ショートショート集

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アレな作家先生に買われた普通のだるまっ子の日常

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「ああ君。義肢はまだ付けられなくて悪いんだが、ずっと家の中じゃ辛いだろうし、車椅子で散歩しようか」
「え、良いんですか。嬉しいけど僕外に出たらまずくないですか」

「ああ、もう警察とか司法には話してあるし、近所の人も大体君の事知ってるし受け入れてるから平気だよ」
「へー、そうなんですか。でしたらお願いします」
「うん。じゃあ妻と一緒に行こうね」

(カラカラカラ)


「奥さん、車椅子押してもらってすみません。重く無いですか」
「ええ、君体小さくて軽いし大丈夫よ」

「あー、確かに僕元々それ程大柄じゃ無いし、たぶん半分くらいになってますもんね。じゃあ平気か」
「ええ、疲れたら先生に代わって貰うし」
「うん、私も座り仕事だが鍛えてるから大丈夫だよ」
「先生剣の達人ですもんね」


「じゃあ、とりあえず近所の神社でも行こうか」
「わー、僕神社巡り結構好きなんで嬉しいです」
「じゃ、行きましょう」

(カラカラカラ)

「ああ、君がうっかり迷い込んじゃって可哀想な目に遭った子ね。大変だったわね」
「あー、まあ大変だったし凹みましたが今は楽しいので大丈夫です」
「ええ、先生趣味と作風はアレだけどそれ以外はとても良い人だから。大丈夫よ」
「はい、いつも良くしてもらってますので」


「確かに何人かに声かけられましたが、皆僕の事見ても大して驚きませんね」
「ああ、この町相当アレだから君がされたみたいな猟奇事件多発してるからね」
「こ、怖い」

「さっき会ったおばさんも、ご家族殺人鬼にアレされてるからね。まあ私の関係者が呪い殺したが」
「ひ、ひい」

「ええ、その少し前にあった娘さんなんか、実はもう死んでて気の毒な独り身のおじいちゃんの為に亡霊となってずっと一緒に暮らしてるし」
「え、えええ」


「うんまあ要するにこの町そういう人外魔境だから、だるま程度誰も動じないよ」
「こ、この町に来たのが怖くなって来ました」

「まあ君アレに加工したバイヤーさんも、ここなら適任と思って斡旋したんだと思うよ」
「う、嬉しいような嬉しくないような」

「そういう訳で、君の義肢もお金が貯まり次第腕の良い人形師や義肢職人さんに作って貰うようお願いしてあるから大丈夫だよ」
「あ、ありがとうございます。かなり怖いけど」


「まあ、私の知り合いだから良識はあるタイプのアレだから大丈夫だよ」
「そ、そうですか。まあ先生の身内だから当然アレでしょうけど」

「ええ、残念ながら私含め先生の関係者は全員アレね」
「…う、うわあ」


「さあ、とか言ってるうちに神社に着いたよ。ないあら神社だ」
「…め、名状しがたい雰囲気の神社ですね。初めて聞きました」

「うん、この国では珍しいけど某外宇宙の有名な邪神を祀った神社だ。最近ある村に分社が出来たらしいね」
「こ、怖い」

「まあ比較的人間には友好的な邪神だから、敬意を忘れなければ大丈夫だよ。不遜に扱うと発狂するから気を付けてね」
「ひ、ひい。気を付けます。南無南無」
「ああ、祝詞はいあいあくとぅるふだよ」
「そ、そうなんですか」

「ええ、私ここの狛犬可愛くて大好き」
「こ、狛犬いるんですか」
「ええ、これも信仰を怠ると鋭角から現れて襲い掛かるから気を付けてね」
「ひいい。いあいあくとぅるふ」


「まあ君なら良い子だし大丈夫だよ。本当は手水鉢で手を洗いたい所だが、君手無いしね」
「…そ、そうですね」

「ここの手水、仕方ないけど海水で少し生臭いのよね」
「へ、へえ」

「うん、たまに触手が出て来るしね」
「う、うわあ」


「さあ、お参りしようか。君は手無いし、柏手は大丈夫だよ。お祈りだけすれば良いからね」
「は、はーい」

(チャリン、カランカラン、イアイア)

「はい、じゃあ家族一同ずっと健康で幸せにいられますように」
「はーい。…いや僕相当健康じゃないけど」
「まあ、その内義肢付くしそれ以外は元気だし大丈夫よ」
「…そ、そうですね」

「よし、お参りも終わったし帰ろうか」
「ええ、本当は下手するとSAN値減って最悪ロストするお守りも可愛くて欲しいんだけど、今日は社務所お休みだし」
「か、買えなくて良かった」


「じゃあ、また車椅子押すからね。君は疲れたろうし、今度は私が押そう」
「ええ、ありがとう先生」

(カラカラカラ)

「今日は外に出してくれてありがとうございました。…相当怖かったけど」
「まあこんな町じゃね。でも慣れると楽しいよ」
「た、確かに楽しいですけども」


「今度は魔界に繋がってる海岸や、たまにそこに現れる危ないサーカスとかも行こうね」
「う、うわあ」

「ええ、実は宇宙人がやってるピザ屋さんとか、過去に相当な闇があって何人か殺ってる美人姉妹が営むレストランとか美味しいお店もたくさんあるものね」
「こ、怖い」

「うん、やばい品物多数取り扱ってる骨董品屋とか百円ショップとか、実は忍者や元戦国時代の剣豪がやってる探偵事務所とか面白いお店もたくさんあるしね」
「お、面白いけど怖すぎ」

「ええ、アレな蔵書が多数ある図書館とか、たまに永遠に出られなくなる映画館とか、素敵な施設もたくさんあるから良い町よ」
「こ、この町怖すぎ」


「うん、だからこの町相当な人外魔境だから」
「ええ、私このアレ過ぎる町大好き」
「こ、この町クレイジー過ぎる…」


「おや、何やら騒がしいね」
「あら、あれは最近ニュースで話題のクレイジーな殺人鬼」
「ひ、ひいい」

「ああ、大丈夫だよ。私こんな時に備えて真剣を常に持ち歩いているから」
「し、真剣持ち歩いて良いんですか」
「まあこういう町だからね。普通に武器屋とか銃火器ショップとかあるし」
「だ、だから怖すぎ」

「うん。で、私結構凶悪事件解決してるし、こういう時即対処も許可されてるんだ。そういう訳で、お前この子をよろしくね」
「ええ、気を付けてね先生」
「せ、先生やば過ぎ」


そんな訳で先生は和装なのにも関わらず稲妻のような勢いでクレイジーな殺人鬼に挑みかかり、流れるように袈裟斬りにしついでに首を跳ねた。30秒くらいで終わった。

「はい終わり。お前、通報しておいてくれるかい」
「ええ、もうしたわ。すぐ来るって」
「…せ、先生強いですね…」

「まあ一度例の探偵事務所の剣豪さんや、刀の神様とも手合わせした事あるしね。流石に彼等には手も足も出なかったが」
「…そ、そうなんですか…」


「さ、じゃあ帰ろうか。ああ、スーパーに寄って行こうか」
「ええ、ちょうどお野菜切らしていた所だし。魔界産のアレな大根とかも確か今特売だし」
「…ま、魔界産の食材そこで買ってたんですね」

「ええ、たまにお家に直接行商人さんが来たりもするけど」
「あー、カラス天狗さんや化け猫さんですね」

その後面白いが品物がところどころ怖く、明らかにパートのおばちゃんがたまに人外なスーパーでお買い物をした。

「うん、良い品物がたくさん買えて良かったね」
「人面トマトや叫ぶキュウリも買えたし、お漬け物にしましょうね」
「お、美味しそうだけど怖いですね…」
「ああ、君もう食べ慣れてるし、普通に美味しいから大丈夫だよ」
「そ、そうですか…」

「じゃあ帰ろうね。またお散歩連れて行ってあげるからね」
「ええ、だるま君とお散歩私も楽しいし」
「た、楽しかったけど怖すぎるんでもういいです……」


※でも慣れてきたらたまにする。数年経ったら慣れっこになってアレな姉妹のレストランとかも行くようになった。
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