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冒険者

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優は自らが夢を見ているのを理解していた。
何故なら目の前に居る少女は圧倒的な存在感をもって優に話しかけていた。
少女の存在を一言で表すならば漆黒という表現が最上だ。
艶やかな黒髪に黒曜石のように妖しい輝きを宿す瞳。
大きな瞳は瞬くことなくただひたすらに優を見つめていた。

「優はリーナのことが好き?」

その問いかけに優は偽りのない本心を伝えた。

「リーナは俺にとって大切な人だ」

優の深い想いの込められた言葉に漆黒の少女は表情を歪めて不快感を露わにした。

「じゃあ‥ノアのことは?」

嫉妬の感情が篭る言葉はノアの重い感情が乗せられていて優は気圧されたように息を呑む。
ノアという少女は優が眠りにつくと必ず現れる。
どのような手段であるかは不明だが、悪意を感じることはなかった。
しかし現在の彼女は普段とは様子が違う。

「‥どうしたんだ?ノア‥そんなことを聞いて」

優の疑問にノアは答えることなく再び問うた。

「優はわたしのことどう思ってるの?」

その表情はあまりにも必死で危機迫る様子だった。
優は言葉を詰まらせながらも言う。

「ああ、ノアのことは大事に思ってる」

優の言葉を聞いたノアの表情は花が咲き誇るような笑顔を浮かべる。

「そう‥良かった」

ノアの表情に驚きを露わにする優。
普段では淡々と言葉を発するノアだが現在の彼女の様子は明らかに通常とは異なっていた。

「優は‥リーナをどうしたい?」

ノアは表情を平素の無表情に戻し、優に再び問いかけた。
優は困惑の表情で言う。

「どうするって‥俺にはどうしようも」

ノアはゆっくりとした動きで優に歩み寄った。
その瞬間優の身体は上からの圧倒的な重力に襲われる。
ノアは膝をつかされた優の耳元に自身の唇を近づける。
桜色の艶やかなそれからは甘い囁きが漏れた。

「優の本当の気持ちを教えて」

ノアの声は優の頭に容易く侵入した。
その言葉には自ら従ってしまうほどの魔性がある。

「俺は‥俺はリーナを連れ戻したい」

優の決意の篭った言葉にノアの身体が淡く輝いた。
黒い粒子のようなものを四散させている光景は異様だった。

「私は優の想いを尊重する‥でも忘れないで」

言ってノアは舌で優の耳の奥にねっとりと舌を這わせる。

「私が一番だということを」

激情が込められた言葉は熱い吐息を伴っ優の脳に浸透した。
同時に急激に意識が薄れゆく感覚に襲われる。
抗い難いそれが次第に強くなっていき視界は暗闇に包まれた。

「どうして‥」

突然雪音の焦燥感を伴った呟きが聞こえた。
その言葉と同時に肌身に風を感じて意識が覚醒していくのが感じられた。

「ここは‥」

見覚えのある辺り一体に広がる草原が突然眼前に出現した。
見回すと以前訪れたリーナの故郷が遠目に確認できる。

「優‥すぐに戻るのですッ」

切羽詰まった声音で優に抱きついて元の場所への帰還を試みた雪音であった。
しかしそれは叶うことなく何も起こらなかった。

「何故‥」

己の力が及ばない現象が起きている事に絶句した雪音はその事実があまりにも衝撃的で身動きがとれなかった。

「雪音‥さっきノアに会った」

表情筋を壮絶に引き攣らせて雪音は呻き声をあげた。
ノアという少女は雪音の認識において忌避する程に厄介な少女だった。

「そうなのですか‥彼女はどのようなことを言っていたのですか?」

ノアと雪音の仲は険悪と称する程度には最悪だ。
故に彼女達は顔を合わせればお互いを罵り合っていた。

「リーナを助けろって言っていた」

優の返答に驚愕の表情を浮かべた雪音。
ノアの思惑が読めない雪音は黙考する。
しかし自らが納得できる答えには至らなかった。

「‥意図は不明ですが‥まあいいのです」

対峙すれば認めるのは癪であるが彼女の方が格上。
敗北ことは不可避。
であればそのような惨めな姿を晒すことは何としても避けることが現在雪音にできる最善の行動であった。

「それでは助けに行くのです」

初雪のような艶やかな髪を靡かせて優の手を引いて村へと向かう雪音。

「ああ!絶対に救ってみせる」

別れ際に見たリーナの表情は悲しみに歪んでいた。
寂れた寒村の村では満足に食事もできないことが窺える。
そのような苦境にリーナを置いてきてしまったことが何よりの心残りであった優。
しかしノアのお陰でもう一度機会を得ることのできた優は雪音と共に力強く一歩足を踏み出してリーナの村へ向かった。










以前来た時と変わりなく活気というものが全く感じることのできない村にたどり着いた優達は門番に声をかけられた。
前回と同様のエリックという男だ。

「おおッあなたはリーナの面倒をみてくれていたお貴族様ではないですかッ」

大仰な程遜った態度でエリックは優達に頭を下げた。
機嫌を損ねないように細心の注意を払って優の表情を伺っている。

「本日はどのような要件でいらっしゃいましたか?」

問われた優は即座に力強い声で答えた。

「リーナのところまで案内してもらえるかな?」

返された返答にエリックは数秒言い淀んだが恐る恐るといった表情で言う。

「すみません‥リーナは今冒険者の方々と一緒に迷宮に出掛けておりまして‥」

優の顔色を伺いながら言うエリックの顔は痩せこけた顔を真っ青にして哀れだ。

「そうか‥ならそこまで案内してもらえないかな?」


頭を下げて迷宮への案内を頼む優であったがエリックは罪悪感を滲ませた表情で言った。

「俺では魔物を倒すことはできませんから申し訳ないんですが無理です。ですが冒険者に頼めば連れて行ってもらうことはできます」

エリックが優の願いを断ったことに対して恐怖を感じていることが震える肩から窺える。
これ以上心労を与えることを申し訳なく感じた優は礼を言って会話を切り上げることにした。

「‥わかった‥ありがとう‥ん‥どうした?」

礼を言って去ろうとした手を引く雪音は囁くような声で優に耳打ちした。

「‥この男にこれをくれてやるのです」

差し出されたのは棒状の菓子だ。
栄養価が高いと言われている健康機能食品である。
意図は不明だが言われた通りエリックに手渡した。

「よかったらどうぞ」

エリックは開封の仕方がわからないようであったので代わりに優が包みを解いた。
エリックは優達の見ている前で某菓子を齧る。
口内に広がる甘さが疲労した心身に染み渡るような感覚に陥るほどそれは美味だった。

「うまいッ」

エリックは勢いよく食べ進み一瞬で菓子は胃袋へと納められた。
そして一息ついて無礼を働いたことに気がついたエリックは我を取り戻して頭を下げる。

「申し訳ない。あまりに腹が減ってたもんで‥つい」

その言葉は満足に日々の糧を得ることができない事実を表していた。
故に久々にありつけた上等な食べ物に夢中になるのは致し方ないことだと優は思った。

「そうか‥大変だな‥これから頑張ってくれ」

気にしていないことを告げて励ましの言葉を送った優は今度こそ村の入り口を後にした。

「それにしても雪音も本当はここの人達のことを助けたいんだな」

未だ此方に頭を下げているエリックに手を振りながら優は雪音に言った。
雪音は動揺することなく淡々と言う。

「今は冒険者に依頼することを最優先に考えるべきなのです。ほら彼方に居る彼等に頼みましょう」

話題を逸らした雪音の言葉を照れ隠しだと勘違いした優はそれを可愛らしく思い笑顔を浮かべた。
しかし実際は情報源であるエリックが極度の栄養失調であることを見抜いていた雪音が生かすために行った結果に過ぎない。
だがそれで優の自身への認識が好感の持てるものになると言うならばそれを訂正する必要などなかった。

「本当だ‥凄い杖を持ってる魔法とか使えるのかな」

臆することなく悠然と冒険者の一団へと近寄る雪音に手を引かれる優。
冒険者達の特筆すべき点としては主に彫りの深い顔立ちであり金髪碧眼という特徴。
だが一人だけ異様な者が混じっていた。
金髪ではあるが他とは違う翡翠色の瞳に尖った長細い耳の女性。

「彼女達は視線に敏感なのであまり見ない方がいいのです」

雪音に忠告に慌てて目を逸らす優であったが時すでに遅し。
耳長の女性はけんのある切れ長の瞳で優を睨んだ。

「お貴族様が何か用かしら」

優はその鋭い瞳に射すくめられて緊張からその場から身動きがとれなかった。
見かねた雪音は庇うように前に出て言い放つ。

「迷宮への案内を依頼したいのです」

放たれた言葉に対して一瞬呆気に取られた様子の耳長の女性だったが怪訝な表情で雪音に問うた。

「迷宮?護衛じゃなくて案内ってどういうことかしら?」

その疑問に雪音は淡々と応じてみせる。

「そのままの意味です。護衛ではなくただ案内してもらうだけでいいのです」

要点だけを言い連ねる雪音に耳長の女性は苛立ちを露わにした表情で口を開きかけた。
しかし彼女の仲間と思しき男性が声をあげた。

「おいおい‥お貴族様よ‥俺達は遊びで迷宮に潜ってるんじゃないんだぜ。揶揄いなら他を当たってくれや」

此方の提案を一蹴する言葉に対して雪音は声を荒らげることなく冷たい声音で言った。

「この村に現在居る冒険者は貴方達だけなのです」

真実である雪音の言葉に男は眉を顰めて苦笑を浮かべて反論する。

「そう言われてもなぁ。俺たちはその手の依頼は受けてねぇんだ。すまねぇが他を当たってくれねぇか」

しかし冒険者達も優等の依頼をそう簡単に受け入れるつもりはないようだ。

「‥貴方達はこの依頼を受けるべきなのです」

なんの躊躇いもなく言い切る雪音に対して男は呆れた様子で訊ねる。

「おいおい‥ふざけてるなら俺たちはもう行くが‥なぁ?」

相手をするのが面倒に感じられた男は仲間の冒険者に同調を促した。
しかし雪音は尚も強気な姿勢を改めることなく、言葉を続ける。

「報酬はそちらが望むまま与えます」

それは男の好奇心を惹く言葉だった。

「ほう‥貴族様なら当然相場の‥そうだな‥倍以上は出してくれるんだろうな?」

挑発するような男の言葉に対して雪音は無表情ながら何処かつまらなそうな表情で答えてみせる。

「わたしは望む通りと言ったのです」

何ら動揺した様子を窺うことができない雪音の様子に対して男は驚きの表情を浮かべたものの次の瞬間には人の良い笑みを浮かべて頷いた。

「そうか‥どうやら本気で言っているらしいな‥どうするよレーネ?」

男は耳の長い女性に軽い調子で声をかけた。
レーネと呼ばれた女性は視線を一瞬彷徨わせた後雪音を挑むように見据えた。

「ええ‥条件は破格ね‥どんな裏があるのか予想できないけれど貴方達を見るに対応できない事態になることはなさそうね」

レーネは挑発的な笑みを浮かべて雪音に捲し立てるものの雪音はその大半を聞いていなかった。
ただ了承の言葉を聞くことができれば良かった雪音はレーネを無視して男に毅然と言い放つ。

「では、行くのです」

優の手を引いて唐突に歩み出す雪音に目を見開き呆然とした男。
しかし即座に我を取り戻して慌てて雪音に声をかけた。

「おいおい‥俺たちはまだお互いに自己紹介すらしていないんだぜ」

男の主張に対し構うことなく先に進もうとする雪音に優はその場で立ち止まり挨拶をするように嗜める。

「必要最低限のことは知っておくべきだと思う」

雪音は不満の表情を浮かべたものの不承不承と言った様子で頷いた。

「‥雪音です」

簡潔に一言言い放ちそれからは沈黙を保つ雪音を尻目に苦笑して優は自己紹介を続ける。

「僕は優。よろしくお願いします」

礼儀正しく頭を下げる優に冒険者達は驚きの表情を浮かべる。
貴族は平民に対して人として最低限の礼儀すら払わない者が大半である。
故に優のような低姿勢で彼等に接する貴族がいる事実は驚愕に値した。

「お、おう‥俺はグラドだ。よろしく頼むぜ」

呆気に取られながらも気さくにも握手を求めるグラド。
対して求められた優は差し出された手を見て数瞬戸惑いを感じたが意を決して握る。
見た目からでも窺うことができた分厚く硬い皮膚で覆われた手は直に触れてみるとより一層逞しさを感じることができた。

「‥優達は変わった貴族様なんだな」

感心したような声音で言われた優は訝しげな視線をグラドに向けた。
優の着ている服の裾を引っ張り、小声で耳打ちした。

「この世界の貴族というのは基本横柄な態度で人に接する者なのです」

雪音の言葉の意味を理解はしたものの優は今更態度を変えるつもりはなかった。

「ええ‥なにぶん世間の常識には疎いものでして」

上手い返しが浮かばずに咄嗟に誤魔化す優の言葉を疑うことなくグラドは快活な声で笑う。

「ははッ、そんなこと気にするな。威張られるよりよっぽど良い」

馬鹿正直に本心を相手に伝えるグラドの様子は優にとって好ましく思えた。
しかし雪音はグラドに対しては一切の関心を示すことなくその視線はレーネの方向へと向いていた。

「な、なによ‥」

雪音の冷たい輝きを宿す瞳に気圧されたレーネはうめき声を上げる。

「別に‥なんでもないのです」

何事もなかったように顔を逸らした雪音だが内心ではレーネという女は脅威になり得ると判断していた。
彼女はなんらかの超常的な現象を所持している杖を触媒として起こせるのではないかと推測した。
冒険者という職業柄殺傷能力のある現象であることは自明の理であった。

「ダメじゃないか‥そんなジロジロ見ちゃ」

優は雪音癖一つない絹のような髪を無造作に撫でた。
雪音はされるがままに心地良さそうに目を瞑った。
その様子を見てレーネは呆れた様子で腕を組み、ため息を吐いた。

「仲がいいのね‥。それで私は見ての通り種族はエルフ。名前はレーネよ。魔術師をしているわ」

淡々と言葉を続ける彼女だが魔術師という単語には何処か自慢をするような響きが込められた声音であった。

「俺は魔法適正がないからな。こいつを使って敵を斬るだけしかできないただの剣士さ」

背中に背負った大剣を親指で指し示して言うグラドの声音には若干の自嘲の響が窺えた。
優にとっては自身の背丈ほどもある鉄の塊である剣を扱えることは充分凄いことであるように思えた。

「そ、そうですか‥僕の得物はこれですね」

大剣の後に見せるのには気が引けるが仕方なく携帯していたナイフを見せた。
白銀の輝きを放つそれは一眼見て並の代物ではないことが窺える。
しかし迫力ではあの大剣と比べると見劣りするのは事実。
優にとって思い入れのある物なので無闇に人目に晒すのは避けたかったが相手が手の内を明かしたのだから自身もそれに習うのが道理だと考えた。

「‥凄いな‥こんなのは見たことがない」

刃物に対して見地のあるグラドはナイフの輝きに魅せられたかのように視線が釘付けになっていた。
レーネも同様に瞳を見開いて凝視している。

「値段をつけられるものではないですね」

そんな二人の様子に構うことなく優はナイフを熟れた動作で剣帯に刺した。
ナイフが視界から消えたことにより我を取り戻した二人は取り繕うような表情で称賛の言葉を述べた。

「あそこまでの業物は今までに見たことがねぇ。一体何処で手に入れたんだ?」

グラドは純粋に好奇心からの言葉を口にして優に尋ねた。

「私も知りたいわ。勿論情報料は払うわ」

レーネは欲望の光を碧眼に宿して優を射抜く。
その眼光の鋭さにたじろいだ優は雪音に視線で助けを求める。
優の戸惑いの感情を察した雪音はレーネに不快感を滲ませた表情を向けた。

「どのようなことに使うか知りませんがやめた方がいいのです。あなたも気づいているのでしょう?あれに秘められた力に」

探るような雪音の言葉にレーネは心の内を探り当てられたことから動揺によって身を硬直させたものの即座に立ち直り反論すべく口を開いた。

「ええ、一眼見れば‥あれ程の魔力だもの。気付かないわけがないでしょう?それに‥あれは貴方達には過ぎた代物よ。‥どうかしら?言い値で構わないから譲って貰えないかしら?」

優達に交渉を持ちかけたレーネだが視線は未だ剣帯のナイフに注がれている。
レーネの言葉を受けて普段表情を崩さない雪音の顔が不快感から歪む。

「今はそのような無駄な無駄な話をするために設けた時間ではないのです。今すぐその薄汚い口を閉じるのです」

唐突に侮辱の言葉を述べられたレーネは唖然とした表情で雪音を見やる。
しかし当の本人と言えばレーネから向けられる険の篭った視線すら意に解すことなくどこ吹く風だ。

「なッ、わ、私は貴方達が物の真価を理解できていないようだから教えてあげただけよ。そうよそれは私が持つにふさわしいのよ」

語気も強く喚き散らすレーネにグラドは辟易とした様子でレーネに声をかける。

「おい、レーネ、もういいだろ?俺たちはもう彼等の依頼を受けると決めたんだ。それからは問題を俺たちが起こすわけにはいかねぇ」

事実冒険者は問題を起こすとそれに見合う罰則が課せられる。
相手が貴族となると最悪の事態では斬首刑もあり得る。
故にそれはなんとしても避けたかった。

「うッ‥そうね‥ごめんなさい‥つい熱くなってしまって‥」

側から見ると美しく可憐な容姿を持つ完璧な女性であるのだが他人に接する際の苛烈さがその美貌を台無しにしていた。

「こちらからも謝る。すまねぇな。そうだな‥詫びとしてこれから一緒に飯でもどうだ?狭い所だがいい場所を知ってるんだ」

これから共に行動を共にする身としては親交を深めるのは必須だと考えたグラドは優に軽い調子で提案してみせた。

「そうですね‥」

人見知りの優としては貴族であるという演技が上手く継続できる自信がなかった。
話の中での些細な矛盾でも相手に悟られる可能性があった。
しかし今はより多くの情報を必要としている立場としてはその提案を受け入れるしかなかった。

「それではそのようにしましょう。では行くのです」

彼方から情報を引き出す機会を作ってもらえることは雪音にとっても好都合だった。
これ以上益のない立ち話をしていても埒があかないと考えた雪音は優の手を引いて行動を急かした。

「そうですね‥ご馳走様になります」

了承の言葉を受けてグラドは快活な笑みで先導する。

「ついてこいッ案内するぜ」

活気溢れるグラドの様子にレーネは肩をすくめて後に続く。
優達もそれに倣い足を進めたのだった。
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