあるかもしれない...)

「ミクル殿!そこに落ちてる木の棒で私を叩いてもらえませんか?」

「へっ...?春樹...そういう趣味だったの?」

「いやいやいや!違いますって!それはまた別の機会にしてもらって!さあさあはやく!」
 
「わかったよ...仕方ないなぁ...おりゃっ!」

ゴッ!という打撃音と共に気持ちのいい電子音が城に響き渡る。山田は尻をおさえて悶えながら笑う。
なんとミクルの頭の上に「Lv1→Lv2」という表示のウィンドウが現れたのだ。

「こ、これは...!?」

「や、やりましたぞ!ミクル殿!レベルアップのシステムはまだ生きていたんですよ!これでステータスも上がっていくはず!」

グラフィック系のシステムが停止しているだけで他は生きてるということだろう。

「私は春樹のお尻に経験値があったことが驚きなんだよ」

「そんなことを言っていないでミクル殿!京太郎殿達の元へ助けに向かいますぞ!」

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