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第二章 二度目の異世界
22.王の色(改訂版)
しおりを挟むすみません、後半書き直しました。(11/24)
展開変更あり
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——あぁ あの女、王妃がお前を排除するために許されぬ禁忌を犯した。
その言葉を聞いて喉がヒュッと鳴り、背筋が凍った。
排除……つまりまたユリウスを殺しにくる。あの時の呪詛でユリウスを
「シュウっ!」
ユリウスがガタガタと震える俺を抱きしめた。
「はぁ、はぁ」
俺はあの日、呪詛を受けたときの事を思い出した。
〈いたいよぉ……くるしいよ〉
〈たすけて、おねがい〉
〈こわいよぉ……ここからだして〉
〈ゆるさない……ゆるさない〉
〈おまえをぜったいにゆるさない〉
〈のろってやる、のろってやるっ〉
俺の頭の中に妖精たちの感情が流れ込んできた。苦しみ、悲しみ、恐怖、そして怒りと憎悪。
(くるしい……いきが……)
「シュウ落ち着いて、大丈夫。だからゆっくり息を吸って」
「ゆり、うす」
俺はユリウスの胸に顔を埋めゆっくり呼吸する。
(ユリウスの匂いだ。陽だまりのようなあたたかい匂い、俺の大好きな匂いだ)
ユリウスの腕の中でしばらく呼吸していたら少しずつ落ち着いてきた。その間ずっとユリウスは俺の背中を撫でてくれていた。
「ユリウス、ありがとう。もう大丈夫」
俺は顔を上げて笑う。
「シュウ……無理しないで」
ユリウスが苦しそうな顔で言う。
「シューヤ殿、わしの配慮不足だ。すまぬ」
陛下が申し訳ない顔で謝った。
「大丈夫です。ちょっとびっくりしてしまって………お話を続けてください」
「シュウ、辛くなったら言ってくれ」
「ありがとう、ユリウス」
「それで父上。あの女が犯した許されぬ禁忌とは?」
「ああ、お前たちは15年前の紛い物の妖精石の事を覚えておるか?」
「えぇ、忘れもしません」
「………はい」
俺は先程の妖精たちの苦しみを思い出し、体が震えた。
「その件について、まず会わせたい者がおる」
「会わせたい者ですか?」
俺とユリウスは顔を見合わせた。すると陛下の頭上に光が集まり、そこから
〈シューヤ!!〉
光の中から何かが俺めがけて飛んできた。
緑色の髪を上でツインテールにした俺と変わらない歳の女の子。俺はこの子を知っている
「え?もしかしてルル?」
〈会いたかったわ。シューヤ!〉
「ルル……俺も会いたかったよ」
それは一度目の異世界で出会った。妖精のルルだった。
「ルル、その姿は?」
〈ふふっ、びっくりした? あれからアタシもいろいろあったのよ〉
ルルの話ではこの15年、ルルは上級妖精になるために日々修行していたそうだ。その成果の一つが人間界でも姿を保てるようになり、容姿の年齢も変えれるようになったそうだ。
「すごいね!」
俺がルルの頑張りを褒めるが
〈シューヤ。あの日はごめんなさい〉
ルルは辛そうな顔で言った。
「どうしてルルが謝るの?俺の方こそ怖い思いをさせてごめんね」
俺はルルは抱き合い、再会出来たことに感謝していると
「おい、いつまで抱きついてる」
〈きゃっ!ちょっと何するのよ、ユリウス〉
ユリウスがルルの首根っこ掴んで俺から引き離した。
〈ちょっと!やっとシューヤに会えたのよっ〉
「うるさい」
〈むーーっ、相変わらずの独占欲ね。そんなんじゃシューヤに嫌われるわよ〉
「ふんっシュウは俺のこと嫌いになるとかありえない」
〈うわぁ何のその自信。どっからくるのよ〉
「事実だからな」
あ、この光景。
「ふふっ」
「シュウ?」
〈シューヤ?〉
「あぁ、ごめん。2人のそのやり取りが懐かしいなぁって思って」
ほんと懐かしい。あの日々が戻ってきたみたいだ。
〈シューヤも元気そうでよかったわ。あの日、アナタが呪詛で死にかけた時なにも出来ない自分に心底嫌気がしたわ〉
ルルはあの日からずっと後悔していたんだろう。
「ううん、ルルのせいじゃないよ。悪いのは妖精たちを傷つけた奴らだ」
俺はルルの頭を撫でた。が、
「それで?ルルは何で此処にいるんだ?」
ユリウスに後ろから抱きしめられてしまった。
〈その男は本当に……。シューヤも大変ね〉
「あはははは……」
◇
〈アタシが此処に来た理由は2つあるわ。まず妖精王様が眠りから目覚めたわ〉
「え、本当!妖精王目覚めたんだ。よかった」
俺を異世界に戻した後眠りについていたと聞いていたけど、目覚めたんだ。
「いつ目覚めるかわからないって聞いてたから……本当によかった。今度会いに行ってもいい?」
〈えぇ。まぁ会う機会は近いうちに必ずあるわ〉
「?」
〈それで2つ目だけど……これは国王とユリウス、アナタたち王家が深く関わっているわ〉
「ルル、俺たちに深く関わる事とはなんだ?」
(なんだろう凄く嫌な予感がする)
俺はユリウスに肩を抱かれたまま横で聞いていた。
〈………………っ、妖精が………殺されたわ〉
「「!!?」」
「………っそん……な……」
俺ははあまりの事に言葉を失った。
「シュウっ!」
ユリウスが俺を抱きしめた。
「妖精を殺したのはおそらくあの女、王妃だ。まさかこれ程の禁忌を犯すとは……」
陛下が顔を真っ青にしてため息を吐く。
「アイツらはどこまで愚かなんだ」
ユリウスは険しい声で言った。
(妖精を殺すなんて……そんな。だって妖精を殺すということは)
「ゔぅ……ユリウス」
あまりの事に俺はユリウスの裾を掴んだ。
「シュウ……」
ユリウスは俺の手を握り頭を優しく撫でてくれた。
(ユリウスの手、あたたかくて落ち着く)
「陛下。シューヤ様にこれ以上お聞かせするのは難しいと思います。日を改めては如何でしょうか?」
セドブルさんが俺にハンカチを差し出して陛下に進言された。
「あぁ、そうだな。すまぬ……シューヤ殿」
「いいえ、俺の方こそすみません……」
「シュウ……今日はもう部屋に戻ろう」
ユリウスが優しく背中を撫でてくれる。
「そうだな、ゆっくり休んで改めて———」
陛下の耳がピクリと動いた。
「申し訳ございません。陛下の許可がないとお通しすることが出来ません」
「お前は誰に口を利いていると思っているのっ! いいからここを開けなさいっ」
ドアの向こう、廊下から女性の声が聞こえた。
「はぁ……」
陛下が溜め息を吐いて俺たちを見た。
「タイミングの悪い……どうやら招かれざる者が来たようじゃ。ユリウス、シューヤ殿を隠せ」
「わかりました」
「え?」
そう言ってユリウスは俺を横抱きにし陛下の後ろにある大きな壺の所へ移動した。
「シュウ、ここに隠れてくれないか?」
「隠れるってどうするの?」
「こうするんだ」
そう言ってユリウスは指をパチンッと鳴らした。
「え?なにしたの?」
〈認識阻害の魔法よ。これでアイツらには姿が見えないわ〉
(認識阻害ってあれだよね?周りに姿が認識されない)
「あぁ。でも声を出すと認識されてしまうから気をつけてくれ」
「わかった」
そう言って俺の前にオーウェンさんが立ち、ユリウスは陛下の横に立った。
次の瞬間バァンッと勢いよくドアが開いた。
「陛下っ!」
着飾った女性が入ってきた。年齢は40歳くらいで細くつり上がった翠の瞳に赤に近い茶髪を綺麗に結って大きな耳と尻尾……あれは狐だろうか。
「なんだ。騒々しい」
嫌悪感を出す陛下とユリウス。王妃は一瞬ユリウスを見て顔を顰めたが、すぐに陛下の方へ視線を向けた。
「陛下!お喜びください!!ディルバルドが選ばれましたわ」
嬉しそうに話す王妃に陛下は眉間に皺を寄せた。
(ディルバルドって確かユリウスのお兄さんで異母兄弟だよね)
俺はオーウェンさんの後ろからこっそり様子を伺った。
「はぁ……」
ユリウスは小さくため息をついた。
「今はユリウスと話しているんだ。後にしてくれないか」
陛下は冷たく言ったが、王妃はズカズカと部屋に入り、近づいて
「そんな男の事はどうでもいいですわ!こちらの方が大事ですわっ」
「はぁ……何に選ばれたというんだ」
陛下の声が苛立ってる。
「ふふっ、見ていただけたらわかりますわ。ディルバルド」
「はい」
王妃に呼ばれて1人の青年が部屋に入って来た。
王妃の同じ赤に近い茶髪に狐の耳と尻尾。そして唯一違うのは———
「王の色が出ましたわ!ディルバルドこそが次の王に相応しいですわ」
王妃は恍惚とした顔で言った。
「金色の瞳……」
「まさか……なんと言うことじゃ」
全員が言葉を失った。
でも俺は違う意味で言葉を失った、あれは俺の大好きなユリウスの瞳とは全く違う。色こそは金だが、あれは嫌なものだ。そして瞳の奥から聞こえる
妖精たちの悲しみと憎悪が———
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ユリウスまで姿を隠す必要がなかったため書き直しました。
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