はーとふるクインテット

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第三章 アレな波乱の幕開け

ゆういちクンと下校した日

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「あ、転校生くんちゃん。今帰り?最近にしては珍しく早いね」
「うん、私今日は誰のプロデュースも無いから。たまには早く帰ってゆっくりしなさいって言われて」

「あー、そうなんだ。まあ確かにいきなりこんなアレな学園来て毎日アレな奴らと付き合ってたらまいっちゃうよね」
「あはは。まあ最近はだいぶ慣れて来たけどね。…例のあの子とかヤバ過ぎる子は無理だけどさ」
「あー、流石の僕でもあいつは無理。クソガキのレベルが違いすぎる。今は実際ガキじゃないし」
「だよね。まあてうてうの子達皆そうだし、他にもかなり長寿の子達いるけどさ」

「だねー。はこべ先輩とかエターナルの人達とかねー。皆かなりしんどい人生長年送ってるのに、あいつ以外皆前向きで偉いよね」
「うんうん。皆しんどいのに歪まないで偉いよね。…あの子はもう歪みまくってるけどさ」


「うん、あいつもまあ確かに可哀想だけど、にしても周囲に当たり散らし過ぎ。僕だってクソ親や同じくらいの外道な悪人以外には当たらないで真面目に慎ましく生きてるのにさー」
「うん、ゆういちクンも大変だったのに偉いよね。…まあ悪人に容赦しないのはちょっと怖いけど」
「まー、ここの学園の奴ら大半そんな感じだし良いでしょ」
「…そ、そうだね」


「あー、そういえばさ。転校生くんちゃんの家族ってどんな感じの構成なの?」
「ん、私はごく普通に両親と父方の祖父母と、あとお姉ちゃん一人いる。あとペットの改造ハムスター」
「ふーん、ほんと普通だね。改造ハムスターって寿命15年くらいあって良いよね」
「うん、昔は2年くらいで死んじゃったらしいけどね。お別れ早すぎて悲しいって事で研究が進んで長寿に改良されたみたい。まあ倫理的にはアレだけど」
「まあ倫理がアレなのはこの国とっくの昔からそうだし、今更でしょ」
「…う、うんそうだね」


「この国も町も学園もとっくのとうにアレだし、何もかも今更だって」
「…そうだね。そう思って受け入れるしかないね…」

「僕もクソな親の下に生まれた時は世界を呪いまくったけどさ。でもクソ親ぶち込まれたし、その後幸野クンがぶっ殺してくれてその後はすっごく幸せだし、やっぱこの世界もアレだけど捨てたもんじゃないと思うよ」
「うん、そうだよね。アレ過ぎるけど救いはたぶんあるもんね。…クロ君も、早く救われて欲しいんだけどね」
「…だね。あいつは本当に可哀想。何一つ悪い事してないのに理不尽過ぎでしょ」

「…いつかは神様も、助けてくれるよね。…あ、そういえばゆういちクンは両親亡くなった後はどうしてるの?」
「あー、僕は親戚もかなりクソ目な奴らが多いし元々大して仲良くも無いから、施設に入ってる。ちゃんとした良い所だよ」

「そうなんだ。大変だけど、良くない家族に引き取られるくらいならそっちの方が良いかもね」
「うん、職員の人達皆優しいし、やっぱ施設にいる子達も僕みたいに大概クソな目に遭ってるから皆優しい良い子だしさ」


「うん、それは良かった。皆で支え合って幸せになれると良いね」
「大丈夫だよ。この国の奴らって皆基本メンタル強いしさ。まあ佑真みたいな一部例外はいるけどー」

「…う、うん。彼は本当に可哀想」
「あいつも早い所順応しろっての。まあ僕としては唯一の激レア個体って感じで面白いんだけどさー。あ、じゃあ施設着いたからここで。また明日ねー」

「うん、また明日。ゆっくり休んでねー」
「大丈夫だよー。僕毎日快眠だから。じゃあねー」

そう言ってゆういちクンはピエロのようにスキップして綺麗で立派な施設に入って行った。


「たっだいまー。あれ施設の職員さん、忙しそうだね。どしたの?」
「ああ、お帰りゆういちクン。実はこれから間もなく、大量に新しい子達が来る事になってね」

「へー、そうなんだ。どんな子達?まあここ来るくらいだからアレなんだろうけど」

「うん、それはもうアレだよ。こことは別の立派な施設で皆暮らしてた可哀想な子達なんだけどね。その施設長で大富豪の一人息子が昔やっぱりアレな殺人鬼にえげつない殺され方しちゃって以降、世を恨みまくるようになっちゃってね」

「で、その子達をえげつない強化改造して私設兵に仕立て上げてアレな殺人鬼の関係者一同ぶっ殺して回って、皆殺しにした後はアレ殺人鬼の趣味だったスポーツやってるアレ気味な奴らを無差別に殺戮して回って、たまに罪のないそのスポーツやってる普通の小学生や中学生達も巻き込んで危ない目に遭わせるようになっちゃって、流石にヤバ過ぎって事で軍が動いてその施設長捕まったの」

「うっわー。まあ気持ちは分かるけど、やっぱ無関係の人巻き込んじゃ駄目でしょ」
「うん、まあ相当な犠牲者出したし極刑は免れないだろうね。子供達はえげつない事されて一部は洗脳されてたとはいえ、施設長をすごく慕ってて減刑を嘆願してて可哀想なんだけどね」
「うーん、なんか救われないねー。そいつも仇討ちだけで満足しとけば良かったのにね」


「そうだね。でもあの有名な女神様でさえも恨みを止められず今に至るからね。人間にはなかなか難しいだろうね」
「あー、確かにね。あの人の怒りのせいでこの国アレになっちゃったもんね」

「…でも施設長はね。一番息子さんに似ているって事で一際愛されていた子にどんな事をされても父として愛しているって言われて、目が覚めたみたいだよ」

「そっか、救いがあってまだ良かったね」
「うん、施設長も表向きは慈善事業に力を入れていたから、もしかしたら恩情が下るかもね」

「うんうん、だと良いよね。まあでも巻き込んだ人達の関係者から一生命狙われるだろうけどさ」
「ああ、そうならない様に、いつか出てきたら僕達が守るって養子の子達は決意しているようだよ」


「ふーん。じゃあまあ根は良い子達だろうし、僕ともきっと仲良くなれるね」
「ああ、きっと大丈夫だよ。仲良くしてあげてね」
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