たっくんとゆうちゃん

kromin

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第五章

縁結びの神使

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俺達に因縁のあるクソ眷属を倒した少し後の事。

「あのね、また眷属の兆候が出ててね。今回そこまで強くは無いけど数が多そうだから、悪いけど皆で行って来てくれる?」
「はーい、了解です」

「それでね、今回関連してる神様はとても偉い方で御多忙だから、代わりに神使の動物さんが支援に来るって。もちろん会話は普通に出来るから安心してね」
「え、そうなんですか。分かりました」

「えーと、神使ってなんですか?」

アカネの質問に、かぐやが御堂さんに代わって答えた。

「…その名の通り、神の使いと呼ばれる存在や動物の事だ」
「そうそう。かぐやくんさすが物知りやね」
「へー、そうなんだ。妖怪や怪異では時々いたけど、喋る動物って会うの楽しみだなー」
「見た目は動物で可愛くても、神様と同等に近い立派な存在やから失礼の無いようにね。まあ皆その辺はきちんとしてるから大丈夫だろうけどね。じゃ、気を付けて行ってらっしゃい」

「「「はーい」」」


そうして俺達は組織の用意してくれたヘリに乗り込み、家や職場からかなり離れた某県の浜辺へとやって来た。

「今度の眷属は、海から来るんだ?」
「うん、予測だとそうみたい。強さはそこまででも無いって事だったけど、数多いらしいから皆頑張ろうね」
「ああ、ヘリの中で休息を取ったので霊力は十分余裕がある」
「俺も弾多めに持って来たから頑張ります!」
「…オレも、気力は十分ある」

「あれ、ところで今回支援してくれる神使の動物さん、まだ見えないね」
「そうだね。いつぞやの貧乏神さんみたいに足が遅いのかな」
「あー、そうかもね」
「亀の神使などもいるからな」


そう話をしていると、水平線の向こうから大量のワニとサメを掛け合わせたような化け物がやって来た。

「うわ、あいつが今回の件族か。確かに数多いな」
「サメにもワニにも見えるけど、アレなんですかねー」
「…古事記に記載がある、ワニザメという化け物かもな」
「…ワニでもサメでも、倒すまでだ」

「そうだね。よーし、皆行こう!」

俺達は各々の武器で、海辺から勢いよく突っ込んで来る怪物を迎え撃った。


ワニザメは相当な数いたが、俺達も十分に武器や霊力を蓄えていたので二時間弱ほどかかったがどうにか捌ききる事が出来た。

「ギャアアアアア」

最後のワニザメが、ゆうちゃんに叩き斬られ断末魔の悲鳴と共に海中に沈んで行った。

「…ふ、ふー。疲れたけどどうにか倒しきれて良かったね」
「うん、消耗はしたけど今回は似蛭も欠けてないし。皆もケガはそんなにしてなくて良かったね」
「はい、いざとなったらかぐやとかんばせさんが回復してくれますし、俺も大丈夫です」


「…でも、今回の神使さん来なかったけど本当にどうしたんだろうね。…ひょっとして、俺達と合流する前にあのワニザメに襲われちゃったとかかな」
「あー、あいつら大量で凶暴だったしそうかもね。心配だし探してみようか」
「ああ、そうしよう」

そうして俺達はどんな動物かは分からないが、広い浜辺を歩き回り神使の動物さんを探し始めた。

「あのー、神使さーん。聞こえてたらお返事してくれませんかー」
「眷属は倒しましたんでー。無事だったら返事して下さーい」

「…あ、あれ。ゆうちゃんさん、向こうに何か白い物が倒れてますが、あれってひょっとして」

アカネが指さした先には、かなり小さいが白い生き物らしき物が倒れていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

「…う、うう。痛いよう~」

俺達が駆け寄ると、その生き物は皮がところどころ剥がれた白兎だった。

「う、うわー。皮ひん剝かれて痛そう。かぐやにかんばせ、呪法や薬で治してあげて」
「…ああ、任せろ」
「いざとなったら、僕も霊力である程度回復手助けできるから」

「…いてて、皆様済みません。面目ない」

皮を剥がれた傷口を持参していたミネラルウォーターで洗い、かぐやの呪法やかんばせの出す薬で治療する事数分後、神使兎さんの傷は綺麗に塞がった。


「いやあ、皆様本当にありがとうございました。…皆様の姿を認め駆け寄ろうとしたところであの憎きワニザメ達に襲われ文字通り身ぐるみ剥がれまして。主様から預かって来た滋養強壮や治癒の薬も、すべて海や浜にぶちまけてしまいました。何のお役にも立てず、誠に申し訳無い」
「いえいえ、気にしないで下さい。大変だったけど命が無事で何よりでした」

「ああ、申し遅れました。わたくしは因幡の白兎と申します。長いのでお気軽に因幡とでもお呼び下さい」

「…あ、主様ってもしかして」
「ん、ゆうちゃんどうしたの?」
「…あ、ごめんね。何でもない。…これは極秘事項だから仲間内にもあまり言っちゃいけないんだ。ごめんね、たっくん」
「…そっか。まあ、そういう事もあるよね。因幡さん、ワニザメはもう全て退治しましたので大丈夫ですよ」

「ああ、左様でしたか。本当に皆様お疲れ様でございました。…戦いのお役には何も立てず申し訳ございませんが、せめて健闘して下さったお礼にお決まりの祝福を差し上げようと存じます」

「あーいえいえ、俺達もう十分に祝福して貰ってるのでお構いなく」
「ええ、僕達もう十分幸せですのでお気遣いなく」

「まあまあそう仰らずに。…わたくしは遥か昔にあった出来事から縁結びの神とも呼ばれております。ですので皆さまにこれから良縁に恵まれるよう祝福をして差し上げましょう」
「わー、ありがとうございます。素敵な恋人出来るといいな~」
「…もう二度と、あのような屑と出会いたくは無いが。良い出会いなら嬉しい事だな」
「…そうだな」

「それで義肢の貴方様と組み立てられた貴方は、もう既に最高の出会いをされているようですので。そのご縁が永劫に続くようわたくしから祝福をしておきましょう」
「わーい、ありがとうございます」
「ゆうちゃんとの縁が切れるとか考えたくないし考えられないけど、そう言って貰えると安心できます。ありがとうございます」


「では出会ったばかりで申し訳ございませんが、主様に報告せねばなりませぬのでわたくしはこの辺りで。此度は助けて下さり本当にありがとうございました。皆様の永劫のご多幸をお祈りしております。それでは」

そう言って因幡の白兎さんは兎らしく一目散に駆けて行った。


「いやー、喋る狐は俺達見た事あるけど神様の使いは初めてだったね」
「うん、皮剥かれて気の毒だったけど、治って良かった」

「それで俺とゆうちゃんの縁も永劫に保証して貰えたし、すっごく嬉しいな!」
「うん、僕も!」
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