魔物集うダンスパーティー

夕霧

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魔物集うダンスパーティー 〜オベロン王のカジノケーキ〜

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ウィル・オー・ウィスプ
月の笑う夜、ハロウィンの日にだけ開かれる魔物だけのダンスパーティーを主催する魔物
物静かで理知的、謎めいている
お菓子作りは好きだが得意とは言えない腕前

ベフェーナ
イタリアに住む不老長寿の魔女
お姉さん気質で面倒見がいい
ウィルとは数世紀来の親友
手先が器用でお菓子作りもお手のもの

オリバー
物腰柔らかいヴァンパイア
お菓子作りが趣味で毎年ハロウィンの日に開かれる「魔物だけのダンスパーティー」に手作りお菓子を持参している

メアリー
負けん気の強いダンピール
自称「魔物のパティシエール」でお菓子作りでは右に出る者はいないと自負している
オリバーのことを勝手にライバル視している

オベロン
全ての妖精を束ね、統治する妖精の王
少年のような容貌だが、大人のように狡賢く、享楽的
誤解を招く物言いが多く、そのせいで妻とは喧嘩が絶えないようだ

ティターニア
全ての妖精を支配し、服従させる妖精の女王
プライドが高く、高圧的。オベロンよりも「王」としての威厳がある
オベロンの妻

ジーク
魂を刈り取る妖精・デュラハン
雌雄混同体で、決まった性別がない妖精
口数が少なく実直な性格。思ったことはズカズカというタイプ

+++

妖精界・オベロン王の居城

ジーク「我らが妖精の主人にして統治者・オベロン王。デュハランのジーク、御前に参じました」

オベロン「よく来てくれた、ジーク。楽にして良い」

ジーク「私に何かご用でしょうか?」

オベロン「うむ。近頃、闇の季節になると、魔物たちがパーティーを開くという話を聞いたが真(まこと)か?」

ジーク「はい。彼らは闇の季節の到来、ハロウィンを祝し、夜通しでパーティーを開いていると聞きます」

オベロン「ほぉ。闇の季節の到来を祝福するか」

ジーク「闇の季節は彼ら魔物にとって過ごしやすい季節。光の季節では魔物は力を発揮できませんから」

オベロン「なるほどな…。闇の季節、ハロウィン、か…」

ジーク「オベロン王、如何しましたか?」

オベロン「ジーク。そなたは闇に属する妖精だったな」

ジーク「はい」

オベロン「その魔物だけのパーティーを主催する者を知っているか?」

ジーク「はい、存じています」

オベロン「そうか、そうか!それは僥倖(ぎょうこう)!では、その者に伝えよ。妖精界の王・オベロンが闇の季節の到来、魔物だけのハロウィンパーティーに出向くとな!」

+++

ウィル・オー・ウィスプの居城・ウィルの部屋

ベフェーナ「オベロン王がパーティーに出席するですって!?」

ウィル「ベフェーナ!声が大きいですよ!」

ベフェーナ「…どうするのよ。そんな大物が魔物だけのパーティーに参加するなんて…」

ウィル「わたしが聞きたいです…。思った以上に厄介なことになりました…」

ベフェーナ「オベロン王がパーティーの存在をどこで知ったのか、とかそんなこと言ってる場合じゃないわね」

ウィル「ええ。こちらに出向くと言っている以上、追い返す訳にも行きません…」

ベフェーナ「どうするの?例年通りのダンスパーティーにする訳にはいかないでしょう」

ウィル「そうですよね…。相手はあのオベロン王。相応のおもてなしをしなければ」

ベフェーナ「はぁ…ただ各自でお菓子を持ち寄って踊るだけのパーティーなのに、どうしてこうなったのかしら」

ウィル「…言わないでください。とにかく、当日のもてなしプランを決めなければ」

+++

メアリー「オベロン王がパーティーに出席する!?」

オリバー「それはまた…急な話ですね。もうパーティーの2週間前だと言うのに」

ウィル「ええ。それで少々困っていまして…元々、ハロウィンのダンスパーティーは大人しい魔物ばかりが参加する、身内向けのパーティーだったので…大物の来賓が来ることを想定していなくて…」

メアリー「事情は分かりました、Mr.ウィル。私とオリバー様を呼んだのはなにか手伝って欲しいことがあるから、ですよね?」

ウィル「はい。お二人に来賓用のケーキの作成をお願いしたいのです」

オリバー「来賓用のケーキ、ですか?」

ウィル「妖精界の王をお招きするにあたって、普段通りのパーティーにするわけにもいきません。なにかしら、特別なお菓子をお出ししなければと思いまして」

オリバー「なるほど。それで、お菓子作りが得意な僕とメアリーを呼んだというわけですね」

ウィル「左様です。私が作ることも検討したのですが…その…」

ベフェーナ「私が止めたの。パーティーの主催をして、来賓の相手、それからお菓子を用意して…なんて、いくらなんでも首が回らないもの」

オリバー「ごもっともですね」

メアリー「そういう事なら、いくらでも協力しますわ!魔物のパティシエールの名が伊達じゃないこと、見せてあげましょう!」

オリバー「微力ながら、お手伝いさせていただきます」

ウィル「助かります、お二人とも」

ベフェーナ「それじゃあ、私もサポートに回ろうかしら」

ウィル「いいのですか?ベフェーナ」

ベフェーナ「もちろん。毎年パーティーに招待してもらっているお礼よ」

ウィル「皆さん…感謝いたします」

+++

妖精界・オベロン王の居城

オベロン「ほお、わざわざ招待状を送ってくるとは、随分律儀なやつだな。ウィル・オー・ウィスプという魔物は」

ジーク「妖精界の王が出向くのですから、招待状くらい送らねば不敬になると思ったのでしょう」

オベロン「ふふっ、魔物とはいえ、わきまえているようで結構。して、ジークよ。魔物だけのダンスパーティーとは、どのようなパーティーだ?」

ジーク「どのような…と言われましても。普通のダンスパーティーですよ。菓子を各自で持ち寄ってビュッフェスタイルで楽しむだけです」

オベロン「…ふぅむ。ただ踊って菓子をつまむだけか。面白みがないな」

ジーク「面白み、ですか?」

オベロン「ハロウィンなのだろう?人間の世界では「Trick and Treat」と言って、お菓子を貰った相手にイタズラをするそうじゃないか」

ジーク「恐れながらオベロン王。イタズラは合っていますが、少々誤解があります。正しくは「Trick or Treat」お菓子を貰ったら、貰った相手にはイタズラが出来ないというルールです」

オベロン「む。そうなのか。…パーティーの参加者も主催も魔物。だというのに、イタズラの一つもしないというのか?」

ジーク「ウィル・オー・ウィスプが招待する魔物は、総じて大人しい者達ばかりで、イタズラを仕掛けるものはいないそうですよ」

オベロン「そうか…。それはつまらんなぁ。妖精ならば、喜んでイタズラするというのに。……ハロウィン…イタズラ…くっ、ふふっ…」

ジーク「どうかされましたか?」

オベロン「いやなに…。楽しいことを思いついただけだ」

ジーク「…もしや、イタズラですか?」

オベロン「ああ。魔物が仕掛けぬなら、妖精である予が仕掛けるのも一興かと思うてな。菓子は各自で持ち寄りだったな。ならば、予もとっておきのものを用意せねば、妖精王の名が廃れてしまう」

ティターニア「随分楽しそうですわね。あなた」

オベロン「おお、ティターニア。ジャム作りはひと段落したのかな?」

ティターニア「ええ。今年の洋梨はどれも瑞々しく甘くて、とても良い出来ですわ。紅茶にも合いそうです」

オベロン「ほぉ。出来上がるのが待ち遠しいな。…そうだ、ティターニア。そなたもハロウィンパーティーに出席するのはどうだ?」

ティターニア「ハロウィンパーティー?闇の季節のパーティーですか?」

オベロン「ああ。ウィル・オー・ウィスプが主催する魔物だけのダンスパーティーだ。面白そうなので出席しようと思うてな」

ティターニア「まぁ。魔物だけの…とは。随分狭量ね。魔物以外呼ばないと公言しているようなものじゃない」

オベロン「だから予が出席するのだ。ハロウィンは光の季節から闇の季節に移り変わる特別な日。昼と夜の境目。闇の季節の間、魔物共が幅を利かせぬよう、妖精界の王として牽制してやろうと思うてな」

ティターニア「頼もしいこと。けれど、あなたのことだもの。建前はそれで、実際はパーティーに乗じてイタズラでも企んでいるのではなくて?」

オベロン「先程の話、聞いていたな?」

ティターニア「ほんの少しだけですわ。…そうね、あなたが出席するのなら私もそのパーティーに行ってみようかしら」

オベロン「決まりだな。ジーク」

ジーク「かしこまりました。主催のウィル・オー・ウィスプに伝えてまいります」

+++

後日。
ウィル・オー・ウィスプの居城

ウィル「…いま、なんとおっしゃいました?」

ジーク「ティターニア女王がパーティーに出席される。粗相のないようにしろ」

ウィル「…………」(頭を抱えている)

ジーク「聞こえなかったのか?ティターニア女王が…」

ウィル「分かってます!もういいです!2度も言わないでください!」(ジークの言葉に被せるように)

ジーク「…顔色が一段と悪くなったな、ウィル・オー・ウィスプ。少しやつれたか?」

ウィル「…誰のせいだと思って……」

ジーク「我らのせいだと言いたいのか?」

ウィル「パーティーの1週間前に言われる身にもなってください!こっちは大変なんですよ!」

ジーク「…急な出席になったことは、女王に代わって詫びよう。申し訳ない。…パーティーの準備は進んでいるのか?」

ウィル「大体終わりました。けれど、急な来賓が決まりましたから、もう一度パーティーの内容を見直さなければいけません」

ジーク「…例年通りのダンスパーティーにすればいいだろう。何か問題でも?」

ウィル「大いにあるでしょう!例年通りのパーティーで、オベロン王とティターニア女王のご機嫌を損ねたらどうすれば…下手したら、もうパーティーが開催できなくなるかもしれません…」

ジーク「……確かに、夫婦揃って気まぐれだからな、何をするか分からない。パーティーが開催できなくなるだけで済めばいいが、最悪、この城が無くなるかもしれない」

ウィル「……ジーク殿、協力してもらえないでしょうか?」

ジーク「……協力って、パーティーの内容についてか?」

ウィル「はい。オベロン王とティターニア女王が喜びそうな催しを一緒に考えて欲しいんです。魔物と妖精の価値観は違います。ぜひ、妖精の視点からパーティーに関する意見を頂きたい」

ジーク「協力したいのは山々だが…私も仕事があるからな…」

ウィル「そこをなんとか!」

ジーク「……妖精は、陽気でイタズラ好きな者が多い。それは、王と女王も変わらない」

ウィル「えっと…それで?」

ジーク「オベロン王は此度のハロウィンパーティーでイタズラを仕掛けると言っていた。どんな内容かは知らないが、いずれにしてもイタズラで返してやればお喜びになるだろう」

ウィル「イタズラ…ですか?」

ジーク「ああ。危険のない可愛げなイタズラならば、あの方々も笑って許してくれるだろう」

ウィル「えっと…危険のない可愛げなイタズラ…?というと…グロテスクなものはダメってことですか?」

ジーク「…むしろ何故いいと思った」

ウィル「我々は魔物ですよ?それ以外に理由がありますか?」

ジーク「…端的かつ明確な理由をどうも」

ウィル「それに、パーティーのビュッフェには参加者が仕留めた獲物の料理やスイーツが並びますから、グロテスクじゃないのは難しいかと」

ジーク「…参考程度に聞いておくが…どんなものが並ぶんだ?」

ウィル「まず血のワインは欠かせませんし、新鮮な生レバーや胃袋の野菜蒸し。スイーツならアイボールショコラやバターフィンガー、舌のキャラメリゼなど、色々出ますね」

ジーク「……どれも癖がありそうだな。まぁ、その点は王も女王も受け入れてくれるだろう、多分…」

ウィル「いま、多分って言いました?」

ジーク「気のせいだ。…私が助言できるのはここまで。あとはそちらで頑張ってもらいたい」

ウィル「そんな!中途半端なヒントだけ寄越されても困りますよ!もっと具体的に教えてください!」

ジーク「…危険のない可愛げのあるイタズラだと言ったが?」

ウィル「それが何か分からないから困ってるんです!可愛げのあるイタズラってなんですか?」

ジーク「来賓の頭をロバに変えたり、惚れ薬を盛ったり…」

ウィル「そんなことしたら、不敬になりませんか?」

ジーク「…なるな」

ウィル「……どうすれば」(頭を抱えている)

ジーク「…アイディア出しくらいは手伝う」

ウィル「ありがとうございます…」

+++

ハロウィンパーティー当日
ウィル・オー・ウィスプの居城

ウィル「オベロン王。ティターニア女王。ようこそ魔物だけのハロウィンパーティーへ。私は今宵のパーティーの主催、ウィル・オー・ウィスプと申します」

オベロン「そなたがウィル・オー・ウィスプか。此度のパーティーへの招待、感謝する」

ウィル「とんでもございません。どうぞ、闇の季節の到来、昼と夜の境目を、楽しめますように」

+++

ウィル・オー・ウィスプの居城
ダンスホール

メアリー「オリバー様!いらっしゃいましたよ、妖精王と女王!…遠くから見るだけでもすごいオーラ…。さすがは、光に属する妖精の長ですわね」

オリバー「…そうですね。あまりにも強い力でなんだか闇が霞んでしまいそうです」

メアリー「オリバー様…?大丈夫ですか?顔色が…」

オリバー「…失礼。レディの前で情けないところを…。どうもあの光のオーラに当てられたらしくて…。…もう大丈夫です」

メアリー「それならいいのですが、ご無理はなさらぬよう」

オリバー「ありがとうございます。…Mr.ウィルに任されましたから、今宵のパーティー、妖精王、女王も驚くような良きものにしましょう」

メアリー「はい!」

+++

ティターニア「魔物のダンスパーティーと聞いていたから、どんなものかと思っていましたけど、案外普通ですのね」

オベロン「うむ。ジークの話通りだな。一般的なダンスパーティーと変わらぬ。…面白みがない」

ティターニア「あなた、例のものは仕込んできたのでしょう?時期は待つべきではなくて?」

オベロン「無論、そのつもりだ。機は熟してからがTrickの鉄則だ」

オベロン、ティターニアの元へベフェーナが歩み寄る。

ベフェーナ「オベロン王、ティターニア女王。お初にお目にかかります。イタリアの魔女・ベフェーナと申します。パーティーは楽しめていますか?」

ティターニア「初めまして、ベフェーナ。癖のある料理が多いけれど、とても面白く楽しめているわ」

ベフェーナ「それはよかった。このあと、来賓用のケーキをお持ちするので、楽しみにしていてください」

オベロン「何、ケーキだと?そのようなものを用意してくれたのか」

ベフェーナ「ええ。一流のパティシエールのケーキです。見た目も華やかなので、じっくりと味わってください」

オリバーとメアリーがケーキの乗ったキッチンカートを運んでくる

オリバー「Ms.ベフェーナ。後は我々が」

ベフェーナ「ええ。後はお願いするわ。…では、どうぞパーティーを楽しんで」

オリバー「お初にお目にかかります。妖精王、妖精女王。私は、ヴァンパイアのオリバーと申します」

メアリー「初めまして。妖精王様、女王様。私は、ダンピールのメアリーと申します。オリバー様と一緒にお二人のケーキをお作りしました。どうぞお召し上がりください」

オリバー、ケーキに被せられたクロッシュをとる

オベロン「これは…カジノケーキか!」

ティターニア「まぁ…なんて可愛らしいの。ベリー色の渦巻き模様で、とても愛らしいわ」

オベロン「ケーキの上にあるのは薔薇の形をしたマジパンか。色も美しい紅色で、ほのかに薔薇のジャムが香ってくる。見た目も華やかで美しい」

オリバー「お気に召したようで、光栄です」

メアリー「薔薇のカジノケーキのほかに、こちらもどうぞ。名付けて『パンプキン・クインテッド』です」

ティターニア「あら、こちらも可愛らしい。ジャック・オー・ランタンのお菓子の上に楽器が乗っているわ」

オベロン「これは…フルート、ギター、ハープ、ブズーギ、フィルド(ヴァイオリンのこと)だな。どれも細かいな」

オリバー「そして、こちらも。『パンプキン・クインテッド』と対になっています。『アイリッシュ・ダンス』と名付けたケーキです」

ティターニア「まぁ…!小さなお人形が笑顔でダンスを踊っているわ!」

オベロン「ほぉ…見ていると、こちらまで気持ちが楽しくなってくるな」

メアリー「では、ここでさらに魔法をかけましょう!」

オリバー「かぼちゃよ、かぼちゃ。美しい音楽を奏でたまえ」

メアリー「花よ、踊り子よ。美しく舞い、見るものを魅了したまえ」

オリバー・メアリー「Trick and Treat!」

魔法が発動し、ケーキたちが動き出す

オベロン「おお…!これは…なんということだ!かぼちゃに乗った楽器たちが、音楽を奏でている!」

ティターニア「こちらもすごいわ!ケーキの上のお人形が、くるくると宙で踊っているのよ!薔薇の香りも先ほどよりずっと甘く香ってくるわ」

オベロン「なるほど。これがそなた達の『Trick and Treat』というわけだな?」

オリバー「はい」

メアリー「お気に召しましたか?」

ティターニア「ええ、とても」

オベロン「うむ!最高なTrick!実に満足だ!」

+++

バルコニーからそっと見守るウィルとベフェーナ。

ウィル「うまくいったようですね、よかった…。ありがとうございます、ベフェーナ。おかげで助かりました」

ベフェーナ「あれくらいの魔法ならお安い御用よ。それに、私はオリバーとメアリーにコツを教えただけだもの」

ウィル「後であのお二人にもお礼を言っておかねば」

ベフェーナ「そうね」

ジーク「パーティーは楽しめているか?」

暗がりからジークが現れる。

ウィル「ジーク殿!どうしてこちらに?パーティーには出席できないと言っていませんでしたか?」

ジーク「ロビン・グッドフェローから至急の要件を言い渡されて、ここに寄らせてもらった。もうすぐ行かなければいけない」

ベフェーナ「至急の要件って…その手に抱えているケーキボックスのこと?」

ジーク「ああ。…オベロン王が用意したものだ」

ウィル「え…勝手に回収していいんですか?」

ジーク「むしろ、回収しなきゃダメなものだ」

ウィル「はい…?それって、どういう…」

ジーク「あまり話している時間はない。これで失礼する。…今度はゆっくり茶でも飲みにくる」

ジーク、暗がりの中へ消えていく

ウィル「…行ってしまいました…。なんだったんでしょう。回収しなきゃダメなものって。ベフェーナは何か知っていますか?」

ベフェーナ「さぁ?」

+++

ジーク「妖精の鱗粉が使われたケーキなんて、危なすぎる。瞼に塗るのであれば一日で解毒できるほれ薬だが、魔物が口にすれば何が起こるかわからないぞ…。オベロン王…恐ろしい人だ」

+++

ウィル「その後、オベロン王は持参したケーキを参加者に振る舞い、しばらくダンスホールを眺め、どこか不思議そうに首を傾げている姿を見かけた」

オベロン「おかしいな…今頃、妖精の鱗粉の効果で、ダンスホールにいる魔物達全員が恋に色めきたつ頃だというのに…誰にもその様子がない…不思議だな」

ウィル「たまたま聞こえてきたオベロン王の言葉。私は真っ先に今度のお茶会にジーク殿を招待しようと心に決めたのだった」

「完」
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