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第二章 二度目の異世界
24.花嫁
しおりを挟む22~23話大幅に修正してます。
お手数おかけしますが、一度読んでからこちらをお読みください。
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俺たちはソファに座り直して先程の第一王子について話した。
「父上、ディルバルドの瞳はなんだったのですか?まさか本当に……」
〈いいえ、アレは偽物、紛い物だわ〉
「ルル殿の言う通り、アレは紛い物じゃ」
「………もしかしてアレが王妃が犯した禁忌ですか?」
ユリウスは恐る恐る聞いた。
「あぁ……そうじゃ。恐らくあの瞳は精霊力を使って手に入れたのだろう」
「なんて愚かな……」
ユリウスの悲痛な声。
「あの……王家の色ってなんですか?」
俺は陛下に聞いた。
「なんじゃ、シューヤ殿はユリウスに教えてもらっておらぬのか?」
陛下がユリウスを見る。
「すみません。まずシュウの身体に浸透しきってから話すつもりでした」
ばつの悪そうな顔で答えるユリウス。
(浸透?)
「全くお前は……そういうところがわしとそっくりじゃな」
陛下が苦笑いしてユリウスに言った。そして俺と向かい合い
「シューヤ殿。王の色というのは、この瞳の事じゃ」
そう言って陛下はご自分の眼を指さした。
「ユリウスも同じ金色の瞳ですね。それが王家特有のものなのですね」
「そうじゃ、いやはやシューヤ殿は頭が良いな」
「いえ…そう言うわけでは」
(その手のノベライズをたくさん読んだからなんて言えない)
「しかし、王家だからといって必ず出る色ではない。 今から話す事は王家の秘密、この事を知っているのはここに居るわしとセドブルだけじゃ」
「オーウェン」
「はい」
「お前はユリウスの剣となり盾となるとこの先何があってもその誓いを違えぬと誓うか?」
「はい。偉大なる母、女神に誓って」
オーウェンさんは片膝付き、騎士の礼をした。
「あ、あの!王家の秘密って俺、聞いてしまっていいんでしょうか?」
「シュウにも関係あることだから聞いてほしい」
ユリウスは俺の手を両手で握って真剣な表情で言った。少し震えていた。
「……わかった」
俺はソファに座り直し国王と向き合った。
「シューヤ殿はユリウスは何の獣人だと思う?」
「?(あれ王家の秘密について話すんじゃないの?)耳の形から推測すると犬……ではないのですか?」
「うむ。我がガルシアン王国の始祖は神獣フェンリルなのじゃ」
「え?それってつまり陛下とユリウスはフェンリル、ということですか?」
「そうじゃ。そして王になる者は皆、フェンリルの姿と力、神聖力と言われておるものと金色の瞳を持って生まれてくる」
「では先程第一王子の王の色が出たというお話は彼もフェンリルだからですか?」
(あれ?でもあの耳と尻尾は王妃と同じで狐だったと思うんだけど)
俺がうーん、と考えていると
「いや、ディルバルドはフェンリルではない。仮に王の色が出たとしても先程も話した通り、それは偽物、紛い物じゃ」
「どうしてそう言い切れるのですか?」
「ふむ。まずこの話からせぬとな。シューヤ殿は “花嫁” についてどこまで聞いておるのじゃ?」
「はな、よめ……ですか?」
(確かユリウスが俺を異世界に呼んだ方法が花嫁としてって言ってたけど)
「ユリウスが俺をここに呼ぶために花嫁として召喚したと、聞きました」
「うむ……ユリウスはまだ全て話しておらぬようじゃな」
「はい……」
陛下はユリウスを見た。ユリウスは少し気まずそうに視線をそらした。
「?」
「花嫁とは言葉通り、伴侶となる者のことじゃ」
「はんりょ………………え?伴侶ってあの!?」
「父上、ここからは俺が話します」
ユリウスが真剣な表情で俺を見た。
「そうだ。俺たち王族は特殊で自分の生涯の伴侶を呼び寄せることができるんだ」
「え?一体どういうこと?てかなんで俺なの?」
「シュウが唯一の番だからだ」
「つがい?」
(え?番ってあの狼が生涯で一匹のメスを大切にし最期まで添い遂げるっていう、あの??)
俺は頭の中がパンクしそうだった。
「ちなみにわしの番はユリウスの母、アトラじゃ」
「アトラさんも……」
「20年前アトラはわしの元へ召喚された」
「召喚って、誰がくるかわかるの?」
「いいや、わからない。始祖フェンリルが選んだ者が召喚されると言い伝えるられている。そして俺たち王族は花嫁しか愛さないし、子も作れない」
「花嫁しか愛さない……」
「王族は皆、花嫁にゾッコンなんだ。それは始祖フェンリルが人に恋をし生涯大切にし、心から愛したからだと言われている」
(始祖フェンリルは溺愛タイプなのか)
と、他人事のように思っていたが
「え?ちょっと待って?じゃあユリウスも?」
「あぁ、そうだ。俺は一生涯シュウしか愛さない」
ユリウスは俺の手を取り指先にキスをした。
「っ」
俺の顔は今、茹でタコのように真っ赤だろう。
(ん?あれ?でも俺が番だとユリウスは)
「で、でも!俺、男だよ??子ども産めないよ??」
「問題ない。ねぇ、父上」
「うむ。安心せよシューヤ殿」
「いや、安心とかそういう話ではなくてですね……」
俺は頭を抱えた。
「アトラも最初戸惑っておったよ。いや、全力で拒否しておったなぁ……あやつは魔法研究命じゃったから、中々わしを受け入れてくれなくてのぉ……でもわしは諦めんかった!必死に来る日も来る日も口説いて最後はアトラが折れてくれたんじゃ」
陛下は遠い目をしていた。
(アトラさん……どんだけ拒否したんだ?)
「彼は優秀な東のグランティス王国の魔法使いじゃったから当時の国王から無理を言って連れてきたからのぉ」
「そうだったんですね~ ………ん?彼?」
「どうしたの?シュウ」
「ねぇ、ユリウスのお母さんって……女性だよね?」
「? いや、男だが」
ここにきてまさかの衝撃真実ーーーーーーーっ!!!!
「シュウ?」
「シューヤ殿?」
「え?えええ??ちょっと待って、アトラさん男性なのになんでユリウスを産めたの???」
「「花嫁だから(じゃ)な」」
そんな当たり前みたいに言わないでえええええ泣
◇◆◇
「すみません、あまりのことにびっくりして取り乱しました」
「よいよい。アトラも同じ反応しておったわ」
ほっほっと陛下は笑った。
「ユリウス、後でちゃんと説明してよね」
俺はジト目ユリウスを見た。
「わかった」
「殿下……」
オーウェンさんの顔が若干引き攣っていたのは気のせいだと思いたい。
俺は陛下の向かい合い疑問に思った事を聞いた。
「でも何故アトラさんしか愛せない上、子どもも作れないのにどうして陛下は王妃を娶ったのですか??」
「うむ……」
陛下は少し沈黙した後ゆっくりと口を開いた。
「これはわしの罪じゃ……全てわしの責任なのじゃ」
「陛下のせいではございません。どうかご自分を責めないでください」
セドブルさんが悲痛な声で言った。
「いいや、そもそも王妃……あの女を王妃にしてしまったことが、最初の間違い。しかし当時のわしにはそれを否定する力がなかった」
「先程のお話が本当なら第一王子のディルバルドさんはもしかして」
「そうじゃ、ディルバルドは……わしの子ではない」
王妃の息子、第一王子が陛下の子供ではない。それは国を揺るがすとんでもないの秘密だった。
「そしてこの金の瞳は王の色。つまり次期王は皆、この金の瞳を持って生まれてくる」
「王……つまりユリウスは、次の国王というわけですね……」
「そうじゃ」
陛下がコクリと頷いた。
(ユリウスが次の王様……)
なら王妃と第一王子は王位を自分たちのものにするために妖精たちを犠牲にしてあの瞳を手に入れたということだろう。
◇◆◇
王宮内のある豪華な一室。
ドンッ、ドカッ、ガンッ!!!!
「くそ、くそ、くそっ!!!なんで俺が謹慎されなちゃならないんだっ!!」
はぁはぁと肩で息をし、床と壁はボロボロ、家具はめちゃくちゃになっていた。
「元はと言えば、あいつが悪いんだっ」
頭を掻きむしり
「俺が欲しいものを全部手に入れて……気に食わない」
ガジガジと指と爪を噛み、ハッと何かを思い出す。
「そういえばあの人間……やけに大切にしてたな。それにあの黒髪と黒い瞳、そして色白な肌……」
ペロッ舌舐めずりをした。
「あいつから奪うのもいいな……殺すのは簡単だが、それだと面白くないな」
くっくっと笑い。
「あいつの目の前であの人間を犯したら、いつもスカした顔が一体どんな風に歪むんだろうかぁ」
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仕事でバタバタして中々更新出来ずすみません。
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