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第7話~美女の秘密
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「さあ、カルラ」
「は、はい」
ボスとカルラは向き合って正座している。
ここはボスの部屋。向き合ったソファーは、茶色の革があしらってある。
「どちらかを選びなさい」
「…私は、殺し屋として働きます」
ボスは眉をひそめる。
「………あのね~カルラの年は、事実上の一択なんだよ?」
「それでも……!やりたい!」
「………この仕事は、人の命がかかってるの」
ボスは真っ直ぐカルラの目を見る。
「その命、たかが8歳のキミに背負える?」
ボスの表情が恐くなる。カルラの背中に冷や汗が伝う。
「一つの仕事で、数百万から数千万のお金が動いてる。多いときは数億だってありえる。もし失敗したとき、ボクは死ぬ。その責任がキミに背負える?」
「…………」
カルラは唇を固く閉ざした。
いくらでも反論はできた。年齢になるまで訓練だけでもさせてくれ、仕事はボスが私を信用できるようになってからでいいと。
でも、カルラには言えなかった。
ボスのこんな顔を見て、言えるわけがなかった。
「………ウィリアムから聞いたよ」
ボスは言い過ぎたと言わんばかりに目線をそらす。
「キミ、オリヴァー達に話しかけられたとき、《後退りをしなかった》でしょ?」
「………わからない。その時は、とにかく殺されると思って、逃げ道確保しようとしてて、それで…」
「もし武器を出してきた時のために、後ろのスペースを開けておいたの?」
「うん、そう」
「………キミ、ほんとに8歳?どこからそんなこと教わるの?」
「………本だけは、家に沢山あったから、それを読みあさって毎日を過ごしてた。あっ別に、護身術の本を読んでいたわけじゃなくてっ」
「落ち着いて、カルラ」
カルラは呼吸を整えた。
「ふー………小説とか、図鑑とか、絵本とか。ママが二千冊はあるって言ってた。私、それ全部読んだ」
ボスが目を細める。
「…だからそんなに賢いのかー、8歳の子とこんな話したの初めてだよ」
「………」
ボスはいつもの可愛い笑顔に戻って、「今日はレベッカと寝なよ」と、レベッカの部屋まで連れていってくれた。
「どうだった?ボス、怖かった?」
「う、うん……ちょっと…」
「たまーに怖い顔するのよねー。まあ、それは本気に考えてくれてる証拠なのよ。あなたを心配してるのよ」
「そうだね…そうだけど…」
「?」
「…私、オリヴァー達の担当の清掃になったの」
「へ~あの二人は清潔にするほうだから、楽じゃないの?」
「でも……私、みんなと一緒に仕事がしたい」
「………カルラ」
「ボスに言ったら、怒られちゃった……」
カルラが俯く。レベッカはそっと優しくカルラを抱き締めた。
「仕方ないわよ。人の命が関わってるもの。ボスだってあなたの要望を応えてあげたかったけど、こればかりは無理だったのよ」
「うん…」
「大きくなったら、きっとできるわ。あなたは、ボスのためになりたいんでしょう?」
「うん」
「私はねぇ、この仕事を始めたのは16年前なのよ」
「16年…?」
「そう。16歳のときよ。最初、ここにきたのも16歳のときだったわ」
「…どうしてきたの?」
「そうねー………なんだったかしら。16年も前だから覚えてないわぁ~」
「そ、そっか」
「確か、お金に困ってて、夜な夜な稼ぎに行ってたら、前のボス………つまり、今のボスのお父さんに見つかったのよね~」
「……どうやって稼いだの?」
「ん?ふふっ……あなたにはちょっと刺激が強いわよ?もう少し、大きくなったら教えてアゲル♪」
「………」
「カルラ」
「ん?」
「私と任務、行ってみない?」
「……………………………え!?」
「は、はい」
ボスとカルラは向き合って正座している。
ここはボスの部屋。向き合ったソファーは、茶色の革があしらってある。
「どちらかを選びなさい」
「…私は、殺し屋として働きます」
ボスは眉をひそめる。
「………あのね~カルラの年は、事実上の一択なんだよ?」
「それでも……!やりたい!」
「………この仕事は、人の命がかかってるの」
ボスは真っ直ぐカルラの目を見る。
「その命、たかが8歳のキミに背負える?」
ボスの表情が恐くなる。カルラの背中に冷や汗が伝う。
「一つの仕事で、数百万から数千万のお金が動いてる。多いときは数億だってありえる。もし失敗したとき、ボクは死ぬ。その責任がキミに背負える?」
「…………」
カルラは唇を固く閉ざした。
いくらでも反論はできた。年齢になるまで訓練だけでもさせてくれ、仕事はボスが私を信用できるようになってからでいいと。
でも、カルラには言えなかった。
ボスのこんな顔を見て、言えるわけがなかった。
「………ウィリアムから聞いたよ」
ボスは言い過ぎたと言わんばかりに目線をそらす。
「キミ、オリヴァー達に話しかけられたとき、《後退りをしなかった》でしょ?」
「………わからない。その時は、とにかく殺されると思って、逃げ道確保しようとしてて、それで…」
「もし武器を出してきた時のために、後ろのスペースを開けておいたの?」
「うん、そう」
「………キミ、ほんとに8歳?どこからそんなこと教わるの?」
「………本だけは、家に沢山あったから、それを読みあさって毎日を過ごしてた。あっ別に、護身術の本を読んでいたわけじゃなくてっ」
「落ち着いて、カルラ」
カルラは呼吸を整えた。
「ふー………小説とか、図鑑とか、絵本とか。ママが二千冊はあるって言ってた。私、それ全部読んだ」
ボスが目を細める。
「…だからそんなに賢いのかー、8歳の子とこんな話したの初めてだよ」
「………」
ボスはいつもの可愛い笑顔に戻って、「今日はレベッカと寝なよ」と、レベッカの部屋まで連れていってくれた。
「どうだった?ボス、怖かった?」
「う、うん……ちょっと…」
「たまーに怖い顔するのよねー。まあ、それは本気に考えてくれてる証拠なのよ。あなたを心配してるのよ」
「そうだね…そうだけど…」
「?」
「…私、オリヴァー達の担当の清掃になったの」
「へ~あの二人は清潔にするほうだから、楽じゃないの?」
「でも……私、みんなと一緒に仕事がしたい」
「………カルラ」
「ボスに言ったら、怒られちゃった……」
カルラが俯く。レベッカはそっと優しくカルラを抱き締めた。
「仕方ないわよ。人の命が関わってるもの。ボスだってあなたの要望を応えてあげたかったけど、こればかりは無理だったのよ」
「うん…」
「大きくなったら、きっとできるわ。あなたは、ボスのためになりたいんでしょう?」
「うん」
「私はねぇ、この仕事を始めたのは16年前なのよ」
「16年…?」
「そう。16歳のときよ。最初、ここにきたのも16歳のときだったわ」
「…どうしてきたの?」
「そうねー………なんだったかしら。16年も前だから覚えてないわぁ~」
「そ、そっか」
「確か、お金に困ってて、夜な夜な稼ぎに行ってたら、前のボス………つまり、今のボスのお父さんに見つかったのよね~」
「……どうやって稼いだの?」
「ん?ふふっ……あなたにはちょっと刺激が強いわよ?もう少し、大きくなったら教えてアゲル♪」
「………」
「カルラ」
「ん?」
「私と任務、行ってみない?」
「……………………………え!?」
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