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第一章 一度目の異世界
08.光るもの
しおりを挟むバサァ……
ぱん、ぱん……
「よし、洗濯おわり!」
俺は今、何事もなかったような顔をしているが、正直に話そう。めちゃくちゃ乳首が赤く膨れ上がっている。
今でもユリウスは俺の乳首を吸ってくるし、それを誰かに相談も出来ないので、俺はもう諦めた……。
でもさすがに乳首で感じた上、自慰をしてしまった後のあの虚無感……。あれにはこたえた。
だから仕方なく、仕方なく!!乳首に絆創膏を貼っている。
ここに瑠夏が居たら根掘り葉掘り聞かれてただろう。そうなったら兄としての威厳が……!
だからほんと居なくてよかった。それだけが救いだ。
「シュウたいへん!たいへんだよ!」
パタパタとユリウスが走ってくる。
「走ったら危ないよ。そんなに慌ててどうしたの?何が大変なの?」
「おにわがたいへんなの!」
「え?」
「とにかくきて!」
ユリウスは俺の手を引いて庭へ向かう
この家の庭には、ユリウスの母、アトラさんが残してくれた畑がある。
しかし俺が異世界に来た時には枯れていた。俺の趣味が家庭菜園で持っていたきゅうりとトマト、そしていちごの種を蒔いてユリウスと一緒に育てていた。
(もうすぐ収穫出来るから楽しみにしてたんだけど、鳥にやられちゃったのかな?)
この家全体に結果が張られてるいるが、悪意がなければ庭までは入れるみたい。
(鳥除けのネットを張るべきだったか)
「シュウみて!」
「これは……」
丸々と育ったきゅうり、赤く水々しい表面のトマトといちご。
だがしかし——
「でっか!!!!!」
それは俺が見慣れたらサイズではなく、10倍……いやそれ以上のユリウスの身長と変わらないくらいの大きさになっていた。
「ええ?これもアトラさんの力なのかな?」
俺が軽くパニックになっていたとき
〈くすくす、驚いてる驚いてる〉
「え、誰!?」
後ろを振り向くが誰も居ない。
「気のせい?」
〈ちょっと、こっちよこっち!〉
上を見上げると、光るものが飛んでいた。
「ええー!?なにこれ、もしかして火の玉??」
〈誰が火の玉よ!妖精よ、妖精!〉
「妖精!?」
妖精って、あの妖精だよね??
某ねずみの国やファンタジーで出てくるあの妖精。
「えっ……でもどっからどう見ても火の玉にしか見えないんだけど」
〈んもう!失礼な人間ね。それよりあの方がお呼びよ〉
「あの方?」
〈さぁ、行くわよ〉
「え?行くって、どこに? ユリウス!」
「シュウ!」
シュウの手を繋いだ瞬間、景色が変わった。さっきまで居た庭ではなく、森の中。
〈お連れ致しました。妖精王様〉
〈うむご苦労。よく来たな、異世界人〉
「え?」
足元まである白金の長い髪、人間離れした白くて美しい顔にエルフのような長い耳。
「妖精王…… はっ!失礼致しました」
俺は慌てて膝をついた。
〈よいよい、楽にせよ〉
「あ、ありがとうございます」
「シュウ…」
ユリウスが俺の後ろから顔を出す。
〈ほぉ……その姿とその金色の瞳。そうか、おぬしが次の か〉
(え?今なんて?)
〈さて、そこの妖精に聞いたと思うが異世界人に頼みたいことがあってだな〉
(さすが妖精王。やっぱり俺が異世界人だってことは知っているんだ)
「頼みたいことですか?」
〈ん?聞いておらぬのか?〉
「はい……」
〈はぁ、またお前は……連れてくる前に説明くらいせぬか。どうせイタズラでもしてたのだろう〉
〈えへへ~〉
(あれ?さっきまで火の玉だったのに)
緑色の髪を上でツインテールにした7、8歳くらいの女の子の姿になっていた。
〈びっくした?これがアタシの本来の姿よ!〉
〈おぬしはまだ未熟ゆえ人間界で姿が保てぬだけであろう〉
(だからあの火の玉みたいな姿だったのか。 ん?でもあれって)
「あ~!いつも夜に窓の周りを飛んでた蛍みたいな虫!」
〈誰が虫よっ!〉
〈はぁ……もうおぬしは引っ込んどれっ〉
妖精王がパチリと指を鳴らした。
〈きゃー〉
妖精の姿が消えた。
〈騒がしくてすまぬな〉
「いえ、大丈夫です。それでお話というのは」
〈うむ、実はな——〉
妖精王の話を聞いてから4日後、俺はある事がきっかけで元の世界に帰還するなるなんて、この時の俺は全く思っていなかった。
◇◆◇
とある寝室——
「ごほっごほ、セドブル……」
「はい、ここに」
「あの子は、見つかったか」
「方々探しておりますが、まだ見つかっておりません」
「そうか……なんとしても見つけだしてくれ」
「御意。必ずや貴方様の元へお連れ致します」
「ああ……頼むぞ。あの女よりも早く」
男は名を受け、退室する。
ワシはもう、永くはない。それまでに見つけださなければ……
どこに居る、ワシとアトラの最愛の息子
ユリウス——
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お待たせしました!遂に物語が動きます。
投票してくださった方々、本当にありがとうございます。
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